児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

自称18~22歳(実は児童)との児童買春容疑で逮捕された場合の弁解~沖縄簡裁H30.4.19を題材に

 釈放された一心で捜査段階でいい加減な自白をしたので、それを根拠に有罪になっています。
 児童の体格データを開示させて、児童にも見えるし、それ以上にも見えることを立証した上で、金髪・化粧・言動からは児童に見えないという立証をして、控訴審で無罪になっています。(福岡高等裁判所那覇支部平成30年11月14日)

 この判例を参考にすると、年齢知情を否認するには、こういう弁解が有効だと思います。捜査段階でも公判段階でも。

一般的に、16歳児童一般と18歳一般とは体型が変わらないこと(政府統計+法医学文献)

本件被害児童は、平均的な身長体重であるから、一般人が見ても、18歳と区別が付かないこと

サイトの表示・言動は21歳であった+化粧・金髪(塗り絵)
犯行時の乳房・陰毛のタナースケール(塗り絵)

被告人から見ても、児童には見えなかった

児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
沖縄簡易裁判所判決平成30年4月19日
LLI/DB 判例秘書登載

       主   文
 被告人を罰金50万円に処する。
 その罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

       理   由

(罪となるべき事実)
 被告人は,平成29年9月16日午後7時51分頃から同日午後9時10分頃までの間に,那覇市(以下略)において,■■■(当時16歳)が18歳に満たない児童である可能性を認識しながら,あえて,同児童に対し金銭を対償として供与する約束をして,同児童と性交し,もって児童買春をした。
(証拠の標目)なお,括弧内の番号は証拠等関係カードの検察官請求番号を示す。
(事実認定の補足説明)
3(1) 当公判廷において,被告人は,本件女性に会った際の印象につき,やや頭でっかちの小柄な体型で児童体型という言い方もでき,社会生活や仕事生活の経験が乏しく会話の内容が乏しい感じがした,△病にり患していると二次性徴の発達が遅れることが一般的な傾向としてあり,△病の治療をしているために勉強や仕事が十分に行われていないことがあるので,本件女性が21歳であるとしてもおかしくないと思った,しかし,本件女性につき18歳未満であることを疑う所見はなかったことから,自分の感覚を信じて,それ以上に年齢を確認することはしなかったなどと供述する。
   しかるに,上記2(1)で認定した本件女性の顔つきや体型からすると,被告人も本件女性が18歳未満である可能性を認識し得たと認められる。被告人は,上記のとおり,本件女性が児童体型であったことや会話の内容の乏しさを感じつつも,△病の影響としておかしくないと思ったと供述しているところ,この供述は被告人が本件女性につき21歳よりも若いのではないかという印象を受けたことを自認するものにほかならない。そして,被告人の公判供述によれば,△病による二次性徴の発達の遅れ等も必ず生じるものではないというのであるから,本件女性から受けた21歳よりも若いという印象が△病に起因するものではなく,本件女性の実際の年齢が18歳未満である可能性を認識していたというべきである。
 (2) これに対し,被告人は,△△の登録の際に免許証等による年齢確認がされており,本件女性のプロフィールにある年齢が虚偽であるとは思わなかったと供述する。
   しかし,上記2(4)のとおり,18歳未満の児童が出会い系サイトを通じて知り合った男性と売春をしている例が多々あることは広く知られた事実であって,出会い系サイトへの登録の際の年齢確認は必ずしも厳密にされているわけではない。また,プロフィールの年齢は自己申告によるものであって自動車運転免許証等の身分証明書に記載されたとおりでないことは,上記2(1),(2)のとおり,被告人も62歳のところを40代後半と登録していることからして,被告人も十分に認識していたと認められる。
 (3) また,被告人は,出会い系サイトを通じて知り合った買春の相手方に対し,その年齢を確認するために,生年月日を尋ねたり身分証明書の提示を求めたりすることはしない,年齢の確認は自分の感覚でやるしかない,自分の感覚はかなり正しいと思っているなどと供述する。
   しかし,本件女性の語った21歳という年齢と18歳未満とはさほどの年齢差があるわけではなく,その違いにつき感覚で正しく判断できるとはおよそ考え難いのであり,被告人の供述は採用することができない。被告人の上記供述は,結局のところ,性交という目的を達するまでの男女間の雰囲気を良好に保つとともに,買春の相手が18歳未満であることを知ってしまった場合に直面する性交を断念するかどうかの判断から逃れるために,あえて,更なる年齢確認をしなかったにすぎないというべきである。
4(1) さらに,被告人は,捜査段階において,当初は本件女性が18歳未満であることを知らなかったと供述していたものの,その後に自白に転じ,「もしかしたら18歳未満で17歳くらいかもしれないと一瞬頭をよぎった」(乙2),「実際にその女の子と会ったり話をすると,頭が大きめで,児童体型でしたし,女の子の肌もハリがあり,そして,立ち振る舞いやしゃべり方からしても18歳にはなっておらず,まだ,17歳とか16歳くらいではないかと思いました。」(乙3)と供述し,本件女性が18歳未満である可能性を認識していたことを自白している。
 (2) この点,被告人はこれらの自白にづき,否認していたために勾留され,経営する○院での診察ができなくなって多くの患者に迷惑をかけたことから,早期に釈放されるために虚偽の自白をした旨供述する。
   しかし,被告人は,自白すれば釈放されるなどとは誰からも告げられておらず,逮捕された直後からt弁護士を弁護人に選任しており,その弁護人からは自分が思ったとおり答えるのが一番いいと助言を受けていたことを自認していることからすると,虚偽の自白をすることやそのことを弁護人に一切相談しなかったというのは不自然であるといわざるを得ない。そして,被告人は,自白することにした理由につき,捜査段階で検察官に対し,「自分が大人としてやってはいけない恥ずかしい行為をしたことを知られたくなかったこと,そして,自分の罪が重くなるのではないかという気持ちもあって正直に言えませんでした。しかし,私は,刑事さんたちに女の子の年齢について嘘を言い張ることがきつかったこと,そして,自分がやったことはありのまま話をして罪滅ぼしをしようという気持ちになったので,女の子の年齢については,18歳未満であると思っていながらセックスしたことをお話ししたのです。」と語っているところ,これは自白するに至った心情を素直に,かつ具体的に供述したものと認められる。
   したがって,被告人の捜査段階の自白は,十分に信用することができる。
5 以上によれば,被告人は,本件女性の顔つきや体型,会話の内容等から同人が18歳未満である可能性を十分に認識しながら,あえてその年齢を確認することなく18歳未満であっても構わないと考えて性交したと認定することができ,未必の故意があったと認められるのであり,これに反する被告人の弁解及び弁護人の主張は採用することができない。
(法令の適用)
 罰条    児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律4条,2条2項1号
 刑種の選択 罰金刑
 労役場留置 刑法18条
(量刑の理由)
 本件は,被告人が児童買春をした事案である。
 本件は,被告人がもっぱら自己の性欲を満たす目的で敢行した犯行であって,その自己中心的な犯行動機に酌むべき事情はない。被告人は那覇市内に○院を開設する○○○として多額の収入を得ているところ,いまだ16歳で資力に乏しい本件女性の浅慮に乗じ,ホテル代とは別に対価1万5000円及びタクシー代3000円を渡して性交に及んでいるのであって,本件女性の健全な育成を害する悪質な犯行というべきである。以上によれば,被告人の刑事責任は軽くない。
 しかしながら,本件女性が年齢を21歳と偽っており,被告人も本件女性が18歳未満であることにつき確定的な認識があったとまではいえないこと,被告人はこれまで出会い系サイトを利用して週1回くらいのペースで15人から40人の女性に金を渡して性交していたが,今後は同サイトの利用をやめて二度と買春をしないと誓っていること,被告人に前科前歴がないことなど被告人にとって酌むべき事情も認められる。
 これらの事情を考慮して,被告人に対しては罰金刑を科す主文の量刑が相当であると判断した。(求刑-罰金60万円)
  平成30年4月19日
    沖縄簡易裁判所
           裁判官  後藤 誠

「北総線 8時6分 小室駅発 2両目座席」というメルカル商品とショバヤ行為

 迷惑条例では「ショバヤ行為」という伝統的な迷惑行為ですが、最近の検挙事例は見かけません。
 ネット上で募集する行為が「公共の場所又は公共の乗物において、」と言えるかは疑問ですが、最終的には当該列車において落札者と席を替わることになるので、その部分は「公共の場所又は公共の乗物において、」に掛かると思います。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20190610-OYT1T50013/?fbclid=IwAR0BmV0YNgGqbs0IdYr6OLQKcm8S6bu7QJDID3N2xJAj4Dh6YPMx2WsDgkI
フリーマーケットアプリ「メルカリ」に、通勤ラッシュ時の列車の席に座る権利が1800円で出品されていたことがわかった。出品者側が事前に席取りして譲る仕組みだが、鉄道会社によると、公共交通機関の座席を不当に与えることを禁じた自治体の条例に抵触する可能性があるという。メルカリは商品を削除した。


 対象の列車は、千葉県印西市と東京都葛飾区を結ぶ北総鉄道北総線。メルカリや北総鉄道によると、「北総線 8時6分 小室駅発 2両目座席」という商品名で今月4日頃までに出品された。出品者側が3日間座席を確保し、乗り込んできた購入者が購入画面を見せると、譲るという内容だ。

 メルカリは利用者からの通報などで把握し、サービスなどの出品を禁じた自社のガイドラインに基づき、購入される前に削除した。

 北総線は都営浅草線などと直通で、新橋や品川にも向かうため多くの通勤客が利用している。座席は自由席しかない。東京都や千葉県の迷惑防止条例は鉄道などでの「座席等の不当な供与行為」を禁止しており、北総鉄道は「こうした行為がまかり通ると、本来座れる人が座れなくなる。やめてほしい」と訴えている。

千葉県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例解説(2015年12月)
(座席等の不当な供与行為(ショバヤ行為)の禁止)
第9条
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、不特定の者に対し、みだりに、座席、座席を占めるための行列の順位又は駐車の場所を占める便益を対価を得て供与し、又は供与しようとしてはならない。

〔本条の趣旨〕
第9条は、座席等の不当な供与行為、いわゆるショバヤ行為の禁止規定である。本条は、特定の者の利益目的のために、県民の権益、すなわち、何人も自由に、又は先占の順序に従って利用すべき座席等の利用の機会均等を阻害する行為を規制しようとするものである。
〔本条の規定する罪〕
1座席等を対価を得て、不特定の者に供与する罪
2座席等を対価を得て、不特定の者に供与しようとする罪
解説
1 「座席」とは、座るために設けられた場所又は設備をいう。いす、ベンチはもちろん、ござ、むしろ等が敷かれた場所を含む。
2 「座席を占めるための行列の順位」とは、座席を占めるために並んだ列の順番をいう。並ぶことによって、必ず座席を占めうるものである必要はなく、座席を占めることを期待し、又は占める可能性があれば足りる。
したがって、その順番の前後を問わない。供与の目的である行列の順位を、座席を占めるためのそれに限定する趣旨である。
その主たる目的が他にある場合、例えば、単に物品購入のための行列の順位は、本条の対象とならない。

3 「駐車の場所」とは、駐車することができる場所をいう。
駐車とは、道路交通法第2条第18号にいう駐車に限らず、道路交通法上の停車を含む。
したがって、5分を超えない時間内の停車についてのショバヤ行為であっても、当然、本条の処罰対象となり得る。
4 「占め」とは、必ずしも占拠することを要せず、事実上、自己の支配下におけば足りる。
したがって、その周辺をぶらつきながら他人が利用しようとすれば、それを排除するような動作もこれにあたる。
5 「便益」とは、本来、都合のよいとか、便利なことを意味するが、ここでは、座席などを占めることによってもたらされる利益をいう。
6 「対価」とは、座席等の供与と相関関係にある反対給付としての経済的利益をいう。対償又は報酬と同義である。
反対給付は、必ずしも金銭に限らないが、供与と対価関係にあることを要するので、単なる謝礼を含まない。
しかし、謝礼であるかないかは、その名目によらず、実質に従って判断すべきである。
7 「供与」とは、金銭、物品、その他便益を提供することであり、ここでは、座席とか、駐車の場所の便益を提供することである。
8 「供与しようとして」とは、供与する行為の未遂的形態をいう。
〔本条と他の法令との関係〕
1軽犯罪法との関係
本条と軽犯罪法第1条第28号(追随等の罪)又は第32号(立入禁止場所等進入の罪) との関係は、観念的競合である。
2道路交通法との関係
本条と道路交通法第44条(停車及び駐車を禁止する場所)又は第45条(駐車を禁止する場所) との関係は、法条競合である。
3鉄道営業法との関係
本条と鉄道営業法第35条(物品の販売、勧誘等の罪)又は第37条(立入りの罪) との関係は、観念的競合である。
4物価統制令との関係
本条と物価統制令第9条の2 (不当高価契約の禁止) との関係は、観念的競合又は併合罪である。

強制性交等致傷被告事件無罪判決浜松支部H31.3.19

静岡地方裁判所浜松支部H31.3.19
上記の者に対する強制性交等致傷被告事件について、当裁判所は、検察官三浦拓実、同河田夏緒里、弁護人吉野哲史(国選・主任)、同村松奈緒美(国選)各出席の上審理し、次のとおり判決する。


主文
被告人は無罪。


理由
第1公訴事実及び争点
訴因変更後の本件公訴事実は、「被告人は、強制的にA(当時25歳)と性交等をしようと考え、平成30年9月8日午前2時頃、T県C市所在の『D』南側駐車場において、徒歩で通行中の同人に対し、『あっちに行こう。』などと声を掛け、同人の背中に手を回すなどして、同人を同市所在の店舗西側敷地内に連行し、その頃から同日午前2時15分頃までの間、同所において、同人の体を両腕で抱きかかえて持ち上げ、同所に設置されていたウッドデッキに座った自己の体の上に仰向けに横たわらせるなどし、同人の膣内に指を入れて弄び、同人の着衣をまくり上げて同人の乳首を舐めるなどした上、同人を前記ウッドデッキの上に座らせ、同人の顎付近を手でつかみ、同人の口に指を入れて強引に開くなどの暴行を加え、同人の反抗を著しく困難にして同人の口腔内に自己の陰茎を入れ、もって暴行を用いて口腔性交をし、その際、同人に加療約2週間を要する口唇挫創、顎関節捻挫等の傷害を負わせた。」というものである。

関係各証拠によれば、被告人及びAが本件公訴事実記載の日時頃、同記載の各場所にいたことは明らかである。
そして、検察官は、信用できるAの供述等によれば、被告人が、Aに対し、本件公訴事実記載のとおりの暴行を加えて口腔性交をし、被告人の行為によりAが本件公訴事実記載の傷害結果を負ったことが認められ、その際の被告人の暴行は、Aの反抗を著しく困難にする程度であったことは明らかである旨主張する。
これに対し、弁護人は、被告人が、Aに対し、暴行を加えたり、口腔性交をしたことはなく、被告人の行為によりAが傷害を負ったこともなく、また、被告人の行為がAの反抗を著しく困難にする程度であったとはいえないなどと主張する。


第2当裁判所の判断
1前提事実
関係各証拠によれば、以下の事実が認められる。

(1)平成30年9月8日(以下、特に断らない限り、月日は平成30年である。)午前2時頃、本件公訴事実記載のコンビニエンスストア(以下「本件コンビニ」という。)の南側駐車場(以下「本件駐車場」という。)において、被告人は、徒歩で通行中のAに対し、声を掛け、会話をし、Aと携帯電話番号を交換した。

(2)その後、Aと被告人は、一緒に歩いて本件公訴事実記載のウッドデッキ(以下「本件ウッドデッキ」という。)付近に行き、本件ウッドデッキに並んで座り、会話をした。

(3)本件ウッドデッキにおいて、被告人は、Aの脚を触り、Aの体を抱き寄せて自身の太ももの上に乗せ、Aの脚や尻、胸を直接触り、乳首を舐めるなどした。

(4)その後、被告人は、Aを本件ウッドデッキに座らせ、自身はAの目の前に向かい合わせに立ち、自身のズボンを下ろして陰茎を出し、Aの手を取って被告人の陰茎を触らせた後、Aの顎付近を触りながら自身の陰茎をAの閉じている唇に押し当てた。

