児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

幼児の裸画像は幼稚園サイトなら児童ポルノでなくて、エロサイトなら児童ポルノになるのか?~「千葉県内の幼稚園ホームページに上半身裸姿の女児の写真 児童ポルノに悪用?別サイトに転載される」

 東京新聞の記事も、児童ポルノ被害対策などに取り組む一般社団法人「インターネットコンテンツセーフティ協会(ICSA)」の説明も間違っていて、法2条3項3号に該当する画像はどこにあっても3号児童ポルノですし、サイトに上げれば、幼稚園サイトでも児童ポルノ公然陳列罪ですね。

 まず、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」は一般人を基準に判定されて、一般人の中にはそういう画像に敏感な人も含むので、裸だったらまず、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」になります。大阪高裁h24.7.12

阪高裁平成24年7月12日
2 控訴趣意中,その余の法令適用の誤りの主張について
 論旨は,(1)本件各画像は,児童の裸が撮影されているが,一般人を基準とすると「性欲を興奮させ又は刺激するもの」ではないから,児童ポルノ法7条2項の製造罪(以下「2項製造罪」という。)は成立しないのに,原判決は原判示罪となるべき事実に同法7条2項,1項,2条3項3号を適用しており,~~,原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある,というものである。
 そこで検討するに,(1)の点は,本件各画像が「性欲を興奮させ又は刺激するもの」といえるかどうかについては一般人を基準として判断すべきものであることはそのとおりである。しかし,その判断の基準とすべき「一般人」という概念は幅が広いものと考えられる。すなわち,「一般人」の中には,本件のような児童の画像で性的興奮や刺激を感じる人もいれば,感じない人もいるものと考えられる。本件は,公衆浴場の男湯に入浴中の女児の裸の画像が対象になっており,そこには大人の男性が多数入浴しており,その多くの男性は違和感なく共に入浴している。そのことからすると,一般人の中の比較的多くの人がそれらの画像では性的興奮や刺激を特に感じないということもできる。しかし,その一方で被告人のようにその女児の裸の画像を他の者から分からないように隠し撮りし,これを大切に保存し,これを密かに見るなどしている者もおり,その者らはこれら画像で性的興奮や刺激を感じるからこそ,これら画像を撮影し,保存するなどしているのである。そして,これらの人も一般人の中にいて,社会生活を送っているのである。ところで,児童ポルノ法が規制をしようとしているのはこれらの人々を対象にしているのであって,これらの人々が「一般人」の中にいることを前提に違法であるか否かを考える必要があると思われる。他人に提供する目的で本件のような低年齢の女児を対象とする3号ポルノを製造する場合は,提供を予定されている人は一般人の中でそれらの画像で性的興奮や刺激を感じる人達が対象として想定されているものであり,そのような人に提供する目的での3号ポルノの製造も処罰しなければ,2項製造罪の規定の意味がそのような3号ポルノの範囲では没却されるものである。したがって,比較的低年齢の女児の裸の画像では性的興奮や刺激を感じない人が一般人の中では比較的多数であるとしても,普通に社会生活を営んでいるいわゆる一般の人達の中にそれらの画像で性的興奮や刺激を感じる人がいれば,それらの画像は,一般人を基準としても,「性欲を興奮させ又は刺激するもの」であると解するのが相当である。
 したがって,原判決が原判示各事実に児童ポルノ法7条2項,1項,2条3項3号を適用したのは正当である。

 児童ポルノ性は絵面で決まるので、親が撮っても児童ポルノになって、正当目的であれば犯罪阻却されると説明されています。
「保護者が陰茎をつまんで撮影した写真は,児童ポルノに該当するが,その製造,所持の目的が,子供の成長の記録のためであるなどして,性的好奇心を満たす目的等に欠ける場合には,犯罪を構成しないと評価されるだけである。」東京高裁h30.1.30

東京高裁平成30年 1月30日
保護責任者遺棄致傷、強制わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、強制わいせつ(変更後の訴因わいせつ誘拐、強制わいせつ)、殺人、強制わいせつ致傷被告事件
 (2) 論旨は,また,原判決が児童ポルノと認めた画像の中には,一般人の性欲を興奮又は刺激させないものが含まれているとして,具体的には,トイレに座る画像,一部着衣してあどけなく座る画像,児童を拘束している画像,上半身裸の男児の目や口をガムテープで塞ぎ両手を緊縛した画像で性器が映っていないもの,児童が突っ立っている画像を挙げ,これらの画像を撮影した行為について児童ポルノ製造罪を認めた原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある,というのである。
 しかし,原判決は,公訴事実に含まれる各画像を個別に検討し,一部の画像を性欲を興奮させ又は刺激するものに該当しないとするなど,児童ポルノの該当性を慎重に判断しており,所論指摘の画像の撮影行為をいずれも児童ポルノに該当するとした原判決の判断は不合理ではない。トイレに座る画像,一部着衣してあどけなく座る画像,児童が突っ立っている画像であって,児童に殊更扇情的な姿態をとらせたものではなくても,性器を殊更露出させたものであれば,一般人の性欲を興奮させ又は刺激するものといえる。また,全裸で両手を縛った画像や性器をひもで緊縛するなどして児童を拘束している画像や,上半身裸の男児の目,口をガムテープで塞ぎ両手を緊縛した画像も,一般人の性欲を興奮させ又は刺激するものといえる。所論は,少年アイドルの上半身裸の写真や小学生の水泳の写真と同視でき,児童ポルノに該当しないとも主張するが,それらは,画像から読み取れる姿態,場面,周囲の状況,構図等を総合的に考慮して判断するならば,一般人の性欲を興奮させ又は刺激するものとはいえないと評価されるにすぎない。なお,保護者が陰茎をつまんで撮影した写真は,児童ポルノに該当するが,その製造,所持の目的が,子供の成長の記録のためであるなどして,性的好奇心を満たす目的等に欠ける場合には,犯罪を構成しないと評価されるだけである。

 というわけで、幼稚園サイトでも、児童の裸画像を掲載すると、児童ポルノ公然陳列罪になって、正当目的であれば犯罪阻却されるということになります。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(H26改正後)
第七条(児童ポルノ所持、提供等)
6児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
7前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律
第二条(定義)
3この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

https://www.tokyo-np.co.jp/article/134523
千葉県内の幼稚園ホームページに上半身裸姿の女児の写真 児童ポルノに悪用?別サイトに転載される
2021年10月2日 22時30分
 千葉県内の私立幼稚園のホームページブログに、上半身裸姿で水遊びなどをする園児の写真が掲載され、インターネット上で転載されていたことが、地元自治体などへの取材で分かった。園は先月上旬、自治体などの指摘で記事を削除した。写真などのデータをネット上から完全に削除するのは困難で、専門家は「子どもの将来に影響を及ぼしかねない」と重大性を指摘し、投稿時の注意を呼び掛ける。(加藤豊大)
 園がある自治体などによると、写真は2017年6、7月と18年6月の日付の5つの同園のブログ記事で掲載。顔が分かる状態のおむつ姿で上半身裸の男児と女児の写真が複数あった。パスワード設定はなく、誰でも閲覧できる状態だった。
 8月4日に匿名の情報提供を受けた自治体が園側に削除を求め、記事へのリンクは消された。だがその後も記事自体はネット上に残り、URLを直接入力すれば見ることができた。9月10日に再度自治体から指摘を受けて完全に削除されたという。
 これらの画像は何者かによってコピーされ、別サイトに転載されていた。「¥345」などと商品のように価格が示され、幼稚園の名称も書かれていた。10月2日時点でサイトは閲覧できなくなっている。
 児童ポルノ被害対策などに取り組む一般社団法人「インターネットコンテンツセーフティ協会(ICSA)」事務局の桃沢隼人はやとさん(42)によると、今回転載が確認されたサイトは、通販サイトに見せかけて個人情報を抜き取る「フィッシングサイト」の可能性が高いという。
 園は取材に対し「掲載が不適切だったとは考えておらず、園児の日々の様子を保護者らに知ってもらうためだった。園の意図とは異なる形で利用されたのは誠に遺憾」「現在まで保護者や閲覧者からの問題の指摘は受けていない」などと書面で回答した。
◆親の投稿による被害も ICSA「掲載は自分の身に置き換えて判断を」
 ICSAによると、幼稚園や保育園による写真投稿がきっかけの児童ポルノ被害は全国的に後を絶たず、親の投稿がきっかけになるケースもあるという。
 桃沢さんは「幼稚園などスタッフらは、子どもらのほのぼのとした写真が一部の人から性的に見られてしまうとは想像もしていないだろう」と指摘する。
 一方、親が幼い娘の姿を撮影した際、たまたま服の隙間から胸が見える写真を成長記録としてネット掲載したところ、性的な画像が集まる掲示板に転載された例もあったという。
 桃沢さんは「際どい写真は撮らないという徹底した姿勢が被害を防ぐ上で重要だ。『大人が撮られて恥ずかしくないか』という基準でじっくり考えてから投稿して」と呼び掛ける。
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愛知県内において淫行する際には戸籍・住民票で年齢確認する義務がある~14歳の少女にみだらな行為の疑いで逮捕「18歳と思っていた」と容疑を否認

愛知県内において淫行する際には戸籍・住民票で年齢確認する義務がある~14歳の少女にみだらな行為の疑いで逮捕「18歳と思っていた」と容疑を否認
「「過失がないとき」とは、具合的事実ごとに提出された客観的資料の種類、その提出の際の状況及びその確認方法の有無、難易度を総合的に検討して、相会通念に照し、通常可能な調査が適切に尽くされているか否かによって決められることになる(大阪高裁46. 11)」「客観的な資料として本人の戸籍謄・抄本あるいは住民票等について正確な調査をして、その者の年令を確認すべき注意義務がある」という高裁判例を引っ張ってきていますが、風営法の業者の場合の判例なので、1回性の淫行の年齢確認義務の説明には使えないと思います。淫行するのに戸籍・住民票取ってますか?
 児童買春罪ではこういう規定はありません。
 青少年条例の児童ポルノ要求行為では知情条項を適用しない自治体も多くなっています。

小学校教師(23)が14歳の少女にみだらな行為の疑いで逮捕「18歳と思っていた」と容疑を否認
 警察によりますと男は、今年7月と8月、当時14歳の少女に対して、18歳未満であることを知りながら、瀬戸市内のホテルでみだらな行為をした疑いがもたれています。
 男は「18歳と思っていた」と容疑を否認しているということです。

愛知県青少年保護育成条例の解説H27
第14条
1何人も、青少年に対して、いん行又はわいせつ行為をしてはならない
2 何人も、青少年に対して、前項の行為を教え、又は見せてはならない。
追加〔昭和52年条例8号〕
第29条
1第14条第1項の規定に違反した者は、2年以下の懲役文は100万円以下の罰金に処する。
8 ~~第14条~~の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第1項~~の規定による処罰を免れることができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことにつき過失がないときは、この限りでない。
解説
「過失がないとき」とは、具合的事実ごとに提出された客観的資料の種類、その提出の際の状況及びその確認方法の有無、難易度を総合的に検討して、相会通念に照し、通常可能な調査が適切に尽くされているか否かによって決められることになる(大阪高裁46. 11)。

