児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノ等の提供を求める行為(福岡県青少年健全育成条例)により、千葉県の男性を検挙した事例

 児童の提供目的製造・提供罪の教唆みたいな感じになりますが、注文販売というのは予想される関与者であるのに国法では放任されている行為です。
 千葉県では規制されてないという点も強調してください。
 福岡県条例を千葉の人に押しつけるというのは無理でしょう。公布もされないのに。電話による卑わい行為の高裁判例がありますが、ネットにはそぐわない。
 結局、画像が送られている場合は、製造罪が成立して、要求罪は成立しない。

児童ポルノ提供を女子高校生に求める 容疑で千葉県の会社員男を書類送検 福岡西署
2019/7/22 12:30
西日本新聞
 福岡西署は22日、県青少年健全育成条例違反(児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)の疑いで、千葉県船橋市に住む会社員の男(51)を書類送検した。送検容疑は、2月12日未明、自宅からスマートフォンを使って福岡県篠栗町在住の女子高校生(16)に「こちらは、関東だから会うというよりは振り込みとかの支援を考えています」「そちらの写メ売ってもらう感じです」などとメッセージを送信し、児童ポルノの提供を求めた疑い

裸の「自画撮り」女子高生に要求 容疑の男 書類送検
2019.07.22 読売新聞
 女子高生に「自画撮り」した裸の画像を送るように要求したとして、福岡県警西署は22日、千葉県船橋市の会社員の男(51)を福岡県青少年健全育成条例違反容疑で福岡地検書類送検した。2月施行の改正条例では、中高生らにわいせつな画像の提供を求める行為を禁じる条項が新設されたが、適用は初めて。
 発表では、男は2月12日、ツイッターで知り合った福岡県内の女子高生(16)が18歳未満と知りながら、無料通話アプリで、「胸のアップを送って」「写メ(写真付きメール)売ってもらう感じです」などとメッセージを送り、児童ポルノの提供を求めた疑い。「間違いない」と容疑を認めている。
 男は裸の画像など十数点を受け取り、女子高生が指定する口座に4000円を振り込んだ。女子高生がツイッター上で「パパ活」を募集しているのを警察がサイバーパトロールで見つけて補導し、発覚した。
読売新聞社