(5)その後、被告人は、自身の手で陰茎を触り、本件ウッドデッキ付近の地面に向かって、射精をした。

(6)被告人は、射精後、Aに対し、「家に帰ったらメールして、心配だから」などと言って、Aと指切りをして別れた。

(7)Aは、被告人と別れた直後の同日午前2時17分頃、友人のBに電話をかけ、その後、約53分間にわたり、Bと通話をした後、Bに対し、Eのメッセージを送信した。

(8)Aは、同日夜、F警察署に行ったが、その際、けがの申告はしなかった。

(9)Aは、9月11日、G整形外科医院に行きH医師(以下「H医師」という。)の診察を受けた後、I皮膚科医院に行き、口唇の荒れがヘルペス等の感染症でないことを確認した。
また、同日、Aは、F警察署へ行き、全身や口付近の写真を撮影された。

2A及び被告人の各供述内容
(1)Aの公判供述の要旨
私は、9月8日午前2時少し前、ネットショッピングの支払をするために自宅近くの本件コンビニに行き、支払を済ませて店外に出た後、被告人から話しかけられた。
できるだけ早く帰ろうと思い、「じゃあ」と言いながら少し前に歩くようなそぶりで帰ろうとしたが、それでも被告人が話しかけながらついてきたので、「じゃあ」、「じゃあ」と繰り返した。
被告人から電話番号を交換しようと言われ、教えたくなかったが断る勇気がなく、また、電話番号を交換したら家に帰れると思い、電話番号を教えた。
「じゃあ」と何回か言ったが、被告人が「あっちに行こう」と言って私の背中に手を当てて本件ウッドデッキの方へ私を誘導した。
被告人は自転車を押していたし、私の家も近く、家を知られたくなかったので逃げるという考えがなかった。

本件ウッドデッキのところで、被告人が「少しここで話をしよう」と言い、たばこを吸うかと聞かれ、たばこを差し出してきたので、たばこ1本分話に付き合おうと思い、本件ウッドデッキに座った。
被告人と会話をした後、被告人が「脚が綺麗だね」と言いながら私のすね辺りをなで始めたので、「外国人のほうが脚が長くて綺麗ですよね」と答えた。
私も自分のすねをなでる感じで優しく刺激しないように被告人の手を払い、首を横に振った。
その後、被告人は肩を抱き寄せるようにしてキスをしてこようとしたので、顔をそむけたら、「だったらキスをして」とお願いをされ、口にするのは嫌だったので、「ほっぺになら」と言って、一瞬だけ頬にキスをした。
私は何度も「帰らなきゃ」と会話の途中で言っており、キスをしたら帰れると思った。
その後、被告人が座ったまま私をお姫様だっこみたいな感じで抱き寄せて、被告人の膝の上に乗せた。
一瞬の出来事だったので頭が真っ白になって何もできず、声も出ず、それからは首を横に振るくらいしか抵抗できなかった。
被告人が私の首にキスをしてきて、私のすねをなでてそのまま太もものほうまでなでてきて、手が尻のほうへ行って、私の陰部を触った。
陰部はなでるように触ってきて指が陰部の中に入ってきたことがあり、「ぐちゃぐちゃだね」と言われた。
被告人は私の服の中に手を入れ、胸をもむような感じで触ってきて、私の胸を舐めた。
私はずっと首を横に振っていた。

被告人は私を抱きかかえたまま立ち上がり、私を本件ウッドデッキに座らせ、私の目の前に立ってズボンを下ろし、陰茎を出してきた。
私は頭が真っ白になり、ただ首を横に振り続けるしかできなかった。
被告人は2回私の手をつかんで陰茎を触らせてきたが、私は嫌で手に力を入れなかったので、2回とも手は下に落ちた。
その後、被告人は、陰茎を私の口に近づけてきたので、私が口をぎゅっと閉じていたら、陰茎を私の唇に押し当ててきた。
その後、陰茎を私の口に当てた状態で、私の口に指を入れてきて、そのまま口を開けさせ、陰茎を口の中に入れてきた。
私は気持ちが悪かったので顔を背けるようにして吐き出した。
被告人はもう一度陰茎を口に近づけてきたので、私は口をぎゅっと閉じたが、また口に指を入れて口を開かされて陰茎を入れられたので、1回目と同じように顔を背けて吐き出した。
被告人は2回のうち少なくとも1回は私の顎を手で覆うように触ってきた。
被告人がどのような形でどちら側の口の端から指を入れて口を開けてきたかは覚えていないが、その指は口の端の方から下の歯を超えて入ってきた。
私は当時動けず、しゃべれない状態だったので、普段の私の口を開けようとするより容易に口を開けることができたと思う。
被告人の陰茎の先端が私の上顎の部分に当たったのは確かである。
私が2回目に被告人の陰茎を吐き出すと、被告人は少し横にずれて自分で陰茎を触り射精した。

私は、被告人と別れた後、走ってその場を離れて人目に付かない場所に隠れてBに電話をして直前の出来事を伝えるなどした後、文章にした方が良いと思ってEでBに送信した。
その後帰宅してすぐにシャワーを浴びたが、口をゆすいだ際、口の端が痛かった。
今回の被害に遭うまでは痛みなどはなく、唇の痛みより顎の痛みの方が長く続いた。

(2)被告人の公判供述の要旨
私は、本件コンビニでたばこを買った後、本件駐車場でたばこを吸っていると、Aが出てきたので、声を掛けた。
本件駐車場でたばこをAと共に吸い、電話番号を交換した。
Aから、家に帰らなければならない旨言われたので、家まで送っていこうかと聞くと、「はい、大丈夫」と言われたので、近くに立てかけていた自転車を取った。
自転車を取ってから、お待たせ、という意味を込めてAの肩を一瞬手でタッチした。
その後、自転車を押しながらAと一緒に歩き、本件ウッドデッキのところまで行ったところ、Aが「ここで大丈夫です」と言ったので、「もし良かったらここでもう少ししゃべりましょうか」又は「座りましょうか」などと聞くと、Aが「ちょっとならいいよ」と言った。
私は自転車を置くからちょっと待って、と言い、自転車を近くに立てかけた。
その後、ウッドデッキにAが座っていたので、自分もAの右側に座り、たばこを一緒に吸った。

私は、Aの脚をマッサージするように触り、「スポーツをするか」、「体重はいくつか」などと聞いた。
Aの体重を聞いた後、「抱きかかえることができるよ」と言ったら、Aから「そんな簡単にはできないよ」と言われたので、Aを抱きかかえて太ももの上に乗せた。
Aに「チューしてくれますか」などと聞いたら、Aから「えっ」という反応をされたので、口ではなく頬だよ、という意味で自分の頬を指さしたところ、Aはためらうことなく私の頬にキスをした。
私は、Aの脚を触り、Aの衣類が緩い感じだったので衣類の中に手を入れて尻を触り、服の上からも服の下からも胸を触った。
私がAの尻を触っていたとき、Aの脚の奥のほうに手を持って行ったところ、私の手がAの陰部に触れたようだったので驚いてAの衣類から手を出した。
Aの陰部に指は入れていない。
私は左手でAの背中を支えながらAの服を右手で上に上げ、Aの右胸の乳首を舐めた。
Aはその際、身体を少し反らした。
私が「気持ちいい」と聞くとAは「うん」と言った。

Aが私の陰部を服の上から触ってきたので、もう少しできるのかなと思い、Aを本件ウッドデッキの上に座らせ、Aの目の前に立った。
私が陰茎を出すためにズボンを下ろしたところ、Aはレストランでオーダー違いの品物を出されたときのような驚いた表情をしたが、嫌だとは言わなかったので、嫌がっている表情とは思わなかった。
私は1度、Aの手を持って私の陰茎の上に置いた。
Aは私の陰茎を握ってくれなかったが、Aが恥ずかしがっていると思った。

私はAが陰茎を舐めてくれるかもしれないと思い、Aの顎付近を左手で下から包むように持ち、右手で自身の陰茎を持ってAの唇に陰茎を当てたが、Aは口を開けず横に向いた。
そのため、Aが嫌がっているのだと思い、Aの口から陰茎を離した。
私が、Aの口を指で開けたり、Aの口の中に陰茎を入れた事実はない。
私は、Aが汚れないように横を向き、自分で陰茎を触り、射精した。

3A供述の信用性について
(1)Aは、被告人と別れた直後、高校時代からの友人であるBに電話を掛け、被告人とのやり取りをBに伝えた後、Eのメッセージでも被告人とのやり取りを送信している。

この点につき、Bは、当公判廷において、AはBが子育てを始めた後は、今回のように夜中にいきなり電話をかけてくることはなかった、Aは電話で当初おびえたような感じで少し混乱したように話していた、電話でAが話した内容とEのメッセージでその後に送信された内容は概ね異ならない旨供述している。
Bに虚偽供述の動機は認められず、BがAの公判供述と一部食い違う供述をしていることなどにも照らせば、BはAと供述をすり合わせるなどせず、当時の記憶に基づき供述しているものと認められ、Bの供述は十分に信用できる。

そして、Aは、被告人と初対面であり、しかも、普段と異なり、被告人と別れた直後、午前2時過ぎという深夜であるにもかかわらず、いきなりBに電話をかけていることに照らせば、Aが当時起きた出来事をありのままBに話したと認めることができ、AがBに伝えた内容について、多少の混乱はみられるにしても、記憶違いの可能性は低い。
また、虚偽供述の動機についてみても、Aは当時被害届を出すかどうか迷っており、交際相手との関係でも事件を大事にしたくないと思っていたのであるから、少なくともBに話した事件直後の時点では虚偽供述の動機は認められない。

そうすると、Aの公判供述のうち、Aが事件直後にBに話した内容、すなわちBに対して送信したEのメッセージと沿う部分については、その信用性が十分に認められるというべきである。

他方、Aの公判供述のうち、上記信用できるBの供述やEのメッセージ内容と整合しない部分については、Aの記憶が変容している可能性も否定できない。

(2)以上によれば、上記1記載の事実に加え、被告人がAの陰部に指を入れた事実及び被告人がAの口を指で開けて陰茎の先をAの口腔内に2度入れた事実が認められる。

これに対し、被告人は、Aの陰部を触ろうとしていないし、Aの陰部に指を入れていない、Aの口を指で開け、陰茎を口腔内に入れた事実はない旨供述するが、Aの信用できる供述部分に反する上、陰茎を握ることさえしてくれないAに対し、その唇に陰茎を当てて舐めてもらおうと考えるほど性的に興奮していた被告人が、Aの口に陰茎を押し当てた際、Aが口を開けず横を向いたというだけでこれを諦めるとも考えにくく、この点に関する被告人の供述は信用できない。

4被告人の行為とAの傷害結果との因果関係(Aの傷害結果に関するH医師の供述の信用性等)について
(1)H医師の公判供述の要旨
Aは、加療約2週間を要する口唇挫創、口輪筋挫傷、顎関節捻挫の傷害を負ったと診断した。

まず、口の両側の口角に赤い傷があったので、口唇挫創と判断した。
創の状況だけでは暴行によってできたのか不摂生によってできたのかはわからないが、指が受傷部位を圧迫したか、もしくは指でこすって生じたと考えて矛盾しない。
口唇挫創自体の加療期間は受傷日から約1週間である。

次に、Aが診察時に口を開けた際、顎関節や口周囲に痛みがあり、指1本分程度しか口を開けることができなかったので、口輪筋挫傷及び顎関節捻挫と診断した。
口輪筋挫傷は閉じようとした口を無理やり開くことで筋肉に傷が入ったと考えて矛盾せず、顎関節捻挫は普段の運動領域を超えて大きく口を開かれたために生じたと考えて矛盾しない。

Aが指1本分程度しか口を開くことができないということから、Aに対しかなり強い力が加わったと考えられ、受傷直後から痛みがあったと考えられる。
そのため、加療期間は受傷日から約2週間と判断した。

なお、レントゲンを撮影したが、異常は見られず、そのほか、口の周囲に目立つ腫れや内出血はなかった。

(2)H医師の供述の信用性等
H医師は、整形外科医としての専門的知見及び経験に基づき、上記供述をしており、その内容に不自然不合理な点はなく、同供述は信用できる。

そして、Aは、本件被害に遭うまでは上記各傷害を負っていなかった旨供述するところ、その点に合理的な疑問は見出せない。

そうすると、上記各傷害結果は被告人の行為によって生じたと考えるのが合理的であり、Aに生じた口唇挫創、口輪筋挫傷及び顎関節捻挫と被告人の行為との間に因果関係が認められる。

これに対し、弁護人は、Aの不摂生やAが本件の翌日である9月9日にコンサートに行った際に上記各傷害が生じた可能性がある旨主張する。

しかし、まず、口唇挫創の傷害については、Aが9月9日午前2時21分にBに対し、口の端が切れている旨述べていることに照らせば、Aがコンサートに行くより前に傷害が生じていたものと認められ、Aが昼夜逆転の生活を行っていたことやにきびができるなどして肌が荒れていたとうかがわれることを踏まえても、被告人の行為によるものではないとの合理的な疑いまでは生じない。
もっとも、Aの供述によっても被告人が指でAの口の両端を強い力で押さえ付けたとは認められず、従前のAの皮膚科受診歴等からうかがわれる肌の弱さ等のA側の事情も加わって口唇挫創が生じた可能性は否定できない。

次に、口輪筋挫傷及び顎関節捻挫の傷害については、確かに、AはBに対し口周囲や顎の痛みについては伝えていないし、A自身も被告人がAの顎を触る力は強くなかった旨述べているほか、受傷直後は顎付近よりも口の端のほうが痛かった旨述べているため、受傷直後から口周囲や顎関節の痛みが生じていたとは考えられず、H医師が供述するほどの強い力が、被告人の行為によってAの口周囲や顎付近に加わったとまでは認められない。
他方、Aが供述する程度の弱い痛みや違和感にすぎなかったのであれば、AがBに痛み等を伝えなかったとしても不自然とまではいうことができず、また、Aが上記で認定した行為を受けた翌日にコンサートで口を大きく開けて騒ぐとも考えにくいため、口輪筋挫傷及び顎関節捻挫についても、被告人がAの口に指を入れ、Aの口腔内に陰茎を入れた際に生じたとみるのが自然であり、因果関係を認めるのが相当である。

5被告人の加えた暴行がAの反抗を著しく困難にする程度の暴行であると認められるかについて
Aと被告人との間には、上記1及び3で記載したようなやり取りがあったところ、Aは、被告人がAを本件ウッドデッキに座らせ、Aの目の前に立った際、頭が真っ白になり、口を閉じて陰茎を入れられることに抵抗しようとしたが、被告人に顎を触られた状態で口に指を入れられたため、顔を動かすことができず、陰茎を入れられた旨供述している。

そして、Aは、被害直後に、深夜であるにもかかわらず事前の連絡なくBに電話をかけ、Bから「いま寝室」とEのメッセージを受信しても更にBに電話をかけ、約53分間にわたり通話をし、被害状況について申告していること、Bに送信したEのメッセージにおいても上記の際には頭が真っ白になった旨述べていることのほか、Aは、当時25歳と若年であり、身長約149cm、体重約38kgであった一方、被告人は、身長約169cm、体重約67kgと大きな体格差があること、被害当時は、午前2時頃の深夜であって、本件ウッドデッキの周囲に人通りは見られなかったこと、Aが被告人の陰茎を吐き出した後も再度被告人の陰茎を口に入れられてしまっていることなどの事情に照らせば、少なくとも、被告人がAの目の前に立った際に頭が真っ白になった旨のAの上記供述は信用できる。

そうすると、被告人がAを本件ウッドデッキに座らせ、Aの目の前に立った状態で、口に指を入れる暴行をしたことによって、Aは、頭が真っ白になり、顔を動かす等の手段に出ることができず、被告人が口腔内に陰茎を入れようとするのを拒否することが非常に難しくなったということができ、被告人の加えた暴行がAの反抗を著しく困難にする程度のものであったと認めることができる。

6被告人が自身の加えた暴行がAの反抗を著しく困難にする程度のものであると認識していたかについて
Aは、上記のとおり、被告人が目の前に立った当時、被告人の暴行に対し抵抗することが著しく困難であった、とは認められるものの、Aの供述や傷害結果によっても、被告人がAの顎を触ったりAの口に指を入れて口を開けたりする、という暴行の程度が強いものであったとまでは認めることができないことに照らせば、Aが抵抗できなかった主たる理由は「頭が真っ白になる」などといった精神的な理由によるものであると考えられる。

