児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

 侵入して数人にわいせつ行為をしても処断刑期は強制わいせつ1罪の法定刑にとどまる現象=かすがい効果

 報道の事件で建造物侵入の成否や罪数がわかりませんが、 女子寮や民宿の大部屋への侵入+数人への強制わいせつ事件ではかすがい現象によって科刑上一罪となって、被害者数人でも処断刑期の上限が10年(併合罪だと15年)になることがあります。
  普通、4人にわいせつ行為すると、最高懲役15年になりますが、1室に4人寝ていたところに侵入してわいせつ行為すると、最高懲役10年になります。

 侵入罪を犯せば処断刑期が下がるのが不合理だとして、「かすがい」になる罪を起訴しないことを「かすがい外し」と呼びます。
 条解刑法の最決平21・7・7は奥村の事件ですが、訴因変更でわいせつ頒布・児童ポルノ頒布の余罪が追加されているので科刑上一罪にならない(訴因変更無効)という上告理由に対して、科刑上一罪という判例になりました。

条解刑法
かすがい現象
かすがい現象とは,それ自体としては併合罪の関係にある数罪が,それぞれある罪と観念的競合又は牽連犯の関係に立つことによって,その罪が「かすがい」の作用を果たす結果,それらの全体が科刑上ー罪として取り扱われることをいう。
牽連犯がかすがいになる例として,住居侵入の上数名を殺害した場合があり,数個の殺人罪がl個の住居侵入罪とそれぞれ牽連犯の関係にあるものとされ,全体がー罪として最も重い罪の刑により処断されることになる(最決昭29・5・27集85 741)。
また,観念的競合がかすがいとなる例としては,中間搾取(労基118①・6)と公衆道徳上有害な業務に就かせる目的による職業紹介(職安63(2))との間(最判昭33・5・6集127 1297),戸別訪問の罪(公選239①(3) 138)と事前運動の罪(公選239①(1)・129)及び数
個の買収の罪(公選221①(1))との問(最判昭36・5・26集15-5-871)がある(なお,最判昭35・4・28集14-6-822参照)。もっとも,従来批判の多かった前掲最判昭33・5・6については,最大判昭49・5・29集284 114等(弘条注2参照)に従えば,観念的競合とは認められないことになろう。また,新しい犯罪類型に関するものとして,最決平21・7・7集63-6-507は.児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項にいう児童ポルノを,不特定又は多数の者に提供するとともに,これらの者に提供する目的で所持した場合には,児童の権利を擁護しようとする立法趣旨に照らし児童ポルノ提供罪(同法7④)と同提供目的所持罪(同法7⑤)とは併合罪の関係に立つが,児童ポルノであり,かつ,刑法175条のわいせつ物である物を,他のわいせつ物である物を含めこれらの者に頒布して提供するとともに.これらの者に有償頒布して提供する目的で所持した場合には,わいせつ物頒布と同有償頒布目的所持が包括して一罪を構成するところその一部であるわいせつ物頒布と児童ポルノ提供.わいせつ物有償頒布目的所持と児童ポルノ提供目的所持は,それぞれ社会的,自然的事象としては同一の行為であって観念的競合の関係に立つから,結局以上の全体がー罪となるとしている。

https://digital.asahi.com/articles/ASM9R5FD0M9RPIHB006.html
 美方署によると、容疑者は今月18日午後10時~19日午前6時半の間に、同県香美(かみ)町にある尼崎市立の宿泊型研修施設で、小学5年の女児が寝ている部屋に入り、就寝中の4人にわいせつな行為をした疑いがある。被害に気付いた女児から相談を受けた女性教諭が、19日に施設近くの駐在所に届け出た。