児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

司法面接による児童の供述の信用性が否定された事例(高松地裁h31.4.17監護者わいせつ)

司法面接による児童の供述の信用性が否定された事例(高松地裁h31.4.17監護者わいせつ)
 この記事で判決を特定して、刑事確定訴訟記録法で閲覧しました。
 まず司法面接1回やって、被疑者供述とすりあわせるためにもう1回司法面接した事案でした。

男性無罪 被害者供述「信用性低い」 地裁 /香川県
2020.07.16 朝日新聞
 高松市で2018年、13歳だった養女の体に触ったとして、監護者わいせつの罪で起訴された同市の男性(43)に対し、高松地裁(湯川亮裁判官)が無罪判決を出し、確定していたことがわかった。高松地検が6月までに事件記録を開示した。

 判決は19年4月17日付。事件記録によると、男性は18年8月、市内の自宅で、養女の胸を2度にわたって触ったなどとして逮捕、起訴された。

 捜査当局の調べに、養女は「(男性が)上に乗って触られた」と供述。男性は触ったことを自白する一方、上には乗らず、座った状態だったと話した。

 だが、公判になると、男性は「触っていない」と起訴内容を全面的に否認。男性の自白と、養女の供述の信用性が争点になった。

○県青少年○○条例違反(深夜外出等の制限)事件捜査要領

 古本で買いました。
 

○県青少年○○条例違反(深夜外出等の制限)事件捜査要領

2 検挙基準
構成要件を満たす事犯のうち、
○違反の時間帯が、午後11時から翌日の午前4時までの間であって、下記に掲げる
○悪質な行為者が、悪質な違反行為を行った場合
○悪質な行為者が、違反行為(前記1.(4)の違反行為)を行った場合
○行為者(前記1 . (1)の何人も)が、悪質な違反行為を行った場合を検挙の対象とする。
(1) 悪質な行為者
(1) ○暴力団、チーム、暴走族等の犯罪組織あるいは非行集団に加入し、又は関係する者
○警察官の注意、指導、警告等に従わない者
○常習者
○再犯のおそれが認められる者
○否認又は虚偽の申し立てをしている者
○非行歴、補導歴が多数あり、保護者、学校等の指導に限界がある者
(2)悪質な違反行為
○ 目的が犯罪の加害又は被害の準備行為
・青少年が犯罪を犯し、若しくはそのおそれがあることを知っての行為
・青少年に対して犯罪が行われることを知っての行為
・青少年に対して犯罪を行うための行為
○ 目的が不健全な行為
・カラオケ店、居酒屋、風俗店、-ゲームセンター等の遊興、飲食
・飲酒、喫煙、薬物使用
・暴走族、非行集団等の集会への参加
○保護者の制止を無視した行為
○いわゆるナンパ行為
○出会い系サイトを利用した行為
○青少年が帰宅意思があったり、困っていたり、嫌がっている行為

数回の(私事性的画像記録公然陳列罪・わいせつ電磁的記録記録媒体公然陳列罪)は併合罪(神戸地裁R2.03.09)

「犯情の最も重い第1別表1番号1の罪の刑に法定の加重」とされていることから、各わいせつ電磁的記録記録媒体公然陳列罪が併合罪になっています。
 わいせつ図画の包括一罪性というのは、児童ポルノ罪の併合罪で切れると主張したことがあって、切れなかったんですが(最決平成21年7月7日https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=37814 )、リベンジポルノ罪だと切れるようです
 

私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律違反、わいせつ電磁的記録記録媒体陳列被告事件神戸地裁R2.03.09
 (犯罪事実)
 被告人は,
 第1  別表1記載のとおり,平成29年9月3日頃から平成30年12月16日頃までの間,6回にわたり,大阪府藤井寺市〈以下省略〉所在の被告人方において,パーソナルコンピュータを使用し,インターネットを介して,A(当時23ないし25歳)の顔貌及び同人が被告人と性交する場面が露骨に撮影された動画データを,「a,Inc.」が管理するサーバコンピュータにそれぞれ送信して記録,保存させ,不特定多数のインターネット利用者が同動画の閲覧が可能な状態を設定し,
 第2  平成30年7月16日頃,前記第1の被告人方において,パーソナルコンピュータを使用し,インターネットを介して,B(当時18歳)の顔貌及び同人が被告人と性交する場面が露骨に撮影された動画データを,「a,Inc.」が管理するサーバコンピュータに送信して,記録,保存させ,不特定多数のインターネット利用者が同動画の閲覧が可能な状態を設定し,
 第3  平成30年8月5日頃,前記第1の被告人方において,パーソナルコンピュータを使用し,インターネットを介して,B(当時18歳)の顔貌及び同人が被告人と性交する場面が露骨に撮影された動画データを,前記「a,Inc.」が管理するサーバコンピュータに送信して記録,保存させ,不特定多数のインターネット利用者が同動画の閲覧が可能な状態を設定し,
 第4  別表2記載のとおり,平成30年12月31日頃から平成31年4月12日頃までの間,4回にわたり,前記第1の被告人方において,パーソナルコンピュータを使用し,インターネットを介して,C(当時32歳)の顔貌及び同人が被告人と性交する場面が露骨に撮影された動画データを,「a,Inc.」が管理するサーバコンピュータにそれぞれ送信して記録,保存させ,不特定多数のインターネット利用者が同動画の閲覧が可能な状態を設定し,
 第5  平成31年4月7日頃,前記第1の被告人方において,パーソナルコンピュータを使用し,インターネットを介して,D(当時21歳)の顔貌及び同人が被告人と性交する場面が露骨に撮影された動画データを,前記「a,Inc.」が管理するサーバコンピュータに送信して記録,保存させ,不特定多数のインターネット利用者が同動画の閲覧が可能な状態を設定し,
 第6  平成31年4月7日頃,前記第1の被告人方において,パーソナルコンピュータを使用し,インターネットを介してE(当時23歳)の顔貌及び同人が被告人と性交する場面が露骨に撮影された動画データを,前記「a,Inc.」が管理するサーバコンピュータに送信して記録,保存させ,不特定多数のインターネット利用者が同動画の閲覧が可能な状態を設定し,
 第7  平成31年4月12日頃,前記第1の被告人方において,パーソナルコンピュータを使用し,インターネットを介して,F(当時23歳)の顔貌及び同人が被告人と性交する場面が露骨に撮影された動画データを,前記「a,Inc.」が管理するサーバコンピュータに送信して記録,保存させ,不特定多数のインターネット利用者が同動画の閲覧が可能な状態を設定し,
 第8  令和元年5月4日頃,前記第1の被告人方において,パーソナルコンピュータを使用し,インターネットを介して,G(当時21歳)の顔貌及び同人が被告人と性交する場面が露骨に撮影された動画データを,前記「a,Inc.」が管理するサーバコンピュータに送信して,記録,保存させ,不特定多数のインターネット利用者が同動画の閲覧が可能な状態を設定し,
 第9  令和元年5月12日頃,大阪市〈以下省略〉所在の当時の被告人方において,パーソナルコンピュータを使用し,インターネットを介して,H(当時24歳)の顔貌及び同人が被告人と性交する場面が露骨に撮影された動画データを,「a,Inc.」が管理するサーバコンピュータに送信して記録,保存させ,不特定多数のインターネット利用者が同動画の閲覧が可能な状態を設定し,
 もって第三者が撮影対象者を特定することができる方法で,性交又は性交類似行為に係る人の姿態である私事性的画像記録物を公然と陳列するとともに,わいせつな電磁的記録に係る記録媒体を公然と陳列した。
 (法令の適用)
 罰条 各行為(第1及び第4は各別表の番号ごと)中,私事性的画像記録物を公然と陳列した点はいずれも私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律3条2項,1項,2条1項1号,わいせつな電磁的記録に係る記録媒体を公然と陳列した点はいずれも刑法175条1項前段
 科刑上一罪の処理 いずれも刑法54条1項前段,10条(それぞれ1罪として重い私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律違反の懲役刑及びわいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪の罰金刑で処断)
 刑種の選択 いずれも懲役刑及び罰金刑
 併合罪の処理 刑法45条前段
 懲役刑について 刑法47条本文,10条(犯情の最も重い第1別表1番号1の罪の刑に法定の加重)
 罰金刑について 刑法48条2項(罰金の多額を合計)
 労役場留置 刑法18条(1万円を1日に換算)
 刑の執行猶予 刑法25条1項
 (量刑の理由)
 本件は,判示のとおりの私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律違反,わいせつ電磁的記録記録媒体陳列の事案である。被告人は,専ら利欲目的から,被害者の人格を何ら顧みることなく,その名誉や私生活の平穏を著しく侵害する本件各犯行に及んだものである。被害者数は8名,訴因の数は17にも及んでおり,本件は常習性が明らかに認められる職業的犯行というべきである。被害者らは,本件各犯行によって多大な精神的苦痛を被るとともに,性交場面の動画がインターネット上に拡散したことで,現在もなお不安な日々を送っているのであって,生じた結果は重大である。これらによれば,被告人の刑事責任を到底軽視することはできず,その責任を服役によって果たさせることも十分に考えられる。
 しかしながら他方で,8名の被害者のうち,7名との間で示談が成立していること,罪を素直に認め,反省の態度を示していること,母親が情状証人として出廷し,監督を誓約していること等の事情も認められる。これらの被告人にとって酌むべき事情をも考えると,自由刑の前科がない被告人に対しては,なお懲役刑の執行を猶予することも許されるというべきである。
 そこで,主文のとおりの刑を量定した上で,懲役刑の執行を法定の最長期間である5年間猶予し,今回に限り,社会内で反省と更生の日々を送らせる機会を与えることとした。
 (求刑・懲役3年及び罰金100万円)
 (検察官橋本純一 私選弁護人田中今日太[主任] 各出席)
 神戸地方裁判所第2刑事部
 (裁判官 安達拓)