そして、被告人は、上記のとおり、口腔性交の際には、Aに対し、それほど強い暴行を加えていない上、口腔性交に至るまでの間にも、殴る、蹴る、脅すといった強度の暴行脅迫行為をしておらず、Aから二度目に陰茎を吐き出された後も、それ以上の暴行等の行為をAに対してせず、自ら陰茎を触り射精するにとどめている。
また、Aは、被告人からわいせつな行為を開始された後は、声を出すことができなかったこともあり、拒絶の気持ちを言葉では被告人に伝えることができておらず、Aが被害直後にBに送信したEのメッセージに照らしてみても、Aは諦めから口腔性交に至るまでの被告人の行為を一定程度受け入れてしまった様子がうかがわれ、口腔性交に至る前の時点では、被告人からみて明らかにそれと分かるような形での抵抗を示すことができていなかったと認められる。

そうすると、被告人の行為は、被告人の立場からみると、いわゆるナンパをした女性に対し、相手の反応をうかがいながら、徐々に行動をエスカレートさせ、どこまで相手が応じてくれるか試し、最終的に拒絶の意思を感じた段階で行為をやめたものとも評価し得る。
そのような評価が可能であることを踏まえると、被告人が当時、Aが被告人との口腔性交を拒否することがとても難しい状態であったこと、あるいはそのような状態であることを基礎付ける事情(以下「Aの反抗が困難な事情」という。
)を認識していたと認めるには、常識に照らして疑問が残るといわざるを得ない。

そして、被告人は、Aから、一度目に陰茎を吐き出された後、更にAの口に指を入れ、その口腔内に陰茎を入れているが、上述した経緯等に照らせば、一度目に吐き出されただけでは、それが拒絶の意思によるものと必ずしも理解できず、Aの顎に手を添えるなどして再度の挿入を試みた可能性も否定できず、二度目にAの口に指を入れた時点においても、Aの反抗が困難な事情を認識していたと認めるには、なお常識に照らして疑問が残るといわざるを得ない。

第3結論
以上検討したところによれば、被告人が口腔性交をする際、Aの反抗が困難な事情を認識していたと認めるには合理的な疑いが残り、被告人にはこの点に関する故意が認められない。

なお、上記で検討したところによれば、被告人がAの口に指を入れ、陰茎を入れる暴行を加えた際に、被告人が同行為につきAの消極的な承諾があったと考えていた合理的な疑いを払しょくすることもできないから、被告人の行為に傷害罪が成立すると認めることもできない。

よって、本件公訴事実については犯罪の証明がないことになるから、刑事訴訟法336条により被告人に対して無罪の言渡しをする。

(求刑-懲役7年)
刑事部
(裁判長裁判官山田直之裁判官横江麻里子裁判官村島裕美)

1998年東京都において「風俗店が未成年を使っていたんです。僕はそこに行った。サービスを受けました。もちろん未成年とは知りません。パンフレットには21歳と書いてあった」場合の刑事責任

 今なら児童買春罪(h11.5.26/法律第52号 施行平11.11.1)の年齢不知ということで、罪にならない。児童買春行為に青少年条例は適用されない。
 1998年(h10)だと児童買春罪施行前なので、各地の青少年条例違反が検討されるが、東京都は、当時こういう条文になってて、性交類似行為に至らないわいせつ行為や、青少年と知らない場合は罪にならないとされていた。
 仮に、青少年条例違反につき過失処罰する他府県でやれば処罰される危険があった。

東京都青少年健全育成関連条例の解説h10
東京都青少年の健全な育成に関する条例
改正平成9年10月16日条例第75号
(青少年に対する賀春等の禁止)
第18条の2
1 何人も、青少年に対し、金品、職務、役務その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して性交又は性交類似行為を行つてはならない。
2 何人も、性交又は性交類似行為を行うことの周旋を受けて、青少年と性交文は性交類似行為を行つてはならない
(罰則)
第24条の3
第18条例第1項又は第2項の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は50万円円以下の罰金に処する
附則(平成9年10月16日条例第75号)
この条例は、公布の日から起算して2月を経過した日から施行する。

東国原 21年前の淫行疑惑「犯罪等ではない」 事あるごとに唾棄される
 元衆院議員でタレントの東国原英夫が3日、ツイッターで1998年の自身の淫行疑惑について「犯罪等では無い」と投稿した。
 この日は、テレビ東京の冤罪特集番組の収録に臨むとし「1998年10月の自身の風俗事件。未だに、事あるごとに、ネット上で『淫行』と唾棄される」と提起した。
 「恐らく、真実を知らない、知ろうともしない どちらかと言うと若年層による無思考な批判であろう」と指摘。「あの件は、抑、犯罪等では無いので、当然、冤罪では無いのだが、冤罪を被った方々のお気持ちは如何許りか」と記した。
 東国原は2日放送の読売テレビ「八方・陣内・方正の黄金列伝」でも、「淫行疑惑」について説明。「風俗店が未成年を使っていたんです。僕はそこに行った。サービスを受けました。もちろん未成年とは知りません。パンフレットには21歳と書いてあった」と回顧した。
 警察から秘密を守るとの約束で捜査協力を依頼され、これに応じたが、その店が摘発された際に「なお、そこに出入りしていた、お笑いで有名女優を妻に持つT軍団のそのまんまH」と報じられたと説明していた。

wiki
不祥事
1998年10月13日、東京都内のイメージクラブ店が未成年の従業員を使っていたことで、児童福祉法違反並びに東京都の青少年健全育成条例違反の容疑で経営者が逮捕された。その当時16歳であった従業員の少女が、性的なサービスをした客として東国原の名前を供述したことで、東国原も同容疑で警察から任意の事情聴取を1回受けたが、「18歳未満とは知らなかった」と釈明した。当時の妻のかとうもマスコミを通じ、謝罪の文書を発表した。以後芸能活動を5か月間自粛した。東国原自身は法的に問題なかったが、倫理的な性質の問題からマスコミでは「淫行事件」として大々的に報道され、社会の激しい批判を浴びることとなった[5]。その後も一部で「東国原は少女への淫行で逮捕された」と誤解されることがあるが、前述の通り、任意の事情聴取のみであるため逮捕と訴追の事実はなく実際は犯罪歴ではない。

弁護士ドットコム経由で受任した「出会い系サイトで買春した女性(自称21歳)が、18歳かも知れない。プロフィールが『jk』になっている。」という場合の弁護士の対応

 対償供与(約束)時点で児童と知らなかったら児童買春罪は成立しないという主張が有効。


時系列
出会い系サイトのプロフィールでは「21歳」
 ↓
サイト内メールで「21歳」と確認。
3万円の対償供与の約束しホテルで性交
短大とか大学の話題。
 ↓
メール・LINEで「21歳」と確認
 ↓
プロフィールが「jk」になっている。
補導された。実は「16歳」という連絡
 ↓
弁護士ドットコム経由で受任
  着手金 40万円
  日当 5万円
  報酬金(起訴猶予の場合) 40万円 
 ↓
弁護活動
  21歳・対償供与約束というプロフィールとか、メール・LINEを保全
  知り合ってから別れるまでの足取りを報告書にして徹底して裏付け証拠を捜す。
  受任後1週間程度で、捜査担当の警察署にFAXして、必要であれば出頭して説明
 ↓
取調(延べ15時間) 必要な場合は弁護士が同行
 ↓
送検
 ↓
 意見書「児童買春行為であり、対償供与約束時点で年齢を知らなかったので、青少年条例は適用できず、適用できる罰条がないから起訴猶予にすべき。」
 ↓
起訴猶予(受任後3~6ヶ月後) 

強制わいせつ行為中に強制性交の犯意を生じてこれに及んだ点は,包括して強制性交等罪一罪が成立すると解する。(福井地裁H30.12.6)

 500万円で示談して、酌量減軽して実刑

福井地裁H30.12.6
監禁、強制性交等被告事件
主文
 被告人を懲役4年に処する。
 未決勾留日数中30日をその刑に算入する。
理由
 (罪となるべき事実)
 被告人は,平成30年7月5日,F市内の量販店内で見掛けたB(以下,「被害者」という。)に強いてわいせつな行為をしようと考え,同人を追跡し,犯行に供するために準備してあった黒色仮面,黒色ニット帽及びゴム手袋を着用した。
 そうして,被告人は,同日午前2時39分頃,F県a市〈以下省略〉において,被害者が同所に駐車した軽四輪乗用自動車運転席から降車しようとするや,同人の肩付近を手で押して同車助手席まで同人を押し込み,「殺さんから。」などと言う暴行脅迫を加えた。ところが,その頃,同車のクラクションが鳴ったことから,被告人は,被害者を連行して犯行場所を移そうと考え,直ちに同車を運転して発進させ,走行中の同車内において,同人に対し,「顔を見れないようにせなあかん。」などと言って脅迫し,同人を同市〈以下省略〉まで連行した。そして,被告人は,同所に停車中の同車内において,前記一連の暴行脅迫により反抗を抑圧された被害者に対し,着衣の首元付近を引き下げてその乳首をなめる,パンツを引き下げてその陰部をなめる,被告人の指を膣の中に入れるなどし,さらに,強制的に性交をしようと考え,同車助手席ドア付近で被害者と性交し,引き続き,同車を運転して同県b町〈以下省略〉まで同人を連行し,同日午前3時21分頃,同所において同人を解放するまでの間,同人が同車内等から脱出することを著しく困難にさせ,もって同人を不法に監禁した。
 (証拠の標目)
 〈以下省略〉
 なお,被告人の脅迫文句については,被告人の「顔を見れないようにせなあかん。」との発言を,顔をぐちゃぐちゃにするとの意味に被害者が捉え,そのまま記憶した可能性も十分あり得ることから,被告人供述に従い認定した。
 (法令の適用)
 1 罰条 監禁の点につき刑法220条,強制性交の点につき同法177条前段(強制わいせつ行為中に強制性交の犯意を生じてこれに及んだ点は,包括して強制性交等罪一罪が成立すると解する。)
 2 科刑上一罪の処理 刑法54条1項前段,10条(1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるから,1罪として重い強制性交等罪の刑で処断)
 3 酌量減軽 刑法66条,71条,68条3号
 4 未決勾留日数の算入 刑法21条
 5 訴訟費用の不負担 刑事訴訟法181条1項ただし書
 (量刑の理由)
 1 被告人は,深夜の人気のない駐車場において,被害者を車内に押し込み,さらに同車で連行して周囲に助けを求められない状況にした上,仮面等を付けた不気味な姿で,抵抗すれば顔を傷つける旨の脅迫に及んでおり,凶器のみならず殴るなどの暴力も用いていないものの,被害者に強い恐怖心を与える態様である。また,種々のわいせつ行為を行った上で,体外に射精したとはいえ避妊の措置を講じることなく性交に及んでおり,この点も相応に悪質である。監禁については成り行きによる犯行である上,当初から性交まで企図していたわけでもないが,強制わいせつ行為に備えて自己の犯行が発覚しないよう前記仮面等を事前に準備していたことからすれば,単なる場当たり的犯行でもない(なお,被告人は,性交については被害者が承諾したと誤信していたかのような供述をしているが,前記のような本件犯行の時間,場所,態様等に加え,被告人は,犯行後ほどない頃にはいわゆる強姦をしたと自覚したというのであるから,被害者が犯行中に性交に応じるような態度を取っていたとしても,状況からしてそれが真意でないことは認識していたものと認められる。)。
 もとより,被害者が受けた苦痛は多大なものであったと認められ,現に,本件被害に遭ったことにより,離職や引っ越し,車の買換えを余儀なくされている。
 2 さらに,被告人は,前科はないものの,本件以前にも盗撮をしたり強制わいせつを企図して女性を追跡したりしたことがあるというのであって,その性癖には根深い問題が認められる。
 そうすると,被告人が被害者に謝罪した上で500万円を支払って示談を成立させたことのほか,事実を認めて反省の態度を示し,性障害専門の治療に努める意向を示していること,実母と義兄が出廷してそれぞれ被告人の支援を約束し,本件犯行後に離婚した元妻も書面で更生に協力する旨述べていることから,被告人が再犯を犯さないことは相応に期待し得ることを加味しても,単独犯が路上で面識のない者に対して敢行した強制性交等(強姦)1件の量刑傾向に照らし,本件は,酌量減軽は認められるものの,刑の執行猶予を付すべき事案であるとはいえず,被告人を主文標記の実刑に処するのが相当である。
 (求刑・懲役5年6月)
 福井地方裁判所刑事部
 (裁判長裁判官 渡邉史朗 裁判官 西谷大吾 裁判官 浅井翼)

被告人と被害児童が絡んでいるのをひそかに製造罪(7条5項)で起訴した事例

 姿態を取らせて製造罪(4項)とひそかに製造罪(5項)の複合形態は、4項製造罪のみになります

起訴事例としては
 神戸地検姫路支部
 神戸地検
 大分地検
 新潟地検
 奈良地裁葛城支部
判決まで行っちゃった事例としては、
 大分地検
 新潟地検
 奈良地裁葛城支部
がありますが、法令適用の誤りです。


 こういう法文なので、

第七条(児童ポルノ所持、提供等)
3前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
4前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
5前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。

他の製造罪の構成要件を満たす場合には、5項製造罪は成立しない。

 坪井検事もそう解説する。
坪井麻友美「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律について」(法曹時報66巻11号57頁)


 そうなると、検察官は他の製造罪に当たらないという主張・立証をしなければ、5項製造罪は成立しない。
 もしくは、主張責任だけを転換して、被告人・弁護人から他の製造罪にあたるという主張があった場合には、検察官は他の製造罪に当たらないという立証をしなければ、5項製造罪は成立しない。
 姿態をとらせて製造行為をひそかに製造罪で起訴していいという訴追裁量はない。

※ 性交しながら撮影することは「性交する姿態をとらせている」ことであるという判例(札幌高裁H19.3.8)。
 札幌高裁H19.3.8(最決H21.10.21*1の控訴審判決)にその旨の判示がある。
 この理屈は、被害児童が撮影を知らない場合でも変わることがない。

札幌高裁H19.3.8
児童ポルノ法7条3項の「姿態をとらせ」とは,行為者の言動等により,当該児童が当該姿態をとるに至ったことをいい,強制を要しないと解されるところ,関係証拠によれば,被告人は,児童と性交等を行っているが,これらの行為は通常当事者双方の言動により行為に至るものであって,本件においても,被告人が警察官に対し,「(ビデオに撮影した)これらの場面はセックスの一連の行為の一場面であります」と述べているように,被告人は,自ら積極的に児童に性交等の行為を行い,あるいは,児童の性交等の行為に応じる言動をしているのであって,この被告人の言動等により児童は性交等の姿態をとるに至ったと認められる。被告人が児童に「姿態をとらせ」たことは明らかである。
なお,所論は,姿態をとらせる行為は,児童ポルノ製造に向けられた行為であるから,その時点において児童ポルノ製造の目的を要するが,被告人には,その時点において児童ポルノ製造の目的がない,という。しかし,被告人は,児童に性交等の姿態をとらせ,それを録画しているのであるから,正に,児童ポルノ製造行為に向けて姿態をとらせたというべきである。所論は採用できない。

 これは正に、「性交などしながらの撮影は「姿態をとらせ」ているのではない」という主張に対する判断であって、判例である。

弁護人弁護士奥村徹の控訴理由
控訴理由第1 事実誤認・法令適用の誤り~性交などしながらの撮影は「姿態をとらせ」ているのではない*2

 本件製造罪をひそかに製造罪とするのはこの判例に違反する。

※  あらかじめ室内にピデオカメラを設置して、わいせつ行為をしているところを盗撮した場合は、ひそかに製造罪ではなく、姿態をとらせて製造罪であるという判例(大阪高裁H28.10.26*3 姫路支部H28.5.20*4)
 5項製造罪の法文は「前二項に規定するもののほか、」とされる。
 盗撮行為であっても、姿態をとらせて製造罪が成立する場合にはひそかに製造罪は成立しないということである。
 判例がある。

