児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「「今日暇だから自撮りでも送ってよ」「むねとかね」「あーいいんだー」「まわっても」等のメッセージを送信し,いずれもその頃,前記●●●において,前記Aにこれらを閲覧させ,同人の胸を撮影した画像の送信を要求し,その要求に応じなければ,同人の名誉に危害を加えかねない旨を告知して同人を脅迫し,同人を怖がらせ,」という強要被告事件の罪となるべき事実(千葉地裁H31.2.22)

 
「よって,同日午後7時37分頃から同日午後7時59分頃までの間,3回にわたり,同人に,乳房を露出するなどした姿態をとらせ,これを同人の携帯電話機で撮影させた上,前記「ツイッター」のダイレクトメール機能を利用して,その画像データ3点を被告人の使用する携帯電話機に送信させ,」はわいせつ行為なので、これでは強制わいせつ罪と区別できません。理由不備じゃないですかね。




千葉地裁平成31年 2月22日強要未遂、強要、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
 上記の者に対する強要未遂,強要,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件について,当裁判所は,検察官栃倉信及び弁護人古川薫各出席の上審理し,次のとおり判決する。
理由
 (罪となるべき事実)
 被告人は,
 第1 A(当時16歳)の性行為を撮影した動画を入手したと装って同人を脅迫し,被告人との性交等に応じさせようと考え,
 1 平成30年11月5日午後2時34分頃から同日午後8時8分頃までの間,千葉市〈以下省略〉a消防署b出張所において,被告人の使用する携帯電話機から,アプリケーションソフト「ツイッター」のダイレクトメール機能を利用して,前記Aが使用する携帯電話機に,「あなたの,はめどり見してもらったけど」「なら動画はまわるけど」「やってくれるなら動画消してあげる」「口でいかしてくれたら本番はないかもねー」「じゃー明日フェラ動画撮らせて」「ゆうこと聞けないなら回すからいいや」等のメッセージを送信し,いずれもその頃,●●●において,前記Aにこれらを閲覧させ,被告人との性交及び前記Aが口淫する様子を動画撮影させることを要求し,その要求に応じなければ,同人の名誉に危害を加えかねない旨を告知して同人を脅迫し,もって同人に義務のないことを行わせようとしたが,同人が同月6日に警察に届け出たため,その目的を遂げなかった。
 2 同月5日午後4時10分頃から同日午後7時54分頃までの間,前記a消防署b出張所において,被告人の使用する携帯電話機から,前記「ツイッター」のダイレクトメール機能を利用して,前記Aが使用する携帯電話機に,「今日暇だから自撮りでも送ってよ」「むねとかね」「あーいいんだー」「まわっても」等のメッセージを送信し,いずれもその頃,前記●●●において,前記Aにこれらを閲覧させ,同人の胸を撮影した画像の送信を要求し,その要求に応じなければ,同人の名誉に危害を加えかねない旨を告知して同人を脅迫し,同人を怖がらせ,よって,同日午後7時37分頃から同日午後7時59分頃までの間,3回にわたり,同人に,乳房を露出するなどした姿態をとらせ,これを同人の携帯電話機で撮影させた上,前記「ツイッター」のダイレクトメール機能を利用して,その画像データ3点を被告人の使用する携帯電話機に送信させ,もって前記Aに義務のないことを行わせた。
 第2 前記Aが18歳に満たない児童であることを知りながら,同日午後7時59分頃,前記●●●において,前記Aにその乳房を露出させる姿態をとらせ,これを同人の使用する携帯電話機で撮影させた上,前記「ツイッター」のダイレクトメール機能を利用して,その画像データ1点を被告人の使用する携帯電話機に送信させ,その頃,前記a消防署b出張所において,上記画像データを受信して同携帯電話機の記録装置に記録させて保存し,もって衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である前記Aに係る児童ポルノを製造した。
 (証拠の標目)
 (法令の適用)
 被告人の判示第1の1の所為は刑法223条3項,1項に,判示第1の2の所為は同項にそれぞれ該当するが,これらを包括して一罪として処断することとし,被告人の判示第2の所為は児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項,2項,2条3項3号に該当するところ,判示第2の罪について所定刑中懲役刑を選択し,以上は刑法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により犯情の重い判示第2の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役2年に処し,情状により同法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予し,訴訟費用は,刑訴法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。
 (量刑の理由)
 被告人は,自己の性欲を満たすため,被害女児の性行為を撮影した動画を入手したと装い,当時16歳の被害女児に対し,被告人との性交に応じること,被害女児が口淫する様子を動画撮影させること,被害女児に乳房を露出するなどした姿態をとらせ,これを撮影した画像データを送信することなどを要求し,これらの要求に応じなければ,被害女児の性行為を撮影した動画を拡散させるなどのメッセージを伝えて脅迫し,上記画像データを被告人の使用する携帯電話機に送信させて保存し,児童ポルノを製造したものである。動機が自己中心的で身勝手極まりなく,態様も執拗で卑劣なものである。被害女児は,本件被害に遭い,多大な恐怖心や差恥心を抱くなどの精神的苦痛を被っており,将来にわたる精神的な悪影響も懸念されるところであって,被害結果を軽視することはできない。被害女児は,被告人側からの示談の申入れを拒絶し,被告人を厳重に処罰するよう求めているが,上記のような被害結果等に照らすと,その心情も十分に理解できるところである。そうすると,被告人の刑事責任については決して軽く見ることができない。
 もっとも,これまで前科がなく,21歳と若年の被告人が,素直に事実関係を認めて反省の態度と更生の意欲を示し,精神科クリニックに通院するなどして再犯防止に努めていること,被告人と同居している母親が,当公判廷に出廷し,被告人の監督を誓約したこと,本件が発覚したことで,自業自得とはいえ,被告人の名前等が広く報道され,消防士の職を懲戒免職されるなど,既に大きな社会的制裁を受けていることなど,被告人のために酌むべき事情もある。
 そこで,以上の事情を総合考慮した結果,被告人を主文のとおりの懲役刑に処してその刑事責任を明確にした上で,今回に限りその刑の執行を猶予して,被告人に社会内で更生する機会を与えるのが相当であると判断した。
 (求刑 懲役2年)
 平成31年2月22日
 千葉地方裁判所刑事第3部
 (裁判官 髙橋正幸)

強制性交被告事件(177条後段)の罪となるべき事実で「養女と性交しようとした」とする一審判決について、「強制性交等未遂罪の事実を判断する際は、実行の着手があったことを認める具体的事実を記載しなければいけない」として原判決を破棄した事例(宮崎支部R01.9.26 1審宮崎地裁R01.6.20)

強制性交被告事件(177条後段)の罪となるべき事実で「養女と性交しようとした」とする一審判決について、「強制性交等未遂罪の事実を判断する際は、実行の着手があったことを認める具体的事実を記載しなければいけない」として原判決を破棄した事例(宮崎支部R01.9.26 1審宮崎地裁R01.6.20)

 被告人控訴で理由不備の破棄だと思われます。上訴申立後の未決勾留の日数(約3ヶ月)が全部本刑に通算されます。1審は実刑判決の割には雑な審理だった印象になります。

刑訴法第三七八条[同前━絶対的]
 左の事由があることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつてその事由があることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。
四 判決に理由を附せず、又は理由にくいちがいがあること。
・・・
刑訴法 第四九五条[未決勾留日数の法定通算]
①上訴の提起期間中の未決勾留の日数は、上訴申立後の未決勾留の日数を除き、全部これを本刑に通算する。
②上訴申立後の未決勾留の日数は、左の場合には、全部これを本刑に通算する。
一 検察官が上訴を申し立てたとき。
二 検察官以外の者が上訴を申し立てた場合においてその上訴審において原判決が破棄されたとき。
③前二項の規定による通算については、未決勾留の一日を刑期の一日又は金額の四千円に折算する。
④上訴裁判所が原判決を破棄した後の未決勾留は、上訴中の未決勾留日数に準じて、これを通算する。

 刑法はこう言う条文配列で、13未満については特則があるので、監護者性交ではなく強制性交(177後段)が適用されるんですが、179条2項が特則だという主張も考えられます。

第一七七条(強制性交等)
 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

第一七九条(監護者わいせつ及び監護者性交等)
2十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条の例による。

高裁宮崎支部も懲役4年の判決 養女に性的暴行未遂 /宮崎県
2019.09.27 朝日新聞
 養女にした妻の連れ子の12歳の少女に性的暴行をしようとしたとして、強制性交等未遂罪に問われた県内の男の控訴審判決が26日、福岡高裁宮崎支部であった。芦高源裁判長は一審・宮崎地裁判決を事実の記載が不十分として破棄した上で、改めて強制性交等未遂罪の成立を認め、一審と同じ懲役4年を言い渡した。
 高裁判決によると、男は昨年11月上旬ごろ、自宅で少女に暴行しようとした。
 一審判決で性的暴行を裏付ける具体的な行為が明示されていなかったことから、高裁では検察側の訴因変更請求を認め、判決でその内容は認定された。弁護側は性交の意志を否定して無罪を主張したが、認められなかった。
・・・

養女乱暴未遂男に懲役4年/高裁宮崎判決
2019.09.27 宮崎日日新聞 当時12歳の養女を乱暴しようとしたとして強制性交等未遂の罪に問われた男の控訴審判決で、福岡高裁宮崎支部は26日、懲役4年とした一審宮崎地裁判決を破棄し、「罪となるべき事実」を一部修正した上で改めて懲役4年を言い渡した。
 芦〓源裁判長は、罪となるべき事実で「養女と性交しようとした」とする一審判決について、「強制性交等未遂罪の事実を判断する際は、実行の着手があったことを認める具体的事実を記載しなければいけない」と指摘。控訴審判決では具体的な文言を加えた。

1審判決

強制性交未遂 懲役4年判決 地裁=宮崎
2019.06.21 読売新聞
 養女にわいせつな行為をしようとしたとして強制性交未遂罪に問われた県内の男に対し、宮崎地裁(福島恵子裁判長)は20日、懲役4年(求刑・懲役7年)の判決を言い渡した。
 判決によると、男は昨年11月上旬頃、自宅で養女(当時12歳)にわいせつな行為をしようとした。福島裁判長は「性交に応じなければ坊主頭にする旨を述べ、性交に及ぼうとしたもので、監護者としての立場を利用した卑劣な犯行」と指摘した。