「児童買春は児童が18歳未満であることを知らなかったとしても、刑事処罰を免れることはできません。ただ、知らなかったことについて過失がない場合はこの限りではありません。」という弁護士ドットコムの誤答

「児童買春は児童が18歳未満であることを知らなかったとしても、刑事処罰を免れることはできません。ただ、知らなかったことについて過失がない場合はこの限りではありません。」という弁護士ドットコムの誤答
 とにかく早く、相談者が期待する方向の回答をしないと、高い評価が得られないので調べないで誤回答するんでしょうね。
 過失処罰条項に児童買春罪(4条)は含まれませんし、一見の客は「使用する者」には当たりません。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(H26改正後)
第九条(児童の年齢の知情)
 児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、第五条、第六条、第七条第二項から第八項まで及び前条の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失がないときは、この限りでない。

 一般論としては、児童でなかった・児童とは知らなかったという資料を集めて、弁解を固めておくことでしょうね。逮捕が怖い場合には警察に相談(自首ではない)しておくこともあります。

 児童であった場合には否認のまま逮捕されることがあって、その結果は次の裁判例で明らかです。

「自称18歳」の児童(16)との買春行為について児童買春罪を認めたもの(山形地裁H29.8.17)

「自称21歳」の児童(16)との買春行為について未必の故意で児童買春罪を認めたもの(沖縄簡裁H30.4.19)

「自称21歳」の児童(16)との買春行為について青少年条例違反(過失)は適用せず、児童買春罪について無罪としたもの(福岡高裁那覇支部H30.11.14)

「年齢自称ない」の児童(14)との買春行為について、青少年条例違反(過失)で有罪としたもの(那覇地裁H27.1.7)

自称20歳との買春行為 2020/8/18 15:18

日下貴弘弁護士 2020/8/18 15:32
 児童買春は児童が18歳未満であることを知らなかったとしても、刑事処罰を免れることはできません。ただ、知らなかったことについて過失がない場合はこの限りではありません。

 ご相談者さまのお話しを伺うと、相手方が20歳と言っていただけでなく、4つほど大きなタトゥーが入っていたことや、飲み会が遅くまであったと話していたということですので、本当に20歳なのであろうと判断したことに過失はないであろうと思います。
 警察の取り調べがある可能性は極めて低いと思いますが、仮にあったとしても、以上のような事実を話して18歳未満とは思わなかったとご主張になるといいでしょう。
 また、そもそも本件で、相手方が18歳未満かどうかも不明ですので、現段階で過度にご心配されることはないと思います。

日下貴弘弁護士2020/8/18 16:23
ご相談者さまのおっしゃる通り、犯罪成立の要件としては、相手方が18歳未満であったということの認識が必要です。
 ご質問の、18歳未満と認識していたかどうかわからないようなケースの場合は、微妙な判断ですが、18歳未満かもしれないと思っていたとすれば未必の故意として認識ありととられる可能性はあります。
 本件では、ご相談者さまは当初、20歳だと思っていたとのことですから、認識はないと考えてよいかと思います。

シャワーを浴びるように仕向けて撮影する行為は、ひそかに製造罪ではなく姿態をとらせて製造罪である(札幌地裁r02.5.22)

 予めカメラを仕掛けておいて、児童にシャワーを浴びるように仕向けて撮影する行為は、ひそかに製造罪ではなく姿態をとらせて製造罪である(札幌地裁r02.5.22)
 盗撮なんだけど、ひそかに製造罪ではない。

第七条(児童ポルノ所持、提供等)
3前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
4前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
5前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。

令和02年05月22日
札幌地方裁判所
理由
(罪となるべき事実)
 被告人は、●●●(以下「本件施設」という。)の●●●管理責任者をしていたところ、
第1 令和元年6月20日午後5時20分頃から同日午後6時頃までの間に、本件施設において、その利用者である●●●(当時16歳、以下「A」という。)が18歳に満たない児童であることを知りながら、Aに対してシャワーを浴びるよう申し向け、本件施設事務所南側敷地内に所在する仮設シャワー室に向けて設置した動画撮影機能付きカメラを用いて、Aにその衣服を脱がせ、乳房及び陰部等を露出させ、その姿態を撮影し、その動画データを同カメラに装着した電磁的記録媒体に記録して保存した上、同日午後9時9分頃、本件施設事務所において、パーソナルコンピュータを使用して同動画データを編集して作成した動画データをSDHCカードに記録して保存し、もって衣服等の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写することにより、児童ポルノを製造し、
第2 
(争点に対する判断)
第1 児童ポルノ製造(判示第1)の事実について
 1 弁護人は、被告人の供述に依拠し、Aが撮影された動画データを保存して児童ポルノを製造したことは争わないが、Aを撮影したことについてはその故意がないとして、事実の一部を争っている。
 2 関係各証拠によれば、本件撮影に係る経過として、以下の事実が争い無く認められる。
  (1) 被告人は、本件日時以前に、本件施設事務所南側所在の仮設シャワー室(以下、「シャワー室」という。)前におかれた棚に、シャワー室内に向けて、動画撮影機能付きのビデオカメラ(以下「本件カメラ」という。)を設置したが、そのことを本件施設の他の職員には周知していなかった(被告人供述、甲1、7、8)。
  (2) Aは、被告人からシャワーを浴びるように勧められたことから、令和元年6月20日午後5時20分頃から午後6時頃までの間に、シャワー室でシャワーを浴びた(被告人供述、A供述)。
  (3) 被告人は、Aがシャワーを浴び終わった後、直ちに本件カメラを回収したが、そのことをAらには話さなかった(被告人供述)。
  (4) 被告人は、同日午後9時頃、他の職員が帰宅した後に、本件カメラに記録されていた動画データの内容を本件施設のパーソナルコンピュータで確認し、そのデータに編集を加えた上、被告人が私的に使用していたSDHCカードに保存した(被告人供述、甲5)。
  (5) 保存されていた動画データには、Aが衣服を脱いでシャワーを浴び、その後に体をふいて衣服を身に着ける様子が撮影されており、直立しているAの膝から胸の下付近までや立ちながら上半身を曲げているAの全身が映っていて、概ねAの下腹部付近が画像の中心にあった(甲5)。
 3 以上から認められる本件カメラの設置場所、被告人がシャワーを浴びるように勧めた後に本件カメラでAの姿が撮影されていること、実際に撮影された動画の内容、被告人がその日のうちに本件カメラを回収して撮影された動画データを編集・保存したこと、被告人が本件カメラの設置、回収及び動画データ確認の事実を他の職員やAに全く伝えていないことからすると、被告人が当初からAの裸体を撮影することを考えて一連の行動をとったと考えるのが最も合理的である。
 4 この点、被告人は、本件カメラを設置したのは、ネズミが出るという話を聞いたので、ネズミが出るかどうかを確認するためである、本件の四、五日前に、本件カメラを動体検知モードに設定して設置していたところ、そのことを忘れたままAにシャワーを浴びるよう言ってしまったなどと供述する。
  しかし、仮設とはいえシャワー室としても利用される可能性のある場所に、他の職員にも知らせずにカメラを設置するというのは、本件施設の管理責任者としてネズミの有無を確認するという行動としては何とも不自然である。しかも、本件カメラに記録された動画には、まさにAの裸が映っていたのであり、その画角や内容をみると、たまたまシャワー室を利用したAが映りこんだというよりも、そこを利用する者を撮影するために設置していたといえるような画角であり、ネズミが走る可能性のある地面に焦点が当たっているものではない。被告人は設置の際に映り方を確認することはしなかったと供述するが、わざわざカメラを設置してまでネズミの有無を確認しようとする者の行動として合理的ではない。
  また、証拠(甲11、12)によれば、本件カメラについては、被告人が説明する操作方法など様々な方法で撮影を実施しても、動体検知モードと認められる状態で撮影されることはなく、連続して撮影することが可能な時間は約4時間にとどまることが認められ、本件の四、五日前に動体検知モードにして本件カメラを設定した旨の被告人の供述は客観的証拠とも整合しない。
  したがって、上記の被告人の供述は信用できない。
 5 以上からすれば、被告人は、自分が設置した本件カメラにAの裸体が映ることを認識してAにシャワーを浴びさせたと推認できるから、Aを撮影したことに故意はないとする弁護人の主張は採用できない。
刑事第2部
 (裁判長裁判官 中川正隆 裁判官 田中大地 裁判官向井志穂は、転補のため署名押印することができない。裁判長裁判官 中川正隆)