阪高裁H28.10.26
強制わいせつ,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
判決
検察官北英知
弁護人竹内彰(主任),奥村徹(いずれも私選)
原判決神戸地方裁判所姫路支部平成28年5月20日宣告
第10,第12及び第13の各2の事実における法令適用の誤りの主張について。
論旨は,第10,第12及び第13の各2の製造行為は,いずれも盗撮によるものであるから,法7条4項の製造罪ではなく,同条5項の製造罪が成立するのに,同条4項を適用した原判決には,法令適用の誤りがある,というものである。
しかしながら,法7条5項は「前2項に規定するもののほか」と規定されているから,同条4項の罪が成立する場合には同条5項の罪は成立しないことが,法文上明らかである。
所論は,法7条5項に「前2項に規定するもののほか」と規定されたのは立法のミスであってこの文言に特段の意味はないとした上で,法7条5項の罪と他の児童ポルノ製造の罪との関係は前者が後者の特別法の関係だと主張する。
しかし,法7条5項の罪が追加された法改正の趣旨を考慮しても所論のように「前2項に規定するもののほか」に意味がないと解する必要はなく,法7条5項の罪が特別法の関係にあるとの所論は,独自の見解であって,採用できない。
いずれも法7条4項の罪が成立しているとした原判決の法令適用に誤りはない。

強制わいせつ,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件 熊本地裁h30.10.26


 強制わいせつ罪(176条後段)と製造が立件されています。撮っちゃうから全部立件されて実刑です。

 わいせつ行為の程度の軽重については、「被告人の肛門に被害児童の手指を挿入させたり,被告人の陰茎を被害児童に触らせたりするというものであるが,肛門の内部や性器との身体的接触を伴う点で,性交等を伴わないわいせつ行為の中では,濃厚な身体的接触により,相手に強い嫌悪感や羞恥心をもよおさせる態様である。各わいせつ行為の態様は,犯行がいずれも比較的短時間で終わっていることを踏まえても,それ自体として悪質であり,被害者を全裸にしたり,その陰部を触るなど弁護人が指摘する事案と比較しても軽微な態様であるとは到底いえない。」とされています。

強制わいせつ,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
熊本地方裁判所平成30年10月26日
 被告人を懲役3年に処する。
 未決勾留日数中40日をその刑に算入する。
       理   由
(罪となるべき事実) -被害者の氏名等は,別表1記載のとおり
第1 被告人は,平成27年10月頃,別表2記載の場所において,被害者が13歳未満であることを知りながら,同人に対し,その手指や陰茎をかたどった性具等を被告人の肛門に挿入させ,さらに,被告人の陰茎を握らせるなどし,もって,13歳未満の女子に対し,わいせつな行為をした。
第2 被告人は,同年12月頃,同所において,被害者が13歳未満であることを知りながら,同人に対し,その手指や陰茎をかたどった性具を被告人の肛門に挿人させるなどし,もって,13歳未満の女子に対し,わいせつな行為をした。
第3 被告人は,同月頃から平成28年1月頃までの間に,同所において,被害者が13歳未満であることを知りながら,同人に対し,その手指や陰茎をかたどった性具等を被告人の肛門に挿入させ,さらに,被告人の陰茎を握らせるなどし,もって,13歳未満の女子に対し,わいせつな行為をした。
第4 被告人は,同年3月頃,同所において,被害者が13歳未満であることを知りながら,同人に対し,その手指や陰茎をかたどった性具等を被告人の肛門に挿入させ,さらに,被告人の陰茎を握らせるなどし,もって,13歳未満の女子に対し,わいせつな行為をした。
第5 被告人は,被害者が18歳に満たない児童であることを知りながら,別表3番号1から4のとおり,平成27年10月頃から平成28年3月頃にかけて同表「撮影場所」欄記載の場所において,被害者に同表「撮影内容亅欄記載の姿態をとらせ,これをデジタルカメラで動画撮影した上,いずれもその頃,同表「記録保存場所」欄記載の場所において,同表「保存点数」欄記載の点数の動画データを外付けハードディスクに記録させて保存し,もって,児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した。
(証拠の標目)(括弧内の甲乙の番号は,証拠等関係カードにおける検察官請求証拠番号を示す。
判示事実全部について
・ 被告人の公判供述
・ 写真撮影報告書(甲第19号証)
・ 捜査報告書(甲第3号証,同第5号証,同第21号証)
・ 戸籍全部事項証明書(甲第20号証)
判示第3,第4及び第5(別表3番号3及び4)の事実について
・ 被告人の検察官調書(乙第6号証)
判示第1及び判示第5(別表3番号1)の事実について
・ 被告人の警察官調書(乙第4号証)
・ 写真撮影報告書(甲第7号証)
・ 捜査報告書(甲第6号証)
判示第2及び判示第5(別表3番号2)の事実について
・ 被告人の警察官調書(乙第5号証)
・ 写真撮影報告書(甲第9号証)
・ 捜査報告書(甲第8号証)
判示第3及び判示第5(別表3番号3)の事実について
・ 写真撮影報告書(甲第11号証,同第13号証,同第16号証)
・ 捜査報告書(甲第10号証,同第12号証,同第15号証)
判示第4及び判示第5(別表3番号4)の事実について
・ 写真撮影報告書(甲第18号証)
・ 捜査報告書(甲第17号証)
(法令の適用)
罰条
 判示第1から第4の各行為
  いずれも平成29年法律第72号附則2条1項により同法による改正前の刑法176条後段
 判示第5の各行為(別表3番号1から4)
  いずれも児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項,2項,2条3項2号
刑種の選択
 判示第5(別表3番号1から4) いずれも懲役刑を選択
併合罪の処理           刑法45条前段,47条本文,10条(刑及び犯情の最も重い判示第4の罪の刑に法定の加重)
未決勾留日数の算入        刑法21条
(量刑の理由)
 本件は,小学校の教員であった被告人が,担任を務めていた学級の生徒である9歳の被害児童1名に対し,約半年間で4回にわたり,強制わいせつ行為に及び(判示第1から第4),その際の被害児章の姿態をデジタルカメラで動画撮影して児童ポルノを製造した(判示第5)事案である。
 被告人によるわいせつ行為の態様は,いずれも被告人の肛門に被害児童の手指を挿入させたり,被告人の陰茎を被害児童に触らせたりするというものであるが,肛門の内部や性器との身体的接触を伴う点で,性交等を伴わないわいせつ行為の中では,濃厚な身体的接触により,相手に強い嫌悪感や羞恥心をもよおさせる態様である。各わいせつ行為の態様は,犯行がいずれも比較的短時間で終わっていることを踏まえても,それ自体として悪質であり,被害者を全裸にしたり,その陰部を触るなど弁護人が指摘する事案と比較しても軽微な態様であるとは到底いえない。しかも,被告人は,担任教師として,日頃から被害児童の指導に当たり,その健全な成長を促す立場にあった。被告人は,自らの立場を悪用し,性的知識に乏しい被害児童の信頼につけ込んだというほかない。そうすると,被告人には,このような立場にない者と比較してより強い非難が妥当するし,常習性があることも明らかである。
 そして,信頼を寄せた相手から,繰り返しわいせつ行為を受けた被害児童の精神的被害も大きい。本件は,被害児童の健全な成長に深刻な悪影響を及ぼすことが懸念されるし,現に被害児童は,本件後,心身の不調を訴えており,上記懸念が現実のものになっていることもうかがわれる。本件の結果が重いことはいうまでもない。
 以上によると,本件の各強制わいせつは,同種前科など量刑上考慮すべき前科がない者による,13歳未満の者に対する強制わいせつの事案の中では悪質な部類に属するというべきである。また,被告人が,わいせつ行為に及んだ状況を撮影して児童ポルノを製造した点も見逃せない。被告人の刑事責任は重く,本件は,実刑に処すべき事案である。
 一方,本件では,被告人が罪を認めた上,両親の援助も受けて被害弁償を行う旨述べるなどして反省の態度を示していることや,妻がその監督を誓約していることなど被告人のために酌むべき事情も認められるが,いずれも一般情状に過ぎず,量刑に大きな影響を及ぼすものではない。
 したがって,これらの事情を考慮しても,被告人を主文程度の実刑に処することはやむを得ない。
(求刑 懲役3年6月)
  平成30年10月26日
    熊本地方裁判所刑事部
           裁判官  鈴木 悠

「誘拐して自宅に連れ込んだ後,入浴を促し,入浴のために裸となったAを,そのまま風呂場から連れ出し,鎖付きの首輪を付けて,ガムテープで後ろ手に両手首を縛って,口淫をさせるとともに性交に及び,膣内に射精し,その際の状況を撮影した」などした未成年者誘拐,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,北海道青少年健全育成条例違反,児童福祉法違反被告事件の控訴事件(札幌高裁H30.11.4)

 奥村がブログで紹介した判例を使ったような主張です。
 「その際その姿態を撮影し,動画データを記録させて保存した児童ポルノの製造の行為」というのは、4項製造罪で「姿態をとらせ」記載されてないんじゃないですか。理由不備ですけど。それは主張してないのかなあ。奥村に聞いてくれれば判例提供したのに。