大阪高等裁判所判決昭和46年11月16日
風俗営業等取締法七条三項但書に規定する年齢不知に関する過失の程度
刑事裁判資料229号413頁
       理   由
 年令に制限のある接客婦などを雇入れる場合において、その言葉や、前歴、容姿、態度あるいは紹介者の言葉だけでは人の正確な年令を知り得ないことはいうをまたないところであるうえ、接客婦として、雇傭されることを希望する者はその希望を遂げようとしてその紹介者は固より本人自身も恰も満一八歳以上であるかのように装い、その年令を偽り、雇主を欺くことの事例の多いことは証人Aの証言からも十分うかがわれるところであり、したがって、単に紹介者および本人の言葉や、容姿、態度、前歴等の外観的事情によってその者が満一八歳以上であると信じただけでは足らず、さらに客観的な資料として本人の戸籍謄・抄本あるいは住民票等について正確な調査をして、その者の年令を確認すべき注意義務があるのであって、右の確認措置を採らないかぎり、その者の年令を知らなかったことについて過失がなかったとはいえないものと解すべきが相当である。

ツイッターやインスタグラム等で児童から裸の画像を購入した場合の罪名

 捜索差押が入ったが、容疑が単純所持罪ではなく、製造罪だったという相談が相次ぎました。

① 出来合の画像を買った場合
 児童ポルノ単純所持罪~逮捕されない 破棄しておけば立件されない
 児童ポルノ要求行為(青少年条例)~逮捕事例がある 過失処罰されることがある
 
② 注文後撮影された画像を買った場合
 児童ポルノ製造罪~逮捕されることが多い 破棄しても立件される
 児童ポルノ要求行為(青少年条例)~逮捕事例がある 過失処罰されることがある
 青少年条例違反(わいせつ行為)~逮捕事例がある。過失処罰されることがある
 13歳未満の場合強制わいせつ罪(176条後段)~逮捕されることが多い。

 ①のつもりで②となっている場合は、弁護士に相談するなどして、必死に①と思っていたと弁解する。
 13歳未満であった場合は自首して逮捕を勘弁してもらい、送信型強制わいせつ罪の裁判例を参考にして、強制わいせつ罪の適用を避ける。

※「求める」について
3 「提供を求める」とは、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第7条第2項に規定する「提供」を行うように求めることであり、当該児童ポルノ等を相手方において利用し得べき状態に置く法律上・事実上の一切の行為をいい、具体的には、有体物としての児童ポルノを交付するように求めたり、電磁的記録を電子メールで送信するよう求める行為がこれに当たる。
また、「求める」とは、青少年に対して、要求するのみならず、勧誘するなども含めた広い概念である。




 児童がサンプル示して裸体画像を販売しているのに、応じて注文して買ったつもりだったところ、実は児童は注文後に撮影して送信した行為については、姿態を取らせたという認識がないのに、姿態をとらせて製造罪の捜査を受け、たいていの場合は自白するので、製造罪で罰金になると思われます。弁護人を選任して「姿態を取らせていない」「製造させていない」と要領良く弁解すれば製造罪については起訴されないと思われます。単純所持罪(7条1項)も難しいでしょう。

国法レベルでは
児童 提供目的製造罪(7条7項)、提供目的所持罪(7項)、提供罪(6項)、わいせつ電磁的記録有償頒布目的所持罪、わいせつ電磁的記録頒布罪
買主 製造罪(4項)、単純所持罪(7条1項)
と重い罪名が並ぶ。
 注文前の時点で、
児童 提供目的製造罪(7条7項)、提供目的所持罪(7項)、わいせつ電磁的記録有償頒布目的所持罪
となっている。
 児童から購入の場合、一見すると、青少年条例の「対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により児童ポルノの提供を行うように求める行為」に該当するように見えますが、「自画撮り被害に繋がる働きかけ行為自体を処罰する規定はなかった。」という趣旨からは、児童自身の準備行為がすでに国法上の犯罪(提供目的製造罪(7条7項)、提供目的所持罪(7項)、わいせつ電磁的記録有償頒布目的所持罪)として禁止されている場合には条例による規制は不要である。

東京都青少年の健全な育成に関する条例の解説 令和元年8月
(青少年に児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第18条の7
何人も、青少年に対し、次に掲げる行為を行ってはならない。
一青少年に拒まれたにもかかわらず、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成1 1年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ(以下単に「児童ポルノ」という。)又は同法第7条第2項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。次号において同じ。)の提供を行うように求めること。
二青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は青少年に対し対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求めること。
~第2条例(規則)の解説
東京都青少年の健全な育成に関する条例及び同施行規則の解説【要旨】本条は、すべての者に対して、青少年に、自身の姿態が描写された児童ポルノ又はその情報を記録した電磁的記録その他の記録の提供を、当該青少年に不当に求める行為を禁止した規定である。
【解説】
本条は、近年のスマートフォンの急激な普及や、インターネット利用の低年齢化が進み、判断能力の未成熟な青少年が多くネット上で活動し始めたことを背景に、脅されたり、だまされたりするなどして、青少年が自分の裸体等をスマートフォン等で撮影させられた上、メール等で送らされる被害、いわゆる「自画撮り被害」が社会問題化したことから、平成29年の条例改正において、不当に求める行為に限り罰則をもって禁止することとしたものである。
青少年の自画撮り被害の防止に関する現行法令は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、単に「児童ポルノ禁止法」とする。
)第7条において、児童ポルノの電磁的記録の所持、保管、提供、製造等を禁止している。
しかし、自画撮り被害が生じた場合、加害者には製造罪が適用されるケースが多いが、未遂罪の規定はなく、自画撮り被害に繋がる働きかけ行為自体を処罰する規定はなかった。
また、自画撮り被害に繋がる働きかけ行為自体が刑法第222条(脅迫罪)や、第223条(強要罪)の未遂に該当すれば罰せられるが、加害者が青少年の判断能力の未成熟さに付け込む方法で働きかけを行う場合、働きかけ行為自体がこれらに該当しないことが多く、現行法令による自画撮り被害の未然防止は十分ではなかった。
このため、本条例において提供を求める行為について処罰対象とし、自画撮り被害に繋がる働きかけ行為自体を罰することで、加害者による「青少年に対する画像提供の働きかけ行為」の抑止や防止、「青少年の画像提供の未然防止」等を図る目的で改正を行ったものである。
本規定は、刑法の属地主義の原則により、構成要件該当事実の一部が東京都内で発生した場合に適用される。
すなわち、要求を行う者又は要求を受ける者(青少年)のいずれかが東京都内に所在する場合などに適用される。
また、判例によれば、要求を行う者において『要求を受ける者(青少年)が東京都に所在すること』の認識は原則として必要ない。
ただし、青少年が都外にいるという積極的な認識がある場合には、慎重に判断すべきである。
(参考判例:高松高判昭和61年12月2日高裁判例集第39巻4号507頁(条例の罰則が当該地方公共団体の区域外にある者に対して適用された事例))本規定は、年齢の知惰性がなくとも処罰可能とする条例第28条の対象外である。
すなわち、要求を行う者に、要求の相手が青少年だという認識がなかったと認められる場合は、処罰できないこととなる。
また、本規定は、「当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求めること」を禁止するものであり、相手方が青少年であると認識できるような事実が全くない場合には適用できない。
これは、「自画撮り被害」が相手を直接確認できないインターネット上のやりとりの中で行われることが想定され、やりとりの相手が青少年だと認識していない者にまで本規定を適用することは過剰な規制と考えられるためである。
「何人も」とは、国籍、住所、年齢、性別を問わず、全ての人(自然人)を指すことから、青少年が本条に定める行為を行った場合は、本条の違反が成立する。
ただし、この条例の本旨は、罪を犯した青少年を罰することを目的としたものではなく、青少年の健全な育成を図るため、青少年を好ましくない社会環境から守る義務を青少年以外の者に負わせたものである。
そのため、この条例に違反した者が青少年であるときは、条例第30条(青少年についての免責)により、罰則は適用しない。
「当該青少年に係る児童ポルノ等」とは、求める相手方である青少年自身の姿態が描写された児童ポルノ等ということである。
したがって、他の青少年の姿態が描写された児童ポルノ等を求めた場合については、該当しない。
どのような表現が「児童ポルノ」に該当するかについては、要求文言とその前後のやりとりを総合的に判断し、該当性の判断を行うこととなるが、その要求に青少年が応じてしまった場合、児童ポルノ禁止法第2条第3項に該当する児童ポルノが提供されることが社会通念上明らかに認められることが必要であると考える。
「提供を行うように求める」とは、児童ポルノ禁止法第7条第2項に規定する「提供」を行うように求めることであり、当該児童ポルノ等を相手方において利用し得べき状態に置く法律上・事実上の一切の行為をいい、具体的には、有体物としての児童ポルノを交付するよう求めたり、電磁的記録を電子メールで送信するよう求める行為がこれに当たる。
また、「求める」とは、青少年に対して、要求するのみならず、勧誘するなども含めた広い概念である。
「拒まれたにもかかわらず」とは、青少年に対して当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求めた被疑者が、それを拒否されたと認識しているにもかかわらずということになる。
したがって、やりとりの記録などから拒否されたと認識していることが明らかである場合のほか、社会通念上、青少年の意思表示が拒否したと認められるものであり、かつ、それが被疑者に到達していることが明らかである場合には、拒否されたと認識していたということができる。
「威迫」とは、他人に対して言語挙動をもって気勢を示し、不安の感を生じさせることをいう。
「脅迫」と異なり、他人に恐怖心を生じさせる程度のものであることを要しないが、単に「威勢を示す」(軽犯罪法第1条第13号) というよりは強度のものを指す。
暴力行為等処罰に関する法律第2条、公職選挙法第225条第3号に用例がある。
なお、「威力」との差異に関し、公職選挙法第225条第1号の「威力」とは「人の意思を制圧するに足りる勢力」、同3号の「威迫」とは「人の不安を抱かせるに足りる行為」をいい、両者の違いは、人の意思を制圧するに足りる程度の行為であるかどうかにあるものと解すべき」であると判示している(昭和42. 2.4最高裁第2小法廷判決)。
「欺く」とは、他人を錯誤に陥れ、虚偽の事実を真実と誤認させることである。
真実でないことを真実であるとして表示する行為で、虚偽の事実を摘示する場合と真実の事実を隠ぺいする場合とが含まれる。
軽犯罪法第1条第34号、売春防止法第7条第1項に用例がある。
「困惑させる」とは、困り戸惑わせることをいい、暴行脅迫に至らない程度の心理的威圧を加え、又は自由意思を拘束することによって精神的に自由な判断ができないようにすることをいう。
相手方に威力を示す場合、義理人情の機微につけ込む場合、恩顧愛執の情義その他相手方を心理的に拘束し得るような問題を持ち込む場合などが考えられるが、いずれにしても、相手方に対する言動のほか、相手方の年齢・知能・性格、置かれた環境、前後の事情などを総合して判定する。
特定商取引法第6条第3項、売春防止法第7条第1項に用例がある。
「対償を供与し、若しくはその供与の約束をする」とは、児童ポルノ等の提供に対する反対給付としての経済的な利益を供与、又はその約束をすることをいう。
「対償」は、現金のみならず、物品、債務の免除も含まれ、金額の多寡は問わない。