千葉県のエアドロップ痴漢


 不特定又は多数の者にわいせつ画像を送信すると、わいせつ電磁的記録頒布罪(刑法175条)が成立して、迷惑条例違反罪は成立しないと思います。1審では主張できませんが。

女子大生にエアドロップ痴漢、千葉県初の逮捕者
https://news.yahoo.co.jp/articles/d9489ee0e9600c29231688f8cefd05d423b595e8
容疑者は先月29日、市川市内の飲食店で、スマートフォンの通信機能「AirDrop」を悪用して見ず知らずの19歳の女子大学生に男性器などわいせつな画像を送りつけ、閲覧させた疑いが持たれています。こうした、いわゆる「AirDrop痴漢」の検挙は千葉県では初めてだということです。

 兵庫県の事例

被告人は、令和2年7月2日 1413~1450ころ、兵庫県○○駅間走行中の列車内において A(21)に対して 携帯電話機を利用して男性器を露骨に撮影したわいせつ画像データ1点をAの携帯電話機に送信し、もって公共の乗物において 不安を覚えさせるような卑わいな言動をした。
 兵庫県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反 15条1項 3条の2 第1項1号

罰条
第3条の2 
1何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
第15条
1 第3条の2第1項から第3項まで、第5条第1項若しくは第2項又は第10条の2第1項の規定に違反した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
昭和三十九年四月一日条例第三十一号
(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)
第三条
2 何人も、女子に対し、公共の場所又は公共の乗物において、女子を著しくしゆう恥させ、又は女子に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。男子に対するこれらの行為も、同様とする。

〔本条の趣旨〕
第3条は、公共の場所又は公共の乗物における粗野又は乱暴な行為を禁止する規定である。
第2項は、女子に対してなされる卑わいな言動を対象としてそれぞれ規制し、もって街頭や乗物等における個人の意思及び行動の自由を保護し、善良な風俗環境を阻害する言動を防止しようとするものである。
第2項
15 「女子」とは、成年、未成年を問わないが、ここでいう女子とは、卑わいな行為の相手方であるから、その行為を卑わいなものとして感じうる能力を有するものであることを要する。
また、卑わいな言動は、女子に対するものであれば足り、その直接たると間接たるとを問わないo
行為者が女子の認識しうるものであることを知ってなす場合には、本項に触れる
ものと解すべきである。
本項の「女子」又は「女子を」とは、女子を相手方としていう意味で、女子のいない場所で男同士が大きな声で卑わいなことを話し合うていても、本項の対象とはならない。しかし、男同士の話であっても、女子のいる場所において女子に聞こえよがしに大声で話し合っているような場合は、女子に対するものであるか否かの点について問題はあるが、女子を意識しての行為であれば、本項違反となる。
「男子」に対する行為も、同様に規制したが、その解釈について変わることはない。
16 「しゅう恥させ」とは、性的な恥じらいを感じさせることを意味している。しゅう恥は、卑わいな言動によって引き起こされるものであるから、当然、性的しゅう恥心と考えられる。
しゅう恥心とは、幅の広い概念であるから、本条においては「著しく」という限定を付したものである。
17 「不安」とは、前記9において説明したとおりであるが、ここでは、卑わいな言動によって身体に対する危険を覚えさせ、心理的圧迫を与えることをいう。
なお、不安を覚えさせる行為は、客観的に不安を覚えさせるに足るものであることを要する。
18 「卑わいな言動」とは、野卑でみだらな言語、動作であって、普通人の性的道徳観念に反し、性的しゅう恥心を起こさせ、嫌悪の念を催させ、また、それによって不安を覚えるような言動をいう。 〔本条と他の法令との関係〕
1軽犯罪法との関係
(2)本条第2項と軽犯罪法第1条第20号(身体露出の罪) との関係は、観念的競合である。
2刑法との関係
(2)本条第2項と刑法第174条(公然わいせつ罪) との関係は、法条競合である。