未成年者誘拐,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,北海道青少年健全育成条例違反,児童福祉法違反被告事件
札幌高等裁判所平成30年11月14日
       主   文
 本件控訴を棄却する。
       理   由
 本件控訴の趣意は,弁護人加藤正佳(主任)及び同高嶋智共同作成の控訴趣意書及び「答弁書に対する反論書」に記載のとおりであり,これに対する答弁は,検察官藏重有紀作成の答弁書に記載のとおりである。論旨は,法令適用の誤り,事実誤認,理由齟齬,訴訟手続の法令違反及び量刑不当の主張である。
 第1 法令適用の誤りについて
 論旨は,「児童に淫行をさせる行為」を禁止した児童福祉法34条1項6号は,処罰範囲が広範に過ぎる上,「させる行為」の内容が不明確であるから,憲法31条に違反するのに,原判決は原判示第6の事実について,児童福祉法34条1項6号を適用しているから,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある,というのである。
 しかし,児童福祉法36条1項6号にいう「淫行」とは,児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又はこれに準ずる性交類似行為をいい,「させる行為」とは,直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をいう(最高裁判所昭和40年4月30日第二小法廷決定裁判集刑事155号595頁,同裁判所平成28年6月21日第一小法廷決定刑集70巻5号369頁参照)のであって,同号の処罰範囲が広範に過ぎるとも,構成要件が不明確ともいえない。論旨は理由がない。
 第2 事実誤認及び法令適用の誤りについて
 1 原判決は,罪となるべき事実第6において,以下の事実を認定している。すなわち,被告人はTwitter(以下「ツイッター」という。)上で家出をしたいと書き込んでいた被害者Aに対し,家出をして被告人の下に来るように誘惑し,平成29年11月16日午後7時44分頃,Aと合流して被告人方へ連れ去り,その頃から同月20日までの間,Aを被告人方に寝泊まりさせて自分の支配下に置いていたが,その立場を利用し,Aが18歳に満たない児童であることを知りながら,①同月16日午後9時過ぎ頃と②同月17日午後5時過ぎ頃に,いずれも,被告人方で,Aに自分を相手に性交及び口淫をさせ,もって児童に淫行をさせる行為をした,というのである。
 これに対し,論旨は,「児童に淫行をさせる行為」をしたというためには,行為者と児童との間に,児童の全人格の形成に関わる一定の依存関係がなければならないと解されるが,原判決は被告人とAとの間にこのような依存関係がないのに,「淫行をさせる行為」をしたと認定して児童福祉法34条1項6号を適用しているから,判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認及び法令適用の誤りがある,というのである。
 2 しかしながら,「児童に淫行をさせる行為」とは,前記のとおり,淫行(すなわち,児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又はこれに準ずる性交類似行為)を児童がなすことを,直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして助長し促進する行為をいうのであって,児童の心身の健全育成という児童福祉法の趣旨に照らせば,所論が主張するような依存関係がなければ「児童に淫行をさせる行為」をしたとはいえないと限定して解釈するのは相当ではない。所論は独自の見解を主張したものといわざるを得ず,採用できない。
 そして,「児童に淫行をさせる行為」に当たるか否かは,行為者と児童の関係,助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度,淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯,児童の年齢,その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮して判断するのが相当である(最高裁判所平成28年6月21日第一小法廷決定刑集70巻5号369頁参照)。これを前提に,本件について検討すると,以下のとおりである。
 (1) 関係証拠によれば,以下の事実が認められる。すなわち,
 ア 当時34歳の被告人は。好みに合った女子児童を自宅に監禁して,ペットのように飼育,調教し,思うがまま性交等をして,奴隷のように支配したいとの願望を有していた。そこで,家出や自殺願望のある児童であれば簡単に自宅に連れ込めると考えて,ソーシャルネットワーキングサービスのツイッター上でそのような投稿をしているAを見付け,Aとの間でツイッター上でのやり取りを始めた。そして,女子児童を入れるための犬用のケージと拘束具をあらかじめ購入し,飼育成長を記録するためとして,室内にビデオカメラを設置するなどの準備を行った。
 イ Aは,当時13歳の中学生であったが,保護者との折り合いが悪いため,強い家出願望を有していた。しかし,所持金が3万円ほどしかなく,家出して被告人と合流した後は,被告人方に寝泊まりして生活を被告人に頼らざるを得ない状況にあった。Aは,性交の経験がなく,被告人と性交しなければならなくなるのが嫌であり被告人に犯されないか心配しているとか,自宅にいるくらいなら毎日口淫させられることも頑張るが,性交することは困るなどと伝えて,被告人の意図を確認しようとした。これに対し,被告人は,自分の意図を隠し,性交渉を持つつもりはない旨返答して,原判示第5の事実のとおり,Aの誘拐に及んだ。
 ウ 被告人は,平成29年11月16日,Aを誘拐して自宅に連れ込んだ後,入浴を促し,入浴のために裸となったAを,そのまま風呂場から連れ出し,鎖付きの首輪を付けて,ガムテープで後ろ手に両手首を縛って,口淫をさせるとともに性交に及び,膣内に射精し,その際の状況を撮影した(原判示第6の1及び第7の1の事実)。
 エ 被告人は,翌17日,Aの陰毛などの体毛を剃った上,やはり鎖付きの首輪を付けたまま,口淫をさせるとともに性交に及び,膣内に射精し,その際の状況を撮影した(原判示第6の2及び第7の2の事実)。被告人は,Aが首輪を外そうとすると,「Aを飼うために買った。」「悪いことをしたらケージに入れるからね。」などと言い,Aを5日間にわたり寝泊まりさせ,その後も複数回性交等に及んだ。
 (2) このように,被告人は,被告人に対して好意を抱いているわけでもなく,被告人との間で性交等をしたくないと考えていたAに対し,自分の倒錯した性的欲望を満たすだけのために性交等に及んでいる。これが,児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあるものであることは明らかであり,Aの性交等は,「淫行」に該当するといえる。
 また,13歳という年齢や,強い家出願望を有するなどのAの状況からすれば,Aに自分の性行動に関する適切な判断能力がなかったことは明らかである。そして,被告人のAに対する性的行為は,被告人宅に寝泊まりして生活を被告人に頼らざるを得ないAの状況を利用したものである上,特に,原判示第6の1の事実の性交等については,特異な嗜好に基づく強力かつ直接的な態様のものであって,性交経験を有さず,被告人との性交を嫌がっていたAが自律的意思に基づいて応じたとはおよそ考えられないものであった。原判示第6の2の事実の性交等についても,Aが被告人を頼らざるを得ないことなど,その他の状況が変わっていないことや,原判示第6の1の事実の性交等が一旦行われた後のものであることや,それ自体陰毛を剃るなどの特異な嗜好に基づく行為がされていることなどからすれば,Aが自律的意思に基づいて応じたとはおよそ考えられない。以上によれば,本件は,判断能力に乏しい児童を狙って,これを自己の影響下に置き,その影響力を行使して,自己の倒錯した性的欲求を満足させようと計画した被告人が,実際に,その計画に従って,性交等を望んでいなかった児童を自分の影響下に置き,強い影響力を及ぼして,淫行を助長,促進した事案と評価できるのであって,被告人が,Aに「淫行をさせる行為をした」といえることは明らかである。
 したがって,被告人が「児童に淫行をさせる行為」をしたと認定した原判決は相当である。
 (3)ア これに対し,所論は,Aが被告人とのツイッター上のやり取りの中で,家出先で口淫することについては容認していたことや,小学6年生時に自分の裸の画像を見知らぬ者に送信したことがあるなど,不健全な性行動に親和的な生活を送っていたといえるから,被告人の行為が,Aに事実上の影響力を及ぼしてAが淫行をなすことを助長し促進する行為に当たるとはいえない旨主張する。
 しかし,13歳というAの年齢や心身の状態等に照らせば,Aが自分の性行動に関する十分な判断力を有していたとは認められない。前記の淫行に至る動機・経緯や当時のAの状況,被告人とAの関係,淫行に向けて及ぼした影響力の程度や態様等によれば,被告人がAに事実上の影響力を及ぼしてAが淫行をなすことを助長し促進させる行為を行っていたことは明らかである。
 イ 所論は,原判決が認定した最初の淫行は,被告人がAと合流してわずか1時間17分後にされたものであるから,Aが被告人に依存するといった関係性が生じていたとはいえないと主張する。
 しかし,上記のとおり,Aは13歳で,十分な判断力を備えておらず,強い家出願望を有していた。被告人は,このようなAを,安心させて家出をさせ,自宅に連れ込み,Aを被告人に頼らざるを得ない状況の下に置いた上で,前記のとおり;淫行に向けて直接的かつ強力な態様で影響力を及ぼしているのであるから,最初の淫行の時点でも,既にAに事実上の影響力を及ぼして,Aが淫行をなすことを助長し促進させる行為を行っていたといえる。
 (4) 所論の指摘するその他の点を検討しても,原判決に所論のような事実の誤認又は法令適用の誤りはない。論旨は理由がない。
 第3 理由齟齬について
 論旨は,原判決は「罪数に対する判断」の「3 未成年者誘拐罪,児童ポルノ製造罪及び児童福祉法違反の罪の関係について」の項で,「未成年者誘拐罪は,わいせつ目的がないことを前提とする」としながら,「量刑の理由」の項で,「性交等の相手にしようなどと考えて各犯行に及んだ」などとして,わいせつ目的があったことを前提に量刑判断をしており,理由に食い違いがある,というのである。
 しかし,原判決の「罪数に対する判断」の項の上記説示が未成年者誘拐罪の構成要件を説明したにすぎないものであるのに対し,「量刑の理由」の項の上記説示は,被告人が未成年者誘拐に及んだ動機を説明したものであって,両者は趣旨を異にしているから,理由に食い違いはない。論旨は理由がない。
 第4 訴訟手続の法令違反及び法令適用の誤りについて
 論旨は,Aに対する未成年者誘拐の事実(原判示第5の事実),児童に淫行をさせる行為をした事実(同第6の事実)及び児童ポルノを製造した事実(同第7の事実)については,検察官に釈明をするか,訴因変更を促すなどして,未成年者誘拐の事実をわいせつ目的誘拐と認定した上で,かすがい理論により,上記三つの罪を科刑上一罪として処理すべきであったのに,原判決はそのような釈明等をせずに,未成年者誘拐と認定して,いずれも併合罪の関係にあるとしているから,判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反及び法令適用の誤りがある,というのである。
 しかし,検察官が未成年者誘拐として起訴したのに対し,原裁判所が,より法定刑の重いわいせつ目的誘拐に訴因変更するよう促さなかったからといって,これが訴訟手続の法令違反になるとは,およそ考えられない。未成年者誘拐罪の事実を認定した原判決の判断に誤りがあるとはいえない(なお,仮に,論旨が主張するように,誘拐の事実と児童に淫行をさせる行為をした事実と児童ポルノを製造した事実とが科刑上一罪になるという見解に立つとしても,処断刑の下限が重くなり,被告人に不利になるだけで,考慮すべき量刑事情に違いがあるわけではないから,明らかに判決に影響を及ぼすとはいえない。)。論旨は理由がない。
 第5 法令適用の誤りについて
 論旨は,当時18歳に満たない被害者Bや被害者Cに対し,それぞれ,性交又は性交類似行為をして淫行した北海道青少年健全育成条例違反の行為(原判示第1及び第3の事実)と,その際その姿態を撮影し,動画データを記録させて保存した児童ポルノの製造の行為(原判示第2及び第4の事実)は,被告人の1個の行為が2個の罪名に触れる観念的競合として1罪となるのに,原判決は併合罪の関係にあるとしており,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある,というのである。
 しかし,被害児童と性交又は性交類似行為をして撮影し,これをもって児童ポルノを製造した場合,被告人の上記条例に触れる行為と児童ポルノ法7条4項に触れる行為とは,一部重なる点はあるものの,両行為が通常伴う関係にあるとはいえない。また,両行為の性質等に鑑みると,それぞれにおける行為者の動態は社会的見解上別個のものといえるから,両罪は,刑法54条1項前段の観念的競合の関係にはなく,同法45条前段の併合罪の関係にあるというべきである(児童福祉法の児童に淫行をさせる罪と児童ポルノ製造罪との罪数に係る最高裁判所平成21年10月21日第一小法廷決定刑集63巻8号1070頁を参照。なお,仮に,条例違反の行為と児童ポルノ製造の行為とが観念的競合の関係にあり,これを併合罪の関係にあると解することが誤りであるとの立場に立ったとしても,処断刑の範囲や考慮すべき量刑事情に差異を生じさせるものではないから,明らかに判決に影響を及ぼすとはいえない。)。論旨は理由がない。
 第6 量刑不当について
 論旨は,被告人を懲役4年に処した原判決の量刑が重過ぎて不当である,というのである。
 そこで検討すると,本件は,被告人が①(ア)当時15歳の児童であるBと3回にわたり性交して淫行をし(条例違反。原判示第1の事実),(イ)その際,Bの姿態を撮影して児童ポルノを製造し(同第2の事実),②(ア)当時16歳(3回目の行為時は17歳)の児童であるCと3回にわたり性交又は性交類似行為をして淫行をし(条例違反。同第3の事実),(イ)その際,Cの姿態を撮影して児童ポルノを製造し(同第4の事実),③(ア)当時13歳のAを誘拐した(未成年者誘拐。同第5の事実)上,(イ)Aに2回にわたり被告人を相手に性交及び口淫をさせて児童に淫行をさせる行為をし(児童福祉法違反。同第6の事実),(ウ)その際,Aの姿態を撮影して児童ポルノを製造した(同第7の事実)という事案である。原判決は,以下の諸事情を考慮して,量刑を行っている。すなわち,被告人は,家出願望のあったAを誘拐し,5日間にわたり被告人方に寝泊まりさせて,複数回性交等に及び,その姿態を撮影した。この一連の犯行は,保護すべき児童を性的に弄んだ卑劣かつ悪質な犯行であり,Aに与えた悪影響は大きい。B及びCに対する各犯行も,出会い系サイトで知り合った後,複数回性交等をし,その姿態を撮影して児童ポルノを製造したものであって,児童らに与えた悪影響は大きい。被告人には厳しい非難が向けられるべきである。他方で,Aに対し100万円とその遅延損害金を供託し,Aとその母に謝罪したことや,反省の態度を示し,性嗜好障害を治療する意向を有していること,親族が監督をする意向を表したこと,同種の前科がないことなどの被告人に有利な事情も認められるので,これらの事情も考慮し,懲役4年に処するのが相当である,というのである。この量刑判断は相当であり,是認できる。
 これに対し,所論は,以下のとおり主張する。すなわち,①Aが被告人方に寝泊まりをしていたのは5日間にすぎないこと,被告人方は,Aが独力で帰宅できる範囲内にあったこと,本件で問題とされたAに対する性交等は2回にすぎないこと,被告人は,100万円及びその遅延損害金をAに対する関係で供託しているとと,同種前科がないこと,反省し,性嗜好障害の治療を受け,再犯をしない旨誓っていることなどの事情からすると,原判決の量刑は,同種の事案と比較して,重きに失する。②原判決後,被告人が,A及びその親族との間で和解を成立させ,これに基づき上記供託金のほか200万円を支払ったこと,B及びCに対するしょく罪の趣旨で,合計40万円を法律援護基金に寄附したこと,性嗜好障害の通院治療を継続する必要性が認められること,反省を深めたことを考慮すべきである,というのである。
 しかし,①については,原判決も所論指摘の事情を考慮して量刑判断を行っている。被告人がB及びCに対する条例違反及び児童ポルノ製造にも及んでおり,複数の児童に対して同種の行為を常習的に繰り返した点をも踏まえると,原判決の量刑判断が,同種事案と比較して,重過ぎて不当とはいえない。②については,確かに,当審における事実取調べの結果,Aは親権者である母らと共に,刑事損害賠償命令を申し立てて,被告人に対して損害賠償の請求をしていたところ(その請求額は,証拠上明らかではない。この刑事損害賠償命令申立事件は,原裁判官が担当している。),原判決後の審尋期日において,被告人がAらに対し供託金101万8493円に加えて200万円を支払う旨の和解が成立し,被告人はこれを履行した事実が認められる。また,被告人がB及びCに対するしょく罪の趣旨で,原判決後に合計40万円寄附した事実も認められる。しかし,Aは被告人に対して刑事損害賠償命令を申し立てていたのであるから,原審の段階で,原判決後に,適当な賠償額で,被告人のAに対する賠償命令が出されるか,あるいは,和解が成立するかが,見込まれていたといえる。また,被告人の伯母であるDの原審証言や被告人の公判供述によれば,被告人がB及びCに対する賠償の趣旨でしょく罪金を支払うことを検討していたことや,被告人には賠償金を支払う資力はないが,伯母や両親の助力で賠償金を用意したことが認められる。そうすると,被告人にとって,Aに対する適当な賠償額で賠償金を支払うことや,B及びCに対するしょく罪の趣旨で寄附をすることは,原審の段階で実現可能であったといえるし,原判決も,原判決後にこれらのことが実現され得る可能性も一定程度踏まえて量刑判断をしたものと思料される。さらに,本件各犯行は児童らの心身の健全な成長や発達を害した犯行であり,各児童,特にAの心身に与えた影響の大きさ等の本件の犯情や各罪の保護法益を考慮すると,原判決後に金銭賠償された事実を量刑上大きく評価することはできない。以上によれば,所論指摘の各事情が認められるとしても,原判決を破棄しなければ明らかに正義に反するとまでは認められない。所論はいずれも採用できず,論旨は理由がない。
 第7 よって,刑事訴訟法396条により,主文のとおり判決する。
  平成30年10月29日
    札幌高等裁判所刑事部
        裁判長裁判官  登石郁朗
           裁判官  瀧岡俊文
           裁判官  深野英一

いまどき「わいせつとは、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう。(最判昭26・5・10刑集5-6-1026)刑法基本講義総論・各論〔第3版〕」なんて言わないよ

 定義はないので。



 いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう(金沢支部S36.5.2)
・・・
 性的自由を侵害する行為(大阪高裁 大法廷h29.11.29の控訴審
・・・
 「一般人の性欲を興奮,刺激させるもの,言い換えれば,一般人が性的な意味のある行為であると評価するものと解されるから,強制わいせつ行為に該当する。」東京高裁H30.1.30(奥村事件 上告棄却)
・・・

 「被告人が13歳未満の男児に対し,~~などしたもので,わいせつな行為の一般的な定義を示した上で該当性を論ずるまでもない事案であって,その性質上,当然に性的な意味があり,直ちにわいせつな行為と評価できることは自明である。」(広島高裁H30.10.23 奥村事件 上告中)
・・・
「わいせつな行為」に当たるか否かは,社会通念に照らし,その行為に性的な意味があるといえるか否かや,その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断すべきである。(福岡高裁H31.3.15)

強制わいせつ被告事件
福岡高等裁判所平成30年(う)第438号
平成31年3月15日第1刑事部判決
       判   決

原判決 福岡地方裁判所 平成30年10月31日宣告
控訴申立人 被告人
       主   文
本件各控訴を棄却する。
       理   由
 被告人aの控訴の趣意は,主任弁護人前田豊及び弁護人武寛兼共同作成の控訴趣意書記載のとおりであり,被告人bの控訴の趣意は,主任弁護人税所和久,弁護人今西眞及び弁護人舛谷隆輔共同作成の控訴趣意書に記載されたとおりであるから,これらを引用する。被告人aは事実誤認を主張し,被告人bは事実誤認,法令適用の誤り及び量刑不当を主張している。
(4)判例最高裁平成28年(あ)第1731号同29年11月29日大法廷判決・刑集71巻9号467頁)によれば,平成29年法律第72号による改正前の刑法(以下「刑法」という)176条前段にいう「わいせつな行為」に当たるか否かは,社会通念に照らし,その行為に性的な意味があるといえるか否かや,その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断すべきである。被告人bの行為は,明らかに性交を模したものであり,股間付近を被害者の陰部付近に複数回接触させているから,社会通念に照らし,それ自体性的な意味合いが強い行為であることは明らかである。仮に被告人両名が,宴会の中での悪ふざけ,あるいは被害者に対する嫌がらせなどといった認識の下に行ったとしても,そのような主観的な事情は,「わいせつな行為」に当たるか否かの判断に影響を及ぼさない。したがって,被告人bの前記一連の行為は,刑法176条前段の「わいせつな行為」に当たる。

刑法基本講義 総論・各論 第3版 単行本(ソフトカバー) – 2019/5/23
佐久間 修 (著), 橋本 正博 (著), 上嶌 一高 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4641139377/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_.qjrDbM1F9DR5

「わいせつ」概念の違い
強制わいせつ罪の「わいせつな行為」とは,行為者の性欲を満足させる意図の下に,客観的にみて性欲を刺激・興奮させ, かつ,普通人の正常な性的蓋恥心を害して,善良な性的道徳観念に反する行為である(名古屋高金沢支判昭和36 . 5 .2下刑集3巻5=6号399頁)。具体的には,無理矢理に被害者を抱きしめたり‘相手方の乳房をつかんだり,被害者の陰部に触れる行為などが挙げられる(大判大正7 . 8 . 20刑録24輯1203頁)。
これらの行為は, 上述した風俗犯の「わいせつ」概念と重なるところもあるが,必ずしも同一の内容ではない。たとえば, 人前でキス(接吻) しても, 公衆の性風俗を侵害しないが,無理矢理にキスをするならば, その性的自由を侵害する行為として, 強制わいせつ罪になる(東京高判昭和32・1 ・22判時103号28頁)。なお,いわゆる「姦淫」行為も, わいせつ行為の一種であるが,後述する「性交等」にあたる場合は, 強制性交等罪の規定が優先的に適用される。

岡崎支部の無罪判決についてwestlawから削除依頼があった件は毎日新聞に出ています。

 

 他のDBにも出てますので、よそから引っ張ってきて、加筆しています。契約関係が無ければ、判決には著作権がないということで DB会社からクレーム来ないんですよ。

http://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/2019/05/18/105015

https://mainichi.jp/articles/20190518/k00/00m/040/310000c
ブログに載せた判決⽂を削除
こうした議論の中で「法律改正議論材料のためにも、判決全⽂読みたい」(太⽥啓⼦弁護⼠のツイート)▽「具体的にどのような事実があったのかわからない。判決は全て公開すべき」(趙誠峰弁護⼠のツイート)――といった意⾒も⽬⽴つようになった。
9⽇には性犯罪の被告の弁護を多く⼿がける奥村徹弁護⼠が、⺠間の有料判例データベースに載った岡崎⽀部の判決⽂を⾃⾝のブログに掲載したが、業者から「利⽤規約違反」を指摘されたとして15⽇に削除した。「議論の材料にしたいと提供した。判決に著作権はない。こんな指摘は初めてだ」と驚く。こうしたデータベースは専⾨業者が法曹関係者から独⾃ルートで情報収集して作られている。
市⺠による閲覧は「法律上できない」

名古屋地裁岡崎支部岡崎支部H31.3.26

名古屋地裁岡崎支部岡崎支部H31.3.26
準強制性交等被告事件
主文
被告人は無罪。
理由
第1公訴事実
本件公訴事実の要旨は,
「被告人は,同居の実子である乙女(当時19歳)が,かねてから被告人による暴力や性的虐待等により被告人に抵抗できない精神状態で生活しており,抗拒不能の状態に陥っていることに乗じて,乙女と性交しようと考え,平成29年8月12日午前8時頃から同日午前9時5分頃までの間に,丙県甲市所在の■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■会議室において,同人と性交し,もって人の抗拒不能に乗じて性交をした(平成29年11月7日付け起訴状記載の公訴事実)」というもの及び
「被告人は,同居の実子である乙女(当時19歳)が,かねてから被告人による暴力や性的虐待等により被告人に抵抗できない精神状態で生活しており,抗拒不能の状態に陥っていることに乗じて,乙女と性交しようと考え,平成29年9月11日午前11時3分頃から同日午後零時51分頃までの間に,丙県丙市所在のホテル■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■において,同人と性交し,もって人の抗拒不能に乗じて性交をした(平成29年10月11日付け起訴状記載の公訴事実(但し,同年11月7日付け訴因変更請求書による訴因変更後のもの))」
というものである。