福岡県青少年健全育成条例の手引き平成31年3月
児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)第31条の2 何人も、青少年に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 青少年に拒まれたにもかかわらず、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ又は同法第7条第2項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。次号において同じ。)の提供を行うように求めること。
(2) 青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は青少年に対し対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求めること。
【要旨】本条は、すべての者に対して、青少年に、自身の姿態が描写された児童ポルノ又はその情報を記録した電磁的記録その他の記録の提供を当該青少年に不当に求める行為を禁止した規定である。
【解説】1 「当該青少年に係る児童ポルノ等」とは、求める相手方である青少年自身の姿態が描写された児童ポルノ等をいう。
したがって、他の青少年の姿態が描写された児童ポルノ等を求めた場合については、該当しない。
また、どのような表現が「児童ポルノ」に該当するかについては、要求文言とその前後のやりとりを総合的に判断し、該当性の判断を行うこととなるが、その要求に青少年が応じてしまった場合、児童ポルノ禁止法第2条第3項に該当する児童ポルノが提供されることが社会通念上明らかに認められることが必要である。
2 「提供を行うように求める」とは、児童ポルノ禁止法第7条第2項に規定する「提供」を行うように求めることであり、当該児童ポルノ等を相手方において利用し得べき状態に置く法律上・事実上の一切の行為をいい、具体的には、有体物としての児童ポルノを交付するよう求めたり、電磁的記録を電子メールで送信するよう求める行為がこれに当たる。
3 「拒まれたにもかかわらず」とは、青少年に対して当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求めた者が、当該青少年による拒否の意思が示され、それを認識しているにもかかわらずということをいう。
したがって、やりとりの記録などから拒否されたと認識していることが明らかである場合のほか、社会通念上、青少年の意思表示が拒否したと認められるものであり、かつ、それが児童ポルノ等の提供を行うように求めた者に到達していることが明らかである場合には、拒否されたと認識していたということができる。
4 「威迫」とは、他人に対して言語挙動をもって気勢を示し、不安の感を生じさせることをいう。
「脅迫」と異なり、他人に恐怖心を生じさせる程度のものであることを要しない。
なお、「威力」との差異に関し、公職選挙法第225条第1号の「威力」とは「人の意思を制圧するに足りる勢力」、同3号の「威迫」とは「人の不安を抱かせるに足りる行為」をいい、両者の違いは、人の意思を制圧するに足りる程度の行為であるかどうかにあるものと解すべき」であると判示している(昭和42年2月4日最高裁第2小法廷判決)。
5 「欺き」とは、他人を錯誤に陥れ、虚偽の事実を真実と誤認させることをいう。
真実でないことを真実であるとして表示する行為で、虚偽の事実を摘示する場合と真実の事実を隠ぺいする場合とが含まれる。
6 「困惑させ」とは、困り戸惑わせることをいい、暴行脅迫に至らない程度の心理的威圧を加え、又は自由意思を拘束することによって自由な判断を制限することをいう。
相手方に威力を示す場合、義理人情の機微につけ込む場合、その他相手方を心理的に拘束し得るような問題を持ち込む場合などが考えられるが、いずれにしても、相手方に対する言動のほか、相手方の年齢・知能・性格、置かれた環境、前後の事情などを総合して判定する。
7 「対償を供与し、若しくはその供与の約束をする」とは、児童ポルノ等の提供に対する反対給付としての経済的な利益を供与、又はその約束をすることをいう。
「対償」は、現金のみならず、物品、債務の免除も含まれ、金額の多寡は問わない。
【罰則】
○ 30万円以下の罰金又は科料(第38条第4項)
【関係法令】○公職選挙法第225条○児童ポルノ禁止法第2条、第7条
【参考判例】昭和61年12月2日高松高裁判決(公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例事件)本件は、被告人が数回にわたり徳島県所在の自宅から香川県にあるA方に電話をして、同人の妻のBに対し「あんたが好きです。会ってほしい。」などと反覆して申向け、もって同女に著しく不安又は迷惑を覚えさせるようなことをしたという事案であるところ、原審は、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和38-84-年12月23日香川県条例50号) 10条、11条1項は香川県の区域内における行為に対して適用されるのが原則であって、区域外の行為に本件条例を適用するには特段の根拠の存在することが必要であるが、本件被告人の行為は区域外でなされたものであり、本件条例を適用する特段の根拠はないとして、被告人は無罪としたのであるが、条例は当該地方公共団体の区域内の行為に適用されるのが原則であるものの、本件のように当該地方公共団体の区域外から区域内に向けて内容が犯罪となる電話をかける行為に及んだ場合には、電話をかけた場所のみならず、電話を受けた場所である結果発生地も犯罪地と認められるのであり、このように犯罪の結果発生地が香川県にあるとされる以上、行為者は直接的かつ現実的に香川県に関わりを持ったものというべく、香川県民及び滞在者と同様に本件条例が適用されるものと解すべきである。
なお、本件条例12条は本件’ 条例が適用される通常の場合の行為者として「県民及び滞在者」を挙げて適用上の注意しているに過ぎないと解すべく、同条を根拠として本件条例が適用される行為者のを直ちに限定することは相当でない。
た、原審は、香川県民及び滞在者以外の者に本件条例を適用し処罰すると、本件条存在、内容を了知することが不可能若しくは著しく困難なことから、行為に際し違の認識すら持ち得ない者が処罰される結果を招くというが、故意の内容に違法性のは必要がないのみならず、本件被告人は、一般通常人におけると同様、本件違法性識に欠くる所はなかったものと認められるから、右の結果が不合理であるとはいえない。

福岡県
平成30年2月23日
自画撮りに関する青少年健全育成条例改正の検討事項について

10年齢の知情性について
本条例は、第38条第7項で、条例上の特定の罰則規定については、年齢の知情性がなくとも処罰可能とする規定を置いているが、本禁止規定は、第38条第7項の規定の対象外とすべきと考える。つまり、要求を行う者に、相手が青少年だという認識が無かったと認められる場合は、処罰できないこととなる。本規定は、「当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求めること」を禁止するものであり、相手方が青少年であると認識できるような事実が全くない場合には適用できない。~これは、「自画撮り被害」が相手を直接確認できないインターネット上のやりとりの中で行われることが想定され、やりとりの相手が青少年だと認識していない者にまで本規定を適用することは過剰な規制と考えられるためである。>

