児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

自分の裸を撮影して公然陳列した児童の責任

 法文上は行為者から被害児童が除外されてないので、7条6項の公然陳列罪と7項の公然陳列目的製造罪になって、成人だと最高7年6月になる行為です。

7条
6児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
7前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。

 しかし、個人的法益侵害を強調すれば、大阪高裁H21.12.3・福岡高裁h29.3.15のように、被害者であって、児童ポルノ罪の犯罪主体にならないという見解もでてきます。

阪高裁H21.12.3
第3 控訴趣意中,法令適用の誤りの主張について
 論旨は,本件については,①岐阜県青少年健全育成条例23条2項の「わいせつな行為を教える」,又は同条1項の「わいせつな行為をし」に該当する条例違反の罪が成立するにすぎないのに,法7条3項の児童ポルノ製造罪の成立を認め,②(ア)被告人に,被害児童が正犯である法7条1項(提供罪)及び同条2項(提供目的製造罪)の教唆犯が成立し,同条3項の児童ポルノ製造罪に該当しないのに,同罪の正犯とし,(イ)仮に(ア)が認められないとしても,被害児童と被告人とは同条3項の児童ポルノ製造罪の共同正犯であるのに,被告人の単独犯とし,さらに,(ウ)被害児童の正犯性が否定されるとしても,被告人は教唆犯であるから共犯の従属性により不処罰であるのに,被告人を処罰した原判決には判決に影響することが明らかな法令適用の誤りがある,というのである。
 しかしながら,①については,関係証拠によれば,原判示の犯罪事実を優に認めることができるから,本件について法7条3項の児童ポルノ製造罪が成立することは明らかである。
②については,同条各項の規定は,平成16年法律第106号による改正前の法に規定がなかったものであるが,旧法施行後の状況等にかんがみ,児童の権利の擁護を一層促進するため新たに犯罪化され,処罰の範囲が拡大されたものであるところ,対象となる行為は,いずれも法2条3項各号に掲げる児童の姿態を描写した児童ポルノを前提とするもので,当該児童の心身に有害な影響を与える性的搾取・性的虐待行為にほかならず,しかも,不特定多数の者に対する提供(法7条4項)及びその目的での製造等(同条5項)の罪ではもとよりその流通が予定され,特定少数の者に対する提供(同条1項)及びその目的での製造等(同条2項)の罪では流通の危険性が大きく,他人に提供する目的を伴わない製造罪(同条3項)にあっては描写された児童の人権を直接侵害する行為であり,流通性は小さいものの,その危険性を創出するものであるから,このような行為が社会に広がるときには,児童を性欲の対象としてとらえる風潮を助長するごとになるため,児童を性的搾取・性的虐待の被害から擁護することを意図して上記各行為を処罰するものとしたのであって,当該児童は,原則的に,その被害者と位置付けられているというべきである。
そうすると,被告人が,携帯電話の下着売買募集のサイトで知り合った被害児童に対し,携帯電話のメールで,被害児童のポルノ画像を買い取る旨執ように働き掛けた上,指示して姿態をとらせた被害児童のポルノ画像を撮影・送信させて,自己の記録媒体に保存させたという本件について,(ア)の点は,被害児童が児童ポルノの提供(同条1項)及びその目的での製造(同条2項)の罪の正犯で,被告人はその教唆犯にすぎないとする点で,(イ)の点は,被害児童と被告人が他人に提供する目的を伴わない児童ポルノ製造罪(同条3項)の共同正犯であるとする点で、(ウ)の点は,被告人が教唆犯にすぎないという点で,いずれも誤っており,所論はいずれも採用することができない独自の見解というほかない。
 その他,所論が主張するところを検討しても,原判決には所論が指摘するような法令適用の誤りがあるとはいえない。
 論旨は理由がない。

福岡高裁h29.3.15
児童買春・児童ポルノ等処罰法は, 買春行為や児童ポルノの製造等に当たり, 当然存在する関与者としての児童につき処罰規定を設けていない一方,被害者としての児童を保護する観点から,種々の規定を設けており,児童を処罰しないとする立法趣旨が示されている。

https://digital.asahi.com/articles/ASM7K5SJKM7KOIPE028.html
少年課によると、女子中学生は、若者に人気の動画投稿SNS「ティックトック(TikTok)」で複数の友人に限り、自ら撮影した動画を公開。その後、不特定多数が見られる状態でティックトックに動画が公開されており、他の動画共有サイトでもアップされていたという。

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https://digital.asahi.com/articles/ASM6G7GJJM6GOIPE02X.html?iref=pc_rellink
自画撮りの裸、送り続けた少女「簡単に人気者になれる」
2019年6月19日17時00分
 18歳未満の未成年者が、LINEなどを通じてやりとりする相手の要求に応じて自分の裸や下着姿を撮影した「自画撮り」が悪用されている。画像はネット上で拡散し、事件に発展することもある。SNSの普及により、未成年者らが気軽な交流に慣れ親しむ一方、その裏に潜む危うさに鈍感になっているようだ。

 「SNSの向こう側の優しい言葉に、乗せられてしまった。『流出させない』といっても、約束を守ってくれる保障なんてないのに」

 名古屋市の繁華街「錦三」地区で、記者が出会った横浜市の少女(17)は、昨夏まで、SNS上で見知らぬ相手に裸の画像や動画を送り、公開していた。今はそれを悔やんでいる。

 初めて送ったのは、中学1年生の時。「病んでる」と自身のSNSに書き込んだら、知らない男が「話、聞くよ」と返信してきた。

 それまでずっと自分に自信がなかった。学校では、男子生徒と打ち解けて話す女子生徒がうらやましかった。そんな悩みをぶつけると、男は優しい言葉で励ましてくれた。「君の写真が見たいな」。勇気を出して裸の写真を送ると、褒められた。その後も、SNS上の「かわいい」という反応を求めて、いろんな相手の求めに応じて裸の画像や動画を送り続けた。

 「手軽に撮れて、簡単に人気者になれる。抵抗感は薄れていった」。ツイッターに匿名で、際どい自画撮りをアップするようにもなった。画像への反響が多いほど、自分が認められている気がして、満たされた。周囲にも、同様のことをする友人がいた。

 だが昨夏、そのうちの一人の写真がアダルトサイトに転載されて悪用されていることを知り、画像をさらすことをやめた。「最初は不安だったはずが、次第に自画撮りを『危ない』と思えなくなってしまっていた」。少女はそう振り返った。(竹井周平)