第2当事者の主張等
公訴事実記載の各日時・場所において,被告人が乙女と性交に及んだこと(以下「本件各性交」という。
)は,被告人自身も認めており,関係証拠上も明らかである。

検察官は,本件各性交当時に至るまで,乙女が中学2年生の頃から長年にわたって行われてきた被告人による性交等の性的虐待行為と被告人の暴力,これらを受けてきたことによる乙女の精神状態,乙女が不仲である実母に相談できず,被害申告をすれば被告人が逮捕されて弟たちが学校に行けなくなってしまうのではないかとの思いから警察に被害申告できなかった事情,乙女が専門学校に入学するに際して被告人に入学金等として多額の金銭負担をさせたことに負い目を感じていたことなどによって,本件各性交当時,乙女は,被告人からの性交等に抵抗することが著しく困難な状態にあった旨主張する。

一方,弁護人は,本件各性交の当時,乙女は,抗拒不能の状態にはなく,被告人との性交に同意していた,仮に抗拒不能状態にあったとしても,被告人は,乙女が抗拒不能状態にあったとの認識を有しておらず,被告人には故意がなく,また,被告人は,乙女が本件各性交について同意しているとの認識を有していたので故意又は責任がない旨主張する。

当裁判所は,本件各性交に関していずれも乙女の同意は存在せず,また,本件各性交が乙女にとって極めて受け入れ難い性的虐待に当たるとしても,これに際し,乙女が抗拒不能の状態にあったと認定するには疑いが残ると判断したので,以下,説明する。

第3前提となる事実関係等
1関係各証拠によれば,以下の事実関係が認定できる。

(1)被告人及び乙女の家族関係
被告人は乙女の実父であり,乙女は,本件当時,被告人,実母及び実弟3人(以下,乙女の実弟らについては,特定することなく単に「弟」という。
)と同居していた。

乙女は,その母とは不仲で,同女に対して不信感を抱いていたため,同女に対して被告人から性的虐待を受けていることを含めて悩み事などを相談することはできなかった。

(2)被告人による暴力について
被告人は,乙女が小学生であった頃,乙女に対して勉強を教えている際に同人が内容を理解しないときなどに,同人を殴ったり蹴ったりすることがあった。
なお,被告人は,乙女が中学生であった頃も,同人に対して暴力を振るうことがあったが,その頻度は乙女が小学生であった頃よりも少なかった。
乙女の母は,被告人が乙女に暴力を振るった際,あまりにひどいときに口頭で止める程度のことをするのみで,ほとんどは黙って見ていたり,被告人に加勢したりしていた。

(3)被告人による本件各性交以前の性的行為等について
ア被告人は,乙女が中学2年生であった頃から,乙女が寝ているときに,乙女の陰部や胸を触ったり,口腔性交を行ったりするようになり,その年の冬頃から性交を行うようになった。
被告人による性交は,その頃から乙女が高校を卒業するまでの間,週に一,二回程度の頻度で行われていた。

乙女は,上記の行為の際,身体をよじったり,服を脱がされないように押さえたり,「やめて。
」と声を出したりするなどして抵抗していたが,いずれも被告人の行為を制止するには至らなかった。

イ被告人は,乙女が高校を卒業して平成28年4月に専門学校に入学した後も,乙女に対して性交を行うことを継続しており,その頻度は専門学校入学前から増加して週に三,四回程度となっていた。

乙女は,この頃においても,被告人の上記行為に対して抵抗していたが,従前と比べてその程度は弱まっていた。

ウ乙女は,平成28年の夏から秋頃の時期に,弟らに対して,被告人からの性的虐待を打ち明けて相談した。
その結果,弟らから,乙女が被告人から性的被害を受けないように一緒に寝ることを提案され,弟らが乙女と同じ部屋で寝るようになったところ,被告人からの性交はしばらくの間は止んだものの,平成29年に入って乙女の弟らが同じ部屋で寝るのを止めるようになると,被告人は再び乙女の寝室に入り込んで性交を含む性的行為を行うようになり,その頻度は従前よりも増加した。

エ乙女は,平成29年7月後半から同年8月11日までの間に,自室で就寝中に被告人から性交をされそうになった際,乙女の服の中に手を入れてくる被告人の手を払ったり,執拗に乙女のズボンを下げようとするのを引き上げたりして抵抗したところ,被告人からこめかみの辺りを数回拳で殴られ,太ももやふくらはぎを蹴られた上,背中の中心付近を足の裏で二,三回踏みつけられたことがあった(以下「本件暴行」という。
)。
この際,被告人は,上記一連の暴行の後,乙女の耳元で「金を取るだけ取って何もしないじゃないか。
」などと言い,結局性交は行わずに乙女の部屋を出て行った。
その日の夜になり,乙女のふくらはぎなどに大きなあざができていたことから,乙女は弟らに対して,その日の朝に被告人から性交をされそうになり,抵抗したら蹴られたりしてあざができたことを伝えた。
なお,乙女は,それ以前にも,平成29年4月以降,被告人から性交を求められて,本当に止めてほしいと思った際に相当大声で「嫌だ。
」と言って強く拒んだことがあったところ,その際に,被告人から頻度はそれほど多くはないものの暴行を受けたことが何回かあったが,その態様は本件暴行の際ほど執拗なものではなかった。

(4)乙女の進学等について
ア乙女は,高校3年生のとき,両親に事前の相談をすることなく4年制大学への進学を決め,大学の推薦入学試験に合格し,被告人が入学に必要な費用の一部を準備して納付したが,期日までにその費用全額を納めることができなかったため,当該大学に進学することができなかった。

乙女は,高校卒業後,自身の希望で専門学校に進学した。
被告人及び乙女の母は,主に学費の関係で乙女の進学に反対したが,結局,乙女と被告人との間で,同学校の入学金や授業料等の費用については,いったん被告人が支払い,乙女が被告人に対して後で当該費用と生活費等を併せた金額を返済することと取り決められた。
当初,被告人は乙女に対し月8万円を返済するよう求めたが,乙女の希望により返済額は月4万円とされた。
なお,乙女の毎月の返済額は,乙女が家事の手伝いをした場合,これに応じて減額されることとされていたが,実際に乙女が家事の手伝いをしたことにより返済額が減額されたことはなく,乙女は,平成28年5月頃から毎月4万円を被告人に支払っていた(乙女は,本件当時アルバイトをしており,月8万円前後の収入があった。
)。

イ乙女は,専門学校に進学してからしばらくして,同学校における実技で●●●ことが続き,また,そのことを教師から叱責されたことなどから,通学に精神的な負担を感じ,平成29年6月末頃から同学校を欠席する状況が続いていた。

(5)被告人の経済状況について
被告人は,平成22年10月27日から本件各性交の当時に至るまで,生活保護を受給していた。

(6)本件各性交について
ア被告人は,平成29年8月12日の朝,乙女とともに,自身の運転する車で自宅を出発し,●●●において買物をした後,●●●の建物を訪れ,その■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■会議室において乙女と性交に及んだ(以下,上記性行為の事実を「第1事実」という。
)。

上記建物は,被告人の勤務先である●●●が事務所として使用していた建物であったところ,事務所の移転作業の最中であり,同日は被告人以外の従業員が全員休みで,被告人のみが同所において移転作業に従事することとなっていた。

イ後出の第2事実の前日である平成29年9月10日,被告人は,乙女に対して翌日の予定を尋ねてきた。
その前日に後出のBの車で丙県丙市のc施設(以下,単に「c施設」という。
)まで映画の前売り券を買いに行くことを予定していた乙女がその旨を被告人に伝えると,被告人は,乙女に対して,自分が連れて行くからホテルに行く旨を伝えた。
そして,同月11日の朝,被告人は,車に乗せた乙女に対してホテルに行く旨告げた上,被告人の運転する自動車で,途中c施設に立ち寄った後,丙県丙市所在の■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ホテルに行き,同所において乙女と性交に及んだ(以下,上記性行為の事実を「第2事実」という。
)。

(7)乙女による友人等への相談等について
ア乙女は,弟らに性的被害の事実を打ち明けたのと同時期頃の平成28年の夏から秋頃の時期に,友人であるBに対し,スマートフォンのアプリケーションソフト「××××」のメッセージ機能(以下,単に「××××」という。
)を利用して,被告人から性的被害を受けている旨を伝え,その数日後,B宅においてB及び友人のC(以下,両名を「Bら」という。
)と会った際,同人らに対し,被告人から継続的に性的被害を受け続けていることを明かしたが,Bらから警察に相談するよう勧められるも,乙女は,その際,被告人が逮捕されると弟らが犯罪者の息子になってしまい,弟らが生活できなくなってしまうことが心配だと答えた。
なお,その際,Bらは,乙女に対し,相談窓口として警察以外にも心の相談室や女性相談室がある旨も伝えた。

イ平成29年に入り,乙女が専門学校に通学しなくなったことを心配したBが乙女に様子を尋ねたところ,乙女は,Bに対し,今でも被告人からの性的被害を受けている旨伝えた。

ウ平成29年8月頃,乙女は,弟らに対し,まだ被告人による性的被害が続いている旨を話したほか,「市役所に電話して相談しようかな。
」等と話した。

エ第1事実後の平成29年8月22日か23日頃,乙女は,友人であるDに対し,××××を利用して,中学2年生当時から被告人に性的被害を受けていること,最近被告人からひどい暴力を受けたこと,同月12日に被告人から第1事実を内容とする性的被害を受けたことなどを伝え,これらの××××によるやり取りの中でDから警察や児童相談所に相談したほうが良い旨のアドバイスも受けた際には,Dに対し,「いこうと思って調べたら予約制で...」というメッセージを送信した。
また,乙女は,同年9月9日及び同月10日にDと直接会った際,被告人から性的虐待を受け続けていることを話して相談したが,その際にも,Dからできるだけ早く警察に相談したほうが良い旨のアドバイスを受けた。

オ乙女は,第2事実の当日朝,車で乙女をc施設まで送ってくれることをその前日に約束していたBから,××××で何時に行くのか確認されると,被告人が車で送ってくれるのでBによる車での送りは必要ない旨を××××で返信したが,それらの××××のやり取りの中で,かねてより被告人による性的虐待を受けていることを乙女から聞いていたBは,被告人からの申出を断らない乙女の態度をたしなめる内容の××××を送信した。

(8)乙女による公的機関への相談について
乙女は,第2事実の後,同日中に,甲市役所の市民相談課に学費相談を内容とする相談予約を入れ,同月15日,市役所に赴き,職員に対して,学費の件と併せて被告人から性的虐待を受けている旨打ち明けて相談し,その結果,被告人の乙女に対する性的虐待が公的機関に明らかとなった。

2以上の各事実は,取調べ済みの関係各証拠により認定することができる。

弁護人は,被告人の弁解供述に基づき,被告人と乙女との間に性的行為が初めてあったのは,乙女が高校3年時の平成28年2月頃であり,両者の間に初めて性交があったのは同年3月頃であって,乙女が中学2年時に性交した事実はない,本件暴行の事実は存在しないなどと主張する。

乙女は,被告人から性的な行為をされていた経緯やその状況,本件各性交に係る経緯等について,概ね前記1で認定した事実に沿う供述をするところ,その供述は具体的かつ自然である上,実際に体験した者でなければ語れない内容を含む点で迫真性も認められ,乙女が友人や市役所職員に対して相談していた内容とも整合する。
また,乙女は,本件が事件化する以前に,友人や弟らに対して,被告人から継続的に性的な行為をされていることなど,当公判廷において供述するところと同様の事実を告げて相談しているところ,このような通常であれば他人への開示を望まない事実について,乙女が友人らにあえて虚偽を述べる動機は見出し難い。
これらのことからすると,乙女の当公判廷における供述は全体として信用できるものといえる。

他方で,被告人は,当公判廷において,乙女との間で最初に性交を行ったのは乙女が専門学校に入学する直前である平成28年3月頃であり,それ以前に性交に及んだことはない,乙女と性交を行うようになったのは,同人からその旨の誘いがあったことがきっかけであり,反対に同人が被告人からの誘いを拒むこともあったなどと供述する。

しかしながら,被告人の上記供述は,前記のとおり信用できる乙女の供述と矛盾する上,被告人の供述するところによれば,乙女は,平成28年3月頃,被告人と性交を行うことを条件として専門学校への入学に係る費用の援助を求めてきたものであり,被告人は,学校に行きたいのであれば,まずは自分でお金を貯めるべきであるなどとして,いったんはこれを断りながら,その直後に,「おまえ,すると言ってもちんちんたたないから,やってみな。
」などと申し向けて口腔性交等に至り,その2,3日後に,被告人から「この間中途半端だったから,できるか。
」などと求めて性交に及んだということであるが,このような経緯は極めて唐突であり,事実の経過として不自然・不合理であるといわざるを得ない。
また,被告人は,乙女が中学3年生であった頃に一度,同人に対して性的な行為を行ったほかは,前記平成28年3月頃の出来事以前に乙女に対して性的な行為を行ったことはなく,乙女が中学生の頃に,乙女の陰部を直接触るなどしたことはあるが,それは夜尿の指導として行ったものであって性的なものではない旨供述するところ,中学生の女子である乙女に対して被告人の供述するような指導方法をとることはおよそ考え難く,かかる点においても,被告人の弁解は不合理である。

以上のとおり,被告人の当公判廷における供述は,信用できる乙女の供述と矛盾する上,その核心部分において不合理・不自然な点を多々含むものであって,到底信用することはできない。

第4本件各性交に関する乙女の同意の存否について
乙女は,当公判廷において,本件各性交を含め,被告人との性交に同意したことはなく,被告人から性交を求められることについて,気持ち悪い,嫌だなどという心情を抱いていた旨供述する。
これに対し,被告人は,本件各性交を含め,乙女との性交については,全て乙女の同意の下で行われた旨弁解供述する。

しかしながら,そもそも,被告人は,乙女にとって実の父親であり,通常は乙女にとって性的関心の対象となり得る存在ではなく,乙女が被告人をそのような存在としてみていたことをうかがわせる事情もない。
また,仮に,乙女が被告人との性交を含む性的行為について同意していたとすれば,乙女において弟らを同じ部屋に寝かせることで被告人からの性的行為を避けようとする行動を取る必要はないはずである。
さらに,実の親子間で性行為が行われているという異常ともいえる関係は,通常は他人には知られたくない事実であることに照らすと,被告人との間で性行為を含む性的行為について同意している乙女において,このような事実を弟らや友人らに告白することなどあり得ないことである。

これらのことからすれば,本件各性交を含めて被告人との間の性的行為につき自分が同意した事実はない旨の乙女の供述は信用でき,本件各性交以前に行われた性交を含め,被告人との性交はいずれも乙女の意に反するものであったと認められる。
よって,この点に関する被告人の弁解供述は採用できない。

第5乙女が抗拒不能の状態であったか否かについての検討
1刑法178条2項は,意に反する性交の全てを準強制性交等罪として処罰しているものではなく,相手方が心神喪失又は抗拒不能の状態にあることに乗じて性交をした場合など,暴行又は脅迫を手段とする場合と同程度に相手方の性的自由を侵害した場合に限って同罪の成立を認めているところである。
そして,同項の定める抗拒不能には身体的抗拒不能心理的抗拒不能とがあるところ,このうち心理的抗拒不能とは,行為者と相手方との関係性や性交の際の状況等を総合的に考慮し,相手方において,性交を拒否するなど,性交を承諾・認容する以外の行為を期待することが著しく困難な心理状態にあると認められる場合を指すものと解される。

したがって,本件においても,乙女が本件各性交に同意していなかったとしても,このことをもって直ちに準強制性交等罪の成立が認められるものではなく,乙女が置かれた状況や被告人と乙女との関係性等を踏まえて,乙女が上記のような心理状態に陥っていたと認められるかどうかをさらに検討する必要があり,このような検討の結果,乙女の心理状態が上記の状態にまで至っていることに合理的な疑いが残る場合は,同罪の成立を認めることはできないこととなる。