公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和38年香川県条例第50号)違反被告事件
高松高等裁判所判決/昭和61年(う)第183号
昭和61年12月2日

【掲載誌】  高等裁判所刑事判例集39巻4号507頁
       高等裁判所刑事裁判速報集昭和61年296頁
       判例タイムズ631号244頁
【評釈論文】 警察学論集40巻7号145頁
       月刊法学教室81号104頁

       主   文

 原判決を破棄する。
 被告人を罰金一万円に処する。
 右罰金を完納することができないときは、金二〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
 当審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。

       理   由

 本件控訴の趣意は、高松高等検察庁検察官大井恭二提出にかかる徳島池田区検察庁検察官松田達生作成名義の控訴趣意書に記載のとおりであり、これに対する答弁は、弁護人植木修一作成名義の答弁書に記載のとおりであるから、ここにこれらを引用する。
 検察官の所論は要するに、原判決は、被告人の本件所為につき香川県の条例を適用し処罰することはできないとして、被告人は無罪としたが、原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の解釈、適用の誤りがあるというものである。
 よつて検討するに、記録によれば、本件は、被告人が数回にわたり徳島県所在の自宅から香川県にある方に電話をして、同人の妻の子に対し「あんたが好きです。会つてほしい。」などと反覆して申向け、もつて同女に著しく不安又は迷惑を覚えさせるようなことをしたという事案であるところ、原審は、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和三八年一二月二三日香川県条例五〇号)一〇条、一一条一項は香川県の区域内における行為に対して適用されるのが原則であつて、区域外の行為に本件条例を適用するには特段の根拠の存在することが必要であるが、本件被告人の行為は区域外でなされたものであり、本件条例を適用する特段の根拠はないとして、被告人は無罪としたのであるが、条例は当該地方公共団体の区域内の行為に適用されるのが原則であるものの、本件のように当該地方公共団体の区域外から区域内に向けて内容が犯罪となる電話をかける行為に及んだ場合には、電話をかけた場所のみならず、電話を受けた場所である結果発生地も犯罪地と認められるのであり、このように犯罪の結果発生地が香川県にあるとされる以上、行為者は直接的かつ現実的に香川県に関わりを持つたものというべく、香川県民及び滞在者と同様に本件条例が適用されるものと解すべきである。なお、本件条例一二条は本件条例が適用される通常の場合の行為者として「県民及び滞在者」を挙げて適用上の注意を示しているに過ぎないと解すべく、同条を根拠として本件条例が適用される行為者の範囲を直ちに限定することは相当でない。
 また、原審は、香川県民及び滞在者以外の者に本件条例を適用し処罰すると、本件条例の存在、内容を了知することが不可能若しくは著しく困難なことから、行為に際し違法性の認識すら持ち得ない者が処罰される結果を招くというが、故意の内容に違法性の認識は必要がないのみならず、本件被告人は、一般通常人におけると同様、本件違法性の認識に欠くる所はなかつたものと認められるから、右の結果が不合理であるとはいえない。
 そうすると、本件につき本件条例が適用されないとした原判決には法令の適用の誤りがあり、これが判決に影響を及ほすことは明らかである。論旨は理由がある。
 よつて刑訴法三九七条一項、三八〇条により原判決を破棄し、同法四〇〇条但書を適用して当裁判所において更に判決する。
(罪となるべき事実)
 被告人は、正当な理由がないのに、昭和五九年二月ころから昭和六一年一月一七日までの間に数回にわたり、徳島県三好郡三加茂町加茂一、四三九番地の自宅から香川県仲多度郡多度津町沖ノ町一番一七号所在の長本英敏方に電話をかけ、同人の妻の長本勢津子(当初四三歳)に対し、「あんたが好きです。会つてほしい。」などと反覆して申向け、もつて同人に対し著しく不安又は迷惑を覚えさせるようなことをしたものである。
(証拠の標目)(省略)
 (法令の適用)
 被告人の判示所為は公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和三八年一二月二三日香川県条例五〇号)一〇条に違反し、同一一条一項に該当するので、所定刑中罰金刑を選択し、その所定金額の範囲内で被告人を罰金一万円に処し、右罰金を完納することができないときは刑法一八条により金二〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、当審における訴訟費用は刑訴法一八一条一項本文を適用してその全部を被告人に負担させることとする。
 よつて主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 雑賀飛龍 裁判官 金子 與 裁判官 溝淵 勝)