「高級ホテルに女子高生モデル(17)を“持ち帰り”」は深夜同伴罪(東京都青少年の健全な育成に関する条例)にはならない  罰則は16歳未満の場合。

「高級ホテルに女子高生モデル(17)を“持ち帰り”」は深夜同伴罪(東京都青少年の健全な育成に関する条例)にはならない
 罰則は16歳未満の場合。

東京都青少年の健全な育成に関する条例の解説 令和元年8月
(深夜外出の制限)
第15条の4保護者は、通勤又は通学その他正当な理由がある場合を除き、深夜(午後11時から翌日午前4時までの時間をいう。以下同じ。)に青少年を外出させないように努めなければな
らない。
2何人も、保護者の委託を受け、又は同意を得た場合その他正当な理由がある場合を除き、深夜に青少年を連れ出し、同伴し、又はとどめてはならない。
3何人も、深夜に外出している青少年に対しては、その保護及び善導に努めなければならない。ただし、青少年が保護者から深夜外出の承諾を得ていることが明らかである場合は、この限りで
ない。
4深夜に営業を営む事業者及びその代理人、使用人、その他の従業者は、当該時間帯に、当該営業に係る施設内及び敷地内にいる青少年に対し、帰宅を促すように努めなければならない。
【要旨】
本条は、第1項において保護者に対し、深夜に青少年を外出させない努力義務を課し、第2項においてすべての者に対し、保護者の委託又は同意を得た場合その他正当な理由がある場合を除いて、深夜に青少年を連れ出すこと等を禁止した規定である。さらに、第3項においてすべての者に対し、深夜に外出している青少年の保護及び善導を、第4項において深夜に営業を営む事業者等に、その施設内及び敷地内にいる青少年に対し、帰宅を促すことをそれぞれ努力義務として定めている。
【解説】
本条でいう「保護者」とは、第4条の2第1項の「保護者」と同義である。
近年、生活時間帯が深夜に及ぶとともに、深夜に営業する施設も増加したことなどから、青少年が深夜に繁華街を俳個し、コンビニエンスストア内や駐車場の敷地内、店の前の路上でたむろするなどの行動が目立つようになり、また、事件や犯罪に巻き込まれる事例も増えている。これらを背景に、平成16年の条例改正により新設された。
第1項は、本来第一義的に保護者が自覚を持つべき事項であるが、子供が深夜に俳個していたり、無断外泊をしていても、無関心であったり、携帯電話で連絡が取れるから問題がないとしてすぐに迎えに来ない保護者もいるなど、保護者の責任感が希薄化していることから、通勤又は通学その他正当な理由がある場合を除き、深夜に青少年を外出させない努力義務を保護者に課したものである。
これにより、保護者の責任を明確にし、自覚を促すことを目的としている。
ここでいう「正当な理由」とは、勉強又は就労(労働基準法で認められている範囲内に限る。)のように定例的なもの、本人又は保護者・親戚等の病気や事故、旅行先からの帰宅等の突発的又は一時的なものの両方が想定される。
第2項は、保護者の委託を受け、又は同意を得た場合その他正当な理由がある場合を除いて、深夜に青少年を連れ出し、同伴し、又はとどめることを禁止する規定である。保護者の同意等を受けず、また、その他正当な理由がないのに、青少年を深夜に連れ回すことは、まさに犯罪に巻き込まれる危険性があることから、設けられたものである。
保護者の委託又は同意の有無は、例えば、塾等に迎えに行くなど保護者の委託を受けて定例的に行っている場合、毎回必ず確認することまでは要さない。
また、ここでいう「正当な理由」とは、本人又は保護者の急な病気や事故等により、保護者に確認することが不可能な場合、事件や事故等に遭遇した青少年を助ける等、偶発的な理由により、結果として同伴することになった場合等を指す。
「連れ出し」とは、深夜に、青少年を東京都内の住居、居所等から離れさせることであり、その手段等は問わず、携帯電話やメール等での呼び出しであっても該当する。
「同伴」とは、現に同行し、又は同席する等、青少年と同一の行動を取っていることをいい、青少年が単独であると複数であるとは問わない。また、既に深夜に外出している青少年と同伴する場合も含む。
「とどめ」とは、深夜に連れ出している、あるいは深夜に既に外出している青少年が、帰宅の意思を表しているにもかかわらず、それを翻意させ、又は制止することをいい、その手段は問わない。
本条において、本項のみが罰則の対象となるが、罰則を適用されるのは、16歳未満の青少年を連れ出し、同伴し、又はとどめた者に限る。これは、中学生以下と高校生以上とでは、生活実態が異なることを考盧したものである。
第3項は子供に対する大人の本来の責任を明確にするためのものである。
第1項及び第2項を受けて、すべての者が、深夜に青少年が外出することは望ましくないとの認識を持ち、そのような青少年と会った場合は、保護するとともに、今後は深夜に外出しないように促すことを求めた規定である。
「保護」とは、深夜外出している青少年が被害に遭わないための未然防止策であり、例えば、飲酒、喫煙、けんか等自身を損ない、又は周囲に迷惑をかける行為をしている場合に、警察や消防などへ通報することが挙げられる。
「善導」とは、深夜外出している青少年に帰宅を促すとともに、犯罪に巻き込まれないため等の注意喚起を促すことである。
なお、保護者から深夜外出の承諾を得ている場合には、やむを得ない場合と考えられることや、保護者が責任をもって行わせていることであるため、必ずしも保護及び善導に努める必要はない。
第4項は、第16条にいう深夜立入制限施設には該当しないが、深夜に営業を営んでいる事業者等は、本条及び第16条の制定趣旨を十分に理解し、協力する必要があるとして、特に、当該営業に係る施設内等にいる青少年に対する帰宅を促す責任があることを規定したものである。
「深夜に営業を営む者」とは、深夜に営業しているスーパーやコンビニエンスストア、ドラッグストアなどの経営者等を想定している。また、帰宅を促す方法としては、掲示や放送等が有効と考えられる。
【本条第2項に違反した者】
第26条第5号により30万円以下の罰金(直罰)
※深夜に16歳未満の青少年を連れ出し、同伴し、又はとどめた場合のみ適用

Aの母親と交際を始めたが,その頃,Aに対し,被告人が多重人格者である旨誤信させ,別人格を装って被告人に性的な行為をさせるなどしていた。令和元年6月頃からAとその母親との関係が悪化し,Aの母親は,SNS上で男性と接触してトラブルになるなどしたAに怒り,同年10月初旬,男性の怖さを身体で覚えさせてこらしめようなどと考え,被告人との間で,被告人が無理やりAの裸の写真を撮るなどの計画を話合い,同月7日,被告人にこの計画を実行するよう持ちかけた。」という準強制わいせつ事件(佐賀地裁R2.5.12)

Aの母親と交際を始めたが,その頃,Aに対し,被告人が多重人格者である旨誤信させ,別人格を装って被告人に性的な行為をさせるなどしていた。令和元年6月頃からAとその母親との関係が悪化し,Aの母親は,SNS上で男性と接触してトラブルになるなどしたAに怒り,同年10月初旬,男性の怖さを身体で覚えさせてこらしめようなどと考え,被告人との間で,被告人が無理やりAの裸の写真を撮るなどの計画を話合い,同月7日,被告人にこの計画を実行するよう持ちかけた。」という準強制わいせつ事件(佐賀地裁R2.5.12)

 母親には性的意図がないやつ。

準強制わいせつ被告事件
佐賀地方裁判所令和2年5月12日
(罪となるべき事実)
 被告人は,平成24年頃からAの母親と交際を始めたが,その頃,Aに対し,被告人が多重人格者である旨誤信させ,別人格を装って被告人に性的な行為をさせるなどしていた。令和元年6月頃からAとその母親との関係が悪化し,Aの母親は,SNS上で男性と接触してトラブルになるなどしたAに怒り,同年10月初旬,男性の怖さを身体で覚えさせてこらしめようなどと考え,被告人との間で,被告人が無理やりAの裸の写真を撮るなどの計画を話合い,同月7日,被告人にこの計画を実行するよう持ちかけた。
 被告人は,これに乗じてAにわいせつな行為をしようと考え,同日午後6時30分頃から午後7時30分頃までの間,別紙の1記載の被告人方において,Aに対し,別人格を装って,「よお,久しぶり」と言った上,服を脱ぐよう命じ,同人に,被告人の別人格が現れた旨誤信させて,その恐怖心等から抗拒不能の状態に陥らせ,Aのブラジャーをたくし上げてその乳首をなめ,同人のショーツを脱がせてその陰部をなめ,さらに,その陰部等をタブレット端末を用いて写真撮影するなどし,もってわいせつな行為をした。

10/1~11/28の15回の淫行(青少年条例違反罪)を包括一罪として、翌年4/15の淫行を包括一罪とした事例(某高裁r2.7)

 金沢支部福岡高裁に続き3件目
 16罪併合罪にした原判決は破棄されています。

 日付は修正しています。
 弁護人は、各淫行の日数差を計算して、犯意継続を主張しています。

2019/10/1
2019/10/7
2019/10/10
2019/10/12
2019/10/18
2019/10/21
2019/10/28
2019/10/31
2019/11/2
2019/11/8
2019/11/14
2019/11/21
2019/11/22
2019/11/26
2019/11/28

2020/4/5

「整骨院で、施術を受けに来た少女の裸を撮影した」行為を、ひそかに製造罪とした事例(東京地裁→東京高裁H29.3.16)

 新聞記事で「盗撮」「製造」となっているのを抽出して、判決書を閲覧しています。
 この事件の判決は、ひそかに製造罪になってました。「施術中の姿態を撮影した」という点で、姿態をとらせていて、姿態をとらせて製造罪が成立します。
 こういう法文の並びになっていますので、ひそかに製造罪は成立しません。
 控訴して「殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」ではないなどと主張されていましたが、東京高裁はひそかに製造罪だとして控訴棄却しています。
 

第七条(児童ポルノ所持、提供等)
2児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
3前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
4前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
5前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。

整骨院で女児裸撮影 容疑の29歳院長逮捕
2018.01.25 産経
 院長を務める整骨院で、施術を受けに来た少女の裸を撮影したとして、杉並署は24日、児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで、柔道整復師を逮捕したと発表した。逮捕は23日。
 逮捕容疑は平成28年11月~29年1月、杉「整骨院」で、当時小学6年の女児の裸をスマートフォンで動画撮影し、児童ポルノを製造したとしている。
 杉並署によると、容疑者は施術中、女児に「テーピングをしてきて」などと言って、棚にスマホを仕掛けた部屋に誘導し、隠し撮りしていた。
 29年6月に別の女性から「盗撮された」との110番通報があり、同署が捜査していた。容疑者のスマホには他にも女性が盗撮されたような動画が複数見つかっており、同署が詳しく調べる。

「マッサージと称して胸部を露出させ」盗撮した行為を、ひそかに製造罪とした事例(東京簡裁)

「マッサージと称して胸部を露出させ」盗撮した行為を、ひそかに製造罪とした事例(東京簡裁)

 この事件の判決は、ひそかに製造罪になってました。「マッサージと称して胸部を露出させ」という点で、姿態をとらせていて、姿態をとらせて製造罪が成立します。
 こういう法文の並びになっていますので、ひそかに製造罪は成立しません。

