児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「投手は2017年12月にインターネットを介して知り合った女子高校生と関係を持った」という報道

 報道は夏休み前に持って来られますね。
 事件が古いので逮捕されないでしょう。

 弁解としては、
  18歳未満とは知らなかったとか
  真剣交際だったとか
  実害がない罪だとか
  わいせつの定義がない
  児童買春罪ができたので青少年条例は存在意義を失った
とか言ってみて。
 保護法益を理解した反省文とかも有効

最高裁判所判例解説刑事篇
昭和60年度201頁
福岡県青少年保護育成条例違反被告事件昭和60年10月23日
高橋省吾
前掲各裁判例が説示するように、刑法の強姦罪等は主として個人の性的自由を保護法益とし、その処罰の対象となる性行為も自由意思の制圧ないしこれに準ずる場合としているのに対し、本条例の淫行罪は青少年の特質にかんがみてその健全な育成を図る見地から、青少年の育成を阻害するおそれのある淫行を禁じ、たとえそれが青少年の同意に基づくものであったとしてもその相手方を処罰することにしたものであるから、両者は処罰の趣旨・目的、内容(対象となる性行為の態様)等を異にするというべきである。そして、本条例の淫行処罰規定の保護法益を右のように解する以上、右規定違反の行為について必要な捜査が行われ公訴の提起がなされたとしても、そのことが直ちに青少年の保護育成上有害であるとはいえないのであって、親告罪とするか否かは右規定のもたらす現実的影響、地方的特性等をも考慮した立法政策上の問題というべきものと思われる。
また、刑法一八〇条一項は、被害者の感情を考慮して強姦罪等を親告罪としているが、二人以上の者によって現場において強姦罪等が犯された場合(同条二項)や被害者に致死傷の結果を生じた場合(同法一八一条)には、被害者の感情を尊重すること以上に犯人を処罰することの必要性が大きいと考えられるところから、もはや親告罪とされていない。本条例の淫行罪は、前叙のとおり、強姦罪等とは罪質・保護法益を異にしている上(注一五)、青少年が合意の上で淫行をしたときには、その青少年が強姦罪等のそれと同様の被害者とはいえないと思われること、また、親告罪としたのでは、合意の上での淫行の場合、規制目的を達しえないことも考えられることなどに徴すると、本条例の淫行罪が青少年の告訴を要件としていないとしても、必ずしも刑法との整合性を欠いて不合理であるとはいえないと思われる。因みに、児童福祉法の淫行罪(同法三四条一項六号、六〇条一項)は非親告罪である。
(注一五)
本条例の淫行罪は、淫行は青少年にとってはそれ自体で健全育成に対する抽象的危険を招くものであるという認識に立った上で、青少年以外の者に対して、このような危険を回避すべき義務を課し、右義務違反に違法性を認めているものと解することもできよう(亀山継夫「児童に淫行をさせる罪(その二 研修三四七号六〇頁参照)
・・・
亀山継夫法務省刑事局青少年課長「判例研究 児童に淫行をさせる罪 その2」(研修347号60頁)
児童福祉法の淫行罪についての以上のような理解を前提とすると、条例の淫行罪の性格は、おのずから明らかになるといえよう。両者は、共に児童の健全な成長を保護法益とするものであるが、条例の性質上、後者は、前者に対する補充法的性格を有するものであること、後者が単に児童の淫行の相手方となることを構成要件としていること等からみれば、前者が「淫行」と「させる」の2要件によって、児童の健全な成長に対する現実の侵害ないしはそれに対する具体的危険を対象とするのに対して、後者は、児童が淫行をすることによる抽象的な危険を対象とするものと解する。
児童を相手方とする全く任意の性的交渉は、もし相手方が成人であれば単に不道徳な行為というにとどまるものであり、まして児童の側からの誘いかけがあったような場合には、その誘いに応じたというだけで処罰の対象となる点において広きに過ぎるという感があることは免れないが、これを前掲13ないし15の裁判例のように、構成要件的に限定しようとすると、児童福祉法の淫行罪との違いが明らかでなくなってしまい、ことに、15ないし18のような限定をすると、淫行を「させる」ということと同じになる。(自己が淫行の相手方となるか、第三者を相手方にさせるかという点に違いがあるという考え方もないではないが、これについては後述する。〉条例の補充的性格、青少年保護育成条例の趣旨、目的、条例の淫行罪の体裁等を総合して考えると、条例の淫行罪は、性道徳上社会的に是認されないような性的交渉は、おとなにとってはともかく、児童にとってはそれ自体で健全成長に対する抽象的危険を招くものであるという認識に立った上で、成人に対して、このような危険を回避すべき義務を課したものと解するのが最もすなおな見方であろう。