鳥取県青少年条例による、児童ポルノ要求行為の正当事由は「犯罪捜査、弁護活動相談・救済機関の相談業務、医療行為、学術研究等の正当な業務のために児童ポルノに該当するものの提供を求める場合など」

 他の県は威迫困惑という手段の限定になってますが、鳥取県は手段は何でもよくて正当事由ないものがアウトという規定です。

鳥取県青少年健全育成条例の解説r0210
児童ポルノ等の提供の求めの禁止)
第18条の2何人も、正当な理由がなく、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ又は同法第7条第2項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。)の提供を求めてはならない。
【関係条文】
第26条略
2~4略
5次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(1)~(3) 略
(4) 第18条の2の規定に違反した者
6~9略
【要旨】
本条は、すべての者に対して、青少年に、自身の姿態が描写された児童ポルノ等の提供を求めることを禁止する規定です。
【解説】
青少年が脅されたり、だまされたりして、自分の裸体をメール等で送らされる「自画撮り被害」が全国的に拡大しており、スマートフォンの所有率の高さ、SNS等インターネット上のコミュニケーションの普及などにより、青少年がこうした要求行為にさらされる危険|生がさらに高まることが懸念されるところ、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号) 」では、児童ポルノ等の要求行為自体を禁じていないことから、「自画撮り被害」の未然防止のため、児童ポルノ等の要求行為を禁止したものです。
1 「何人も」とは、第15条の解釈と同じく、県民はもとより旅行者、滞在者などの全ての自然人を指し、国籍、性別、年齢を問いません。
なお、条例の効力は、原則として当該地方公共団体の地域において属地的に生ずると解され、電話や手紙、インターネットを通じて要求行為が行われた場合、行為者が要求行為を行った場所のみならず、被害者となる青少年が要求行為を受けた場所である結果発生地も犯罪地と認められるのであり、直接的かつ現実的に本県に関わりを持った行為者にも本条は適用されますbよって、県外から県内の青少年に児童ポルノ等の提供を求める行為、県内から県外の青少年に児童ポルノ等の提供を求める行為についても規制の対象となります

2 「正当な理由がなく」とは、社会通念上正当な理由があるとは認められない場合をいいます。
この要件が置かれた意義は、処罰範囲を合理的に限定するところにあり、本条の場合、この要件があることによって、例えば、犯罪捜査、弁護活動相談・救済機関の相談業務、医療行為、学術研究等の正当な業務のために児童ポルノに該当するものの提供を求める場合などは、第18条の2の構成要件に該当しないこととなります。
3 「当該青少年に係る児童ポルノ等」とは、求める相手方である青少年自身の姿態が描写された児童ポルノ等をいいます。したがって、他の青少年の姿態が描写された児童ポルノ等を求めた場合については、本条に該当しません。自画撮り、自撮り、セルフィー等と呼ばれる自分自身を被写体としてスマートフォンデジタルカメラ等で撮影したデジタル写真画像が典型的な例ですが、画像だけでなく、動画、アナログ写真等も含みます。
なお、「児童ポルノ」とは、児童ポルノ禁止法第2条第3項で規定されているとおり、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他であって、第1号、第2号又は第3号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいいます。
4 「提供を求める」とは、児童ポルノ禁止法第7条第2項に規定する「提供」を行うように求めることであり、当該児童ポルノ等を相手方において利用し得るべき状態に置く法律上・事実上の一切の行為をいい、有償・無償を問いません。
具体的には、有体物としての児童ポルノを交付するよう求めたり、無体物としての電磁的記録を電子メールで送信するように求める行為がこれに当たります。
また、「求める」とは、青少年に対して、直裁的な表現で要求するのみならず、勧誘する、
提供するよう暗に仕向けるなども含めた広い概念です.
なお、どのような表現が「児童ポルノ等の提供を求める」に該当するかについては、要求文書とその前後のやり取りを総合的に判断し、該当性の判断を行うこととなりますが、その要求に青少年が応じてしまった場合、児童ポルノ禁止法第2条第3項に該当する児童ポルノ等が提供されることが社会通念上明らかに認められることが必要です。
5本条に違反した者は、条例第26条第5項第4号により罰則(30万円以下の罰金)が適用されます。
6本条は、不当な手段を用いた要求行為のみを禁止しているものではなく、恋愛関係にある場合や、遊び半分であっても、児童ポルノ等のやり取りにより、インターネット上への画像等の流出やリベンジボルノに繋がるおそれがあることから、青少年に対して児童ポルノ等の提供を求める行為を、いかなる態様であっても禁止するものです。
7年齢の知情|生については、本条例は、第26条第9項で、条例上の特定の罰則規定については、その行為をした者が青少年の年齢を知らなかった(その点について故意がなかった)場合でも、知らないことについて過失があれば、処罰可能とする規定を置いていますが、本規定はその対象外としています。
児童ポルノ禁止法では、第7条第2項から第8項の各罪について、児童を使用する者については、当該児童が18歳未満の者であることの認識がなくとも、認識がないことに過失があれば処罰することとしていますbまた、同条第1項に規定する児童ポルノの単純所持は年齢を知らないことをもって処罰を免れない規定が適用されません。このため、本条例で規制する児童ポルノの製造や所持の前閏浩である要求行為について、行為者に、相手が青少年であることを認識できない場合にまで処罰することは過剰であるためです。

青少年条例の「わいせつ」概念~鎮目征樹「児童に対する性犯罪処罰規定の現状と課題について」刑事法ジャーナル69号

 高松高裁r03(上告中)によれば、議論されることもなく、既に強制わいせつ罪の定義(大法廷h29.11.29)と同じと解されて、性的意図不要になっています。

https://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/2021/02/28/000000
高松高裁R03.3.2
③原判決は,本件行為中に「単に自己の性的欲望を満たす目的で」と認定して,本条例16条1項の「猥せつ」の定義に性的意図を盛り込んでおり,性犯罪につき性的意図を不要とする最高裁判例に反していて法令の解釈を誤っている点,において,原判決には,それぞれ判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあるというのである。
 4 論旨③について
 原判決の説示をみても,原判決が,一般的に性犯罪について行為者の性的意図が必要であると説示しているとは解されないから,論旨は前提を誤るものであって理由がない。

最高裁でも追認されたので、青少年条例の「わいせつ」についても、必ずしも性的意図不要になったようです。

最決R03.11.1
弁護人奥村徹の上告趣意のうち,県青少年保護育成条例16条1項にいう「猥せつ」の概念が過度に広範であり,不明確であるとして憲法31条違反をいう点は, その概念が所論のように過度に広範であるとも,不明確であるともいえないから,前提を欠き, その余は,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反の主張であり,弁護人sの上告趣意は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反の主張であって, いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらない。
よって, 同法414条, 386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。

鎮目征樹「児童に対する性犯罪処罰規定の現状と課題について」刑事法ジャーナル69号
第2に、性行為の内容によって、被害児童が受ける精神的被害や健全育成に対する悪影響が相当程度異なるのであれば、(地方自治法所定の上限があるため致し方がないこととはいえ)条例が淫行とわいせつ行為を全く同じ法定刑で同様に処罰する現状について、それが適切といえるかにつき検討の余地がある。
また、この点に関連して、わいせつ行為の意義・外延が問題となるが、条例のわいせつ行為の意義について、裁判例の一つ(前掲注(而・大阪高判平成23・12・21 [A43])は、これを刑法の風俗犯と同様に「いたずらに性欲を興奮又は刺激させ、かつ、普通人の正常な性的蓋恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為」と定義する。
刑法上の性犯罪におけるわいせつ概念については、近時、判例の新たな展開を受け、再検討の必要性が指摘されており、条例におけるわいせつ概念についても、議論の深化が期待される。

児童ポルノ要求行為と過失処罰規定

 だいたいネット経由で要求すると思われるんですが、年齢を知らない場合、処罰される県があるんです。
 鳥取県警からは「児童ポルノ規制法違反は、原則、故意犯を罰則対象にしていることから、本条例の改正部分を罰則規定の年齢知情の特則に含めることは、妥当でないと考えます。」という意見が出ています。

北海道の資料の後追いです。

https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/060401/files/2020120300109/file_2020123413191_1.pdf

  禁止条項 罰則 知情
群馬 児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第三十五条の二 何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二条第三項に規定する児童ポルノ又は同法第七条第二項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。第五十七条第九号において同じ。)の提供を求めてはならない。
第五十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
九 第三十五条の二の規定に違反して、青少年に対し、次に掲げる行為を行った者
イ 青少年に拒まれたにもかかわらず、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めること。
ロ 青少年を威迫し、欺き、又は困惑させる方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めること。
ハ 青少年に対し対償を供与し、又はその供与の申込み若しくは約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めること。
適用あり

 第六十条 第十三条第五項、第十四条第四項、第十六条第四項、第三十条第二項、第三十一条第一項、第三十二条から第三十九条まで、第四十三条又は第四十四条の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第五十三条から前条までの規定による処罰を免れることはできない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことについて過失がないときは、この限りでない。
一部改正〔令和三年条例一二号〕
山梨 (児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第十二条の三 何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二条第三項に規定する児童ポルノ又は同法第七条第二項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。第十六条第五項第十二号において同じ。)の提供を求めてはならない。
(令二条例一八・追加)
第十六条 
5 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
十二 次に掲げる行為により、第十二条の三の規定に違反した者
イ 青少年に当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を拒まれたにもかかわらず、提供を求める行為
ロ 青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は青少年に対し対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求める行為
適用あり

第十六条の二 第五条第七項、第五条の三第五項、第六条第六項、第八条、第九条、第十条、第十条の二、第十条の三、第十条の四、第十一条第二項、第十一条の二第一項、第十二条、第十二条の二、第十二条の三又は第十三条の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、前条の規定による処罰を免れることができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことについて過失のないときは、この限りでない。

(平一八条例七〇・追加、令二条例一八・一部改正)
岐阜 児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第二十三条の二 何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二条第三項に規定する児童ポルノ又は同法第七条第二項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。第五十一条第二号において同じ。)の提供を求めてはならない。
追加〔令和二年条例五六号〕
第五十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
二 第二十三条の二の規定に違反した者で次のいずれかに該当するもの(青少年を除く。)
イ 青少年に拒まれたにもかかわらず、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めた者
ロ 青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は青少年に対し対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めた者
適用あり