監護者性交・監護者わいせつの報道や判例DBで公開されている判決

小樽支部のは非公開か

裁判所 支部 判決日 宣告刑(年) 宣告刑(月) 猶予 求刑(年) 求刑(月) 罪名 未遂既遂
札幌   H29.12.13 7年     10年   監護者性交  
熊本   H29.12.25       5年   監護者性交  
熊本   H29.12.25       5年   監護者性交  
熊本   H30.2.2 5年     5年   監護者性交  
熊本   H30.2.2 5年     5年   監護者性交  
新潟 高田 H30.2.7 5年     6年   監護者性交等
監護者わいせつ
 
新潟 高田 H30.2.7       6年   監護者性交  
旭川   H30.3.2 3年   5年 3年   監護者わいせつ  
前橋   H30.3.19 7年     8年   監護者性交  
大分   H30.5.15 5年     5年   監護者性交  
長崎   H30.5.16 5年     6年   監護者性交  
長崎   H30.5.16 5年     6年   監護者性交  
長崎   H30.5.16 5年     6年   監護者性交  
長崎   H30.5.16 5年     5年   監護者性交  
長崎   H30.5.16       6年   監護者性交  
岡山   H30.5.23 2年 6月   4年   監護者わいせつ  
福岡   H30.6.28 5年     7年   監護者性交  
松山   H30.7.4 6年     8年   監護者性交  
松山   H30.7.24 6年     8年   監護者性交  
松山   H30.7.24       8年   監護者性交  
松山   H30.7.24       8年   監護者性交  
松山   H30.7.24 6年     8年   監護者性交  
大津   H30.7.31 6年     7年   監護者性交  
鹿児島   H30.8.7 5年 6月   6年   監護者性交  
鹿児島   H30.8.7 5年 6月   6年   監護者性交  
福島 郡山 H30.9.20 無罪     8年   監護者性交
児童淫行罪
 
千葉   H30.10.18 6年     7年   監護者性交  
千葉   H30.10.18 6年     7年   監護者性交  
千葉   H30.10.18 6年     7年   監護者性交  
甲府   H30.11.5 3年 6月   4年   監護者わいせつ  
徳島   H30.11.9 3年   4年 5年   監護者わいせつ  
徳島   H30.12.13 3年     5年   監護者わいせつ  
徳島   H30.12.13 3年     5年   監護者わいせつ  
熊本   H30.12.14 8年     9年   監護者性交  
熊本   H30.12.14 8年     8年   監護者性交  
熊本   H30.12.14 8年     8年   監護者性交  
神戸   H31.1.17 11年     13年   監護者わいせつ  
熊本   H31.2.1 6年     8年   監護者性交  
宮崎   H31.3.26 5年     7年   監護者性交  
宮崎   H31.3.26 5年     7年   監護者性交  
宮崎   H31.3.27 5年     7年   監護者性交  
熊本   H31.3.27 5年     6年   監護者性交  
福岡 小倉 H31.3.28 4年     5年   監護者性交 未遂
福島 郡山 H31.3.28 6年     6年   監護者性交  
前橋   H31.3.28 9年     10年   監護者性交  
前橋   H31.3.28 9年     10年   監護者性交  
前橋   H31.3.28       10年   監護者性交  
岐阜   R1.5.24       8年   監護者性交  
岐阜   R1.6.13 6年     8年   監護者性交  
岐阜   R1.6.13 6年     8年   監護者性交  
山口   R1.6.19 6年     9年   監護者性交  
大分   R1.8.5       7年   監護者性交  
大分   R1.8.5 6年     7年   監護者性交  
鳥取   R1.9.4 5年 6月   7年   監護者性交  
岐阜   R1.9.24 5年     5年   監護者性交 未遂

 

 

監護者性交の判決報道

 報道をまとめただけです。未遂でも実刑ですね。
 弁護人に加えて頂ければ、もっと詳細に調査します。

 

 

裁判所 支部 判決日 宣告刑(年) 宣告刑(月) 猶予 求刑 罪名
札幌   2017/12/13 7年     10年  
熊本   2017/12/25       5年  
熊本   2017/12/25       5年  
熊本   2018/2/2 5年     5年  
熊本   2018/2/2 5年     5年  
新潟 高田 2018/2/7 5年     6年 監護者性交等罪と監護者わいせつ
新潟 高田 2018/2/7       6年  
旭川   2018/3/2 3年   5年 3年 監護者わいせつ
前橋   2018/3/19 7年     8年  
大分   2018/5/15 5年     5年  
長崎   2018/5/16 5年     6年  
長崎   2018/5/16 5年     6年  
長崎   2018/5/16 5年     5年  
長崎   2018/5/16       6年  
福岡   2018/6/28 5年     7年  
松山   2018/7/24 6年     8年  
松山   2018/7/24 6年     8年  
松山   2018/7/24       8年  
松山   2018/7/24       8年  
鹿児島   2018/8/7       6年  
千葉   2018/10/18 6年     7年  
千葉   2018/10/18 6年     7年  
熊本   2018/12/14 8年     9年  
熊本   2018/12/14 8年     8年  
熊本   2018/12/14 8年     8年  
熊本   2019/2/1 6年     8年  
宮崎   2019/3/26 5年     7年  
宮崎   2019/3/26 5年     7年  
熊本   2019/3/27 5年     6年  
宮崎   2019/3/27 5年     7年  
前橋   2019/3/28 9年     10年  
前橋   2019/3/28       10年  
福岡 小倉 2019/3/28 4年     5年 未遂
福島 郡山 2019/3/28 6年     6年  
岐阜   2019/5/24       8年  
岐阜   2019/6/13 6年     8年  
岐阜   2019/6/13 6年     8年  
山口   2019/6/19 6年     9年  
大分   2019/8/5       7年  
大分   2019/8/5 6年     7年  
鳥取   2019/9/4 5年 6月   7年  
岐阜   2019/9/24 5年     5年 未遂

 

 

 

「一身上の都合を理由に退職を申し出た際、一連の行為を校長に説明し」懲戒免職

 黙って依願退職すれば懲戒免職は回避できますよね。

わいせつ:女子中生に6度、教諭がわいせつ 県教委、懲戒免職 /兵庫
2019.09.25 地方版/兵庫 22頁 (全230字) 
 県教委は24日、特定の女子生徒にキスするなどのわいせつ行為を計6回したとして、県内の公立中の20代男性教諭を懲戒免職処分にした。
 県教委によると、昨年11月から今年4月、無人の教室で生徒を抱き締めたり、自分の車に乗せてキスしたりした。相談に乗るうちにわいせつ行為に発展した。

 教諭が今年8月、一身上の都合を理由に退職を申し出た際、一連の行為を校長に説明した。県教委の調査に「生徒に一生償うことのできない大変なことをしてしまった」と話しているという。
〔神戸版〕
毎日新聞社

https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201909/0012729652.shtml
県教委によると、男性教諭は2018年11月から19年4月までの間に3回、教室で女子生徒を抱きしめたり、尻を触ったりした。また19年4月、自家用車内で胸を直接触ったり、キスをしたりした。8月に教諭が校長に退職を申し出たことから発覚。女子生徒の悩み相談に応じるうちに「好意を抱くようになってしまった」と話しているという。県教委は指導監督責任を問い、校長も訓告とした。<<

A(16)が、対償供与(約束)の時点では「18歳」、性交等の時点では「15歳」と自称した児童買春事件で、弁護人から対償供与(約束)実行行為説に基づき対償供与(約束)時点において児童という認識がないから児童買春罪不成立という主張がなされ、対償供与(約束)時点での未必の故意を認めた事案(棒地裁)

 弁護人は奥村です。 
 検察官は、対償供与(約束)は実行行為ではなく、誰が約束・供与したかを問わず、対償供与(約束)を前提にして児童と認識して性交等をすれば、児童買春罪になると主張していました。
 検察官の主張によれば、対償供与(約束)時点での年齢認識は問題にならない筈ですが、裁判所は、必要説に立って、未必的な認識があったという認定をしています。



対償供与(約束)実行行為説
okumuraosaka.hatenadiary.jp

 侵入して数人にわいせつ行為をしても処断刑期は強制わいせつ1罪の法定刑にとどまる現象=かすがい効果

 報道の事件で建造物侵入の成否や罪数がわかりませんが、 女子寮や民宿の大部屋への侵入+数人への強制わいせつ事件ではかすがい現象によって科刑上一罪となって、被害者数人でも処断刑期の上限が10年(併合罪だと15年)になることがあります。
  普通、4人にわいせつ行為すると、最高懲役15年になりますが、1室に4人寝ていたところに侵入してわいせつ行為すると、最高懲役10年になります。

 侵入罪を犯せば処断刑期が下がるのが不合理だとして、「かすがい」になる罪を起訴しないことを「かすがい外し」と呼びます。
 条解刑法の最決平21・7・7は奥村の事件ですが、訴因変更でわいせつ頒布・児童ポルノ頒布の余罪が追加されているので科刑上一罪にならない(訴因変更無効)という上告理由に対して、科刑上一罪という判例になりました。

条解刑法
かすがい現象
かすがい現象とは,それ自体としては併合罪の関係にある数罪が,それぞれある罪と観念的競合又は牽連犯の関係に立つことによって,その罪が「かすがい」の作用を果たす結果,それらの全体が科刑上ー罪として取り扱われることをいう。
牽連犯がかすがいになる例として,住居侵入の上数名を殺害した場合があり,数個の殺人罪がl個の住居侵入罪とそれぞれ牽連犯の関係にあるものとされ,全体がー罪として最も重い罪の刑により処断されることになる(最決昭29・5・27集85 741)。
また,観念的競合がかすがいとなる例としては,中間搾取(労基118①・6)と公衆道徳上有害な業務に就かせる目的による職業紹介(職安63(2))との間(最判昭33・5・6集127 1297),戸別訪問の罪(公選239①(3) 138)と事前運動の罪(公選239①(1)・129)及び数
個の買収の罪(公選221①(1))との問(最判昭36・5・26集15-5-871)がある(なお,最判昭35・4・28集14-6-822参照)。もっとも,従来批判の多かった前掲最判昭33・5・6については,最大判昭49・5・29集284 114等(弘条注2参照)に従えば,観念的競合とは認められないことになろう。また,新しい犯罪類型に関するものとして,最決平21・7・7集63-6-507は.児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項にいう児童ポルノを,不特定又は多数の者に提供するとともに,これらの者に提供する目的で所持した場合には,児童の権利を擁護しようとする立法趣旨に照らし児童ポルノ提供罪(同法7④)と同提供目的所持罪(同法7⑤)とは併合罪の関係に立つが,児童ポルノであり,かつ,刑法175条のわいせつ物である物を,他のわいせつ物である物を含めこれらの者に頒布して提供するとともに.これらの者に有償頒布して提供する目的で所持した場合には,わいせつ物頒布と同有償頒布目的所持が包括して一罪を構成するところその一部であるわいせつ物頒布と児童ポルノ提供.わいせつ物有償頒布目的所持と児童ポルノ提供目的所持は,それぞれ社会的,自然的事象としては同一の行為であって観念的競合の関係に立つから,結局以上の全体がー罪となるとしている。

https://digital.asahi.com/articles/ASM9R5FD0M9RPIHB006.html
 美方署によると、容疑者は今月18日午後10時~19日午前6時半の間に、同県香美(かみ)町にある尼崎市立の宿泊型研修施設で、小学5年の女児が寝ている部屋に入り、就寝中の4人にわいせつな行為をした疑いがある。被害に気付いた女児から相談を受けた女性教諭が、19日に施設近くの駐在所に届け出た。

