児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

セクハラ型強制わいせつ罪求刑6月(前橋地裁R1.6.28)

 求刑が法定刑の下限になっています。異例の軽さです。
 中日新聞が被害者の意見を取材していますが、証拠で出てないと考慮されません。

 前橋市セクハラ問題 女性と専門家、発言を疑問視 市長が管理職男性の部署示唆 女性の職場特定の恐れ
2018.05.29 中日新聞
 【群馬県前橋市の山本龍市長は二十八日の定例記者会見で、市役所の四十代の女性嘱託職員が、管理職の男性から宴席で胸をもまれるなどのセクハラ被害を訴えている問題について、「この事案は部署内で(別の)さまざまな問題があって当該者(男性)の件と知るところとなった」と述べ、発言の中では過去の別の不祥事の具体的な内容を明らかにした。市は男性のその不祥事を公表した際、部署名と年齢を明らかにしており、この日の発言で女性の職場が特定される恐れがある。女性と専門家は山本市長の発言を疑問視している。(菅原洋)
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 この問題は二〇一六年末に市内であった職場の忘年会で、飲酒した男性が女性の背後から胸をもみ続け、同僚の女性三人が行為を目撃した。被害を訴える女性は今年に入り市に申し出た。今月中旬には警察に相談し、捜査が始まっている。男性は本紙の取材に「記憶は定かではないが、謝罪したい」と話している。

 前橋市の女性嘱託職員 セクハラ被害訴え 警察に相談市も調査「宴席で胸もまれる」 男性管理職「記憶ないが謝罪したい」
2018.05.25 中日新聞
 【群馬県前橋市の四十代の女性嘱託職員が、管理職の男性から宴席で胸をもまれるなどのセクハラ被害を訴え、警察に相談していることが二十四日、女性本人と被害をその場で目撃した同僚の女性への取材で分かった。本紙の取材に男性は「記憶は定かではないが、宴席で女性に近づいたかもしれない。自分に非があると分かれば、謝罪したい」と話している。市は女性の訴えを把握しており、調査している。(菅原洋)
 被害を訴える女性と同僚によると、二〇一六年十二月末の仕事納め後に市内の居酒屋で開かれた忘年会で、飲酒した男性が座っていた女性の背後から密着。男性が両手で女性の左右の胸をそれぞれつかみ、指の力を入れて数秒間強くもみ続けた。女性にけがはなかったが、恐怖とショックで抵抗できなかったという。
 宴席で同僚の女性三人が行為を目撃し、同僚が抗議すると手を離した。取材に同僚の一人は「私を含め三人が行為を目撃したのは間違いない。残る二人も見た事実を証言できる」と語った。

 被害を訴える女性は一次会で帰宅したが、二次会では男性が別の同僚女性の●にキスし、出席者がその様子を写真撮影した。キスについては男性は写真があるため行為を認めている。

 一七年三月初めには、市内の焼き鳥店で職場の宴会があり、胸をもまれた被害を訴える女性も参加。女性によると、途中で合流した上司であるこの男性が飲酒しない女性に車で送るよう求め、降車時に強引に唇を数秒間吸われたという。

 男性は「飲酒しており、送ってもらったという気持ちもあり、キスを求められるままに、応じてしまった。安易な行為で、反省している。二回の被害で、女性が不快ならば誠心誠意謝罪したい」と説明した。

 本紙の取材で男性の説明を聞いた女性は絶句。「二カ月前にセクハラを受けたのに、私からキスを求めるわけがない。ショックで、悔しい。二次被害ではないか。深く傷付き、絶対に許せない。謝罪があっても、受け入れられない」と話した。その後、女性は男性の釈明の言葉を思い出して職場で泣いたという。

 被害を訴える女性、目撃した女性たちはいずれも一年更新の嘱託職員。男性は一七年六月、同僚に嘱託を含む人員配置の見直しを示唆するメールを送信した。嘱託職員たちは雇用への不安が募り、被害を市や外部へ訴えられなかったという。上司が地位を利用して部下に苦痛を与える「パワハラ」に当たる恐れもある。