五十五条 第十九条の二、第十九条の三、第二十三条又は第二十三条の二の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として第四十八条、第五十条第三号又は第五十一条第一号若しくは第二号の規定による処罰を免れることができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことに過失がないときは、この限りでない。
追加〔平成七年条例三四号〕、一部改正〔平成一三年条例四七号・一七年七二号・令和二年五六号〕
静岡 (児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第14条の5 何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ及び同項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)その他の記録をいう。以下同じ。)の提供を求めてはならない。
(追加〔令和2年条例30号〕
(罰則)
第21条  。
4 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(12)  第14条の5の規定に違反した者であつて、次のいずれかに該当するもの
ア 青少年に拒まれたにもかかわらず、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めた者
イ 青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は青少年に対し、対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めた者
適用あり

8  第14条の2から 第15条までに規定する行為をした者は、青少年の年齢を知らないことを理由として、第1項、第2項及び第4項第10号から第13号までの規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。
(一部改正〔昭和41年条例48号・52年26号・53年20号・56年18号・59年31号・平成4年29号・5年22号・8年39号・13年63号・18年56号・21年18号・22年56号・令和2年30号〕)
三重 児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第二十三条の二 何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等( 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二条第三項に規定する児童ポルノ又は同法第七条第二項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。第四十条第五項において同じ。)の提供を行うよう求めてはならない。
追加〔令和二年条例二五号〕
(罰則)
第四十条
5  次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一  第二十条の二又は第二十条の三の規定に違反した者
二  第二十三条の二の規定に違反して、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うよう求めた者であつて、次のいずれかに該当するもの
イ  当該青少年に拒まれたにもかかわらず、当該提供を行うよう求めた者
ロ  威迫し、欺き、又は困惑させる方法により、当該提供を行うよう求めた者
ハ  対償を供与し、又はその供与の申込み若しくは約束をする方法により、当該提供を行うよう求めた者
適用あり

9  第十八条の二、第十九条の二第一項、第二十条の二、第二十条の三、第二十一条から第二十四条まで又は第二十四条の二第三項から第五項までの規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として第一項から第七項までの規定による処罰を免れることができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことにつき過失のないときは、この限りでない。
一部改正〔昭和五二年条例一〇号・五七年二五号・五九年七号・平成三年三二号・七年一七号・八年三一号・一〇年一七号・一三年七五号・一八年二七号・令和二年二五号〕
兵庫 児童ポルノ等の提供の求めの禁止)
第21条の3
何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第2条第3項に規定する児童ポルノ及び同項各号のいずれかに掲げる姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)その他の記録をいう。以下同じ。)の提供を求めてはならない。
第30条
5 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。

(12)第21条の3の規定に違反して、次に掲げる方法により、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めた者
ア青少年を欺き、威迫し又は困惑させる方法
イ青少年に対し、財産上の利益を供与し、又はその供与の申込み若しくは約束をする方法
適用あり

「過失のないとき」とは、単に青少年に年齢、生年月日等を確認しただけ、又は身体の外観的発育状況等から判断しただけでは足りず、学生証運転免許証等の公信力のある書面、又は当該青少年の父兄に直接問い合わせるなど、その状況に応じて通常可能とされる
あらゆる方法を用いて青少年の年齢を確認している場合をいう。
和歌山 (児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第26条の2 何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ又は同法第7条第2項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。第33条第4項第5号において同じ。)の提供を求めてはならない。

(平30条例59・追加)
(罰則)
第33条 
4 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(5) 第26条の2の規定に違反して、青少年に対し、次に掲げる行為を行った者
ア 拒まれたにもかかわらず、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めること。
イ 欺き、威迫し、又は困惑させる方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めること。
ウ 対償を供与し、又はその供与の申込み若しくは約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めること
適用あり

8 第14条第1項、第15条第1項、第16条第1項、第20条第1項、第21条の3、第22条第2項又は第23条から第29条までの規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第1項から第4項までの規定による処罰を免れることができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことに過失がないときは、この限りでない。
山口 (児童ポルノ等の提供の求めの禁止)
第十二条の五 何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等( 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二条第三項に規定する児童ポルノ及び同項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)その他の記録をいう。以下同じ。)の提供を求めてはならない。
( 令元条例七・追加)
第二十条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。
イ 青少年に当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を拒まれたにもかかわらず、提供を求める行為
ロ 青少年に対し金品その他の財産上の利益を供与し、若しくは役務を提供し、又はこれらの供与若しくは提供を約束して当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求める行為
ハ 青少年を欺き、若しくは困惑させ、又はその困惑に乗じて当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求める行為
( 平一四条例二四・全改、 平一八条例五四・ 令元条例七・一部改正)
適用あり

第二十条の二  第十二条第一項、 第十二条の二又は前条第三号に規定する行為をした者は、過失によりこれらの行為の相手方が青少年であることを知らない場合においても、 第十九条の三、 第十九条の四又は同号の規定による処罰を免れることができない。
( 令元条例七・追加)
愛媛 児童ポルノ等の提供の求めの禁止)
第9条の3 何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ及び同項各号のいずれかに掲げる姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)その他の記録をいう。以下同じ。)の提供を求めてはならない。
追加〔平成30年条例55号〕
第18条 
4 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(2)の2 第9条の3の規定に違反した者であつて、次のいずれかに該当するもの
ア 青少年に拒まれたにもかかわらず、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めた者
イ 青少年を欺き、威迫し、若しくは困惑させて、又は青少年に対し、金品その他の財産上の利益を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めた者
適用あり

18条
7 第9条の2から第9条の4まで又は第11条の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第1項、第3項又は第4項の処罰を免れることができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことに過失がないときは、この限りでない。
高知 児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第18条の2 何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ及び同法第7条第2項後段の同法第2条第3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した同項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。第31条第3項第3号において同じ。)の提供を求めてはならない。
追加〔令和3年条例13号〕
(罰則)
第31条。
3 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(3) 第18条の2の規定に違反した者であって、次のいずれかに該当するもの
ア 青少年に拒まれたにもかかわらず、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めた者
イ 青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は青少年に対し、対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めた者
適用あり

31条
5 第11条第3項、第12条第2項、第14条第3項、第18条、第18条の2、第19条第2項若しくは第3項、第20条第1項若しくは第2項、第21条第1項、第22条第1項若しくは第2項又は第23条第1項の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、前各項の規定による処罰を免れることができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことに過失のないときは、この限りでない。
福岡 児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第31条の2 何人も、青少年に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 青少年に拒まれたにもかかわらず、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ又は同法第7条第2項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。次号において同じ。)の提供を行うように求めること。
(2) 青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は青少年に対し対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求めること。
第38条
4 第31条の2の規定に違反した者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。
適用あり

38条
8 第26条第1項、第31条、第32条から第33条まで又は第34条第2項の規定に違反した者は、青少年の年齢を知らないことを理由として、第1項、第2項及び第5項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときはこの限りではない。
沖縄 児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第17条の4 何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等( 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ又は同項各号のいずれかに掲げる姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)その他の記録をいう。第22条第5項第4号において同じ。)の提供を求めてはならない。
追加〔平成31年条例10号〕
(罰則)
第22条 
5  次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(4)  第17条の4の規定に違反して、青少年に拒まれたにもかかわらず、又は青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、若しくは青少年に対し対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を求めた者
適用あり

8  第9条第2項、第10条第3項、第11条第1項、第12条第4項、第13条第3項又は第15条から第18条の4までの規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として前各項の規定による処罰を免れることができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことに過失のないときは、この限りでない。
一部改正〔昭和53年条例9号・54年28号・58年30号・平成4年14号・18年14号・22年13号・43号・28年17号・30年52号・31年10号〕

児童ポルノ要求行為は、岡山県では、非行助長行為(岡山県青少年健全育成条例19条1項)として禁止している。

児童ポルノ要求行為は、岡山県では、非行助長行為として禁止している。
 担当者に電話で聞きました。
 自撮りはわいせつ行為として「著しい非行」として扱われます。


岡山県青少年健全育成条例
制 定 昭和52年6月16日 岡山県条例第29号
最終改正 平成30年3月23日 岡山県条例第10号
第4章 青少年に対する不健全行為の禁止
(非行助長行為の禁止)
第19条
1 何人も,青少年に対し,暴行,傷害,恐喝,窃盗,違法運転,淫行,わいせつ行為若しくは有害薬品類等の不健全使用(次項において「著しい非行」という。)若しくは家出を行うよう勧誘し,あおり,そそのかし,若しくは強制し,又はこれらの行為を行わせる目的をもつて金品その他の財産上の利益又は職務を供与してはならない。

(罰則)
第35条
3 次の各号のいずれかに該当する者は,1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(1) 第19条又は第23条の規定に違反した者

7 第10条第5項,第12条第3項,第13条第1項,第14条第1項,第15条第3項,第16条第1項,第16条の4第1項,第17条第2項,第19条,第20条,第21条第1項,第22条第2項又は第23条から第24条までの規定に違反した者は,当該青少年の年令を知らないことを理由として,第1項から第5項までの規定による処罰を免れることができない。ただし,当該青少年の年令を知らないことに過失がないときは,この限りでない。
(平4条例2・平5条例31・平8条例27・平13条例72・平18条例16・一部改正)