第七条(児童ポルノ所持、提供等)
2児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
3前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
4前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
5前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。

エステ店でマッサージと称し盗撮容疑 /東京都
2016.05.28 朝日新聞社
 エステ店で当時高校1年の女子生徒の胸部を盗撮したとして、麻布署は横浜市港北区大倉山2丁目、容疑者を児童買春・児童ポルノ禁止法違反(盗撮製造)の疑いで逮捕し、27日発表した。おおむね容疑を認めているという。署によると、逮捕容疑は昨年9月16日、港区六本木4丁目のエステ店「」で、インターネットで募集した無料施術を受けに来た女子生徒(16)にマッサージと称して胸部を露出させ、隠していたビデオカメラで盗撮したというもの。容疑者は副業として昨年5月から店を経営していたという。

暴力的性犯罪に引き続いて、裸体画像を撮影送信する行為は、強制わいせつ罪ではなく強要罪(神戸地裁h21.12.10、大阪高裁h22.6.18、名古屋地裁岡崎支部h30.4.19)

 

 画像を撮影送信する行為が、わいせつ行為だとすると、判示第3の強姦の後に画像送信を求めた行為(判示第4~6)は、反抗抑圧する程度の脅迫が効いているので、強制わいせつ罪になるはずですが、強要罪になっているというのは、画像を撮影送信する行為が、わいせつ行為ではないという判断が出ていると思います。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100406170426.pdf
神戸地裁H21.12.10
(罪となるべき事実)
 被告人は,養女であったA(平成6年6月15日生)に対して長期間にわたり虐待を加え同児童を極度に畏怖させていたものであるが,
第1(平成20年12月9日付け起訴状記載の公訴事実第1の1関係)
 同児童を強要して児童ポルノを製造しようと企て,平成19年5月2日午後8時41分ころから同日午後9時23分ころまでの間,神戸市a区b町居住c番地のd所在の県営B住宅e号室の当時の被告人方(以下「被告人方」という。)において,同児童(当時12歳)が18歳に満たない者であることを知りながら,上記のとおり同児童が極度に畏怖しているのに乗じて,別表番号1ないし5のとおり,同児童に対し,「胸寄せろ。」などと申し向けて脅迫し,同児童をして,これに応じなければ自己の自由,身体等にいかなる危害を加えられるかもしれない旨さらに畏怖させ,よって,同児童をして,その両乳房,陰部を露出させた姿態等をとらせ,これを所携の携帯電話機内蔵のデジタルカメラにより撮影させ,同携帯電話機に装着されたマイクロSDカード(神戸地方検察庁平成20年領第1336号符号2-2)に画像データ5ファイルを保存して記録し,もって,同児童に義務なきことを行わせるととともに,児童ポルノを製造した,
第2(平成20年12月9日付け起訴状記載の公訴事実第1の2関係)
 同児童を強要して児童ポルノを製造しようと企て,平成19年5月11日午前10時32分ころから同日午前10時37分ころまでの間,被告人方において,同児童(当時12歳)が18歳に満たない者であることを知りながら,上記のとおり同児童が極度に畏怖しているのに乗じて,別表番号6ないし11のとおり,同児童に対し,「服をまくり上げろ。」などと申し向けて脅迫し,同児童をして,前同様にさらに畏怖させ,よって,同児童をして,その乳房を露出させた姿態,同児童の陰部に被告人の陰茎を挿入している姿態等をとらせ,これを所携の携帯電話機内蔵のデジタルカメラにより撮影し,上記マイクロSDカードに画像データ6ファイルを保存して記録し,もって,同児童に義務なきことを行わせるととともに,児童ポルノを製造した,
第3(平成20年8月8日付け起訴状記載の公訴事実関係)
 同児童を強姦しようと企て,平成19年5月11日,被告人方において,同児童(当時12歳)が13歳未満であることを知りながら,上記のとおり同児童が極度に畏怖しているのに乗じて,着衣を脱ぐよう申し向けて脅迫し,その反抗を抑圧した上,強いて同児童を姦淫した,
第4(平成20年12月9日付け起訴状記載の公訴事実第1の3関係)
 同児童を強要して児童ポルノを製造しようと企て,平成19年6月11日ころ,同児童(当時12歳)が18歳に満たない者であることを知りながら,上記のとおり同児童が極度に畏怖しているのに乗じて,同児童に対し,電子メールにより,「何か挟んで撮れ。」などと申し向けて脅迫し,同児童をして,これに応じなければ自己の自由,身体等にいかなる危害を加えられるかもしれない旨さらに畏怖させ,よって,同児童をして,同日午後零時46分ころから同日午後5時35分ころまでの間,別表番号12ないし22のとおり,被告人方において,全裸で両乳房の間や陰部に物を挟んだ姿態等をとらせ,これを同児童の携帯電話機内蔵のデジタルカメラで撮影させ,そのころ,その画像を被告人の携帯電話機に送信させ,上記マイクロSDカードに上記画像データ11ファイルを保存して記録し,もって,同児童に義務なきことを行わせるととともに,児童ポルノを製造した,
第5(平成20年12月9日付け起訴状記載の公訴事実第1の4関係)
 同児童を強要して児童ポルノを製造しようと企て,平成19年7月19日ころ,同児童(当時13歳)が18歳に満たない者であることを知りながら,上記のとおり同児童が極度に畏怖しているのに乗じて,同児童に対し,電子メールにより,「キュウリをなめている写真を撮れ。」などと申し向けて脅迫し,同児童をして,前同様にさらに畏怖させ,よって,同児童をして,同日午前11時13分ころから同日午前11時44分ころまでの間,別表番号23ないし25のとおり,被告人方において,露出した両乳房になすびを挟んだ姿態等をとらせ,これを同児童の携帯電話機内蔵のデジタルカメラで撮影させ,そのころ,その画像データを被告人の携帯電話機に送信させ,上記マイクロSDカードに上記画像データ3ファイルを保存して記録し,もって,同児童に義務なきことを行わせるととともに,児童ポルノを製造した,
第6(平成20年12月9日付け起訴状記載の公訴事実第1の5関係)
 同児童を強要して児童ポルノを製造しようと企て,平成19年7月19日午後8時32分ころから同日午後8時33分ころまでの間,被告人方において,同児童(当時13歳)が18歳に満たない者であることを知りながら,上記のとおり同児童が極度に畏怖しているのに乗じて,別表番号26ないし29のとおり,同児童に対し,「なめろ。」などと申し向けて脅迫し,同児童をして,前同様にさらに畏怖させ,よって,同児童に被告人の陰茎をなめたり,咥えたりする姿態等をとらせ,これを所携の携帯電話機内蔵のデジタルカメラにより撮影し,上記マイクロSDカードに画像データ4ファイルを保存して記録し,もって,同児童に義務なきことを行わせるととともに,児童ポルノを製造した,
第7(平成20年12月9日付け起訴状記載の公訴事実第2関係)
 同児童を強姦しようと企て,平成19年7月19日午後8時30分ころから同日午後8時50分ころまでの間,被告人方において,同児童(当時13歳)が上記のとおり極度に畏怖しているのに乗じて,同児童に対し,「脱げ。」などと申し向けて脅迫し,その反抗を抑圧した上,強いて同児童を姦淫したものである。
(証拠の標目)
 省略
(事実認定の補足説明)
(求刑・懲役18年、マイクロSDカードの没収)
平成21年12月10日
神戸地方裁判所第1刑事部
裁判長裁判官 東尾龍一 裁判官 佐藤建 裁判官 村井美喜子