2そこで,以下,上記の点について具体的に検討する。

(1)被告人は,乙女が中学2年生の頃より,同人の抵抗を排して,その意思に反する性的行為を繰り返しており,本件暴行の際など,乙女が性交を拒んだ際に暴力を振るったこともあったのであって,これらのことは,父親としての立場を利用した性的虐待と評価すべきものである。
乙女は,このような性的虐待を通じて,抵抗してもその甲斐なく意に反する性交を行われてしまうという経験を繰り返すことにより,被告人に対して抵抗する意思・意欲を奪われた状態にあったことがうかがわれ,そのような意味で,被告人は,継続的な性的虐待を通じて,乙女をその精神的支配下に置いていたものと認められる(この点,本件において乙女の本件各性交当時の精神状態や上記精神状態に陥った原因等について精神鑑定を行った精神科医である戊医師は,その鑑定意見において,被告人による性的虐待等が積み重なった結果,乙女において,被告人には抵抗ができないのではないか,抵抗しても無理ではないかといった気持ちになっていき,被告人に対して心理的に抵抗できない状況が作出された旨証言しており,かかる証言は,前記認定にも沿うものであるところ,戊医師は,精神科医師としての長年にわたる臨床経験を有する上,精神鑑定の経験も豊富であり,乙女の精神状態等に関する鑑定意見には高い信用性が認められる。
もっとも,乙女が抗拒不能の状態にあったかどうかは,法律判断であり,裁判所がその専権において判断すべき事項であることから,同証言及び戊医師における精神鑑定(以下「戊鑑定」という。
)の結果は,専門家である精神科医師としての立場から当時の乙女の精神状態等を明らかにする限度で尊重されるに止まり,法律判断としての乙女の抗拒不能に関する裁判所の判断を何ら拘束するものではない。
なお,戊医師は,その鑑定意見において,問診時の乙女の様子や乙女が甲市職員と面接した際の様子から,乙女は本件各性交時において離人状態に陥っていたと推測できると述べている部分があり,検察官は,この点を乙女が抗拒不能の状態に陥っていた裏付け事情の一つとして挙げているが,乙女の本件各性交時の記憶が比較的良く保たれていることに加え,戊鑑定において乙女につき解離性障害の程度に関する心理検査も実施されていないことからすると,戊医師の鑑定意見を踏まえても,乙女が本件各性交時において抗拒不能状態の裏付けとなるほどの強い離人状態(解離状態)にまで陥っていたものとは判断できない。
)。
また,乙女が,専門学校入学後,自身の学費ばかりか生活費についてまで,被告人から多額の借入れをする形をとらされ,その返済を求められたことで,被告人に対する経済的な負い目を感じていたことからすれば,前記性的虐待がこの間も継続していたことと相まって,本件各性交当時,被告人の乙女に対する支配状態は従前よりも強まっていたものとも解される。

しかしながら,乙女自身も,本件暴行以前に性交を拒んだ際に暴行を受けたことは頻度としてはさほど多くなく,暴行を受けた際であっても,その態様は本件暴行ほど執拗なものでなかったと供述する上,性的行為と関わりのないしつけに伴う暴力についても,小学校卒業後はほとんどなかったと供述していることに照らすと,本件暴行以前の性的虐待の際にも,乙女が被告人からのひどい暴行を恐れて性交を拒むことができなかったとは認められない。
また,乙女が執拗に性交しようと試みる被告人の行為に抵抗した結果受けた本件暴行は,乙女のふくらはぎ付近に大きなあざを生じるなど,相応の強度をもって行われたものであったものの,この行為をもって,その後も実の父親との性交という通常耐え難い行為を受忍し続けざるを得ないほど極度の恐怖心を抱かせるような強度の暴行であったとはいい難い。
加えて,乙女は,両親の了解を得ることなく大学への入学を決め,入学費用の一部を被告人に負担させたり,両親の反対を押し切って専門学校への入学を決め,入学金や授業料として多額の費用を被告人に負担させたりしていること,被告人から家事の手伝い等をするよう求められ,これをした場合,毎月4万円と取り決められていた返済金額を減額する旨申し伝えられていたものの,十分にはこれを行っていなかったこと(家事の手伝い等が十分でなかったことについては,乙女も自覚がある旨認めている。
),乙女には本件当時月8万円前後のアルバイト収入があり,被告人からの性的虐待から逃れるため,家を出て一人暮らしをすることも検討していたことなどを考え合わせると,日常生活全般において,乙女が監護権者である被告人の意向に逆らうことが全くできない状態であったとまでは認め難い。
これらのことを総合すると,被告人は,乙女の実父としての立場に加えて,乙女に対して行ってきた長年にわたる性的虐待等により,乙女を精神的な支配下に置いていたといえるものの,その程度についてみると,被告人が乙女の人格を完全に支配し,乙女が被告人に服従・盲従せざるを得ないような強い支配従属関係にあったとまでは認め難い。

(2)既に説示したとおり,本件各性交は乙女の意に反するものであったと認められる一方で,本件各性交に際し,乙女が被告人に対して特段の抵抗をした様子は見受けられず,かえって,性交に際して自ら服を脱ぐなどしているところ,その理由について,乙女は,当公判廷において,被告人から長年にわたって性的虐待を受け続けていたこと,被告人との性交を拒んだ際に暴力を振るわれたり,学費等を貸し付けている旨言われたりしたことがあったことなどから,抵抗することを諦めている状態にあった旨供述するが,当時の状況等に照らせば,かかる乙女の供述は当時の同人の心理状態を示すものとして十分了解可能である。
したがって,乙女の供述する上記心理状態が,被告人との性交を承諾・認容する以外の行為を期待することが著しく困難な程度にまで至っていると認められる場合には,乙女が抗拒不能の状態にあるものと認められ,本件各性交について,準強制性交等罪の成立が認められることとなる。

この点,確かに,被告人は乙女に対して長年にわたり性的虐待等を行ってきたものの,前記のとおり,これにより,乙女が被告人に服従・盲従するような,強い支配従属関係が形成されていたものとは認め難く,乙女は,被告人の性的虐待等による心理的影響を受けつつも,一定程度自己の意思に基づき日常生活を送っていたことが認められる。
また,前記のとおり,乙女が,本件各性交以前に被告人から暴力を受けた際,抵抗を続けた結果として,性交を拒むことができたという経験も有していること,本件各性交以前の平成28年の夏か秋頃に,乙女がBらや弟らに被告人から性的虐待を受け続けていることを打ち明けて相談し,この事実を知った弟らの協力を得て被告人からの性的虐待を回避するための方策を講じてこれが功を奏した期間もあるほか,弟らやBらから警察への相談を勧められながらも,弟らの生活を壊してしまうとの考えから警察などの公的機関への相談を思いとどまったこと,第1事実の頃に乙女が弟に対して市役所へ相談しようと考えている旨を告げ,また,第1事実と第2事実との間においてDに対して相談した時点で,乙女が公的機関に相談しようとした事実がうかがわれるほか,第2事実の直前には乙女がBとの間において被告人の車に乗ることについてBが乙女をたしなめる内容の××××のメッセージを交わしながら,乙女の判断でBの申出を断り被告人の車でc施設に出向いた事実も存在する。
そして,戊鑑定の結果によれば,乙女の知的能力には特段問題がなかったものと認められるし,本件当時の乙女の年齢や公判廷での証言態度等からすれば,同人の判断能力や性的知識についても問題があったことはうかがわれない。

(3)以上説示した事情によれば,本件各性交当時における乙女の心理状態は,例えば,性交に応じなければ生命・身体等に重大な危害を加えられるおそれがあるという恐怖心から抵抗することができなかったような場合や,相手方の言葉を全面的に信じこれに盲従する状況にあったことから性交に応じるほかには選択肢が一切ないと思い込まされていたような場合などの心理的抗拒不能の場合とは異なり,抗拒不能の状態にまで至っていたと断定するには,なお合理的な疑いが残るというべきである(なお,以上の当裁判所の判断は,乙女が被告人に対して抵抗し難い心理状態にあったことを前提としつつも,その程度が法律上抗拒不能の状態に至っていると認められるかどうかについては,なお合理的な疑いが残るというものであって,かかる判断は戊鑑定の結果と矛盾するものではない。
)。

(4)なお,関係証拠中には刑事訴訟法322条1項に基づきその全部又は一部を証拠採用決定した被告人の供述調書(乙3,乙4不同意部分,乙5,乙9から11まで及び乙16の各不同意部分。
いずれも被告人の署名及び指印があるもの。
)があるところ,上記各供述調書中には,被告人において,乙女が,父親である被告人に逆らえず,幼い頃から被告人の言うことを聞かないと暴力を振るわれ,性的虐待を受けるようになってからは抵抗しても被告人に押さえ付けられて無理矢理性的行為をされることから,被告人に抵抗できなくなっていた事実を自認している供述部分(乙9)や,被告人から暴力を振るわれたり,性的虐待を繰り返し受けたりしたことから,逆らっても無駄だと逆らえない状態になっているとの認識を被告人が有していた事実を自認している供述部分(乙10)が存在する。

しかしながら,各供述調書に係る取調べの様子を録音録画したDVD(甲35,37,39,41,44,45)を検討すると,上記供述部分については,同供述部分に対応する被告人の供述が見当たらないか,取調べを担当した検察官が断定的に問い質した内容に対して被告人が明示的に否定しなかったことをもって被告人が供述したかのような内容として記載されていることが確認できるところであり,このような調書作成状況からすれば,本件における乙女の心理状態及びこれに関する被告人の認識を検討するに当たり,前記乙9,10の各供述部分は判断の資料とすることはできないと考える。

第6結論
以上のとおり,本件の証拠関係を前提とすると,乙女が本件各性交当時に抗拒不能の状態にあったと認定することはできないから,その余の点について判断するまでもなく,本件各公訴事実について,刑事訴訟法336条により,被告人に対し無罪の言渡しをする。

検察官磯谷武司及び国選弁護人田中伸明各出席
求刑懲役10年
古屋地方裁判所岡崎支部刑事部
裁判長裁判官鵜飼祐充
裁判官岩﨑理子
裁判官西臨太

「校内で盗撮 立件見送り…秋田県警 条例「公共の場」該当せず」への取材コメント

校内で盗撮 立件見送り…秋田県警 条例「公共の場」該当せず
https://www.yomiuri.co.jp/national/20190516-OYT1T50093/


 こういう説明をします。
 条例なので、対応してないと処罰できません。

奈良県が先進です
okumuraosaka.hatenadiary.jp


 京都府の場合

http://www.pref.kyoto.jp/reiki/reiki_honbun/aa30013881.html
第3条2 何人も、公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において、前項に規定する方法で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
(1) みだりに、着衣で覆われている他人の下着等を撮影すること。
(2) みだりに、前号に掲げる行為をしようとして他人の着衣の中をのぞき込み、又は着衣の中が見える位置に写真機その他の撮影する機能を有する機器を差し出し、置く等をすること。
(3) みだりに、写真機等を使用して透視する方法により、着衣で覆われている他人の下着等の映像を撮影すること。
・・・・

http://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/2018/07/02/000000
よく条例の法文を読むと、「公共の場所」には限定されていません。
 h26改正で、条例3条2項が加わって「公衆の目に触れるような場所において」に拡張されています。
 京都府警の内部資料では「公衆の目に触れるような場所」とは①学校、塾の教室②事業所の事務室③貸切バス④ジャンボタクシーとされています。
 条例3条3項では「公衆が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」が加わっています
私的空間の規制が外されたのは、京都地検の見解が理由とされています
「場所的制限を撤廃した盗撮行為の規制について。。。私的空間で様々な立法事実となるような事案が発生していることは理解でき、また、処罰すべき事案であることも理解できる。しかし、国の法律である軽犯罪法が、私的空間を含む、通常着衣をつけないでいるような場所における裸の盗撮を規制していることから、私的空間に及ぶ規制は、個人的法益の侵害を認めないという軽犯罪法の範疇であるといえ、私的空間に対する規制は、憲法で法律の範囲内で定めることができるとされている条例の限界を超えている。
現行粂例は、場所を公共の場所、公共の乗物に限定していることで、公衆が迷惑する、被害者がより一層差恥させられるという理由から、条例で規制できるという説明がつくのであり、同様の理由付けができるのは準公共空間の範囲までである。」

公衆に著しく迷惑をかける暴力的な不良行為等の防止に関する条例
昭和三十九年七月十四日秋田県条例第七十六号https://www1.g-reiki.net/pref_akita/reiki_honbun/u600RG00000909.html
(卑わいな行為の禁止)
第四条1 何人も、正当な理由がないのに、公共の場所又は公共の乗物において、人の性的 羞しゆう 恥心を著しく害し、又は人に不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
一 人の身体に、衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から接触し、又は直接接触すること。
二 衣服等で覆われている人の下着又は身体をのぞき見し、又は撮影すること。
三 前二号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
2 何人も、正当な理由がないのに、住居、浴場、更衣場、便所その他通常人が衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場合がある場所において当該状態でいる人を撮影してはならない。
(平二一条例八九・追加)

秋田県公衆に著しく迷惑をかける暴力的な不良行為等の防止に関する条例逐条解説(2016年)
※ 「公共の場所」の「公共の」とは、
不特定多数人が自由に利用することができる性質のものを指すと解すべきであるから、国又は公共団体所有若しくは管理に係るものには限らない。
※ 「公共の場所」とは、
単に場所をいうのではなく、場所の公共性をいうのであって、営業時間以外の興行場、飲食店、デパートなどは、そのときにおいては公共の場所とは言えない。
※ 「その他公衆が利用することができる乗物」とは、
不特定多数の者が、有償であると無償であるとを問わず、自由に利用し得る乗物をいう。
例えば、エレベーター、エスカレーター、ロープウェー、ケーブルカーなどがこれに当たる。
一方、タクシー、貸切バス、貸切列車等は、不特定多数の人が、同時に利用することができる性質のものでないから、ここでいう公共の乗物に当たらない。公共の場所と同様、乗物自体の属性ではなく、その状態である。
・・・・・・・・・