岡山県青少年健全育成条例の解説 h18.12月
[解説]
1 本条は、財産上の利益の提供等による非行助長行為の禁止及び非行集団の結成、指導、加入勧誘等の禁止等について定めたものである。
2 第1項の規定は、青少年に著しい非行を行うよう勧誘し、あおり、そそのかし、強制し、又は青少年に著しい非行を行わせるため、財産上の利益等を供与することを禁止するものである。
「暴行」とは、刑法第208条の暴行を、「傷害」とは、刑法第204条の傷害を、「恐喝」とは、刑法第249条の恐喝を、「窃盗」 とは、刑法第235条の窃盗をいう。
「違法運転」とは、道路交通法(昭和35年法律第105号)、道路運送車両法(昭和26年
法律第185号)等の法令に違反して自動車、原動機付自転車等を運転することをいう。淫行及びわいせつ行為については、次条の解説を参照のこと。
「有害薬品類等の不健全使用」とは、条例第2条第12号に定める有害薬品類等を本来の使用目的である治療、予防、又は溶剤、接着剤、塗料、充てん料としての用途に反してみだりに摂取し、又は吸入することをいう。第16条においては、第2条第12号の有害薬品類等のうち知事が別に定めるものとして、「トルエン並びに酢酸エチル、トルエン又はメタノールを含有するシンナー(塗料の粘度を減少させるために使用される有機溶剤をいう。)、接着剤、塗料及び閉そく用又はシーリング用の充てん料」を対象としているが、本条ではこれらに限定されず、広く睡眠薬覚せい剤、麻薬、解熱剤、鎮痛剤、有機溶剤等で催眠、めいてい、興奮、幻覚、麻酔等の作用を有するものの使用はすべて該当する。(第21条、第30条において同じ。)
「家出」とは、保護者の同意を得ないで、あるいは、保護者の監督から免れる目的で、帰宅する意思がなく保護者のもとを離れている状態をいう。
「勧誘」 とは、他人に対し、自己の欲するとおりにある行為をするよう勧めることをいう。
「あおり」とは、特定の行為を実行させる目的をもって文書若しくは図書又は言動等により、人に対し、その行為を実行する決意を生ぜしめ又はすでに生じている決意を助長させるような勢いのある刺激を与えることをいう。
「そそのかし」とは、他ふもレてある行為を実行させる目的をもって、同人等にその実行の決意を新た生ぜしめるに足る懲愚行為(傍らから誘い勧めること)を行うことをいい、その慫慂行為が客観的に相手方に実行の決意を生じさせることができ、相手方が実行行為に及ぶ危険性がある限り、実際に相手方が新たに実行の決意を生じたかどうか、すでに生じている決意を助長させたかどうかは問わない。(刑法第61条の教唆と同義であるが、単にそそのかすだけで足り、そそのかした結果が現実に犯罪等の成立をみなくても該当する点が刑法と異なる。)
1 0 「強制」とは、物理的、心理的な圧迫を加えることによって実行の意思なき者に対してその
意に反して実行を求め、又は実行せしめようとすることをいう。
1 1 「金品その他の財産上の利益」とは、人の需要又は欲望を満足させるべき利益のうち金銭をもって換算しうるものをいい、通貨、有価証券、物品等の有形物に限らず、債権譲渡、債務の免除等無形物も含まれる。
「職務」とは、人が社会生活上の地位に基づいて行う役務(サービス)のことをいい、その提供にあたって報酬の有無は問わない。
「これらの行為を行わせる目的をもって金品その他の財産上の利益又は職務を提供し」とは、著しい非行又は家出を行わせ、助長し、又はそれらに利便を与えるために金銭、仕事、役務、宿舎等を提供する場合がこれに当たる。(暴力行為等処罰に関する法律(大正15年法律第60号)参照のこと)

鳥取県青少年健全育成条例の児童ポルノ要求行為禁止規定は「正当な理由がある場合」とされているだけで手段が限定されていないので、県警本部から「解説により、明記する必要がある」と指摘されている。

鳥取県青少年健全育成条例児童ポルノ要求行為禁止規定は「正当な理由がある場合」とされているだけで手段が限定されていないので、県警本部から「解説により、明記する必要がある」と指摘されている。
 大阪府民にも適用されるのに、解説書が入手できません。

鳥取県子育て・人材局子育て王国課長様
   鳥取県警察本部生活安全部少年人身安全対策課長

l 児童ポルノ等の提供の求めの禁止案について
○ 「正当な理由のある場合を除き青少年に対し、当該青少年にかかる児童ポルノ等の提供を求める行為」を処罰対象とする変更案については、異論はありません。
○解説により、「正当な理由がある場合」を明記する必要があると考えます。
○本条例改正での規制対象として想定されるSNS等を通じての「児童ポルノの要求」の場合、県外者が当県の青少年に対し犯行することも想定されますので、条例が及ぶ範囲について解説により明記する必要があると考えます。
例~本規定は、刑法の属地主義の原則により、構成要件該当事実の一部が鳥取県内で発生した場合に適用される。すなわち、要求を行う者又は要求を受ける者(青少年)のいずれかが鳥取県内に所在する場合などに適用される。
~ ※参考~昭和61年12月2日高松高裁判決
2罰則案について
○ 「6月以下の懲役又は30万円以下の罰金」と懲役刑を設ける変更案については、異論はありません。‘
O児童ポルノ規制法違反は、原則、故意犯を罰則対象にしていることから、本条例の改正部分を罰則規定の年齢知情の特則に含めることは、妥当でないと考えます。

鳥取県青少年健全育成条例
(児童ポルノ等の提供の求めの禁止)
第18条の2 何人も、正当な理由がなく、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ又は同法第7条第2項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。)の提供を求めてはならない。
(令2条例56・追加)

第6章 罰則
第26条 
5 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(4) 第18条の2の規定に違反した者

被害児童1名に対するわいせつ略取,身の代金略取,拐取者身の代金要求,逮捕監禁,強制わいせつ,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件につき、製造罪だけを併合罪としたもの(横浜地裁r03.03.17)

被害児童1名に対するわいせつ略取,身の代金略取,拐取者身の代金要求,逮捕監禁,強制わいせつ,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件につき、製造罪だけを併合罪としたもの(横浜地裁r03.03.17)

撮影もわいせつ行為ですから、「本件は,被告人が,身の代金を獲得するとともに,強いてわいせつな行為をする目的で,女子高校生である被害児童を略取し,自動車内やホテルで逮捕監禁した上,その両親に2000万円の身の代金を要求し,ホテル内で被害児童にSM行為を中心とするわいせつ行為に及び(判示第1),さらにその姿態を写真及び動画として撮影して保存した(同第2)という身の代金略取,わいせつ略取,逮捕監禁,拐取者身の代金要求,強制わいせつ,児童ポルノ製造の事案である。」とまとめるのであれば、わいせつ略取と製造罪も牽連犯になるんじゃないでしょうか。裁判例(山口地裁等)があります。


      

わいせつ略取,身の代金略取,拐取者身の代金要求,逮捕監禁,強制わいせつ,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
横浜地方裁判所判決令和3年3月17日
※ 以下,AからCまでは,それぞれ別紙の(1)記載の氏名の者を表す。
(罪となるべき事実)
 被告人は,
第1 A(当時16歳)を略取し,監禁して,その安否を憂慮する近親者からその憂慮に乗じて金銭を交付させるとともに,強いてわいせつな行為をしようと考え,
 1 令和元年6月24日午後6時頃,神奈川県藤沢市内の駐車場先歩道上(詳細は別紙の(2)記載のとおり)において,徒歩で通行中のAに対し,いきなり背後からその身体に腕を回し,「おとなしくしないと,殺すぞ。」などと言って脅迫し,同人を,上記駐車場に停車中の自動車まで引きずった上,同車の後部座席に押し込み,同車内において,その両手に後ろ手で手錠を掛け,その両足等をロープで緊縛するなどし,もって上記の目的で同人を略取した上,その頃から同日午後9時27分頃までの間,同所から同県厚木市内のホテル(詳細は別紙の(3)記載のとおり)まで,Aを前同様に緊縛するなどした状態のまま,同車を疾走させるなどして,同車内から脱出することを著しく困難にし,さらにその頃,同所において,同人を同所に駐車した同車内から同ホテル客室内に連行し,その頃から同月25日午前10時5分頃までの間,同客室内において,同人を監視下に置いて同客室内から脱出することを著しく困難にし,もって同人を不法に逮捕監禁し,
 2 その間の同月24日午後6時40分頃,同県藤沢市内の路上(詳細は別紙の(4)記載のとおり)に停車中の上記車内において,Aに,その実母であるB(当時39歳)に対し,電話で,「知らないおじさんに連れ去られた。2000万円用意してください。」などと言わせ,被告人が,Aの実父であるC(当時41歳)に対し,電話で,「デカにもサツにも言わずになあ。2000万円用意せえ。」などと言って身の代金の支払を要求し,もってAの近親者であるBらの憂慮に乗じて財物を要求する行為をし,
 3 上記1の間の同日午後9時27分頃から同月25日午前10時5分頃までの間に,上記客室内において,Aの陰部に手指を挿入するなどし,もって強いてわいせつな行為をした,
第2 Aが18歳に満たない児童であると認識しながら,同月24日午後9時27分頃から同月25日午前10時5分頃までの間に,上記客室内において,同人に,被告人がAの陰部等を手指で触る姿態及び同人の陰部等を露出させる姿態等をとらせ,これを被告人が使用するデジタルカメラで動画及び静止画として撮影し,その頃,同所において,上記動画データ1点及び上記静止画データ87点を被告人が使用するパーソナルコンピュータ内蔵の電磁的記録媒体である記録装置に記録して保存し,もって他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した。
(証拠の標目)
(事実認定の補足説明)
第1 争点
 公判審理を経た上での本件の争点は,判示第1について,被告人が略取時にAに対して「殺すぞ。」と言って脅迫したかどうかであり,これに関連して,被告人が略取後にもAに対してその生命,身体を直接脅かすような脅迫をしたかどうかも争われた。また,判示第2について,被告人が,本件児童ポルノに係る動画(以下「本件動画」という。)を故意に撮影したかどうかも争われた(ただし,弁護人は,被告人が児童ポルノに当たる動画と分かって記録媒体に保存している以上,児童ポルノ製造罪が成立すること自体は争わないとした。)。
 そこで,以下,これらの点に関する当裁判所の判断を詳述する。
・・・・・
第3 判示第2の争点について
 1 本件動画が児童ポルノに該当すること,被告人が,そのことを認識しつつ,本件動画データをそれが保存されていた判示のデジタルカメラ(以下単に「カメラ」という。)の記録媒体から判示のパソコン内蔵の記録媒体に保存したことにも争いはないが,被告人は,当公判廷において,本件動画は,意図して撮影したものではなく,カメラの誤操作によって撮影された旨述べた。この供述は,児童ポルノ製造罪の「記録媒体・・・に描写する」という要件,すなわち,児童ポルノの製造過程における故意の一部を争ったものとも解されるので,検討する。
 2 まず,本件動画の映像を見ると,胸や陰部等が露出された状態で寝ているAを,顔付近から陰部付近までゆっくり往復するように撮影されており,Aが画角から外れたり,映像が特段乱れたりはしていない。また,本件動画には,被告人の頭,手,手に持ったカメラ等の影が映り込んでおり,その影からは,被告人が,両手でカメラを持って水平方向に移動させ,途中からは,カメラ右下に付いているストラップと思しきものを,画角に入らないようにするかのように,左手でつかんで持ち,右手のみでカメラを持って動かし続けた様子が認められる。また,本件動画の撮影時間は約36秒であり,被告人が最終的にカメラを操作して撮影を止めたものと認められる。なお,カメラによる動画撮影は,静止画を撮影する際のシャッターではなく,カメラを構えた際の撮影者側の面の右上部にあるボタン(以下「動画ボタン」ともいう。)を押すと開始し,もう一度押すと終了する。同ボタンの左斜め上に小さなビデオ撮影のマークが付いている。
 3 上記のような本件動画が,仮に被告人が意図しないのに撮影されたものであるとすると,想定し得るのは,写真の構図を決めようとしてカメラを移動させている際に何らかの理由により誤って動画ボタンを押したため,動画撮影が開始されていたという経過くらいしか考えられない。しかし,そうならば,被告人が動画の撮影に気付いて撮影を止める際に,慌てて止めようとして映像が乱れるはずであるが,本件動画にはそのような映像の乱れは見受けられず,最後まで大きくぶれることなくAが画角に入り続けている。また,被告人が写真の構図を決めようとしていたならば,途中でカメラを静止させることがあってしかるべきであるが,そのような様子も見受けられないし,ストラップが画面に入って邪魔に思っても,一旦カメラを持つ手を下げて持ち直せばよいのに,被告人は,ストラップを左手でつかんで画面に入らないようにしつつ,右手のみで持ったカメラを移動させ続けている。これらの事情に照らすと,本件動画の撮影がどのような経緯で開始されたかはともかく,本件動画の相当部分は,被告人が動画を撮影していることを認識し,故意に撮影を継続したものとしか考えられない。なお,被告人は,Aの写真を多数枚撮影して保存する一方,動画は1点しか撮影,保存していないが,それには種々の理由が想定できるから,そのことが被告人が本件動画を終始意図せずに撮影したとの合理的な疑いを抱かせるとまではいえない。
 4 改めて,この点に関する被告人の供述について検討すると,被告人は,当公判廷において,カメラの動画ボタンを意図的に押したことはなく,動画が撮影されていることに気が付いたところで,撮影を止めようとしてボタンをいろいろ押した,動画は止まったが,カメラを振り回したりもしたので,映像は乱れていると思う旨供述した。被告人は,これまでカメラで動画を撮影したことは一度もないとも述べており,被告人のパソコンに保存された性的内容のファイルにも動画のものが見当たらないことも考えると,確かに,被告人が動画撮影のために意図的に動画ボタンを押したと断ずるには疑問の余地がある。しかし,一方で,被告人の上記供述内容は,既に認定した本件動画の内容と整合しておらず,その点で信用性は大きく損なわれており,上述のとおり被告人の性格傾向等による影響がうかがわれることなども踏まえると,少なくとも動画撮影を止める寸前まで撮影していることに気付かなかった旨の被告人の供述は,信用できない。
 5 以上によれば,少なくとも本件動画の相当部分は,被告人が動画が撮影されていることを認識しつつ撮影したものといえるから,被告人は,本件動画を故意に撮影したものと認めるのを妨げず,もとより児童ポルノ製造に係る上記要件を満たすことにも疑問の余地はない。
(法令の適用)
 被告人の判示第1の所為のうち,1のわいせつ略取の点は刑法225条に,同身の代金略取の点は同法225条の2第1項に,同逮捕監禁の点は包括して同法220条に,2の拐取者身の代金要求の点は同法225条の2第2項,1項に,3の強制わいせつの点は同法176条前段に,判示第2の所為は包括して児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第7条4項,2項,2条3項2号,3号にそれぞれ該当するが,判示第1のわいせつ略取と身の代金略取と逮捕監禁は1個の行為が3個の罪名に触れる場合であり,わいせつ略取と強制わいせつとの間及び身の代金略取と拐取者身の代金要求との間には,それぞれ手段結果の関係があるので,刑法54条1項前段,後段,10条により結局以上を1罪として刑及び犯情の最も重い拐取者身の代金要求罪の刑で処断し,各所定刑中判示第1の罪については有期懲役刑を,判示第2の罪については懲役刑をそれぞれ選択し,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により重い判示第1の罪の刑に同法47条ただし書の制限内で法定の加重をした刑期の範囲内で,被告人を懲役13年に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中380日をその刑に算入し,訴訟費用は,刑訴法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。