わいせつ自撮り」を女子高生に強制した行為を強制わいせつ罪とした事例(長崎地裁R010917)

 こういう新種の行為が何罪かということになると、「わいせつ」の定義が必要ですが、最高裁判例では定義はありません。
 同様の行為について、強制わいせつ罪ではなく強要罪とした高裁判例があります。
東京高等裁判所H28.2.19
広島高裁岡山支部H22.12.15

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190917-00010003-ktn-l42
わいせつ自撮り」を女子高生に強制した男に実刑判決【長崎地裁
9/17(火) 18:44配信KTNテレビ長崎
「わいせつ自撮り」を女子高生に強制した男に実刑判決【長崎地裁
わいせつな自撮り画像を送らせた男に判決
当時16歳の少女にわいせつな映像を送らせたとして強制わいせつなどの罪に問われた男に対し、長崎地裁実刑判決を言い渡しました。
実刑判決を受けたのは長崎市の被告。
判決によりますと被告は去年10月、無料通信アプリ「LINE」のビデオ通話機能を使って当時16歳の少女にわいせつな姿の映像を送らせた強制わいせつの罪などに問われました。
小松本 卓 裁判官は「要求に応じなければ少女の顔写真をインターネット上に拡散するという脅迫もしていて、非常に悪質」と指摘し、懲役2年6ヵ月の実刑判決を言い渡しました。

「部員AとBが、部室で部員Cのスマートフォンのロックを無断で解除し、その中に保存されていた彼女との性交動画を発見。面白半分に、iPhoneのデータ共有機能『airdrop』で、その場にいた他の部員たちに共有したのです」(同前)動画は瞬く間に野球部以外の生徒にまで拡散した。(週刊文春20190928)の刑事責任

「部員AとBが、部室で部員Cのスマートフォンのロックを無断で解除し、その中に保存されていた彼女との性交動画を発見。面白半分に、iPhoneのデータ共有機能『airdrop』で、その場にいた他の部員たちに共有したのです」(同前)動画は瞬く間に野球部以外の生徒にまで拡散した。(週刊文春20190928)の刑事責任

彼女が児童であれば
Cは児童ポルノ姿態をとらせて製造罪、単純所持罪
ABは、児童ポルノ公然陳列罪・提供罪、わいせつ電磁的記録記録媒体公然陳列罪・頒布罪、リベンジポルノ罪 名誉毀損
彼女が児童でなければ
ABは、わいせつ電磁的記録記録媒体公然陳列罪・頒布罪、リベンジポルノ罪 名誉毀損
が検討されるでしょう。
 最も重い罪は児童ポルノ公然陳列罪・提供罪

第七条(児童ポルノ所持、提供等)
 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。
2児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
3前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
4前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
5前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
6児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
7前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
8第六項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを外国に輸入し、又は外国から輸出した日本国民も、同項と同様とする。
・・・
私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律
第三条(私事性的画像記録提供等)
 第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2前項の方法で、私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者も、同項と同様とする。
3前二項の行為をさせる目的で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を提供し、又は私事性的画像記録物を提供した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
4前三項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
5第一項から第三項までの罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三条の例に従う。

週刊文春20190928)
「辞退の原因は部員の撮影した〃ハレンチ動画〃です」と明かすのは、早実の野球部関係者。引き金は今年の夏に起きた出来事だった。「部員AとBが、部室で部員Cのスマートフォンのロックを無断で解除し、その中に保存されていた彼女との性交動画を発見。面白半分に、iPhoneのデータ共有機能『airdrop』で、その場にいた他の部員たちに共有したのです」(同前)動画は瞬く間に野球部以外の生徒にまで拡散した。「学校はこの件を夏休み明けの九月五日頃に把握。その後三日間ほどかけて、部員の聞き取り調査や、スマホのチェックを実施しています。授業時間中に個別で呼び出された部員もいました。現在までに、少なくとも五人の部員が学校から処分待ちの自宅待機を命じられ(週刊文春20190928)

26年前に中学教師から受けた「性被害」、訴えた教え子が敗訴 「時間の壁」越えられず(札幌地裁R01.08.23)

 判決書は札幌市への情報公開請求で入手可能です。
 

札幌地裁R01.08.23
その他,本件において,原告が除斥期間の経過前に本訴請求に係る損害賠償請求権を行使することが現実的に困難であるなどの特段の事情があるとは認められないから,加害行為の時が除斥期間の起算点となると解することが原告にとって著しく酷であるとも言えない
(3) したがって,原告らの主張に,係る被告教諭から原告の受けた性被害は「加害行為が行われた時に損害が発生する不法行為の場合」に該当し,原告らの主位的請求及び予備的請求に係る損害賠償請求権は,~ これが仮に成立するとしても,その除斥期間の起算点は被告教諭による最終の加害行為があったという平成9年7月頃となり、本訴が提起される前に20年の除斥期間(民法724条後段)が経過したことにより消滅したこととなる(仮に被告らの主張を前提としても,被告教諭による最終の加害行為があったのは平成10年秋頃となるにすぎず,原告らの主位的請求及び予備的請求に係る損害賠償請求権が本訴提起前の20年の除斥期間の経過により消滅したことに変わりはない。)
3以上と異なる原告らの主張は,上記1で認定し,上記2で判示したところに照らして採用することができない。
第4結論
よって 原告らの主位的請求及び予備的請求は, その余の点(争点(1)被告教諭の不法行為責任、被告市の国家賠償責任、争点(2)原告の被った損害及びその額,争点(3)消滅時効)について判断するまでもなく、いずれも理由がないから, これを棄却することとして,主文のとおり判決する。

民法 第七二四条
不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
第七二四条 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190823-00010045-bengocom-soci
訴状などによると、さんは1993年3月、中学卒業式の前日に教師から呼び出され、キスされるなどわいせつな行為をされたという。わいせつな行為は19歳になるまで繰り返され、さんは2016年2月にPTSDを発症したと訴えていた。

争点となったのは、20年間を経過すると賠償請求の権利が消滅してしまう「除斥期間」を過ぎているかどうかだった。さん側はPTSDと診断された2016年を起算点としたが、裁判所はこれを認めず、除斥期間は過ぎていると判断した。さんは控訴する意向を示している。

売春代金を払うつもりがないのに、払うと偽って買春行為をした場合の詐欺利得罪の成否

 雑誌から原稿依頼があって、調べて結論を出したら、それなら原稿書かなくていいですということで調べた結果を置いときます。

 否定説(札幌高裁)と肯定説(名古屋高裁)があるんですがどちらも昭和30年以前の事件で、売春防止法施行前です。
 売春防止法違反施行後の行為については、強盗罪の広島地裁s43が否定説です。
 売春代金の詐欺罪は最近も見かけません。

条解刑法 
公序良俗に違反する契約のため民法上対価請求権の認められない場合において,欺く行為によりその請求を免れる行為に関し,裁判例は,売春させた後女子を欺いてその対価の支払を免れた事例につき,詐欺利得罪を認めるもの(名古屋高判昭30・12・13判時69-26)と否定するもの(札幌高判昭27・11・20高集511 2018)とがある(大コンメ2版(13)18参照)。
・・・
判例コンメンタール刑法第3 巻p295
③ 売淫行為をする意思なく、かつ前借金を返済する意思がないのにかかわらずこれあるごとく装い、相手方を欺問して前借金の交付を受ければ、前借契約の民事的効力の如何を拘わず詐欺罪が成立する(最決昭3. 9 ・1 )
もっとも、2 項詐欺については、判例・学説ともに見解が分かれる。
売淫料である遊興代金であっても、欺罔手段によりその支払を免れる行為は、詐欺罪を構成するとする判例(名古屋高昭30 ・12 ・13 ) とこれを否定する判例(札幌高判昭27 ・11 ・20 ) 、なお、2 項強盗について、売春代金は非財産的利益であるとしてその成立を否定した広島地判昭43 . 12 . 24 ) がある。
学説も、売淫の財産的利益自体は認められないとして売淫料を免れる詐欺を否定する説(大塚・各論352 、高橋・大コンメ刑法Ⅱ13・16 、西田 各論186 ほか)と肯定説(同藤各論618 、内田・各論306 、前田 ・各論238 、大谷・各論280 ほか)に分かれるほか、そもそも民事上保護されない利益については2 項詐欺の客体から除外すべきであるとする有力説がある(山口・各論244) 。
売淫料のように公序良俗に反するものは、法的保護に依せず、本罪にいう財産上の利益とは認めがたいといえよう。もっとも、売淫料を免れるために暴行を加えて致傷の結果を生じさせた場合に、これを単なる傷害(致死)として擬律することには若干の躊躇があるが、少なくとも、人の生命・身体に危険が及ぶものではない本罪については、その成立を否定するのが妥当であろう。(担当渡辺咲子)

       詐欺被告事件
札幌高等裁判所昭和27年11月20日
【掲載誌】  高等裁判所刑事判例集5巻11号2018頁
       高等裁判所刑事裁判速報集15号17頁

       主   文

 原判決を破棄する。
 被告人を懲役拾月に処する。
 但本裁判確定の日から参年間右刑の執行を猶予する。
 原審及び当審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。