神奈川県青少年保護育成条例の解説h10
(みだらな性行為、わいせつな行為の禁止)
第 19条
1何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又は見せではならない。
3 第 1項に規定する「みだらな性行為」とは、健全な常識を有する一般社会人からみて、結婚を前提としない単に欲望を満たすためにのみ行う性交をいい、同項に規定する「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を刺激し、文は興奮させ、かつ、健全な常識を有する 般社会人に対し、性的しゅう恥けん悪の情をおこさせる行為をいう。
一部改正(昭和 53年条例 38号)、一部改正(平成 8年条例 31号)

〔要旨〕
本条は、青少年に対してみだらな性行為若しくは、わいせつな行為をすること又はこれらの行為を教えたり、見せたりすることを禁止したものである。
解説
本条は、青少年を対象とした性行為等のうち、健全な育成を阻害するおそれがあるものとして社会通念上非難を受けるべきものを対象としているが、その行為の認定にあたっては動機、手段及び態様並びに当該行為が青少年に与えた影響等、諸般の事情を十分に考慮して、客観的、総合的に判断されるべきものである。
第 1項関係
(1) 「何人も」 とは、条例第 5条の解説のとおりである。
(2) 「みだらな性行為」については、条文の中でも規定されているが、 「結婚を前提としない単に欲望を満たすためにのみ行う性交」の解釈としては、 「人格的交流のない性交」 を象徴するものであり、これをさらに詳しくいうと次の場合を指すものである。
① 青少年を誘惑し、威迫し、欺商し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為
② 青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為
( 3 )本項の例としては、成人が、結婚の意思もないのに、青少年を言葉巧みに誘って、単に自己の情欲を満たすために性交じた場合や青少年の性器等を手でもてあそぶなどした場合などがこれに当たるが、結婚を前提とした真に双方の合意ある男女間の性行為は、該当しないものである。

https://news.livedoor.com/article/detail/16781369/
DeNA・投手が無期限の謹慎処分 女子高生と関係 青少年保護育成条例に抵触か
2019年7月16日 16時53分 デイリースポーツ
 DeNAは16日、投手(22)が神奈川県の青少年保護育成条例に抵触する可能性があるとして、同投手を無期限の謹慎処分にしたと発表した。
 球団によると、投手は2017年12月にインターネットを介して知り合った女子高校生と関係を持ったといい、本人も相手が高校生と認識していたと話しているという。

 投手は2015年秋のドラフトでDeNAから5位指名を受け、茨城・霞ケ浦高校から入団。17年10月3日の中日戦(横浜)でプロ初登板初先発し、5回を4安打無失点でプロ初勝利をマーク。将来を嘱望されたが、18年は右肩手術の影響から1軍での登板はなかった。
・・・
https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2019/07/16/kiji/20190716s00001173286000c.html
DeNA・が無期限謹慎処分 当時未成年の女性と関係 「本人は非常に反省」
[ 2019年7月16日 16:59 ]
 DeNAの三原一晃球団代表は16日、投手が17年12月に当時未成年の女性と関係を持っていたことが発覚し、条例違反で無期限謹慎処分を課したと発表した。「この場をお借りして、お相手の方、ご家族、ファンの皆さまに深くお詫び申し上げたいと思います」と謝罪した。
 7月14日に、投手が週刊誌の取材を受けたことで、球団に報告。複数回のヒアリングを重ね、事実と認めて発覚に至った。三原代表によれば、インターネットを介して知り合った女性で、当時高校生だったことを認識していたという。金銭面のやりとりはなかった。三原代表は「本人は非常に反省しており、事実関係も誠実に答えてくれました」と様子を明かした。

 謹慎中は自宅謹慎処分となり、練習にも参加しない。

 は茨城・霞ケ浦高から15年のドラフトでDeNAから5位指名を受け入団。17年10月3日にの中日戦ではプロ初登板初先発で初勝利をマーク。18年4月には右肩のクリーニング手術を受けた。1軍登板は1試合で1勝0敗、防御率0.00、今シーズンの1軍登板はない。