(量刑の理由)
1 本件は,被告人が,身の代金を獲得するとともに,強いてわいせつな行為をする目的で,女子高校生である被害児童を略取し,自動車内やホテルで逮捕監禁した上,その両親に2000万円の身の代金を要求し,ホテル内で被害児童にSM行為を中心とするわいせつ行為に及び(判示第1),さらにその姿態を写真及び動画として撮影して保存した(同第2)という身の代金略取,わいせつ略取,逮捕監禁,拐取者身の代金要求,強制わいせつ,児童ポルノ製造の事案である。

 令和3年3月26日
    横浜地方裁判所第3刑事部
        裁判長裁判官  景山太郎
           裁判官  渡邉史朗
           裁判官  鈴木新星

過失による児童ポルノ要求行為は処罰しない鳥取県青少年健全育成条例

過失による児童ポルノ要求行為は処罰しない鳥取県青少年健全育成条例
 過失処罰する地域と、過失処罰しない地域の条例が競合したときは、どっちを適用するのでしょうか
 要求行為を処罰する条例が30くらいになりましたので、集計してみようと思います。

鳥取県青少年健全育成条例の解説r0210
児童ポルノ等の提供の求めの禁止)
第18条の2何人も、正当な理由がなく、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ又は同法第7条第2項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。)の提供を求めてはならない。
【関係条文】
第26条略
2~4略
5次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(1)~(3) 略
(4) 第18条の2の規定に違反した者
6~9略
【要旨】
本条は、すべての者に対して、青少年に、自身の姿態が描写された児童ポルノ等の提供を求めることを禁止する規定です。
【解説】
青少年が脅されたり、だまされたりして、自分の裸体をメール等で送らされる「自画撮り被害」が全国的に拡大しており、スマートフォンの所有率の高さ、SNS等インターネット上のコミュニケーションの普及などにより、青少年がこうした要求行為にさらされる危険性がさらに高まることが懸念されるところ、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号) 」では、児童ポルノ等の要求行為自体を禁じていないことから、「自画撮り被害」の未然防止のため、児童ポルノ等の要求行為を禁止したものです。
1 「何人も」とは、第15条の解釈と同じく、県民はもとより旅行者、滞在者などの全ての自然人を指し、国籍、性別、年齢を問いません。
なお、条例の効力は、原則として当該地方公共団体の地域において属地的に生ずると解され、電話や手紙、インターネットを通じて要求行為が行われた場合、行為者が要求行為を行った場所のみならず、被害者となる青少年が要求行為を受けた場所である結果発生地も犯罪地と認められるのであり、直接的かつ現実的に本県に関わりを持った行為者にも本条は適用されます
よって、県外から県内の青少年に児童ポルノ等の提供を求める行為、県内から県外の青少年に児童ポルノ等の提供を求める行為についても規制の対象となります
【参考裁判例
: 昭和61年12月2日高松高裁判決(公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和38年香川県条例第釦号)違反事件)
2 「正当な理由がなく」とは、社会通念上正当な理由があるとは認められない場合をいいます。
この要件が置かれた意義は、処罰範囲を合理的に限定するところにあり、本条の場合、この要件があることによって、例えば、犯罪捜査、弁護活動相談・救済機関の相談業務、医療行為、学術研究等の正当な業務のために児童ポルノに該当するものの提供を求める場合などは、第18条の2の構成要件に該当しないこととなります。
3 「当該青少年に係る児童ポルノ等」とは、求める相手方である青少年自身の姿態が描写された児童ポルノ等をいいます。したがって、他の青少年の姿態が描写された児童ポルノ等を求めた場合については、本条に該当しません。自画撮り、自撮り、セルフィー等と呼ばれる自分自身を被写体としてスマートフォンデジタルカメラ等で撮影したデジタル写真画像が典型的な例ですが、画像だけでなく、動画、アナログ写真等も含みます。
なお、「児童ポルノ」とは、児童ポルノ禁止法第2条第3項で規定されているとおり、写
真、電磁的記録に係る記録媒体その他であって、第1号、第2号又は第3号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいいます。
4 「提供を求める」とは、児童ポルノ禁止法第7条第2項に規定する「提供」を行うように求めることであり、当該児童ポルノ等を相手方において利用し得るべき状態に置く法律上・事実上の一切の行為をいい、有償・無償を問いません。
具体的には、有体物としての児童ポルノを交付するよう求めたり、無体物としての電磁的記録を電子メールで送信するように求める行為がこれに当たります。
また、「求める」とは、青少年に対して、直裁的な表現で要求するのみならず、勧誘する、提供するよう暗に仕向けるなども含めた広い概念です.
なお、どのような表現が「児童ポルノ等の提供を求める」に該当するかについては、要求文書とその前後のやり取りを総合的に判断し、該当性の判断を行うこととなりますが、その要求に青少年が応じてしまった場合、児童ポルノ禁止法第2条第3項に該当する児童ポルノ等が提供されることが社会通念上明らかに認められることが必要です。
5本条に違反した者は、条例第26条第5項第4号により罰則(30万円以下の罰金)が適用されます。
6本条は、不当な手段を用いた要求行為のみを禁止しているものではなく、恋愛関係にある場合や、遊び半分であっても、児童ポルノ等のやり取りにより、インターネット上への画像等の流出やリベンジボルノに繋がるおそれがあることから、青少年に対して児童ポルノ等の提供を求める行為を、いかなる態様であっても禁止するものです。
7年齢の知情性については、本条例は、第26条第9項で、条例上の特定の罰則規定については、その行為をした者が青少年の年齢を知らなかった(その点について故意がなかった)場合でも、知らないことについて過失があれば、処罰可能とする規定を置いていますが、本規定はその対象外としています。
児童ポルノ禁止法では、第7条第2項から第8項の各罪について、児童を使用する者については、当該児童が18歳未満の者であることの認識がなくとも、認識がないことに過失があれば処罰することとしています。
また、同条第1項に規定する児童ポルノの単純所持は年齢を知らないことをもって処罰を免れない規定が適用されません。このため、本条例で規制する児童ポルノの製造や所持の前閏浩である要求行為について、行為者に、相手が青少年であることを認識できない場合にまで処罰することは過剰であるためです。

第26条
9 第17条の7第1項若しくは第2項、第18条又は第21条の2第1項の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第1項、第5項又は第6項の規定による処罰を免れることができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことに過失がないときは、この限りでない。
解説
4第9項は、いわゆる年齢知情特則です.青少年を保護するという条例の実効性をより高
めるため、平成8年の改正で新たに追加されました。
「当該青少年の年齢を知らないことに過失がないとき」とは、社会通念に照らして通常可能な調査が適切に尽くされていると言えるか否かで判断されることとなります。
「過失がないとき」とは、単に青少年に年齢、生年月日等を尋ねただけ、又は身体の外観的発達状況等から判断しただけでは足りず、学生証、運転免許証等の公信じ力のある耆面、又は当該青少年の保護者に直接問い合わせるなど、その状況に応じて通常可能とされるあらゆる方法を用いて青少年の年齢を確認している場合などがあたります。この場合、過失がないことの証明は、違反者自身が行うことが必要です。

前最高裁判所調査官村田一広「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成26年法律第79号による改正前のもの) 2条3項にいう「児童ポルノ」の意義 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成26年法律第79号による改正前のもの) 7条5項の児童ポルノ製造罪の成立と児童ポルノに描写されている人物がその製造時点において18歳未満であることの要否」ジュリスト1563号

最高裁判所調査官村田一広「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成26年法律第79号による改正前のもの) 2条3項にいう「児童ポルノ」の意義 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成26年法律第79号による改正前のもの) 7条5項の児童ポルノ製造罪の成立と児童ポルノに描写されている人物がその製造時点において18歳未満であることの要否」ジュリスト1563号