       理   由

 弁護人中田克已知の控訴趣意は同人提出の控訴趣意書記載の通りであるから、ここにこれを引用する。
 弁護人の控訴趣意第一点について、
 原判決判示罪となるべき事実中第二の(一)中「恰も飲食遊興費等支払うものの如く装いて清酒、銚子で十六本、ビール四本、料理三皿、通し物一皿、フルーツ一皿合計三千二百三十円相当を出させて飲食し、hを同衾して宿泊しその宿泊及び遊興費千円総計四千二百三十円の債務を負担したる後云々」と判示していることは所論の通りであつて、原判決挙示の証拠中hの検察官に対する第一回供述調書中「淫売料は一晩で千円でその中から営業主の方に三百円位を蒲団代としてやつて居ります私が本年六月十九日の晩にkと云う人の要求により同人に淫売した、同人が金をくれると思うたからで、金をくれないのであれば売るのではなかつたのです」との供述記載によると、原判決が「hを同衾して宿泊しその宿泊及び遊興費千円」というのは、売淫料の千円であることが認められるのであつて、総計金四千二百三十円中にはこの千円が入つていることが認められる。元来売淫行為は善良の風俗に反する行為であつて、その契約は無効のものであるからこれにより売淫料債務を負担することはないのである。従つて売淫者を欺罔してその支払を免れても財産上不法の利益を得たとはいい得ないのである。よつて右千円については詐欺罪は構成しない。然るに原判決は、これをもつて、債務を負担したる後その支払を免れ、財産上不法の利益を得たものとして処断したのであるから、原判決には事実の誤認があり、この誤認は判決に影響を及ぼすものであるから破棄を免れない。弁護人は原判決は理由にくいちがいがあるというのであるが、その内容は事実の誤認を主張するのであるから此点において、論旨は理由がある。
(裁判長判事 藤田和夫 判事 成智寿朗 判事 臼居直道)

名古屋高等裁判所判決昭和30年12月13日
高等裁判所刑事裁判速報集147号
高等裁判所刑事裁判特報2巻24号1276頁
判例時報69号26頁

原判決は本件公訴事実中被告人がhを欺罔し二回に亘り同人の抱芸妓wと遊興した代金合計二千五百円の支払を免れ財産上不法の利益を得光点に関し被告人が支払を免れた遊興代金は売淫料である旨認定し、売淫契約は公序良俗に反する無効のものであつて財産上不法の利益を得たとはいゝ得ないから詐欺罪を構成しない旨判示し、右詐欺の点を無罪とした。然しながら原審認定の契約が売淫を含み公序良俗に反し民法第九十条により無効のものであるとしても民事上契約が無効であるか否かということと刑事上の責任の有無とはその本質を異にするものであり何等関係を有するものでなく、詐欺罪の如く他人の財産権の侵害を本質とする犯罪が処罰されるのは単に被害者の財産権の保のみにあるのではなく、欺る違法な手段による行為は社会秩序を乱す危険があるからである。そして社会秩序を乱す点においては売淫契約の際行われた欺罔手段でも通常の取引における場合と何等異るところがない。今本件につき検討するに、原判決は本件公訴事実中被告人が右h方を訪れ同家の抱芸妓wを相手に二回に亘り無銭遊興をした事実を肯認しながら、右は二回共判示メトロホテルで近子と同衾宿泊した(二回共メトロホテルで同衾した旨の原判決は事実誤認で初めの一回は右h方である)近子の花代即ち売淫料である旨認定しているけれども、前説明の如く売淫料も刑法第二百四十六条第二項℃詐欺罪の対象となり得るから詐欺罪を構成しない旨判示した
原判決は法律の適用に誤があり、その誤は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、右無銭遊興が全部売淫料であるか否かを判断する迄もなくこの点において原判決は失当であつて破棄を免れない。
よつて刑事訴訟法第三百九十七条第一項、第三百八十条に則り原判決を破棄し、当裁判所は同法第四百条但書に則り更に次の通り自判する。
罪となるべき事実は原判示第一を
被告人は
第一、
(イ)昭和三十年七月五日午前零時頃名古屋市芸妓置屋「」ことh方において同女に対し、真実遊興代金支払の意思がないのにある様に装い遊興方申入れ同女をしてその旨誤信させ、同時刻から同日午前十時頃迄の間同置屋抱芸妓wと遊興させ、その間の遊興代金の支払を免れ、以て財産上不法の利益を得
(ロ)約束手形を偽造し之を行使して遊興代金の支払を免れんことを企て昭和三十年七月五日午後八時頃同区メトロホテルことi客室において行使の目的を以て約束手形用紙に擅にs名義を冒書し、その名下に同日印刷風より買求めたsなる認印を押捺して佐藤てい振出の額面三万五千円、支上期日同年六月二十五日、支払場所東海銀行今池支店、支払地振出地共名古屋市、宛名人h商店という約束手形一通を偽造し、同日午後九時頃遊興代金支払の意思がないのにある様に装つて同所から電話を以て右h方に遊興方申入れ同女をしてその旨誤信させ、同時刻から翌六日午前十啼頃迄の間右wと、遊興させ、同日午前十時頃同区若宮町四丁目二十番地k方において右hに対し右偽造の約束手形を真正に成立したものの様に装つて提示し「この約手で金を作って来て支払う」旨申向けて之を行使して同女を欺岡し、その間の遊興代金千五百円の支払を免れ以て財産上不法の利益を得
たものである。旨訂正した外第二事実げ乃至(二)並びに前科の事実は原判決の記載と同じであるから之を引用する。
 (裁判長判事 高城運七 判事 柳沢節夫 判事 中浜辰男)

       強盗強姦被告事件
広島地方裁判所判決昭和43年12月24日
【掲載誌】  判例タイムズ229号264頁
       判例時報548号105頁
判例時報552号16頁
       理   由