控訴審で破棄自判されていて、法令適用が維持されています。

阪高裁H22.6.18
判決
上記の者に対する強姦、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、強要被告事件について、平成21年12月10日神戸地方裁判所が言い渡した判決に対し、被告人から控訴の申立てがあったので、当裁判所は検察官出席の上審理し、次の通り判決する。
主文
原判決を破棄する
被告人を懲役 年に処する。
未決勾留日数中300日をその刑に算入する。
神戸地方検察庁で保管中の携帯電話(FOMA,F902i,シルバー色)に在中のマイクロSDカード1枚(同庁平成20年領第1336号符号2-2)を没収する。
理由
第1 事実誤認の主張について
省略
第2 職権判断
 量刑不当の論旨(なお、弁護人は、控訴趣意補充書において、原判決の量刑は不当に重いと主張するが、その理由としては事実誤認の主張として述べるところを援用するというのみであって、量刑が不当であることに関する具体的な事実の援用はなされていないのであるから、量刑不当の主張は不適法なものと認められる)に対する判断に先立ち、職権により調査するに、原判決には、以下の通り、理由齟齬の違法があると言わざるを得ない。
 すなわち、原判決は、主文において「被告人を懲役年に処する」としながら、理由中の(法令の適用)においては、「被告人を懲役13年に処し」としていて、その判決書中の主文と理由との間にくいちがいがあること、原審裁判所は、平成22年1月7日付けで、原判決書の理由中の上記「懲役13年」を「懲役年」と更生する旨の決定をしていることが明らかであるところ、更正決定について明文の規定のない刑事事件の判決に関しても、判決書自体又は記録に照らして、判決に計算違い、誤記その他これらに類する明らかな形式的誤謬があると認められる場合には、更正決定によりこれを正すことができるものと解されるが、上記の主文と理由とのくいちがいの内容は、判決書自体又は記録に照らしても、いずれの記載が誤りであるのかが明らかとはいえず(被告人作成の控訴申立書に「懲役年の判決」との記載があることをもって理由部分が誤りであるとはいえない)、また、そのくいちがいは判決の最も重要な部分である刑期に関するものであり、理由齟齬を来す実質的な瑕疵であって、単なる形式的誤謬とはいえないのであるから、更正決定によりこれを正すことはできないと解するのが相当である。
 そうだとすると、上記決定は、更正決定でなし得る限界を超えたものとして無効というほかなく、これによって原判決書の理由中の「懲役13年」の記載が「懲役年」に更生されていると認めることはできず、原判決には、判決の最も重要な部分である刑期に関してなお主文と理由との間にくいちがいがあるというべきであるから、原判決は破棄を免れない。
第3 破棄自判
そこで刑訴法397条1項、378条4号により原判決を破棄し、同法400条ただし書により更に判決することとする。
 原判決が認定した事実に、原判決が挙示する法令を適用し(科刑上一罪及び併合罪の各処理を含む。なお、「1罪として犯情の重い各児童ポルノ製造の刑で処断する」とあるのを「一罪として犯情の重い各児童ポルノ製造の罪の懲役刑で処断する」と訂正し
「判示第1、第2及び第4ないし第6の各罪について所定刑中、いずれも懲役刑を選択し、」とあるのを削除する)、その処断刑期の範囲内で被告人を懲役年に処し(なお、刑訴法402条における「原判決」の刑は宣告された刑をいうものと解されるところ、本件においては、原判決書の主文の記載が「懲役年」であるのに加え、被告人作成の控訴申立書の記載からも懲役年の刑期が宣告されたことが明らかであると認められるから、当審において懲役年の刑を宣告しても同条に反するものではない)、
刑法21条を適用して原審における未決勾留日数中300日をその刑に算入し、神戸地方検察庁で保管中の携帯電話に在中のマイクロSDカード1枚は、判示第1、第2及び第4ないし第6の各罪に係る児童ポルノ製造によって生じた物で、被告人以外の者に属しないから、刑法19条1項3号、2項本文を適用してこれを没収することとし、訴訟費用は刑訴法181条1項但し書きを適用して、被告人に負担させないこととする。
(量刑の理由)
省略
よって主文の通り判決する
平成22年6月18日
大阪高等裁判所第6刑事部

 橋爪論文で紹介されている名古屋地岡崎支判平成30.4.19を閲覧しましたが、LINEで「俺は暴力団組長だ」とか脅迫して、リアルで呼び出してわいせつ行為をして(判示第3強制わいせつ罪)、その4日後にさらに脅迫して自慰行為させ撮影送信させている(判示第4 強要罪)、強制わいせつ罪としての脅迫はあるわけで、これを強要罪としたのは、裁判所もわいせつ行為ではないと判示したことになりますよね。この裁判例は、強制わいせつ罪が伴っているので、非接触型のわいせつ行為の裁判例としては適切ではなく、大分地判平成23.5.11(公刊物未登載)の方を紹介すべきだと思います。
 検察庁は、大学教授に、未公開の裁判例を提供して、解説書いてもらってるんですが、もっと事案を選ばないと。強制わいせつ罪とした裁判例はあちこちにあるから、それを提供してやらないと。

橋爪隆(東京大学大学院法学政治学研究科教授)「非接触型のわいせつ行為について」研修860号
最近の裁判例には,インターネットで知り合ったA女に対して,自らが暴力団組長であると称していた被告人が,Aを畏怖させてわいせつ行為に及んだ上,さらに携帯電話のアプリケーションを利用して,Aを脅迫する内容のメッセージを送信するなどして,畏怖したAに自慰行為を行わせ,その姿態を撮影した上で動画データを自らに送信させた事件について,検察官の起訴に対応して,強要罪の成立を認めたものがある(名古屋地岡崎支判平成30.4.19公刊物未登載)。本件において強制わいせつ罪での処理が見送られたのは,被告人が遠隔地からメッセージを送信しており,Aは1人で自慰行為を撮影していることから,被告人の面前で同様の行為を行わせた場合に比べて,性的自由の侵害性が乏しいという評価に基づくものなのかもしれない。
しかし,被害者に自慰行為を行わせ,これを撮影させる行為は,被害者に一定の性的行為を行わせ,かつ,その内容や態様を第三者に知りうる状態に置く行為であり.まさに被害者の身体を性的に利用する行為として、わいせつ行為に該当するというべきであろう。このような理解からは,本件行為については,強制わいせつ罪の成立を認める余地もあったように思われる(注25)。
注25)なお,大分地判平成23.5.11(公刊物未登載)は,被告人が被害者をメールで脅迫し,被害者に自らの性器などを撮影させ,その画像データをメールに添付して送信させた事件について,強制わいせつ罪の成立を認めている

自己の性的好奇心を満たす目的による児童ポルノ所持罪の取締り方針|取扱注意|

 単純所持罪については、こういう通達が出てます。
 不開示の部分も、昇進試験雑誌kosuzoなどをみれば垣間見えます。

自己の性的好奇心を満たす目的による児童ポルノ所持罪の取締り方針|取扱注意|
原議保存期間1年未満(平成27年12月31日まで)
児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正
する法律(平成26年法律第79号。以下「改正法jという。)により新設された「自己の性的好奇心を満たす目的」による児童ポルノ所持罪(第7条第1項)(以下「自己性的目的所持罪jという。)の罰則が、本年7月15日から適用開始となります。
自己性的目的所持罪については、改正法案を審議した参議院法務委員会において、「児童を性的搾取及び性的虐待から守るという法律の趣旨を踏まえた運用を行うこと」、「第7条第1項の罪の適用に当たっては、同項には捜査権の濫用を防止する趣旨も含まれていることを十分に踏まえて対応すること」に政府は格段の配慮をすべきとの附帯決議がなされたことから、以下の方針に基づく適正な取締り及び関係部署への指示を徹底願います。
1 基本方針
自己性的目的所持罪の取締りは、以下の基本方針に基づき行うこととする。
○ 児童を性的搾取・性的虐待から守るという法律の趣旨を踏まえた運用
児童ポルノ禁止法第3条(適用上の注意)は、「この法律の適用に当たっては、学術研究、文化芸術活動、報道等に関する国民の権利及び自由を不当に侵害しないように留意し、児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護するとの本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない。」と規定している。また、参議院法務委員会でも、この規定と同趣旨の附帯決議がなされていることから、この基本原則に則り自己性的目的所持罪の罰則の適用に当たること。
○ 製造・提供罪等、より重い罰則の適用
児童ポルノの製造、提供、公然陳列等の事案については、自己性的目的所持罪ではなく、より重い本来の罰則を適用することを原則とする
■■■不開示部分■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

kosuzo2017年8月号
3立件時の検討事項
原則として、児童ポルノ自己性的目的所持罪の適用を検討する前に、強制わいせつ等の刑法犯や、児童ポルノの製造、提供、公然陳列等の、より罰則の重い犯罪の適用を検討する。

