児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

刑事裁判資料第291号「性犯罪被害者の心理等に関する参考資料」最高裁判所事務総局

 閲覧のみの部分と、謄写許可の部分があるんですが、極めて基礎的な内容です。
 改正刑法の附帯決議に「裁判官に対して、性犯罪に直面した被害者の心理等についての研修を行うこと。」とあるので、一応やりましたよという程度の内容です。

[024/040] 193 - 参 - 法務委員会 - 20号 平成29年06月16日
真山勇一君 私は、ただいま可決されました刑法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・こころ、民進党新緑風会公明党日本共産党日本維新の会及び沖縄の風の各派並びに各派に属しない議員山口和之君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    刑法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
 一 性犯罪は、被害者の心身に長年にわたり多大な苦痛を与え続けるばかりか、その人格や尊厳を著しく侵害する悪質重大な犯罪であって、厳正な対処が必要であるところ、近年の性犯罪の実情等に鑑み、事案の実態に即した対処をするための法整備を行うという本法の適正な運用を図るため、本法の趣旨、本法成立に至る経緯、本法の規定内容等について、関係機関等に周知徹底すること。
 二 刑法第百七十六条及び第百七十七条における「暴行又は脅迫」並びに刑法第百七十八条における「抗拒不能」の認定について、被害者と相手方との関係性や被害者の心理をより一層適切に踏まえてなされる必要があるとの指摘がなされていることに鑑み、これらに関連する心理学的・精神医学的知見等について調査研究を推進するとともに、これらの知見を踏まえ、司法警察職員、検察官及び裁判官に対して、性犯罪に直面した被害者の心理等についての研修を行うこと。
 三 性犯罪に係る刑事事件の捜査及び公判の過程においては、被害者のプライバシー、生活の平穏その他の権利利益に十分配慮し、偏見に基づく不当な取扱いを受けることがないようにするとともに、二次被害の防止に努めること。また、被害の実態を十分に踏まえた適切な証拠保全を図ること。
 四 強制性交等罪が被害者の性別を問わないものとなったことを踏まえ、被害の相談、捜査、公判のあらゆる過程において、被害者となり得る男性や性的マイノリティに対して偏見に基づく不当な取扱いをしないことを、関係機関等に対する研修等を通じて徹底させるよう努めること。
 五 起訴・不起訴等の処分を行うに当たっては、被害者の心情に配慮するとともに、必要に応じ、処分の理由等について丁寧な説明に努めること。
 六 性犯罪が重大かつ深刻な被害を生じさせる上、性犯罪被害者がその被害の性質上支援を求めることが困難であり、その被害が潜在化しやすいという性犯罪被害の特性を踏まえ、第三次犯罪被害者等基本計画等に従い、性犯罪等被害に関する調査を実施し、性犯罪等被害の実態把握に努めるとともに、被害者の負担の軽減や被害の潜在化の防止等のため、ワンストップ支援センターの整備を推進すること。
 七 刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成二十八年法律第五十四号)附則第九条第三項の規定により起訴状等における被害者の氏名の秘匿に係る措置についての検討を行うに当たっては、性犯罪に係る刑事事件の捜査及び公判の実情や、被害者の再被害のおそれに配慮すべきであるとの指摘をも踏まえること。
 八 児童が被害者である性犯罪については、その被害が特に深刻化しやすいことなどを踏まえ、被害児童の心情や特性を理解し、二次被害の防止に配慮しつつ、被害児童から得られる供述の証明力を確保する聴取技法の普及や、検察庁、警察、児童相談所等の関係機関における協議により、関係機関の代表者が聴取を行うことなど、被害児童へ配慮した取組をより一層推進していくこと。
 九 性犯罪者は、再び類似の事件を起こす傾向が強いことに鑑み、性犯罪者に対する多角的な調査研究や関係機関と連携した施策の実施など、効果的な再犯防止対策を講ずるよう努めること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ各委員の皆さんの御賛同をお願いいたします。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41694930V20C19A2CR0000/
性犯罪被害、初の研修資料 国会決議受け最高裁作成
2019/2/25 9:38
性犯罪被害への理解を深めようと、最高裁精神科医の講演録や裁判官との質疑応答をまとめた研修資料を初めて作成し、全国の裁判所に配布したことが、分かった。被害者の心理を十分理解していない判決があるとの指摘もあり、性犯罪を厳罰化する改正刑法の成立に伴う国会の付帯決議は、心理学の知見を踏まえた裁判官らへの研修を求めていた。