(罪となるべき事実)
 被告人は昭和四一年五月に妻と結婚し、翌四二年五月に長女を出産したが、その前後ころ妻の体調がすぐれなかつたために性的不満をもつようになつたが、一方生活費も充分でなかつたため売春婦に対し暴行、脅迫を加えて無理に関係することにより不満を解消しようと考え、同年七月ごろ広島市内において右企図を実行したところ、被害を受けた売春婦らがいずれも売春行為の発覚をおそれて警察に届出ず、その企図が成功したため、翌四三年五月ごろの長男出産の前後にも同種犯行を思たち、
第一、(一)昭和四三年三月上旬の午後一〇時ごろ売春婦h(当時四三才)に対し「お姉さん遊ばんか」と声をかけて同女を広島市比治山町三番二三号とびきり旅館ことn子方二階一号室に誘い込み、同所において右hが売春料金を前金で請求したところ、矢庭に同女をベッドの上に引きづり上げ「金は持つていない。警察に言つてやろうか。」「殺してやる。」などと語気鋭く申し向け、ベッドに押し倒してその反抗を抑圧して強いて同女を姦淫し
(二)その直後ころ同所において前記暴行により同女が極度に畏怖しているのに乗じ金員を強取しようと決意し、反抗を抑圧されている同女からハンドバツグを取りあげてなかの財布から同女所有の現金二、〇〇〇円を抜き出してこれを強取し
第二、判示第一の犯行の成功により、再び売春婦に脅迫暴行を加えて強いて姦淫し、かつ金品を所持していれば同時にそれも強取しようと企て
(一)同年三月二九日午後一〇時すぎごろ売春婦n(当時三八才)を同市的場町二丁目三番二一号白鳥ホテルことg方二階つばめの間に誘い込み、同所において右nが売春料金を請求するや、矢庭に同女の顔面を数回殴打し、胸倉をつかんで「わしをだれじや思うとるんなら、ここまで来て帰ろうと思うか。」などと申し向けてベッドに押し倒し、強いて同女を姦淫し、さらに同女のハンドバッグを取り上げたうえ、なかの財布に入つていた同女所有の現金約八三〇円位と女物腕時計一個(時価約五、〇○○円相当)及び同女が指にはめていた指輪一個(時価約三、〇〇○円相当)を強取し
(二)同年五月九日午後一〇時すぎごろ売春婦s(当時三一才)を同市富士見町一〇番一号富士ホテルことm方に誘い込み、右kが売春料金を請求するや「わしを誰じや思うとるんなら」と申し向けて、矢庭に同女の顔面を二回位殴打する暴行を加え、同女の腕をつかんでベッドに押し倒し、さらにのど元を押えつけてその反抗を抑圧し、強いて同女を姦淫し、さらに同女のハンドバッグを取り上げ、そのなかの財布から同女所有の現金約二、三〇〇円位を強取し
(三)同年七月八日午後一一時ごろ売春婦n(当時二五才)を前記富士ホテルことm方に誘いこんだところ、右nが被告人の挙動から所持金のないことに気付いて帰ろうとするや、矢庭に「おどりやわしをだれじや思うとるんならと言つて右nの胸倉をつかみ顔面を数回殴打し、さらに、その場にあつた同女のハンドバッグ(昭和四三年押第一〇七号の一)の止め金部分で同女の頭部を数回強打し、首を締めつけてベッドに押し倒し同女に対し加療約一〇日間を要する頭部打撲傷、頸部捻挫の傷害を負わせて同女を失神させたうえ、強いて姦淫し、さらに右ハンドバッグから同女所有の現金一、三〇〇〇円及び同女所有の男物腕時計一個(時価約五、〇〇〇円相当)を強取したものである。
(証拠の標目)〈省略〉
(法令の適用)
 被告人の判示第一の(一)の所為は刑法一七七条前段に、同(二)の所為は同法二三六条一項に、判示第一の(一)乃至(三)の各所為はいずれも同法二四一条前段、二三六条一項に各該当するところ、判示第(二)の(一)乃至の各罪についてはいずれも所定刑中有期懲役刑を選択し、以上は同法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により最も重い判示第二の(三)の強盗強姦罪の刑に同法一四条の制限内で法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役八年に処し、なお同法二一条を適用して未決勾留日数中一二〇日を右刑に算入することとし、訴訟費用については刑事訴訟法一八一条一項但書により被告人に負担させないこととする。
(一部無罪の理由)
 本件公訴事実中いわゆる売春婦に暴行脅迫を加えてその反抗を抑圧して姦淫し売春料金相当の財産上不法の利益を得たとの点の要旨は
 被告人は判示第一の(一)及び第二の(一)乃至(三)の各事実につきいずれも「売春婦に脅迫暴行を加え、売春料金を支払わないで売春行為をなさしめるとともに金品を強取しようと企て」判示の各脅迫暴行を加えてその各反抗を抑圧して強いて姦淫した結果判示第一の(一)の事実につき売春料金五、〇〇〇円相当の、判示第二の(一)の事実につき売春料金金五、〇〇〇円相当の判示第二の(二)の事実につき売春料金三、〇〇〇円相当の、判示第二の(三)の事実につき売春料金二、〇〇〇円位相当のそれぞれ「財産上不法の利益」を得たと言うのである。(なお検察官は右事実をもつて強盗強姦罪として起訴しているものと認められる。)
 当裁判所が右の各事実売春料金相当の不法利益を得たとの点につき無罪とした理由は次のとおりである。
第一、構成要件該当性について
(一)刑法二三六条二項の強盗罪の構成要件に該当するためには「財産上不法の利益」を得ることを要するのであるが、まず売春婦との情交それ自体は財産上の利益と言い得ないことは明らかである。すなわち情交そのものは性欲の満足という本来非財産的利益であるから情交それ自体は賄賂の目的にはなつても(最高裁判第二小法廷昭和三六年一月一三日判決)財産犯の対象にはなり得ないものであつて、通常の婦女子に対する強姦罪が何等強盗罪の疑をかけられないこともこの理によるものであつて右の点で情交それ自体を労働等と同視して経済的利益と解することは妥当でないと言わなければならない。
(二)次に売春料金の支払を免れた点が財産上不法の利益を得たことになるか否かについて検討する。
 そもそも売春行為は「人としての尊厳を害し、性道徳に反し社会の善良の風俗をみだす」(売春防止法一条)ものであつて「何人も売春をし、又はその相手方となつてはならない」(同法三条)のであり、又その故にこそ売春防止法は売春に関し種々の刑事罰を科しその違法反社会性を強調しているのであり、もとよりその対価(同法で言う対価)の授受約束は公序良俗に反し無効であつて、売春行為自体は処罰対象にはなつていないものの、それは別の刑事政策に因るものであつて、これを放置放任する趣旨ではなく厳禁していることは前記のとおりであり、その売春防止法の趣旨よりすれば、その対価約束の違法性は強度のものであつて、単なる統制法規違反と比肩すべきではなく、むしろ犯罪行為の依頼を受けたものが依頼者にその報酬を請求する場合に似た明白に公序良俗に反する性質を有するものと考えられる。
 たしかに一般的には民事上保護を受け得ない対価の支払免脱でも刑事上処罰対象となり得ることは否めないにしても、単なる統制法規違反や違法性の軽微な場合はともかく、本件の如く対価の支払請求がまつたく公序良俗に反する場合には民事上のみならず、刑事上も対価請求は何等法的意味をもたないもの(刑法上の保護を受け得ないもの)として評価すべく、従つてこの支払を暴行脅迫をもつて免れても、事実上財産的利益を得た如くの外観を呈するが法的に観察すれば、何等「財産上の利益を得」たと言う構成要件に該当しないと言うべきである。(なお、すでに金銭その他の財産的給付を受けとり、その給付の原因が公序良俗に反する場合には別論が可能であろうか。)刑法財産犯の規定は単なる特定個人の具体的財産の保護よりも違法手段による利得行為が財産権一般に関する社会秩序を紊す危険を防止することにあることを強調するのであれば或は本件の場合に強盗罪を認めることができるかもしれないが、右の議論は利得行為の有無(構成要件該当性)についての法的評価を欠いた一般論であつて、当裁判所としては前記の如く被告人は違法手段を用いて社会秩序を紊しているのであつても(違法手段の点は暴行罪脅迫罪、強姦罪等に問えば足りる。)何等強盗罪に言う利得をしておらず従つて強盗罪の構成要件に該当せずと判断し、むしろ本件のような場合に強盗罪を成立させれば、犯罪行為の報酬に似た売春料金の支払を間接的に強制することとなり、民事上絶対に保護されない請求権を民事秩序を維持すべき刑法財産犯の規定が支持する結果となり、又通常の婦女子を強姦した場合より極端に重い刑(売春婦を強姦すれば常に強盗強姦罪になるとすれば強盗強姦罪の最低刑は懲役七年、仮に強盗罪と強姦罪の観念的競合と解しても最低刑は懲役五年で、通常の強姦であれば最低刑は懲役二年)を科することとなり、法秩序全体の均衡を著るしく破ることにもなり妥当でないと解するものである。
第二、責任について
 今、仮に構成要件該当性についての議論は暫くこれを措くとしてもなお被告人の犯意の点から見ても結局同一の結論に達せざるを得ないのである。公訴事実によれば被告人の犯意は「売春婦に脅迫暴行を加え売春料金を支払わないで売春行為をなさしめ」ることにあつたとされているが、当裁判所としては脅迫暴行を加えて反抗を抑圧しようということと、姦淫行為はともかく売春行為をなさしめることは二律背反ではないかという疑問を抱かざるを得ない。
 なるほど被告人は「反抗抑圧して強姦する意思」のほかに「只でやる意思」が存したように捜査官に対し自白しているが、脅迫暴行を加えて反抗を抑圧すれば通常の婦女子に対すると同様の強姦行為ではあつても、いわゆる売春行為はあり得ないのであつて強姦の犯意の存する限り対価支払云々の意思は強姦の犯意のなかに包摂霧消し去つているものと解せられるのではないかということである。すなわち犯人が売春料金につき詐欺又は恐喝の犯意を有している場合には、売春婦には完全ではないにしてもともかくその自由意思による売春行為の存する余地があり、その対価請求をすることが考えられるし、犯人としてもその犯意のうちに対価請求を当然予想するのであるが、本件の如く被害者に全く自由の失なわれている強姦の場合には売春婦といえどもまつたく通常の婦女子と同様に、完全なる被害者であつて、そこには既に対価請求なる概念の生ずる余地はないと考えられる。
 相手が売春婦であり、外観的に売春料金の支払免脱という事実が随伴するために「只で」という意思が事実あるかの如くみえるが、「脅迫暴行を加えても姦淫しよう」という意思がある場合には、相手が売春婦であることの特殊性は相手の物色、犯行の着手が比較的容易であり、かつ犯行が漏れにくいという点に存したのみで、こと姦淫行為に関しては相手が売春婦であるか否かはまつたく関係がないわけであるから、その点では通常の婦女子を強姦する犯意と同様であり、その対価支払を免れようという意思が存したと認めるには無理があり、従つて被告人は強姦の犯意のみを有しているのではないかとの疑問があり、前記自白は矛盾があり被告人には強盗の犯意は認められないと判断したわけである。
第三、以上いずれにしても売春料金の支払を暴行脅迫によつて免れて財産上不法の利益を得たとの点については犯罪の証明がないが、判示金品の強取の点と包括して強盗強姦罪として起訴されたと認められるから主文において特に無罪の言渡をしない。
 よつて主文のとおり判決する。(牛尾守三 青山高一 安原浩)

「児童の売買,児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書の実施に関するガイドライン」案に対するコメント(仮訳)から、日本政府の見解を垣間見る

 非実在とか自画撮りについて、委員会とは違う点があるようです。
 ガイドラインの仮訳がないのかを聞いています。



【参考2】児童の売買等に関する児童の権利条約選択議定書の実施に関するガイドライン案(英文)(PDF)     (2019年2月 「児童の売買,児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書の実施に関するガイドライン」案に対するコメント(仮訳)
DRAFT Guidelines on the implementation of the Optional Protocol to the Convention on the Rights of the Child on the sale of children, child prostitution and child pornography  
  個別のパラグラフに対する意見
The Committee underscores the pressing need to fight impunity for the offences covered by the OPSC.
The legislative measures for the implementation of the OPSC should cover, explicitly, all acts mentioned in article 3, including attempts to commit these acts.
Attention should be given to the prohibition of the sale of children for the purpose not only of sexual exploitation, but also for the purpose of transfer of organs, engagement in forced labour, and situations where adoption constitutes sale of children.
Furthermore, legislative measures should include the liability of both natural and legal persons, and should establish extraterritorial jurisdiction over all offences covered by the OPSC (article 4), as well as provide precise conditions and rules for extradition (article 5) and for the seizure and confiscation of goods (article 7).
(パラ16)第2文及び第4文について,本パラグラフの未遂罪及び法人責任に関する記載について,それぞれ選択議定書第3条2及び4に従って,「subject to the provisions of a State party’s national law」を追記することを提案する。
    18. The Committee urges States parties to ensure that national legislation does not, in any way, criminalise child victims of sale, sexual exploitation and sexual abuse, including children who have been sold and/or trafficked across borders. (パラ18)被害児童を被害に係る行為と関係のない罪で検挙する場合もあり得ることから,第1文から「in any way」を削除することを提案する。
    21. The Committee urges States parties to develop and implement a comprehensive and systematic mechanism for data collection, analysis, monitoring and impact assessment, as well as for its dissemination, which includes all issues covered by the OPSC.
Importantly, data collection should be coordinated between all relevant stakeholders, including a national statistical bureau, and data should be centralised to avoid incoherent or contradictory data between different State agencies.
 The Committee recommends, in particular, that States parties:
        (a) Implement a disaggregated approach to data, addressing how these offences affect different groups of children. As a minimum, data should be disaggregated by sex, age, and form of exploitation. Where possible, the Committee encourages States parties to disaggregate data also by national and ethnic origin, geographic location, socioeconomic status, and disability;
        (b) Collect data on how children access and use digital and social media and their impact on children’s lives and safety, and on factors that affect children’s resilience as they access and use ICTs;
        (c) Collect data on the number of cases reported (including to to the police and any other existing reporting mechansims), prosecutions, convictions and sanctions, as well as redress provided to victims, disaggregated by the nature of the offence, including with regard to online and offline activity, category of perpetrator, and abovementioned characteristics of victims;
        (d) Develop common indicators and a standardised data collection system in case data are collected at regional or local levels (e.g. municipalities) in the country;
        (e) All data should be collected with due respect for children’s right to privacy.
(パラ21)児童が被害者となった刑事事件の過程で得られた情報は,児童のプライバシーに関し秘匿性の高い情報を含むところ,第3文に「to the extent appropriate and possible」を追記することを提案する。
    41. Public education programmes to increase awareness, knowledge and reporting of cases of sale, sexual exploitation and sexual abuse of children should include an online-specific dimension, and specialised training for police, lawyers, prosecution and judiciary professionals must include specific parts on online issues, but also on online tools to facilitate victim identification techniques and rescue operations. (パラ41)警察,弁護士,検察官又は司法担当者に対する研修は,各職種において, 研修内容が異なることから,「in an appropriate and possible manner」を文末に追記することを提案する。
    43. Considering that child sexual abuse material, such as images and videos, can circulate indefinitely online, the Committee alerts States parties to the fact that the continuous circulation of such material, in addition to perpetuating the harm done to child victims, contributes to the promotion of a subculture in which children are perceived as sexual objects, and risks strengthening the belief among persons with a sexual interest in children that it is “normal” since many others share the same interest. The Committee therefore urges States parties to ensure that internet service providers control, block and, ultimately, remove such content as soon as possible as part of their prevention policies. (パラ43)インターネット上の児童ポルノは児童の権利を著しく侵害するものであることからブロッキングを行うこととしているが,その実施に際しては,インターネット利用に関する通信の秘密や表現の自由につき十分に配慮することが必要である。したがって,パラグラフ43の最終文に次のように追記することを提案する。