 その後、男性職員が起こした別の複数の不祥事が発覚し、今年に入って市が同僚たちに事情を聴いた際、セクハラを訴える女性が自身への被害を申し出た。

 市職員課は「本人が被害を証言し、目撃した職員がいることも把握しており、調査している」と述べた。

 被害を訴える女性は最近のセクハラに関する一連の報道を受けて意を決し、「行為は強制わいせつ罪に当たるのではないか」と考え、今月中旬に警察署を訪れ相談を進めている。

前橋市セクハラ事件初公判 罪状認否 男性が留保
2019.05.16 中日新聞
 【群馬県前橋市の当時の女性嘱託職員が男性管理職からのセクハラ被害を訴え、市が男性を停職の懲戒処分にした問題で、その後に県警に強制わいせつ容疑で書類送検され、同罪で起訴された男性の初公判が十五日、前橋地裁(水上周(あまね)裁判官)で開かれた。罪状認否で男性は「今の段階では中身は留保したい」と述べた。法廷では、女性に配慮して氏名や年齢などの個人情報は読み上げられなかった。

 冒頭陳述や市の処分内容などによると、二〇一六年十二月二十八日夜に市内の居酒屋であった職場の忘年会で、飲酒した男性が座っていた女性の背後に密着し、両手でそれぞれ女性の両胸を触ったとされる。宴席で複数の同僚が行為を目撃したことを証言している。女性は昨年になって県警に相談していた。

 女性、男性ともその後に退職し、男性は会社員になった。男性は昨年六月に処分を受け、同年末までに書類送検され、今年三月末に起訴された。女性によると、今月に入って男性が謝罪して解決金を支払う内容の示談書が示され、男性側が支払ったという。

 女性は取材に「裁判が長引き、詳細な証言を求められるのはつらいので、示談に応じた。(認めずに留保するとは)納得いかず、いいかげんにしてほしい。怒りがまた込み上げてきた」と語った。(菅原洋)

被告「女性から求めた」 前橋市元職員セクハラ公判 被害女性「事実と異なる」 結審
2019.06.13 中日新聞
 【群馬県前橋市のいずれも退職した女性嘱託職員が男性管理職にセクハラ被害を受け、男性が強制わいせつ罪で起訴された事件の二回目の公判が十二日、前橋地裁(水上周(あまね)裁判官)で開かれた。男性は罪状認否で「間違いありません」と認めたが、被告人質問で「女性から肩と腕のマッサージを求められた」などと主張し、結審した。しかし、女性は閉廷後の取材に「求めていない」と反論している。
 冒頭陳述によると、二〇一六年末に市内の居酒屋であった職場の忘年会で、飲酒した男性が座っていた女性の背後に密着し、両手でそれぞれ女性の両胸をもんだとされる。
 男性は「マッサージをするうちにスキンシップの延長で胸を触った。女性は翌年も自分や希望者が参加した職場の飲み会に何度か訪れ、自分の昇進祝いの飲み会では花束やメッセージなどを受け取った。マラソン大会にも女性と共に参加した」などと述べた。
 検察側は論告で「自己中心の動機で、大胆、悪質だ。女性の苦痛が甚大なのは明白」と懲役六カ月を求刑し、弁護側は最終弁論で「職員を自ら辞めるなど社会的制裁を受けており執行猶予にするべき」と情状酌量を求めた。
 閉廷後、女性は「私は飲酒できずに冷静だったのに、酔った男性にマッサージを頼むわけがない。スキンシップはなく、いきなり触られた。被害の後も職場の飲み会やマラソンに参加したのは、同僚の女性たちが一緒に参加したから。私は花束などを手渡してはいない」と指摘した。
 その上で「事実と異なる主張をされ、驚いている。罪は認めても、本当に反省しているとは思えない。実刑で厳しく処罰してほしい」と語った。(菅原洋)