強制性交罪は加害者による「暴行や脅迫」がなければ成立しない。被害者側は「恐怖から反射的に動けなくなることが多いのに、抵抗しなかったのは暴行、脅迫がなかったためだと認定する判決がある」として、被害者の心理を理解していないと訴えている。刑法改正の議論では暴行・脅迫要件の削除も議題になったものの、最終的に見送られた。

最高裁によると、研修資料は、性犯罪被害者のケアに取り組む精神科医小西聖子・武蔵野大教授ら専門家が2017年、司法研修所の刑事実務研究会で講演した内容がメインで、200ページを超える。

小西教授は講演で、多くのケースで自分より体の大きい加害者に直面すると、被害者は恐怖で体が凍り付くと強調。強いショックから感情や感覚がまひし、被害状況を記憶できないケースもあるとした。

さらに多くの被害者が心的外傷後ストレス障害PTSD)になり、裁判で「なぜ抵抗しなかったのか」と問われるのに苦痛を感じたり、拒めなかった自分が悪いと自責の念を抱いたりして、警察に被害を申告しない事例が多数あると説明した。

資料には裁判官との質疑応答も掲載。被害者が傷つくのを防ぐにはどうすればいいかとの質問に、臨床心理士は「被害者は法廷に立つだけでも相当なエネルギーを使う。心情を理解したということを判決で示してもらいたい」と答えた。

最高裁は昨年、全国の地、高裁と家裁に計約850部を配布。小西教授は取材に「裁く側の無知は許されない。全ての裁判官に資料を活用してほしい」と話した。〔共同〕

平成30年3月
刑事裁判資料第291号
性犯罪被害者の心理等に関する参考資料 最高裁判所事務総局

はしがき
本書は,性犯罪被害者の心理等を理解するために有益と思われる近時の資料をとりまとめ,執務の参考に供することとしたものである。
第1 「平成28年度刑事実務研究会(被害者配慮) 」及び第2 「平成2 9年度刑事実務研究会2 (裁判員2) 」は,司法研修所の研究会において, 性犯罪被害者の支援に長年携わっ~ている医師及びI の講師が行った講演の講演録である。
第3 「性犯罪の罰則に関する検討会」は, 法務省において,性犯罪の罰則の在り方について検討するために平成26年10月から平成27年8 月まで開催された検討会であり,本書には,性犯罪被害者や被害者支援団体関係者等からのヒアリングが実施された第2回議事録及び第3回議事録を掲載している。
第4 「法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会」は,性犯罪に関する刑法の一部改正について調査審議するために,平成27年1 1月から平成28 年6月まで法務省法制審議会に設置された部会であり,本書には,性犯罪被害者や被害者支援団体関係者等からのヒアリングが実施された第6回会議議事録を掲載している。
第5 「第193回国会参議院法務委員会jは, 平成29年6月16日に
成立した「刑法の一部を改正する法律」(平成29年法律第72号)の審議において,性犯罪被害者等を参考人として行われた参考人質疑の会議録を掲載している。
平成30年3月
最高裁判所事務総局刑事局
・・・・・・・・・

目次
第1 平成28年度刑事実務研究会(被害者配慮)
講演「被害者の心理と刑事裁判」講演録・・・・・・1
同資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
第2 平成29年度刑事実務研究会2 (裁判員2)
講演と意見交換「性犯罪被害者の心理と刑事裁判」講演録・・・・・59
同資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・97
第3  性犯罪の罰則に関する検討会
 第2回議事録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 第3回議事録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第4法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会第6回会議議事録・・・・・・・・・・・・・・179
第5 第193回国会参議院法務委員会
会議録第20号(右綴じ) ・・・・・・・・・・・・218