 The Committee therefore urges States parties to ensure that internet service providers control, block and, ultimately, remove such content as soon as possible as part of their prevention policies, with due consideration for secrecy of communications and freedom of expression.
    46. The Committee reminds States parties that, in accordance with article 3.2 OPSC, the obligation to criminalise the acts below shall apply also to attempts to commit any such acts, as well as to complicity or participation in any such acts. (パラ46)選択議定書第3条2に従って,「subject to the provisions of a State party’s national law」を文末に追記することを提案する。
    47. Sale of children is defined by the OPSC as the transfer of a child by any person (e.g. a parent) or a group of persons (e.g. a family) to another person in exchange for remuneration or any other consideration. It may entail the movement of a child to another place but not necessarily so. The “remuneration or any other consideration” is the core element of the sale of a child, and the payment of money (remuneration) is usually part of the exchange. While it is not specified who should receive the remuneration, it will most likely be the person or group who transfers the child to another person. It is also possible that money is used to pay a debt of the parents. However, there may be other reasons (consideration) for the sale of a child, e.g. the promise by the other person that the child will receive education or vocational training, or other kinds of offers for a better future.
    48. The sale of children as defined in article 2 should be criminalised (article 3, para. 1(a)(i)) if a child is offered, delivered or accepted:
        a. For the purpose of sexual exploitation. While the term “sexual exploitation” is not defined here, the Committee is of the view that this legal provision should cover all forms of sexual exploitation and sexual abuse, including when these are facilitated through ICTs.
        b. For the purpose of transfer of organs of a child for profit. It is important to specify that the purpose of such transfer must be “for profit”. The legal transfer of an organ of a child may entail costs which are not for profit.
        c. For the purpose of engaging a child in forced labour.18.
        d. The Committee emphasises that the fact of “offering, delivering or accepting” a child includes situations where the child is offered or accepted through the use of ICTs.
(パラ47)最終文について,誤解を生まないために,「other than the adoption of a child that is authorized by competent authorities」を追記することを提案する。
    54. The definition of child prostitution in the OPSC must not be understood as suggesting that the child could consent to “sexual activities in exchange for remuneration or any other form of consideration”, and that the child is necessarily the recipient of money or other “consideration”. The reality is that a child cannot, in any legally relevant way, consent to her/his own sexual exploitation. Moreover, such remuneration or consideration can be paid or given to any third person, and the child often does not receive anything, or the “consideration” is limited to basic survival needs such as food or shelter. The Committee underscores that all children who are sexually exploited in prostitution shall be considered victims, and must never be considered liable for their exploitation. (パラ54,80及び83)法的拘束力のないガイドラインの性質に鑑み,“shall”を  “should”に置き換えることを提案する。これらの文脈において,“shall”を使用することは,児童の権利条約又は選択議定書の条文とも一致しない。
    80. For any evidence collected during investigations on offences covered by the OPSC, clear rules and procedures must be established on how such evidence can be collected, how and where it shall be stored, who can have access and for how long it will remain stored. The Committee also recommends States parties to set forth clear rules regarding the destruction of evidence, in particular child sexual abuse material, the circulation of which can continue to revictimise the victims a long time after the initial offence was committed.  
    83. Regarding liability and sanctions for legal persons, States parties shall ensure that legal persons can be held liable, under criminal, civil or administrative law, for the commission, complicity and participation in the offences covered by the OPSC. Particular attention shall be paid to the legal responsibility of ICT companies to block and remove child sexual abuse material hosted on their servers, for financial institutions to block and refuse financial transactions aimed to pay for any such offences,  
    61. Child pornography is defined in article 2 OPSC as “any representation of a child engaged in real or simulated explicit sexual activities, regardless of the means used, or any representation of the sexual parts of a child for primarily sexual purposes”. The qualification “by whatever means” reflects the broad range of material available in a variety of media, online and offline. It includes, inter alia: visual material such as photographs, movies, drawings and cartoons; audio representations; any digital media representation; live performances; written materials in print or online; and physical objects such as sculptures, toys, or ornaments.26 (パラ61)表現の自由に対する制約は最小限でなければならず,児童ポルノの範囲については極めて慎重に検討しなければならない。この点,「pornography」は,従来から視覚により認識可能な物を指すところ,音声媒体や文章まで含むかどうかは,今後慎重に検討されるべきである。ついては,第3文から「audio representations」と「written materials in print or online」を削除することを提案する。
  (パラ61)また,同様の理由から,被害者となる児童が実在しない場合にまで刑罰を科すべきかどうかは今後慎重に検討されなければならない。ついては,第3文に「as far as it represents an existing child」を追記することを提案する。
    62. The Committee urges States parties to prohibit, by law, child sexual abuse material in any form. The Committee notes that such material is increasingly circulating online, and strongly recommends States parties to ensure that relevant provisions of their Criminal Codes cover all forms of material, including when the acts listed in article 3.1(c) are committed online and including when such material represents realistic representations of non-existing children. (パラ62)同様の理由から,第2文「and including when such material represents realistic representations of non-existing children」を削除することを提案する。
    63. The Committee is of the view that “simulated explicit sexual activities” should be interpreted as including any material, online or offline, that depicts or otherwise represents any person appearing to be a child engaged in real or simulated sexually explicit conduct and realistic and/or virtual depictions of a child engaged in sexually explicit conduct. Such depictions contribute to normalising the sexualisation of children and fuels the demand of child sexual abuse material. (パラ63)同様の理由から,第1文に「as far as it represents an existing child」を追記することを提案する。
    64. Moreover, for the reasons explained in paragraph 63, any representation of the sexual parts of a child, including realistic images of the sexual organs of a child, for primarily sexual purposes falls under the definition of this offence. Where it may be complicated to establish with certainty if a representation is intended or used for “primarily sexual purposes”, the Committee deems it necessary to consider the context in which it is being used. (パラ64)同様の理由から,第1文に「as far as it represents those of an existing child」を追記することを提案する。
    66. The Committee therefore recommends that States parties, in line with recent developments, avoid the term “child pornography” to the extent possible in legislation and policy, and use other terms such as the “use of children in pornographic performances and materials”,27 “child sexual abuse material” and/or “child sexual exploitation material”. (パラ66)我が国は,本パラグラフにおける委員会の勧告は,既存の法令上の文言を変更するべきという意味ではないと解釈する。
    69. In accordance with article 9.5 OPSC, States parties should also ensure that the production and dissemination of material that advertises the offences described in the OPSC is criminalised. For instance, any insertion on an online or offline medium, such as an ad or a commercial, promoting the sexual exploitation of children in any way, must be criminalised. (パラ69)広告の制限は,表現の自由に対する制約であるから,その範囲は極めて慎重に検討されるべきである。また,特定の広告に関する罰則制定については選択議定書に規定されていないことから,本パラグラフの削除を提案する。
    70. The Committee emphasises the need to pay special attention to the increasing number of children who produce sexual images, e.g. representations of their own sexual parts, either exclusively for themselves or to share them with their boy/girlfriends  or a wider group of peers. A distinction must be made between what the OPSC refers to as “child pornography” and which constitutes a criminal offence, and the production by a child of self-generated sexual content/material representing her/himself. The Committee is concerned that the “self-generated” aspect of such material could increase the risk that the child is considered responsible instead of treated as a victim, and underscores that a child should never be held criminally liable for the production of images of her-/himself. On the other hand, if these images are produced as a result of coercion, blackmailing or other forms of undue pressure against the will of the child, the person who made the child produce such content should be brought to justice.29 For any self-generated sexual material depicting very young children (e.g. pre-pubescent children), the assumption ought to be that it is the result of an abusive or coercive relationship.30 Furthermore, if such images are subsequently distributed, disseminated, imported, exported, offered, or sold as child sexual abuse material, the persons responsible for such acts should be held criminally liable. (パラ70)いかなる若年児童による性的な自画撮り画像も,虐待又は強制的な関係の結果として作成されたものであるとすることは合理的な推定を超えるものであると理解する。
     71. “Sexting” occurs when self-generated content is created, shared and forwarded by the child through mobile phones, applications, and/or the Internet. Sexting has been observed to be a product of youth peer pressure and, to a certain extent, teenagers increasingly consider sexting to be “normal”.31 While this conduct in and of itself is not necessarily illegal or wrongful, there are risks that such content is circulated online or offline beyond or against the will of the child, including to harm children or be used as a basis to extort favours.

31 See Madigan et al., “Prevalence of Multiple Forms of Sexting Behavior Among Youth: A Systematic Review and Meta-analysis”, in Jama Pediatrics, 2018.
 