 併合罪の主張をして軽くなった。
 主文で「無罪」というのを欲しかった。

被告人は控訴し, 法令適用の誤り,事実誤認,量刑不当を主張したところ, 原判決(東京高判平成29.1.24判時2363号110頁)は,本件18点の提供罪と本件16点の提供罪とは併合罪の関係に立つとみるべきであり,第1審判決の罪数に関する判断には法令適用の誤りがあるとして, 第1審判決を破棄し,被告人を罰金30万円(労役場留置1日換算5000円)に処した上,本件18点に係る児童ポルノの提供について無罪を言い渡した

 実務的には被害者不詳の場合、タナー2度くらいまでしか立件できなくなりました。

Ⅳ、本決定について
1 本決定は,児童ポルノ法2条3項にいう「児童ポルノ」の意義について, 判旨Iのとおり,写真,電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって, 同項各号のいずれかに掲げる実在する児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいい,実在しない児童の姿態を描写したものは含まない旨を判示した。
本件の事案は,被告人が本件各写真を素材として画像編集ソフトを使用して本件各CGを作成するなどした点に特徴があるところ,最高裁第一小法廷は,本件事案及び上告趣意に鑑みて, 児童ポルノの意義を確認した上で,本件各CGが児童の姿態を描写したものであるとの原審の認定判断を是認したものと解される。
2本決定は, 判旨Ⅱのとおり, 児童ポルノ法7条5項の児童ポルノ製造罪が成立するためには, 同条4項に掲げる行為の目的で, 同法2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した物を製造すれば足り, 当該物に描写されている人物がその製造時点において18歳未満であることを要しない旨を判示した。
本決定は,児童ポルノ製造罪における保護法益について明示的に説示してはいないが,児童ポルノに描写されている人物が児童ポルノの製造時点で18歳以上になったからといって,児童ポルノ製造罪における保護法益の侵害が否定されるわけではないとの理解を前提としていることは明らかである。
児童ポルノは実在する被写体児童の性的姿態を記録化したものであり,児童の性的姿態を記録化すること自体が性的搾取として,その個人的法益を侵害するものであるところ,児童ポルノを複製・加工したり,第三者に提供したりする行為は, そのような性的姿態の記録を更に拡散する行為であって, その個人的法益を侵害することに変わりはないものと考えられる。
児童は,時間の経過にかかわらず, 自己の性的姿態(児童ポルノ) を拡散されることのない法的利益を有しており, そのような法的利益は, 当該児童が18歳以上となったことによって消滅する性質のものではないものと考えられる。
山口厚裁判官の補足意見は, このような観点から法廷意見を補足して説明したものと解される。
被告人の上告趣旨は,児童ポルノ製造罪の保護法益につき,個人的法益(被写体児童)説を前提として,本件各CGに描写された「児童」が本件行為の時点で成人したならば「児童の権利」の侵害はない旨をいうものであるが,仮に個人的法益(被写体児童)説を前提としても,本件行為は本件各CGに描写された人物の個人的権利を侵害するものであったと解される。
ただし,本決定は,児童ポルノ製造罪の保護法益について,最高裁としての見解を明確にしたわけでないことには留意する必要がある(なお,山口裁判官の補足意見によれば,社会的法益説を前提としていないことは明らかであるように思われる)。
3本件は, CGを作成するなどした行為が児童ポルノ製造罪に当たるか否かが問題となった初めての事案であり,本決定は,児童ポルノ製造罪に関する法令解釈を示したものとして実務上重要な意義を有するものと解される

京都府の「服の上からでもしつこく胸や下半身を撮影する行為も禁止する改正条例」

 そういう条項が加わったのではなく、「卑わい行為」という漠然とした行為を条例3条1項に9号が加えられただけです

(9) 前各号に掲げるもののほか、卑わいな言動(次項から第4項までに規定する行為を除く。)をすること

https://www.pref.kyoto.jp/fukei/anzen/seitai/meibou/kaiseinitsuite.html
 卑わいな行為(第3条関係)について
(1)「卑わいな言動」を包括的に規制
公共の場所にいる人、公共の乗物に乗っている人に対する「身体を触る行為」、「性的な感触を与えようとする行為」など8類型の卑わいな行為を規制していますが、これらに該当しないものの、同じくらいに卑わいな行為を新たに「卑わいな言動」として包括的に規制しました。

京都府迷惑行為等防止条例 (令和2年1月18日施行)
(卑わいな行為の禁止)
第3条 
1何人も、公共の場所又は公共の乗物にいる他人に対し、他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 他人の身体の一部に触ること(着衣その他の身に着ける物(以下「着衣等」という。)の上から触ることを含む。)。
(2) 物を用いて他人の身体に性的な感触を与えようとすること。
(3) その意に反して人の性的好奇心をそそる姿態をとらせること。
(4) 着衣等で覆われている他人の下着又は身体の一部(以下「下着等」という。)をのぞき見すること。
(5) 前号に掲げる行為をしようとして他人の着衣等の中をのぞき込み、又は着衣等の中が見える位置に鏡等を差し出し、置く等をすること。
(6) 着衣等を透かして見ることができる機器を使用して、着衣等で覆われている他人の下着等の映像を見ること。
(7) 異性の下着を着用した姿等の性的な感情を刺激する姿態又は性的な行為を見せること。
(8) 人の性的好奇心をそそる行為を要求する言葉その他の性的な感情を刺激する言葉を発すること。
(9) 前各号に掲げるもののほか、卑わいな言動(次項から第4項までに規定する行為を除く。)をすること。

2 何人も、公共の場所、公共の乗物、事務所、教室、タクシーその他不特定又は多数の者が出入りし、又は利用する場所又は乗物にいる他人に対し、前項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 通常着衣等で覆われている他人の下着等を撮影すること。
(2) 前号に掲げる行為をしようとして他人の着衣等の中をのぞき込み、又は撮影する機能を有する機器(以下「撮影機器」という。)を通常着衣等で覆われている他人の下着等に向けること。
(3) 前項第6号に規定する機器を使用して、通常着衣等で覆われている他人の下着等の映像を撮影すること。
3 何人も、住居、宿泊の用に供する施設の客室、更衣室、便所、浴場その他人が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる他人に対し、第1項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 当該状態にある他人の姿態を撮影すること。
(2) 前号に掲げる行為をしようとして、他人の姿態に撮影機器を向けること。
4 何人も、第1項に規定する方法で第2項に規定する場所若しくは乗物にいる他人の着衣等で覆われている下着等又は前項に規定する場所にいる着衣の全部若しくは一部を着けない状態にある他人の姿態を撮影しようとして、みだりに撮影機器を設置してはならない。
(平22条例12・平26条例27・令元条例68・一部改正)

https://news.yahoo.co.jp/articles/80eb053e33eb252d8726a1c87874e820bfb3becc
女子選手しつこく撮影疑い、京都 条例適用、男性書類送検
9/16(木) 17:57配信
共同通信
 京都府警は16日、陸上の大会に参加していた女子高校生の尻などをしつこく撮影したとして府迷惑行為等防止条例違反の疑いで、京都市右京区の男性会社員(47)を書類送検した。府警によると、容疑を認め「4年ほど前から近畿や北陸の陸上大会に行き、女性のお尻を繰り返し撮影していた」と説明している。

 下着などの盗撮はこれまでも条例で禁止されていたが、府は昨年1月、服の上からでもしつこく胸や下半身を撮影する行為も禁止する改正条例を施行し、今回はこれが適用された。



現行条例の解説は取り寄せ中。
従前の解説書では、強制わいせつ罪との対比で説明されていたが、大法廷h29.11.29で定義は失われたのでどう説明しているのか

旧)京都府迷惑行為防止条例逐条解説平成27年8月3日
(2)用語の解釈
ア「卑わいな行為」とは、いやらしく、みだらな行いであり、普通人の性的差恥心を害し、嫌悪感を催させ、また不安を覚えさせるに足りる言語又は動作をいう。わいせつ罪における「わいせつ」に至らない行為であるが、性的道義観念に反して、他人に性的差恥心や、不安又は嫌悪を覚えさせるものをいう。
イ「行為」とは、人間の意思に基づく作為又は不作為をいう。無意識の反射動作や抵抗不能の強制の下になされた動作は、行為に当たらない。

3本条と類似する主な既存の法令との関係
(1)刑法との関係
ア「強制わいせつ罪」との関係
「強制わいせつ罪」.は、「13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫によりわいせつな行為を行い、又は13歳に満たない男女に対し、わいせつな行為を行った場合」に成立する。強制わいせつ罪にいう「暴行又は脅迫」とは、相手方の自由意思を抑圧し、反抗を著しく困難にする程度のものをいい、「わいせつな行為」とは、性交を除くその他一切のわいせつな行為をいう。暴行又は脅迫を要件とする点で本条の禁止行為と異なる。
本条違反の行為が、「強制わいせつ罪」に当たる場合は、法条競合(吸収関係)になると考えられる。

現行条例の解説です
事例が黒塗りでマスクされていて
「服の上からでもしつこく胸や下半身を撮影する行為も禁止する改正条例」
などという部分が公表されていません。

京都府迷惑行為防止条例逐条解説ほか(2020年4月)
第9号
卑わいな言動をする行為

(1)条文図解
前各号に掲げるもののほかH卑わいな言動をすること
(次項から第4項までに規定する行為を除く。)
(2)解説
第9号は、前各号で規定する8類型の卑わいな行為に該当しない新たな卑わいな行為を包括規制するため、今回の改正で新設されたものである。
例えば、
卑わいな画像や性具等を執ように見せつける行為、
卑わいな音声を執ように聞かせる行為、
着衣の上から性的な部位を執ように撮影する行為
などが本号に該当する。
ただし、無制限に本号を適用するのではなく、行われた行為が
  社会通念上容認できない程の卑わい行為であるか
  本項に規定する要件を充足しているか
  各号に掲げる行為と同程度の可罰的違法性を有しているか
を慎重に判断する必要がある。
(3)用語の解釈
「卑わいな言動」とは、前各号に掲げる行為及び次項から第4項までに規定する行為以外で、社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作をいう。
普通人の性的差恥心を著しく害し、不安や嫌悪を覚えさせるに足りるもので、みだりに行われた「わいせつ」に至らない程度の卑わいな言動が規制対象となる。
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【卑わいな言動の具体的事例】
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※上記のような事例であっても、9号違反の立件にあたっては、それらの行為が「他人を著しくしゅう恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪をおぼえさせるような方法」で行われたものである必要があることに留意する。