○客観的・外形的証拠に基づいた適正な取締りの徹底
自己性的目的所持罪は、「自己の性的好奇心を満たす目的J及び「自己の意思に基づき所持するに至った」ことを、できるだけ客観的・外形的証拠により立証することが必要とされていることから、被疑者の供述を裏付ける客観的・外形的証拠(所持態様・分量・内容、通信ログ・内容等)を確保すること
警察庁少年課に対する事前協議の徹底
既述のとおり、自己性的目的所持罪については、参議院法務委員会において、捜査権の濫用を防止することについて格段の配慮をすべきとの附帯決議がなされるなど、本罪の適用は慎重に行わなければならない。こうしたことから、警察として全国的に斉一な取締りが実施されるよう、平成26年6月25日付け少年課長通達「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律に基づく取締りの報告について」に基づき、確実に警察庁少年課(福祉犯係[警電■■■■■■■■■■■■■■■■|)に事前報告を行い、協議すること
2対象事犯
児童を性的搾取・性的虐待から守るとしづ児童ポルノ禁止法の目的及び参議院法務委員会附帯決議を踏まえ、「児童に対する新たな性的搾取文は性的虐待の防止J又は「供給者側の犯行の抑止」に繋がる以下の事案を「重点検挙対象事犯」とする。
なお、以下に示す重点検挙対象事犯は、重点となる対象を示したものであり、重点対象であることの立証(....................)を求めるものではない。また、重点検挙対象事犯に該当しない事案であっても、悪質なものについては、検挙対象となり得る(下記{自己性的目的所持罪取締り方針概念図】参照)
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■不開示部分■■■■■■■■■■■■
3 任意廃棄を含む注意警告の措置に留める事案
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■不開示部分■■■■■■■■■■■■

どのような事案について警告等の措置に留めるべきかは、事案ごとに警察庁少年課との協議において判断する。

kosuzo2017年8月号
4適用を検討するべき福祉犯の罪名、要件及びその立証要点
(1)適用を検討するべき罪名
児童ポルノ自己性的目的所持罪(児童買春等処罰法7条1項)
(2)要件
自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る)
(3)立証要点
ア捜索・差押え
被疑者の居宅など関係先に対する捜索・差押えを確実に実施し、本件に関係する証拠品を押収・精査して本件犯行を裏付ける捜査を行う。
また、児童ポルノ画像については確実に押収して、以後の流通・閲覧防止を図る。
イ被害児童の特定
児童買春等処罰法における「児童」とは、18歳に満たない実在の者をいうことから、本件児童ポルノの被写体となる被害児童の特定に向けた捜査を徹底する。
なお、被害児童が特定されない場合であっても、医師の年齢鑑定により児童性(18歳未満の児童であること)が判定されれば、立件することは可能である。
児童ポルノ該当性
当該画像を見分して、児童ポルノに該当するか否かを判断する。例えば、本件画像について、児童買春等処罰法2条3項3号の児童ポルノ該当性を判断する場合には、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臂部又は胸部)が露出され又は強調されているものであるか、性欲を興奮させ又は刺激するものであるか等について慎重に判断する。
エ年齢知情性
被疑者において「被害児童の年齢が18歳未満である」という認識が必要であるため、この点を鋭意取り調べるとともに、各種裏付け捜査を徹底する。
オ客観的・外形的証拠に基づいた適正な取締りの徹底
「自己の性的好奇心を満たす目的」及び「自己の意思に基づき所持するに至った」ことを、できるだけ客観的・外形的証拠により立証することが必要である。
本件の場合、被疑者の供述があれば、それを裏付ける又は否定する客観的・外形的証拠(所持態様・分量・内容、通信ログ・内容等)を確保する。

KOSUZO 2017教旬ガイドブック
自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノ所持した者に当たらない場合
○嫌がらせ等によりメールで送り付けられた場合
○ネットサーフィンによる意図しないアクセスの場合
○パソコンがウイルスに感染し、勝手に児童ポルノをダウンロードした場合
○インターネット上の掲示板に児菫ポルノが掲載された場合の掲示板やサーバの管理者の場合
(4)職務質問に伴う所持品検査で児童ポルノと思われるも
のを発見した場合の自己性的目的所持罪による現行犯逮I捕は、被写体が18歳未満かどうかは医師の鑑定又は被写~、体の特定を待たなければはっきりしないこと、「自己の性的好奇心を満たす目的」及び「自己の意思に基づいて所持するに至った者」を客観的・外形的証拠により立証することが必要とされていることから、それらが明白でなければ困難である。
(5)警察庁では、自己性的目的所持罪の適用に当たっては、全ての事案について事前報告を求めていることから、認知した段階で本部少年担当課に速報して指示を受ける。

児童は実在すること・・法務省刑事局参事官玉本将之「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成26年法律第79号による改正前のもの)における「児童ポルノ」(同法2条3項)の意義、児童ポルノ製造罪(同法7条5項)が成立するためには当該児童ポルノに描写されている人物が製造時に18歳未満であることを要するか(消極)(最高裁令和2年1月27日決定、裁判所ウェブサイト掲載)」警察学論集第73巻第7号

児童ポルノ」の意義
児童ポルノ法における「児童ポルノ」は、同法2条3項において、「写真、電磁的記録……に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したもの」と定義されている。
そして、ここでいう「児童の姿態」については、法文上直接明示されてはいないものの、平成11年の児童ポルノ法制定時から、実在する児童の姿態を意味し、したがって実在しない児童の姿態を描写したものは「児童ポルノ」に該当しないと解されてきた5)。
その実質的理由として、児童ポルノ法は、「児童ポルノ」について、
それが児童を性の対象とする風潮を助長するのみならず、描写の対象となった児童の人権を害するものであるという観点から、必要な規制を行うものであるところ、実在しない児童を描写したポルノについては、描写の対象となった児童の人権を害するということはできないという説明がなされているが6)、児童ポルノ法2条1項は、「この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。」と規定して、「児童」の範囲を年齢によって画しており、年齢は、出生の日から起算し、所定の方法によって計算するものである(年齢計算二関スル法律1項、2項)ことからすると、「児童」が現に実在する人物に限られ、「児童ポルノ」も実在する児童の姿態を描写したものに限られると解すべきことは、文理上明らかであるといえる。
本決定は、児童ポルノ法2条,項の規定に言及した上で、同条3項
の「児童ポルノ」の意義について、従来の解釈と同様に、実在する児童の姿態を描写したものに限られると解すべきことを明示したものである。

殺人・児童ポルノ単純所持罪等被告事件において、児童ポルノの具体的摘示に欠けると思われる判決(新潟地裁R1.12.4)

「他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」というのは、2号ポルノの法文そのままですし、「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録」というのは3号ポルノの法文そのままですし、事実としては具体的な事実を示したものとは言えないでしょう。
「他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」の具体例としては、男性が乳房を触るとか陰部触るとかいう記載です。
「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているもの」の具体例としては、陰部を露出しているとか、乳房を露出しているとかです。
 控訴審で理由不備を主張してください。