    73. States parties should develop special programmes to which children who have disseminated sexualised material of other children can be diverted, preferably as an alternative to being tried in the formal criminal justice system, and avoiding criminal records and the inclusion in sexual offender’s registers. (パラ73)罪を犯した児童のうち,他の児童の性的画像等をばらまいた児童のみ優遇するのは相当でないから,本パラグラフの削除を提案する。
    78. The Committee recalls that, under article 7 OPSC, States parties are obliged to take measures to seize and confiscate any materials and assets that are used to commit or facilitate the offences covered by the OPSC. They are also obliged to seize and confiscate any proceeds derived from such offences, and take measures to close any premises used to commit such offences. International cooperation must also be guaranteed in this regard, and any request for seizure or confiscation from another State party must be executed. (パラ78)選択議定書第7条は,パラグラフ78記載の各措置を「自国の法の規定に従って」実施することを義務付けており,第1文及び第2文に「subject to the provisions of a State party’s national law」の挿入を提案する。
    86. In accordance with article 4.2 OPSC, a States party should also establish jurisdiction in case offences covered by the OPSC are committed outside its territory (extraterritorial jurisdiction), if the alleged offender is a national of that State or if she/he has her/his habitual residence in its territory, or when the child victim is a national of that State. Under extraterritorial jurisdiction, a State can initiate the investigation and prosecution of an alleged offender if she/he meets the qualifications mentioned above or if the victim is a national of that State. For this action it is not necessary that the alleged offender is present on the territory of the State. While it is the State in which the offence was committed that is primarily responsible for investigation and prosecution of the offender, the State of which the alleged offener is a national or in which he/she has her/his habitual residence has the authority to start an investigation, which may include the issuing of an international warrant for her/his arrest. (パラ86)第1文について,選択議定書第4条2は,域外管轄権を設定するか否かを締約国に委ねているから,「should」を「may」に変更すべきである。また,第4文について,「where appropriate in the domestic legal system of the State」の追記を提案する。
    87. Regarding legislation on extraterritorial jurisdiction, the Committee encourages the States parties to include cases in which a child victim is not a national but has her/his habitual residence in the territory of the State.37 (パラ87)自国民でない被害者が自国に住居を置いている場合の域外管轄権の設定について,選択議定書には規定されていないことから,第1文について,「the Committee encourages the States parties」を「the States parties may」に変更することを提案する。
    88. Furthermore, States parties should abolish the requirement of double criminality, making it possible to exercise extraterritorial jurisdiction for crimes covered by the OPSC committed is another country even if the relevant offence is not criminalised in that country. The principle of double criminality creates a gap in the law which enables impunity, and should not be applied. (パラ88)双罰性は,各国において,捜査共助の要件として一般的に認められているものである上,選択議定書には規定されていない双罰性の放棄を要求するのは相当でないから,本パラグラフの削除を提案する。
    89. Extraterritorial jurisdiction is particularly important for offences related to the sale of children for trade in organs and to the sexual exploitation of children in travel and tourism, where the offender is likely to travel to another country. As the exploitation may not be detected until the offender has returned to her/his country of origin, it is essential that States parties have the capability to prosecute her/him. (パラ89)第2文について,選択議定書第4条2は,域外管轄権を設定するか否かを締約国に委ねているから,本パラグラフは削除すべきである。
    92. To effectively put an end to the still widely existing impunity, the Committee encourages States parties to establish universal jurisdiction for all offences covered by the OPSC, i.e. to enable the investigation and prosecution of such offences regardless of the nationality or habitual residence of the alleged offender and victim. Moreover, the Committee recalls that many of the offences covered by the OPSC can also be committed, or facilitated, through the use of ICTs, and that jurisdiction must cover also such manifestations of the offences. (パラ92)第1文について,普遍的管轄権の設定は各国の法制度に大きく依存するため,「the Committee encourages States parties to」を「the States parties may」に変更し,「as appropriate in their legal system」を追記することを提案する。
    97. The Committee urges States parties to ensure the right to information as well as the right to be heard of child victims in an age-sensitive way, regardless of their legal capacity. Child victims, as well as their parents, guardians or legal representatives, should receive all information needed in a language they can understand and in a gender- and age-appropriate format to help them make an informed decision about filing a criminal complaint against the alleged perpetrator, including information about their rights, their expected role in the criminal process, and the risk and benefits of participation. Once they are part of legal proceedings, they should receive regular updates, be provided with explanations about delay, be consulted on key decisions and be adequately prepared before hearings or trials. (パラ97)最終文について,被害児童の意見は検察官の決定を拘束しないことに鑑み,

 「while respecting public prosecutors’ authority」を追記することを提案する。
    99. The Committee observes that investigations regarding offences covered in the OPSC are still largely child-dependent rather than child-supportive, relying almost entirely on the testimony of the child to convict offenders. The Committee strongly encourages States parties to make a better and full use of crime scene evidence, including digital evidence, the introduction of such evidence in courts and the full use of evidentiary rules, such as child sexual abuse shield laws and child hearsay exceptions. In that vein, the Committee urges States parties to allow the possibility for the prosecution to start an investigation without the victim’s complaint. (パラ99)第2文について,証拠法の内容は各国の法制度や公判の実情を踏まえた上で個別に決定されるべきであるから,「The Committee strongly encourages States parties to make」を「The States parties may consider making」に変更することを提案する。
    101. The Committee recommends States parties to avoid establishing statutes of limitations in respect of those offences.
Should there be such statutes of limitations, the Committee urges States to adjust them to the particular nature of the crime and ensure that they only begin to run when the victim reaches the age of 18.40
(パラ101)第1文について,公訴時効の有無及び期間等については,各国の法制度 の根幹に関わる事項であるから,「The Committee recommends States parties to avoid」を「States parties may consider avoiding」に変更することを提案する。
  (パラ101)第2文について,上記と同様の理由から,「the Committee urges States to adjust」を「States may consider adjusting」に変更することを提案する。
    103. The Committee reminds States parties of their obligation to provide appropriate support and legal counselling to assist child victims of offences covered in the OPSC at all stages of criminal justice proceedings and protect their rights and interests, and to ensure that such proceedings are carried out in the best interest of the child. This includes:
        a. Ensuring that legal and investigative procedures, including methods of questioning, are child- and gender-sensitive, while also enabling officials to adapt such procedures to the special needs and preferences of the individual child, to avoid the secondary victimisation of the child.
To that end, confrontation with the alleged offender and multiple interviews should be avoided. Police officers, judges, procedutors and lawyers should be sensitised to children’s rights and child- friendly justice measures;
        b. Protecting the privacy of child victims in investigation and trial procedures, as well as ensuring legal and practical measures to guarantee appropriate and sufficient protection of child victims from intimidation and retaliation;
        c. Providing free legal aid and assigning (depending on the national legal system) a lawyer or guardian ad litem or another qualified advocate to represent the child. Moreover, providing access to and support of medical personnel, child psychiatrists, psychologists and social workers to every child victim during the criminal justice process and ensuring that these professionals are well-trained and able to build relationships of trust with children;
        d. Making efforts to avoid the need for child victims to be physically present during criminal proceedings, including when they are giving evidence, and to make use, where possible, of appropriate communication technologies to enable child victims to be heard during the trial without being present in the courtroom.42 This also becomes essential in judicial proceedings involving OPSC offences committed against children abroad, to enable testimonies from victims in other countries. If such technological means are unavailable, or if the child’s physical presence is absolutely necessary during a trial, States parties should ensure that the child is not confronted with the alleged perpetrator, e.g. by placing a screen between the two.
        e. Taking special precautionary measures, as needed, when the alleged perpetrator is a parent, a member of the family, another child, or a primary caregiver. Such measures should involve careful consideration of the fact that a child’s disclosure should not worsen her/his situation and that of the other non-offending members of the family, and should not aggravate the trauma experienced by the child. The Committee encourages States parties to consider removing the alleged perpetrator rather than the child victim, since removal can be experienced by the child as a punishment.
(パラ103)第1文について,選択議定書第8条1(d)は,適当な支援サービスの提供義務を規定しているのみであるから,「legal counselling」は削除すべきである。また,適当な支援の内容は,各国の実情に応じて決定されるべきであるから,第2文の 「This includes」を「This may include」に変更することを提案する。
   
    104. The Committee reaffirms that a core principle of child-friendly justice is the speediness of the procedures. Reports of offences covered in the OPSC should not be delayed. Cases concerning the sexual exploitation and sexual abuse of children should be expedited through priority tracking, continuous hearings or other methods, and delays should only be approved after considering the child’s views and best interests. (パラ104)第3文について,児童の性的搾取や性的虐待の事案について,優先的な取扱いをするか否かは,個別事案の内容や他の事件を踏まえて決定されるべきであるところ,「should be expedited」の後に, 「to the extent possible」を追記することを提案する。
    112. To improve the chances of victims to receive compensation from convicted offenders, States parties should enable the identification and attachment of defendants’ assets early in the proceedings and amend money laundering laws to allow victims to be paid from forfeited property. Compensation measures should be enforced in line with international standards, such as article 2.3(c) of the International Covenant on Civil and Political Rights, which sets forth that States parties must “ensure that the competent authorities shall enforce such remedies when granted”. (パラ112)第1文について,マネ-・ロンダリング法を改正することによる没収財産の利用は,選択議定書には規定がないことから,「and amend money laundering laws to allow victims to be paid from forfeited property」は削除すべきである。
  選択議定書の文脈におけるベストプラクティス
  (パラ29)特に,選択議定書の普及・啓発については,様々なレベルで,多様なステークホルダーと協力することが重要だと考える。この点について,日本においては,次のような取組が行われている。
  警察庁は,ECPAT 及び日本ユニセフと協力して,児童に対する性的搾取が重大な犯罪行為であり,児童の権利の著しい侵害であることを広報啓発するためのポスターを作成し,カラオケボックス,ホテル業界等の関係事業者とともに,これらの店舗等に掲示している。また,警察庁は,国際的なNGO,国連児童の権利委員会委員,各国の法執行機関,インターネット事業者,高等学校生徒が参加する「子供の性被害防止セミナー」を開催し,被害の状況やその対策の取組について周知している。
  性に関する指導は学習指導要領に基づき,児童生徒が性に関して正しく理解し,適切に行動を取れるようにすることを目的に実施されており,体育科,保健体育科,特別活動をはじめ,学校教育活動全体を通じて実施している。
  (パラ31(a))教員に対する研修は,「adequate training」を実現するために,レベルと目的に応じて行うことが重要であると考える。この点について,日本においては,児童生徒の現代的な健康課題に関して,教職員を対象とした多様な研修を実施している。また,性的虐待を含む児童虐待の学校等における早期発見・早期対応のための取組の周知徹底を図っている。
  (パラ31(c))新しい技術に関連する児童の性的搾取等の事案に適切に対処すること は重要であると考える。日本においては,例えば警察庁では,児童の性的搾取に関する 捜査を担当する警察官に対して,児童の特性等に配慮した聴取技法の実習,国連児童の 権利委員会委員,NGO,インターネット事業者等の取組に関する講義を実施している。
  (パラ41)情報技術の発展に伴う新たな課題に関し,広く啓発するためには,多様な側面からアウトリーチ活動を行うことが重要であると考える。日本においては,子どもたちのインターネットの安全な利用に係る普及啓発を目的に,児童・生徒,保護者・教職員等に対する,学校等の現場での「出前講座」を,情報通信分野等の企業・団体と総務省文部科学省が協力して全国で開催している。
  情報モラル教育に関する指導資料等や児童生徒向けの啓発資料を活用しながら,教職員等を対象とした情報モラル教育セミナー等を開催し,情報モラル教育の全国への普及を図っている。
  地方自治体及び都道府県警察では,生徒に,児童の性的搾取の現状及びその対策,並びに関連する情報モラルについての講習への参加を促している。また,議論を通じて,生徒自ら児童の性的搾取の被害を防ぐための方策について理解を深めるための研修を実施している。
  (パラ43,108及び109)プロバイダ等によるインターネット上の違法・有害情報への対策を強化するため,違法・有害情報相談センターを設置し,インターネット上の違法・有害情報に関して,個人やプロバイダ等から個々の事案への対応について相談を受理している。また,違法・有害情報相談センターが受けた相談のうち,一定のもの  (青少年に係る明らかな権利侵害を内容とするもの等)について,協力事業者に対し事案の情報提供を実施している。
  また,警察庁は,児童ポルノブロッキングを行っているインターネット団体及びSNS事業者で構成する「青少年ネット利用環境整備協議会」の活動を支援しているほか, 同協議会に参加していない事業者に対して自主的な被害防止対策の強化に向けた働きかけを実施している。警察庁に委託されたインターネット・ホットラインセンターにおいて,児童ポルノ公然陳列に係る通報件数は,警察への通報が 120 件(平成 30 年上半   期),国内の ISP 等への通報が 76 件(平成 30 年上半期),INHOPE への通報が 1,156 件 (平成 30 年上半期)であった。
  (パラ57)児童の性的搾取等事犯に対しては,手段としてインターネットを用いるか, 用いないかに関わらず,厳正な取締りが重要である。したがって,警察庁では,インタ ーネットを用いた犯罪の取締りも行っており,インターネット上で児童ポルノDVD  を約7千人(約17万枚)に販売していた者を検挙するとともに,これを購入していた 者を全国の警察が協力して順次検挙した。この事件を端緒に,児童を性的に搾取してい た購入者の検挙及び児童の保護を行った。取締りを徹底した結果,潜在的な被害児童の 保護を推進し,親族の児童に対して長期間性的虐待を行っていた者を検挙する等,効果 を上げている。
  (パラ70~73)児童に対して意識啓発を促し,児童の性的搾取の被害防止を図ることも同時に重要である。警察庁は,「自画撮り」の手口を解説した動画及び漫画を作成し,動画については,警察庁のウェブサイトに掲載するとともに,漫画については,児童や保護者に配布し,その被害防止を図っている。
  (パラ102,103)児童の心理的負担の一層の軽減及び児童から聞き取った内容の信用性の確保のため,児童相談所,警察及び検察の連携を強化し,3機関を代表した者1名による協同面接の実施を含め,児童の特性を踏まえた面接・聴取方法等について3 機関で協議・実施する取組を実施している。
  (パラ119)児童の性的搾取等の文脈においては,国際的に協調することが重要であると考える。「オンラインの児童性的搾取撲滅のための WePROTECT 世界連携」に国家公安委員会委員長を主務大臣として積極的に参画しており,世界各国との情報交換を促進するなどして国際的な連携を強化するとともに,平成 30 年2月にストックホルムで開催された「子どものためのアジェンダ 2030:暴力撲滅ソリューションズ・サミット」及びパリで開催された「インターネット・ガバナンス・フォーラムに参加し,WePROTECT 世界連携が担当するワークショップに参加した。