2本条の趣旨及び規制内容本条は、人の性的差恥心を著しく害し、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな行為を禁止した規定であり、第1項では、正当な理由なく○第1号公共の場所等における痴漢行為○第2号公共の場所等におけるのぞき見、撮影行為○第3号公共の場所等におけるその他の卑わいな言動を禁止し、第2項では、正当な理由なく○住居等通常人が衣服の全部又は-部を着けないでいる場合がある場所において当該状態でいる人に対する撮影行為を禁止することによって、個人の意思及び行動の自由を保護し、県民の平穏な日常生活を守ろうとするものである。
3解説
被害者については、これまで、婦女に限定していたものであるが、対象を「人」と規定したことから、被害者の性別に関係なく、構成要件に該当することとなる。
(1) 第1項(柱書き)
※ 「正当な理由がないのに」とは、第3条の解説3(3)参照本号における「正当な理由」としては、例えば、医者による医療行為や救急隊員等による搬送、救助時の接触行為等が考えられる。
※ 「人」とは、相手方(客体)をいい、性別、年齢、国籍を問わないが、その行為を卑わいなものとして感じ、性的差恥心又は不安を覚え得る能力を有するものであることを要する。
したがって、幼児に対する行為は含まれないが、その直接たると間鮮るとを問わないことから、幼児の近くに他の人がおり、間接的にこの者に、性的差恥心を著しく害し、又は不安を覚えさせるような場合、行為者がこのことを認識していれば、これに当たる。
※ 「性的差恥心」とは、性的恥じらいという意味である。
差恥心は、恥ずかしく思うことをいうが、卑わいな行為等によって惹起されるものである。
※ 「著しく」とは、第1条の解説S参照※ 「不安」とは、第3条の解説3(2)参照
※ 「人の性的差恥心を著しく害し、又は人に不安を覚えさせるような」とは、通常、一般人であれば、性的に著しく恥ずかしいと思わせ、不安を覚えさせるようなということを意味する。
恋人同士が抱擁した場合、救急手当てのために身体に接触した場合等については、通常、一般人をして性的に著しく恥ずかしいと思わせ、不安を覚えさせるような方法とは認められないことから、該当しない。
客観的に、人の性的差恥を著しく害し、又は不安を覚えさせるようなものであれば足り、現実に、人の性的差恥心を著しく害し、又は不安を覚えさせなくてもよい。
また、行為に気づいていなくても、もし、気づいたならば、性的差恥心を著しく害し、又は不安を覚えることが明らかな場合は、本項が成立する。
(2) 第1項第1号
※ 「衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。) 」とは、人が身に着けている洋服、下着等の着衣のほか、膝掛けや海水浴場等において水着等の上からまとっているバスタオル、脱いで脇に抱えているコートなどを含む。
※ 「人の身体に、衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から接触する」とは、衣服等の上から人の胸部、臂部、下腹部、大腿部等の身体に触れる行為である。
指輪やペンダント、背負っているリュックなども身に着ける物と言えるが、本号の規制は、身に着ける物の上から人の身体に接触する卑わいな行為を規制するものであることから、接触行為が身体に及ぶ場合が本号に該当するものと解され、物に接触する行為にとどまる場合は、当たらない。
ただし、身に着けている物の上からの接触行為が、身体に及ばない場合であっても、性的差恥心を著しく害し、又は不安を覚えさせるような方法で行っていれば、本項第3号違反を検討する。
※ 「人の身体に、直接接触する」とは、直接人の胸部、臂部、下腹部、大腿部等の身体に触れる行為である。
接触すゑ部分
胸部、臂部、下腹部、大腿部のほか、卑わいな行為と認められる限りにおいて、腹しゆう部、背中、首筋、腕、足、髪の毛、手等の部位も含まれるが、性的差恥心を著しく害し、又は不安を覚えさせるような方法で行うことが必要である。
接触する行為
接触する行為の手段は、「手で触る行為」が一般的であるが、肘、膝、足等で触る行為、陰部を相手の身体に押しつける行為であっても、卑わいな行為と認められる限りにおいては、該当する。
通勤バス内で車が揺れたため、偶発的に隣の女性の胸に接触してしまったような場合は、該当しない。
なお、傘の柄等を使用して相手方の身体に触れた場合は、卑わいな動作をしたとして、本項第3号違反を検討する。
(3) 第1項第2号※ 「衣服等で覆われている」の「衣服等」とは、第1号にいう「衣服等」とは異なり、現に他人が身に着けている衣服等をいい、脱いで抱えているコートなどは含まない。
※ 「人の下着又は身体」とは、でん衣服等で覆われているブラジャー、パンティーなど又は胸部、陰部、臂部、大腿部等の身体をいう。
身体の部位については、、胸部や股間周辺のほか、下腹部、大腿部等も含むものと解されるが、衣服等で覆われている身体であるからといって、ロングスカートの場合に覆われているふくらはぎやくるぶし、長袖の場合に覆われている腕やひじのあたりまでを含むという趣旨のものではない。
※ 「のぞき見」とは、視覚を働かせて、物の存在・形・様子・内容をとらえることをいい、物かげやすき間からこっそりと見ること、間を隔てる障害をとりのけて見ることをいう。
直接目で見るほか、手鏡、ファイバースコープなどの器具を使用したり、カメラ、ビデオなどのファインダーを通して見たりする行為も本号に該当する。
のぞき見しようとするための積極的な動作が必要であり、風でスカートが捲くれあがり自然に下着が見えてしまったような場合、階段を上っていて、ふと上を見たら、前を上っていた女性のスカートの中が見えてしまった場合のように、偶発的な場合は当たらない。
なお、下着を見るためにスカートをまくり上げたが、見ることができなかったような場合は、卑わいな動作をしたとして本項第3号違反を検討する。
※ 「撮影する」とは、写真機、ピデオカメラ、デジタルカメラ、カメラ機能付き携帯電話機等の機器を使用して、被写体をフイルム又は電磁的記録媒体に記録する行為をいう。
撮影する方法は、秘匿、公然を問わない。
なお、下着を撮影するために、カメラを相手方の足元に置いたが、撮影することができなかった場合は、卑わいな動作をしたとして本項第3号違反を検討する。
いわゆる盗撮することであり、撮影した時点で既遂となる。
※ 「撮影する」行為の解釈上の既遂時期は、
○光学カメラは、フイルムを感光させたとき
ポラロイドカメラは、印画紙を感光させたとき
デジタルカメラ、ピデオカメラ及びデジタルカメラ付き携帯電話は、光の強弱等を電気的に変換し、記憶措置(メモリ)又は外部記録媒体に保存(一時的な保存を含む。)したときである。
ただし、実務上は、記録があること又は感光させたフイルムなどがあることが必要となる。
なお、「一時的な保存を含む。」とした理由は、デジタルカメラ付き携帯電話や一部のデジタルカメラでは、撮影のスイッチを押した時点では、本体内の記憶装置(メモリ)に一時的に保存し、その後、更に保存するか否かの選択があり、保存又は登録等した場合に再生可能となる型式の物があるが、一時的に保存した場合であっても、そのまま電源を切らなければ又は保存しないを選択しない限り、長期にわたり本体内の記憶装置(メモリ)に留め置き、その映像を他人にも閲覧させることが可能であり、再生可能な状態の保存と同等の効果があるからである。
光学カメラでフィルムが入っていない場合、ポラロイFカメラで印画紙が入っていない場合は、フイルムなどを感光させることができないので撮影にはあたらないことしゆうから、撮影しようとした行為が、性的差恥心を著しく害し、不安を覚えさせるような方法で行っていれば、本項第3号違反を検討する。
また、デジタルカメラなどにあっては、外部記憶媒体がない場合であっても、本体内の記憶装置(メモリ)等に保存できる型式であれば「撮影する」と解し、機種によって既遂時期が異なるので注意が必要である。

※犯行場所は、公共の場所等において行われる必要がある。
例えば、自宅から盗撮する行為は、本号には該当しない。
第1項第3号本号は、本項第'号の「痴漢行為」、隷号の「のぞき見、盗撮行為」以外のいやらしく、みだらで、社会通念上、人の性的差恥心を著しく害し、又は不安を覚えさせるような卑わいな言動を規制するものである。
具体的には、傘の柄等を他人の胸部や臂部に押しつける行為、耳元等に息を吹きかける行為や耳元で卑わいな言葉をささやく行為、女性に声をかけ「おっぱい大きいね。おじちゃんとエッチしよう。」などと言う行為等がこれに当たる。
盗撮目的で写真機等の撮影機器をスカートの下に差し出す行為が、人の性的差恥心を著しく害し、又は不安を覚えさせるような方法で行われれば、たまたま電源又はフイルム、磁気テープ、磁気ディスクなどの記録媒体が入っていなかったり、あるいは、故障していたため撮影できながったりした場合であっても本号違反となる。
また、撮影する前に相手方に気づかれたため撮影できなかった場合や、意に反し、レンズが別方向を向いていたため下着等を撮影できなかった場合等であっても、同様である。
(5)※ 「正当な理由がないのに」とは、第3条の解説3(3)参照本号における「正当な理由」としては、例えば、温泉広告ポスターの撮影、入浴シーンの映画撮影等が考えられる。
※ 「住居」とは、人の起臥寝食の用に供せられている建物をいう。
玄関であっても、衣服を着けないでいる場合があることから、ここにいう住居に当たる。
※ 「浴場」とは、公衆浴場法(昭和28年法律第139号)第1条に規定する公衆浴場、旅館等の浴場、露天風呂、住居の風呂場等をいう。
※ 「便所」とは、住居の便所、公衆便所、デパートなど各種施設に設置されている便所をいう。
※ 「更衣場」とは、通常人が衣服の着替えを行う場所であり、洋服店の試着室等もこれに当たる。
※ 「その他通常人が衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場合がある場所」とは、住居、浴場、便所、更衣室以外で、人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所をいい、例示したもののほか、病院の診察室、キャンプ場におけるテント、ホテルの一室、寝台列車の寝台、キャンピングカーなどがこれに当たる。
※ 「当該状態でいる人」とは、浴場等で衣服を脱ぎつつある若しくは着つつある人又は裸体でいる人の姿態をいう。
衣服を完全に脱衣した状態、用便のためスカートをまくり上げたり、下ろしている状一態、これにより尻等が露出した状態等である。
※ 「撮影する」とは、前記S(3)参照本項は、「撮影する」行為であることから、写真機、ビデオカメラ、デジタルカメラ付き携帯電話等の機器を使用することを要件としており、直視したり、双眼鏡を使用して見る行為は本項に該当しない。
衣服の全部又は一部を着けない状態でいることがわかるような人の姿態が映っていなければ該当しないというものではなく、頭や腕の一部しか撮影されなかった場合等、映っている内容からは、衣服の全部又は一部を着けない状態でいる人を撮影したかどうか判別できない場合であっても、当該状態の人を撮影し、当該状態の人の一部が映っていれば本項に該当する。
ただし、ピデオカメラなどを使用して更衣場内を撮影したが、更衣場内に誰も居なかったり、衣服を着けている状態の人が撮影されていた場合は、本号違反には該当しないが、軽犯罪法第1条第23号(窃視の罪)の構成要件に該当する場合は、同法違反を検討することとなる。
※犯行場所は、制限はなく、自宅内において、自宅の浴場に仕掛けたカメラで、知人の裸体を撮影する行為等も本号違反に該当する。


4/12別件で逮捕のようです。
警察も学校内盗撮では逮捕していません。

校内で盗撮 立件見送り 秋田県警 条例「公共の場」該当せず
2019.05.16 読売新聞
秋田市教委によると、男性講師は4月9日、勤務先で同僚の女性教員のスカート内を小型カメラで動画撮影したという。不審に思った女性教員が校長に相談、学校側が県警に被害を届け出た。講師も盗撮行為を認めていた。

 捜査が進むと、講師は1月にも県内の公共施設で10代女性のスカート内を盗撮したことが判明し、県警が同条例違反容疑で逮捕、送検した。秋田地検は4月下旬に処分保留で講師を釈放、任意で捜査を続けている。

・・・
別の盗撮容疑で逮捕 同僚盗撮の中学臨時講師 /秋田県
2019.04.13 朝日新聞
 署によると、容疑者は1月中旬、県央の公共施設で10代女性の下着を盗撮した疑いがある。公共施設は学校ではないとしているが、具体的には明らかにしていない。
 同市教育委員会によると、・・・今月1日付で1年生の学級担任として市立中から異動し、9日の入学式の後、同僚の女性職員を盗撮したとして、中が署に通報していた。

公衆に著しく迷惑をかける暴力的な不良行為等の防止に関する条例
第四条 何人も、正当な理由がないのに、公共の場所又は公共の乗物において、人の性的 羞しゆう 恥心を著しく害し、又は人に不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
二 衣服等で覆われている人の下着又は身体をのぞき見し、又は撮影すること。
三 前二号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
2 何人も、正当な理由がないのに、住居、浴場、更衣場、便所その他通常人が衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場合がある場所において当該状態でいる人を撮影してはならない。
(平二一条例八九・追加)

秋田県公報 平成21年12月25日号外第1号
https://common3.pref.akita.lg.jp/koho3/old/H21/pdf/4211225g01.pdf
◇公衆に著しく迷惑をかける暴力的な不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例(秋田県条例第89号)
1 公共の場所等における刃物等を振り回し、突き出す等公衆に不安を覚えさせるような行為を禁止することとした。
(第3条関係)
2 住居等において衣服の全部又は一部を着けない状態でいる人を撮影する行為を禁止することとした。(第4条関
係)
3 特定の者に対する不安又は著しい迷惑を覚えさせる方法による反復したつきまとい行為等を禁止することとした。
(第5条関係)
4 人の性的好奇心をそそる行為の提供、歓楽的雰囲気を醸し出す方法で客をもてなして飲食をさせる行為の提供等に
ついて客引き等をすること及び当該客引き等を目的とする客待ちをすることを禁止することとした。(第12条関係)
5 水泳場等における遊泳者等の身体に接触する等により当該者に不安を覚えさせるような行為を禁止することとし
た。(第13条関係)
6 公安委員会は、不当な客引き等を行った事業者に対し、再発防止のための指示をすることができることとした。
(第14条関係)
7 公安委員会は、事業者が6の指示に従わなかったとき又は不当な客引き等を行ったときは、当該事業者に対し、事
業の停止を命ずることができることとした。(第15条関係)
8 公安委員会は、7の事業の停止を命じようとするときは、聴聞を行わなければならないこととした。(第16条関
係)
9 2から4までに違反した者に対する罰則の新設及び既存の禁止行為に係る罰則の引上げを行うこととした。(第17
条~第21条関係)
10 事業者に対する両罰規定を定めることとした。(第22条関係)
11 その他所要の規定の整備を行うこととした。
12 施行期日等
 ⑴ この条例は、平成22年4月1日から施行することとした。
 ⑵ この条例の施行に関し所要の経過措置を規定することとした。

 盗撮規定については、議会で言及されていません
秋田県 平成21年 12月定例会 本会議 12月17日-05号
○議長(冨樫博之議員) 学術教育公安委員長の報告を求めます。
   [25番(学術教育公安委員長平山晴彦議員)登壇]

◆学術教育公安委員長(平山晴彦議員) ただいま議題となりました案件について、学術教育公安委員会における審査の経過と結果を報告申し上げます。
 本委員会に付託されました案件は、議案第233号、議案第238号、議案第239号、議案第240号、議案第251号、議案第252号、議案第253号、議案第254号、議案第255号、議案第256号及び議案第257号、以上11件であります。
 審査に当たっては、当局からそれぞれ説明を聞き、質疑を行いましたが、その主な内容について申し上げます。
 まず、議案第240号公衆に著しく迷惑をかける暴力的な不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例案について。
 これは、公共の場所における不当な客引き行為に対する規制を強化するとともに、特定の者に対して繰り返し行われるつきまとい行為を禁止するなどの必要があることから、条例の一部を改正するものであり、来年の4月1日の施行を目指して今回提案されたものであります。
 この中の、第12条「不当な客引き行為等の禁止」について質疑がありました。
 今回の条例案は従来のものとどのように違うのか。また、警察官が直接現場で見たり聞いたりしなければ取り締まることができないのか。さらに、無料の風俗案内所は条例改正後の規制対象に入らないのかとただしたのに対し、客引きについては、従来の条例では衣類をつかんだり物を取り上げたりするなどの行為を禁止していたが、条例改正後は特定の営業形態を示した声かけも取り締まりの対象となっている。また、取り締まりについては、現行犯として検挙するだけではなく一般の方からの情報提供等を積み重ねて最終的に検挙するという場合もある。さらに、風俗案内所の客引き行為等については今回の条例により規制されることになる。なお、風俗案内所の設置や営業行為等については今回の条例の規制対象としていないが、条例改正後の実態などを見ながら、その必要性を判断していきたいとの答弁がありました。

復権(恩赦)の理由のひな形

 検察庁でもらいました
 医籍登録時点で罰金前科がある人は参考にしてください。

別紙
[出願の理由]
私は,平成○○年○月○○大学医学部○○学科に入学し,現在6学年に在学しておりますが,平成○○年○○月○○日,○○簡易裁判所において,道路交通法違反により罰金○○万円に処せられました。
その後は, 自ら犯した罪を深く反省し,勉学に励んでおりましたが,罰金以上の刑に処せられた者は, 医師法第4条に基づき,医師免許の取得について制限があるため,最上級生としての就職活動の一環である医師の免許取得について障害が生じ,苦慮しているのが実情です。
この障害は,すべて私の不徳の致すところであり,今更ながら犯した過ちを悔やまない日はありません。今後は自らを厳しく律し,他の模範となり,人から信頼される医師を目指して努力することを誓います。
つきましては,恩赦の恩恵に浴し, この障害を取り除かれますよう,格別の御配慮を賜りたく, 出願に及んだ次第であります。

心神喪失等に陥っている男性と性交等をなし得るのかは,やや想定し難いものがあろう~城祐一郎男性を被害者とする性犯罪(下) 警察公論74巻6号

 立法事実が怪しいと思う。

刑法の準強制わいせつ罪及び準強制性交等罪について

改正前刑法では, 178条において準強制わいせつ罪及び準強姦罪を規定しており, まず, 1項において、
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ,又は心神を喪失させ,若しくは抗拒不能にさせて, わいせつな行為をした者は,第176条の例による。
とされており,同条2項において,
女子の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ,又は心神を喪失させ,若しくは抗拒不能にさせて,姦淫した者は,前条の例による。
とされていた。
これが平成29年の刑法改正により,準強制わいせつ罪を規定する1項については特に変更はなかったが, 2項は準強制性交等罪として
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ,又は心神を喪失させ,若しくは抗拒不能にさせて,性交等をした者は,前条の例による。
と改められ, 「女子」に限定されていたものが「人」とされることによって男性も含まれることになり,その行為態様についても,「性交等をした」に改められたものである。その理由等は,強制性交等罪で述べたのと同様である(本誌前号78頁以下参照)。
この準強制わいせつ罪及び準強制性交等罪は,暴行又は脅迫を手段として用いることなく,それ以外の方法で心神喪失や抗拒不能にさせたり,既にそのような状態になっていることを利用したりして, わいせつ行為や性交等に及んだ場合に成立する。 したがって,男性がそのような状態になってわいせつ行為の被害者になることはあり得るものの,心神喪失等に陥っている男性と性交等をなし得るのかは,やや想定し難いものがあろう