刑事判決書起案の手引き
第2 事実摘示の方法・程度一般
153 1 罪となるべき事実は,それがいかなる構成要件に該当するかが,一読して分かるように,明確にこれを記載しなければならない。そのためには,当言葉犯罪の構成要件要素に当たる事実のすべてを漏れなく記載しなければならない。そのほか,事案に応じいわゆる犯情の軽重を示す事実をも記載する方がよい。
154 他方,他の犯罪をも認定したのではないかと疑わせるおそれのある表現は,できる限り避けなければならない(例えば,屋内での強盗被告事件において,住居侵入の点については有罪の認定をしない事案で.「A方に押し入り」などの言葉を用いることは,たとえ情状を明らかにするつもりであっても,むしろこれを避けるべきである。)。
155 2「( 罪となるべき事実)」の見出しの下に摘示される事実は,それが本来の罪となるべき事実に当たるときはもとより,そうでない事実であっても,証拠によって認定されたものでなければならない。「(犯行に至る経緯)」等の見出しの下に摘示される事実についても同様である。
156 3 罪となるべき事実は,できる限り具体的に,かっ,他の事実と区別できる程度に特定して,これを摘示しなければならない。そのためには,犯罪の日待・場所はもとより,犯罪の手段・方法・結果等についてもできる限り具体的にこれを記載しなければならない。このことは既判力の及ぶ範囲や訴因との同一性を明確にするためにも必要である。
157 4 包括ー罪においては,犯罪の日時・場所・手段等について包括的な判示が許される。
158 5 事実はできる限り明確に摘示しなりればならない。したがって,日時・場所・数量等が証拠によって明らかに認められるのに「ころ」「付近」「等」「くらい」などの言葉を用いることは慎むべきである。
6 被害者の年齢については,それが構成要件に関する事実(刑176後等)である場合を除き,必ずしも檎示の必要はないが,犯罪の成否(脅迫・恐喝・強盗罪等)及び犯情(殺人・傷害罪等)に影響を与えるような場合には,これを摘示するのが通例である。
その方法としては, 「A (当時00歳)」とするのが通例である。 「B(当00年)」, 「C (平成O年O月O日生)」とする例もないではないが, 「当」は,犯罪時の年齢か判決時のそれかが必ずしも明確ではない。
7 犯行に用いた凶器等を罪となるべき事実の中に判示する場合,それが主文で没収を言い渡した物であるときは,河一性を明示するため,裁判所の押収番号(96参照)を記載することが望ましい(168参照)。没収を言い渡さなかった物であるときでも,証拠の標目中に掲げた証拠物との同一性を明示するため,その押収番号を記載する例が多い。
8 事実の摘示は,冗漫にならないように留意しなければならない。
9 事実摘示の末尾に,認定した事実に対する裁判所の法律的評価を明らかにする趣旨で,例えば, 「もって,自己の職務に関し賄賂を収受し」「もって横領し」等の言葉を記載する事例が多いが,この場合, 「自己の職務に関し賄賂を収受し」,「横領し」等の言葉は法律的評価を示すものにすぎないのであって,それ自体犯罪行為の事実的表現ではないことに留意すべきである。
10 併合罪の場合には,各個の犯罪事実ごとに,第1,第2というように番号を付け,かつ,行を改め,科刑上のー罪の場合には,そのようにせずに各事実を続けて摘示するのが通例である(なお, 214, 319参照)。
11 事実を摘示するに当たっては,起訴状等に記載された事実を引用することが許される(規218)。しかし,起訴状等の記載は裁判所の最終的な判断に必ずしも完全に一致するとは限らないから,漫然とこれを引用することがないように留意しなければならない。

名古屋高裁H23.7.5
 論旨は,要するに,上記各児童ポルノ製造の事実に関し,(1)各起訴状の公訴事実には,被告人が各児童にとらせた姿態につき「被告人と性交を行う姿態等」(平成22年5月26日付け起訴状公訴事実)又は「性交に係る姿態等」(同年6月1日付け起訴状公訴事実第2,第4,同月29日付け起訴状公訴事実第2)とのみ記載されており,「児童を相手方とする性交に係る児童の姿態」(児童ポルノ処罰法2条3項1号)のほかにいかなる姿態をとらせて撮影したとして起訴しているのか不明瞭であり,各起訴状の罪名及び罰条においても,「児童ポルノ処罰法7条3項,2条3項」とのみ記載されて2条3項各号の記載がないことからすると,訴因が不特定であるというほかなく,これを看過して実体判決をした原審の訴訟手続には法令違反がある,(2)原判決の各犯罪事実には,各児童に「被告人と性交を行う姿態等」をとらせ,これを撮影して児童ポルノを作成したことは示されているが,法令の適用の項で摘示している児童ポルノ処罰法2条3項3号に該当する具体的事実が示されていないから,原判決には理由不備の違法がある,というのである。
 まず,(1)の点について検討すると,各起訴状の公訴事実における犯罪の相手方,日時・場所等の記載は,他の犯罪と識別するに十分なものであり,これによって被告人側の防御の範囲も画されているといえるし,また,各公訴事実の「被告人と性交を行う姿態」あるいは「性交に係る姿態」の記載の直後にいずれも「等」と記載され,罪名及び罰条において,児童ポルノ処罰法7条3項,2条3項と記載され同項の何号であるかが明示されていない,という各起訴状の記載内容をみれば,各児童に同法2条3項1号のみならず2号あるいは3号に該当する姿態をとらせて児童ポルノを製造した事実をも本件各訴因に含まれ得る趣旨を読み取ることができることを併せ考えれば,同項の何号かの明示を欠くことによって,被告人側に対する不意打ちの危険が生じその防御に支障を来すなどともいえない。そうすると,本件各訴因が特定されていないともいえないから,公訴棄却せずに実体判決をした原審の訴訟手続に法令違反はない。
 次に,(2)の点について検討すると,原判決は,犯罪事実第1の2,第2の2,第3の2につき,法令の適用の項において,いずれも児童ポルノ処罰法7条3項,l項,2条3項1号,3号に該当すると判示しているのであるから,各犯罪事実において,同法2条3項1号のみならず3号に該当する姿態をとらせて児童ポルノを製造した旨の具体的事実をも摘示する必要があるというべきである。しかるに,原判決は,上記各犯罪事実において,各児童に「被告人と性交を行う姿態等」をとらせた上,これを写真撮影し,その静止画を記録媒体に記録させて描写し,もって「児童を相手方とする性交に係る児童の姿態等」を視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造した旨を摘示するにとどまり,児童ポルノ処罰法2条3項3号に該当する姿態をとらせて児童ポルノを製造した旨の具体的事実を摘示していないのであるから,原判決には,上記各事実に関し,罪となるべき事実の記載に理由の不備があるといわざるを得ない。
 論旨はこの点において理由がある。そして,原判決は,原判示第1の2,第2の2,第3の2の各児童ポルノ製造罪とその余の各罪とが刑法45条前段の併合罪の関係にあるものとして1個の刑を科しているから,結局,その余の控訴趣意について判断するまでもなく,原判決は全部につき破棄を免れない。
2 破棄自判
 よって,刑訴法397条1項,378条4号により原判決を破棄し,同法400条ただし書により,当裁判所において更に判決する。
(罪となるべき事実)

仙台高裁R2.6.25
第3 理由不備の論旨について
1論旨は,「原判決は,罪となるべき事実の第2において,児童ポルノ法2条3項3号に該当する事実を記載していないから,原判決は判決に理由を附さない違法がある」と主張する。
2上記の公訴事実について有罪の言渡しをする場合,罪となるべき事実としては具体的な事実を示さなければならない。原判決は,「被害者に,被告人と性交する姿態等をとらせ,これを被告人のスマートフォンの撮影機能を用いて撮影し,その撮影データ16点を,同スマートフォン本体に内蔵された記録装置に記録させて保存し」と示すにとどまり,児童ポルノ法2条3項3号に該当する事実を示していない。上記記載の「被告人と性交する姿態等」の「等」の中に,同法2条3項3号に該当する事実が含まれていると解するのは困難である。原判決は,有罪の言渡しに必要な罪となるべき事実の記載を欠き,判決に理由を附さない違法があるといわざるを得ない。 ~
論旨は理由がある。原判決は,原判示第2の児童ポルノ製造罪と第1の青少年健全育成条例違反罪とが刑法45条前段の併合罪の関係にあるものとして1個の刑を科しているから,結局,その余の控訴趣意について判断するまでもなく,原判決は全部につき破棄を免れない。
第4破棄自判
よって,刑訴法397条1項,378条4号により原判決を破棄し,同法400条ただし書により,当裁判所において更に判決する。
(罪となるべき事実)

裁判年月日 令和元年12月 4日 裁判所名 新潟地裁 裁判区分 判決
事件番号 平30(わ)185号
事件名 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、わいせつ略取、強制わいせつ致死、殺人、死体遺棄、死体損壊、電汽車往来危険被告事件
裁判年月日 令和元年12月 4日 裁判所名 新潟地裁 裁判区分 判決
事件番号 平30(わ)185号
事件名 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、わいせつ略取、強制わいせつ致死、殺人、死体遺棄、死体損壊、電汽車往来危険被告事件
文献番号 2019WLJPCA12046009
 上記の者に対する児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,わいせつ略取,強制わいせつ致死,殺人,死体遺棄,死体損壊,電汽車往来危険被告事件について,当裁判所は,検察官中野康典,同藤井慎一郎及び同松居徹並びに国選弁護人小淵真史(主任)及び同二宮淳悟各出席の上審理し,次のとおり判決する。 
理由
(罪となるべき事実)
 第1 被告人は,自分の性的好奇心を満たす目的で,平成29年11月27日,新潟県上越市〈以下省略〉所在のa警察署において,以下の各動画データを記録した児童ポルノである記録媒体を内蔵した携帯電話機1台を所持した。
  1 他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録である動画データ1点
  2 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録である動画データ1点
法令の適用)
 罰条
 判示第1の行為 包括して児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条1項前段(2条3項2号,3号)