 この判例に照らしてどうか

判例番号】 L06310093
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反被告事件
【事件番号】 最高裁判所第3小法廷決定
【判決日付】 平成20年11月10日
【掲載誌】  最高裁判所刑事判例集62巻10号2853頁
       裁判所時報1471号372頁
       判例タイムズ1302号110頁
       判例時報2050号158頁
       LLI/DB 判例秘書登載
【評釈論文】 ジュリスト1433号114頁
       法曹時報63巻10号2545頁
 弁護人古田渉の上告趣意のうち,憲法31条,39条違反をいう点については,公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和40年北海道条例第34号)2条の2第1項4号の「卑わいな言動」とは,社会通念上,性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作をいうと解され,同条1項柱書きの「公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し,正当な理由がないのに,著しくしゅう恥させ,又は不安を覚えさせるような」と相まって,日常用語としてこれを合理的に解釈することが可能であり,所論のように不明確であるということはできないから,前提を欠き,その余は,単なる法令違反,事実誤認の主張であり,被告人本人の上告趣意は,単なる法令違反,事実誤認の主張であって,いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 所論にかんがみ,職権で検討するに,原判決の認定及び記録によれば,本件の事実関係は,次のとおりである。
 すなわち,被告人は,正当な理由がないのに,平成18年7月21日午後7時ころ,旭川市内のショッピングセンター1階の出入口付近から女性靴売場にかけて,女性客(当時27歳)に対し,その後を少なくとも約5分間,40m余りにわたって付けねらい,背後の約1ないし3mの距離から,右手に所持したデジタルカメラ機能付きの携帯電話を自己の腰部付近まで下げて,細身のズボンを着用した同女の臀部を同カメラでねらい,約11回これを撮影した。
 以上のような事実関係によれば,被告人の本件撮影行為は,被害者がこれに気付いておらず,また,被害者の着用したズボンの上からされたものであったとしても,社会通念上,性的道義観念に反する下品でみだらな動作であることは明らかであり,これを知ったときに被害者を著しくしゅう恥させ,被害者に不安を覚えさせるものといえるから,上記条例10条1項,2条の2第1項4号に当たるというべきである。これと同旨の原判断は相当である。

性交等の対償ではないという主張~女子中学生と知っていたが」児童買春容疑の社会人1年生が主張する”ヘンな言い訳”

 児童買春罪の要件としては、児童と知りつつ児童と対償供与約束・対償供与することが要件になっていて、児童買春罪は重いので、これを否認して青少年条例違反に落ちる事はよくあります。変な言い訳ではありません。児童福祉法違反(淫行させる行為・児童淫行罪)になることはありません。
 児童買春罪・製造罪の被疑事実について、全部撮影の対価であって性行為の対価ではないと説明して、青少年条例違反+製造罪になることもあります。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(H26改正後)
第二条(定義)
1 この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。
2この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
一 児童

森山・野田「よくわかる改正児童買春ポルノ法」
(3) 「対償」 とは、児童が性交等をすることに対する反対給付としての経済的利益をいいます。現金のみならず、物品、債務の免除も、「対償」 となります。金額の多寡は問いいません。

・・・・・・・・・
Q21 児童に食事をごちそうしたり、プレゼントを渡した後、その児童と性交等をした場合、児童買春となるのですか。
また、児童やその親の原則を約束して、児輩と性交等をした場合、児童買春となるのですか。
A 食事やプレゼントあるいは児宜やその親の雇用め約束が「対償」といえるなら、児童買春になりえます。
まず、児童買春とは、児童等に対償を供与し、又は供与の約束をして児童と性交等をすることをいうこととなっています。この「対償」とは、児童に対して性交等をすることに対する反対給付としての経済的利益をいいます。
児童買春における「対償」に当たるかどうかは、性交等をすることに対する反対給付といえるかという点と、供与与.されたものが社会通念
上経i済斉的利益といえるかという点の2点を充たすかどうかによって判断されます。
質問のような例が児童買春に当たるかどうかについては、食事をごちそうされたこと、プレゼントを渡されたこと、あるいは児童又は親の雇用の約束があったことによって児童が性交等をすることを決定したか否か、食事やプレゼントが経済的に見てどれぐらいの価値があるか、あるいは雇用の約束が経済的な利益かどうかなどを総合的に勘案して、対償であると認められる場合に限り児童買春に当たると考えられます。

https://www.fnn.jp/articles/-/240581
女子中学生と知っていたが」児童買春容疑の社会人1年生が主張する”ヘンな言い訳”
9/17(金) 18:31配信
容疑者は、今春、勤め先に入社したての、いわゆる“社会人1年生”だ。そんなルーキーは今年8月、松戸市内のホテルで、15歳の女子中学生に現金およそ1万円を渡した上で、淫らな行為に及んだという。
容疑者は今月16日、児童買春容疑で、警視庁南千住警察署に逮捕された。「自分の欲望に負けてやってしまいました」と反省の弁を口にしつつも、「現金は性行為の代償ではい」と逮捕容疑は“否認”しているという。

そもそも2人は、以前からSNSのダイレクトメッセージを使ってやりとりをしていた。その中で、少女は自らを“15歳の女子中学生”だと打ち明けていた。それにもかかわらず容疑者は少女と淫らな行為に及んだとされる。

容疑者も「SNSのやり取りで、少女が15歳ということを知っていた」「犯罪になることはテレビなどを見て分かっていた」「自分の欲望に負けてやってしまいました」などと、相手が未成年だと知った上での”性行為”であることを認めている。

その一方で、容疑者は「現金は性行為の代償ではない」と主張しているのだ。要は”小遣い”などの目的で金を渡しただけで、性行為の”見返り”として渡した訳ではない。”現金1万円”と性行為は関係ないということだ。

それが事実であれば、容疑者の行為は、「児童買春容疑」ではなく、「淫行条例違反」「児童福祉法違反」に該当する可能性がある。いずれにしろ、記者にとっては、若干、”ヘンな言い訳”に映るのだが・・・。警視庁は余罪がないか慎重に捜査を進めるとしている
(フジテレビ社会部・警視庁担当 福井慶仁

栗原一紘「ひそかに児童買春児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児菫の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる児菫の姿態を電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が、当該電磁的記録を別の記録媒体に記録させて児童ポルノを製造する行為につき、同法7条5項の児童ポルノ製造罪が成立するか(積極) (最高裁令和元年11月12日決定・刑集73巻5号125頁、判例時報2441号61頁、判例タイムズ1471号18頁、ジュリスト1549号97頁等)警察学論集94巻09号

栗原一紘「ひそかに児童買春児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児菫の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる児菫の姿態を電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が、当該電磁的記録を別の記録媒体に記録させて児童ポルノを製造する行為につき、同法7条5項の児童ポルノ製造罪が成立するか(積極) (最高裁令和元年11月12日決定・刑集73巻5号125頁、判例時報2441号61頁、判例タイムズ1471号18頁、ジュリスト1549号97頁等)警察学論集94巻09号
 ひそかに製造罪は、ハメ撮り行為に適用してしまってる例が多く、よく理解されていません。
 複製を製造罪に取り込んで最終複製物を没収したいのに、改正でも手当てできなかったところなので、上告しておきました。
 1審の検察官・裁判官がお粗末でしたね。

なお、一審において、検察官は、前記①の電磁的記録については児童ポルノ法違反のみが成立すると主張していたが、判決は、前記①の電磁的記録について、児童ポルノ法違反に加えてわいせつ電磁的記録有償頒布目的保管罪の成立も認めた。
(2) これに対し、被告人が控訴し、理由不備訴訟手続の法令違反、法令適用の誤り、事実誤認、量刑不当の主張を行った。
控訴審名古屋高裁
○職権判断として、一審判決は、事実②について、検察官がわいせつ電磁的記録有償頒布目的保管罪で処罰を求めず、児童ポルノ法違反のみで処罰を求めた前記⑪の電磁的記録2点につき、前者の罪も成立するとしており、審判の請求を受けない事件について判決をしたから、刑事訴訟法378条3号後段に規定される破棄事由があり、破棄を免れないとし、新たに前記②のとおりの事実を認定した上で(なお、事実②について、検察官は「保管罪」で起訴し、一審判決も「保管罪」の成立を認めていたが、控訴審は「所持罪」の成立を認めた)

陰部画像を撮影送信させるための脅迫行為を強要未遂とした事例(山形地裁R03.5.12)

 強制わいせつ罪説からは、強制わいせつ未遂になる筈ですよね。未遂だとわいせつ行為が認定しにくいんですよね。

山形地方裁判所令和03年05月12日
わいせつ誘拐(変更後の罪名わいせつ略取誘拐)、強制性交等未遂、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、強要未遂被告事件
第2 ●●●(当時13歳。以下「B」という。)が18歳に満たない児童であることを知りながら、同年8月5日午後零時2分頃から同日午後零時33分頃までの間、●●●のB方において、Bにその陰部、肛門及び乳房を露出させた姿態をとらせ、これをBが使用する携帯電話機で静止画像として撮影させた上、その頃、同画像データ4点を同携帯電話機からアプリケーションソフト「D」を使用して被告人が使用する携帯電話機に送信させ、その頃、宮城県内において、同画像データ4点を同携帯電話機で受信して同携帯電話機の内蔵記録装置に記録させて保存し、もって衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した。

第3 第2記載の画像データ等を所持していることを利用して、Bに新たに陰部等が撮影された画像データを自己の携帯電話機に送信させようと考え、同日午後零時34分頃から同月14日午後3時3分頃までの間、宮城県内又はその周辺において、Bに対し、自己の携帯電話機から前記「D」を使用して、Bが利用する携帯電話機に「まんこもっと見たいです」、「のせてい?」、「いんたーねっつ」、「えーじゃもうのせちゃうね?」、「顔つきならいいよ」、「反応ないなら載せるね」、「番号付きで載せるね」、「広めるね」などのメッセージを送信して新たな画像データの送付を要求し、その頃、Bにこれらを閲覧させ、その要求に応じなければ被告人が所持する前記第2記載の画像データ等をインターネット上に拡散するなどしてBの名誉に対し害を加えかねない旨告知してBを脅迫し、Bに義務のないことを行わせようとしたが、Bがその要求に応じなかったため、その目的を遂げなかった。


(法令の適用)
1 構成要件及び法定刑を示す規定
  被告人の第1の行為のうち、わいせつ略取誘拐の点は刑法225条に、強制性交等未遂の点は刑法180条、177条前段に、第2の行為は児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2項、2条3項3号に、第3の行為は刑法223条3項、1項にそれぞれ該当する。
2 科刑上の一罪の処理
  第1のわいせつ略取誘拐と強制性交等未遂との間には手段結果の関係があるので、刑法54条1項後段、10条により1罪として重い強制性交等未遂罪の刑で処断する。
3 刑種の選択
  第2の罪について懲役刑を選択する。
4 法律上の減軽
  第1の罪は未遂であるから刑法43条本文、68条3号を適用して法律上の減軽をする。
5 併合罪の処理
  刑法45条前段の併合罪であるから、刑法47条本文、10条により最も重い第1の罪の刑に法定の加重をする。
6 宣告刑の決定
  以上の刑期の範囲内で被告人を懲役3年に処する。
7 刑の執行猶予
  情状により刑法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。
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