 弁護士ドットコムの弁護士によれば、盗撮ハンターとの示談は、真の被害者との関係でも有効らしい。

 弁護士ドットコムの弁護士によれば、盗撮ハンターとの示談は、真の被害者との関係でも有効らしい。
 「盗撮ハンター」というのは被害者の代理人でもなんでもないただの恐喝犯ですよね。
 示談とか弁済の効力はないし、後日検挙されることもありますよね。

https://www.bengo4.com/c_1009/c_1197/b_839516/
原田 和幸 弁護士
東京 江戸川
弁護士ランキング 東京都1位
> 今後どのように行動したら良いのでしょうか?

今後何があるかによって、違ってくるのではないでしょうか。

> どのような展開が予想されますでしょうか?

仮に追加請求されても、支払う必要はないと思いますし、仮に警察から事情を聴かれても、示談ができた経緯を話されてもよいかもしれません。

2019年08月27日 14時17分

https://www.bengo4.com/c_1009/c_1197/b_837548/
肥田 弘昭 弁護士
岡山 岡山市 北区
弁護士ランキング 岡山県2位 犯罪・刑事事件に注力する弁護士
ご相談者様におかれましては心配ですね。
示談をしていますので、仮に刑事告発されたとしても、不起訴ないし略式の罰金になる可能性が高いかと思います。前歴のみであり、かつ、示談していることから、逃亡のおそれや罪証隠滅の可能性が低く、逮捕の可能性は、低いかと思います。
また、示談金額も100万円と高額ですので情状として有利です。
加えて、仮に、民事訴訟を提起されても示談している以上問題になりません。
したがって、あまり心配しなくとも私は良いかと思います。ご参考にしてください。

https://www.bengo4.com/c_1009/c_1197/b_521500/
金山 耕平 弁護士
兵庫 神戸 中央区
弁護士が同意1
ありがとう
確認になりますが、示談書には相手方「被害者」の署名押印はありますか?
以下、「ある」という前提で回答します。

1.今後民事刑事等の処罰はありえるのか?
→民事上について
示談書に「債権債務の無いことを確認する」とのいわゆる精算条項が入っていますので民事上示談書に定める以上に相手方にはあなたに対する請求権はありません。よって、民事上の請求はないと考えてよいでしょう。
→刑事上
相手方は、「被害」写真を持参して警察に告訴することは可能ですが、示談書に「今後民事刑事においての処罰を求めず」との文言が入っていますので、警察から呼び出されても示談書(写し)を警察に提示すれば立件される可能性は低いでしょう。

2.嫁に何かしらの迷惑を掛けないか?
→奥様にはなんらの法的義務はないので迷惑をかけることは無いでしょう。
もっとも、相手方がさらにお金がほしいと気が変わって、あなたや奥様を「ゆすってくる」可能性はゼロではないです。しかし、示談済みですので可能性は低いですし、「すでに解決済みである」と毅然と対処すればよいです。

3.追加の請求などはある可能性はあるか?
→ゼロではないですが、示談済みですので可能性は低いでしょう。

4.もし今回の事で不安点があるならば何か?
→ご指摘の通り追加の請求が不安な点です。
 しかし、示談済みですので可能性は低いですし、もし請求を受けたとしても解決済みとして相手の要求を拒否してください。

虚偽自白が撤回できない話

前田裕司・奥村回[編]「えん罪・氷見事件を深読みする国賠訴訟のすべて 」
p7
9 自白偏重そのもの
長能ら警察官は、アリバイ資料を入手しながら無視若しくは隠匿し、物的証拠がまったくないまま、柳原氏を恐怖に陥れ自白を強要した。
長能ら警察官は、事件をまったく知らない柳原氏から供述を引き出すわけだから、何らかの誘導、偽計がなければ調耆を書けないわ氏は、アリバイがあり、客観的証拠がない中で自白のみで有罪判決を受け、実際刑務所に入っているのである。
物的・客観的証拠がまったくないことを十分に知っていた松井検察官は、自白調書の内容を修正し追加もしていた。
警察も検察も、いつでも引き返すことができたはずで、その機会は何度もあった。
また、裁判所も十分に自白を吟味し、客観的証拠を厳しく求めることを日常的にしていれば正しい判決ができたはずである。
10弁護士も冤罪に加担
氏の逮捕時の当番弁護士が、国選弁護士として選任されたが、弁護士が氏の真摯な声を聴くこともなく事務的に事件を処理してしまったことが、真実を見抜けなかったことにつながった。
弁護士は、当初の接見で否認していたこと、物的証拠が氏との関係を示すものは全くないことから、弁護方針を慎重に考えなければならないのに、自白を信じて情状弁護だけに絞ってしまった。
家族も弁護人も、4月16日の新聞で実名入りの逮捕報道を見て氏が犯行をやったと信じてしまった。被害者二人に弁償金250万円を支払い、刑を軽くすることを目指したが、実刑判決となってしまった。
また、氏が頼りにしていた父親が、勾留中に死亡した。
氏は、裁判が進行するあいだ、結局自白を撤回することができなかった。
11裁判で有罪
裁判は、4回の公判が行われ、第一回公判では、公訴事実を認め、弁穫士は検察官請求証拠の取調べを全面的に同意した。
第二回公判では、兄が弁償金として被害者に支払ったこと、第三回では、氏に反省の弁を述べさせた。同年11月27日の第四回で、さらにもう一人の被害者.に弁償金を支払ったことを示した。判決は、即日言い渡され、懲役3年(未決130日参入)の実刑であった。弁護士が氏のところに寄ってきて、「控訴してもむだだから刑務所に行ったほうがいい」と言ったそうである。

13刑務所で服役
氏は、刑務所に送られる時に、「自分自身、本当に悪いことをしたから刑務所に行かなければならない」と思い込むことにした。
そうしなければ、刑務所生活を耐えることができなかったという。

12/8と12/9の児童ポルノ製造を併合罪とした事例(京都地裁R010607)

 包括一罪が正解で、判例もいくつかあります。
 口腔性交がなければ1号ポルノ製造にもならないので、強制性交と製造罪の観念的競合の主張も可能だと思います。そうすれば処断刑期も変わってきます。

強制性交等被告事件
京都地方裁判所
令和1年6月7日第1刑事部判決

(罪となるべき事実)
第1 被告人は,A(当時8歳)が13歳未満であることを知りながら,Aと性交等をしようと考え,平成30年12月8日,京都市a区b町c番地のd被告人方浴室において,Aに対し,自己の陰茎を手で握らせて手淫させ,Aの口腔内に自己の陰茎を入れ,もって13歳未満の者に対し,口腔性交をした。
第2 被告人は,Aが18歳に満たない児童であることを知りながら,同日,同所において,Aに,その口腔内に被告人の陰茎を入れる姿態及び被告人の陰茎を触る姿態をとらせ,これを自己の写真撮影機能付き携帯電話機で撮影し,その画像データ5点を同携帯電話機の内蔵記録装置に記録させて保存し,もって児童を相手方とする性交又は性交類似行為に係る児童の姿態及び児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した。
第3 被告人は,A(当時8歳)が13歳未満であることを知りながら,Aと性交等をしようと考え,同月9日,前記被告人方1階6畳居間及び浴室において,Aに対し,その口腔内に自己の陰茎を入れ,その陰部に自己の陰茎を押し当てるなどし,もって13歳未満の者に対し,口腔性交をした。
第4 被告人は,Aが18歳に満たない児童であることを知りながら,同日,前記被告人方1階6畳居間及び浴室において,Aに,その口腔内に被告人の陰茎を入れる姿態,その陰部に被告人の陰茎が押し当てられる姿態及びその臀部を突き出させる姿態をとらせ,これを自己の写真撮影機能付き携帯電話機で撮影し,その画像データ8点を同携帯電話機の内蔵記録装置に記録させて保存し,もって児童を相手方とする性交又は性交類似行為に係る児童の姿態及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものをそれぞれ視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した。
(法令の適用)
罰条
 判示第1及び第3の各行為 いずれも刑法177条後段
 判示第2の行為 児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項,2項,2条3項1号,2号
 判示第4の行為 同法7条4項,2項,2条3項1号,3号
刑種の選択
 判示第2及び第4の各罪 いずれも懲役刑を選択
併合罪の処理 刑法45条前段,47条本文,10条(刑及び犯情の最も重い判示第3の罪の刑に法定の加重)
未決勾留日数の算入 刑法21条
訴訟費用 刑事訴訟法181条1項ただし書(不負担)
(量刑の理由)
令和元年6月7日
京都地方裁判所第1刑事部
裁判長裁判官 入子光臣 裁判官 片多康 裁判官 伊藤祐貴