児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

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強制性交等、わいせつ略取、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件(名古屋地裁h30.12.17)

 判示第2わいせつ略取と判示第3製造罪との間にも牽連犯認める余地があるし、第3の製造罪は包括一罪じゃないかな。

■28270027
名古屋地方裁判所
平成30年(わ)第1136号/平成30年(わ)第1280号
平成30年12月17日
本籍 (省略)
住居 (住所略)
職業 無職
Y1
平成8年(以下略)生(以下「被告人Y1」という。)
本籍 (省略)
住居 愛知県(以下略)
職業 無職
Y2
平成8年(以下略)生(以下「被告人Y2」という。)
被告人Y1に対する強制性交等、わいせつ略取、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、被告人Y2に対する強制性交等、わいせつ略取各被告事件について、当裁判所は、検察官小林修、同後藤拓志、被告人Y1の弁護人(国選)森戸尉之、被告人Y2の弁護人(私選)松本昌悦各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文
被告人Y1を懲役8年6月に処する。
被告人Y2を懲役8年に処する。
被告人両名に対し、未決勾留日数中各80日を、それぞれその刑に算入する。

理由
(罪となるべき事実)
第1 被告人両名は、共謀の上、自転車で通行中のA(別紙記載)と強制的に性交等をしようと考え、平成30年5月29日午後9時10分頃から同日午後9時50分頃までの間、愛知県(以下略)内の桃畑東側歩道上(別紙記載)において、同人(当時20歳)に対し、被告人Y1が、擦れ違いざまにAの首に腕を巻き付けて同人を自転車から引き降ろし、被告人Y2が、さらにAの足を持って、被告人両名が、Aを前記桃畑内に連れ込み、引き続き、同所において、同人に対し、被告人Y1が、仰向けにさせたAの口を手で押さえるなどし、被告人Y2が、「次うるさくしたら、いつでも殺せるから。」などと言い、Aの首に腕を巻き付けてその首を絞めるなどの暴行脅迫を加え、その反抗を抑圧した上、被告人Y1がAと口腔性交をし、被告人Y2がAと性交をし

第2 被告人両名は、共謀の上、自転車で通行中のB(別紙記載)と強制的に性交等をしようと考え、同年6月29日午後10時20分頃、同県(以下略)内の路上(別紙記載)において、自転車に乗っていた同人(当時17歳)に対し、被告人Y2が、Bの後方からその口を手で塞ぎながら同人を自転車から引き降ろした上、同人の上半身に腕を回して引っ張るなどして、同所付近に停車中の被告人Y1が運転席に乗車する自動車(登録番号(省略))の後部座席にBを押し込むなどの暴行を加え、被告人Y1が、同所から同車を発進させ、同市内の駐車場(別紙記載)まで同車を走行させてBを連れ去り、もってわいせつ目的で同人を略取し、さらに、その頃から同日午後11時30分頃までの間に、前記一連の暴行等により畏怖して反抗抑圧状態にある同人に対し、被告人Y1が、同所に駐車中の同車内において、Bと口腔性交及び性交をし、引き続き、被告人Y2が、Bを抱きかかえて同車から同所に駐車中の自動車(登録番号(省略))に乗り換えさせ、同車内において、同人と性交をし
第3 被告人Y1は、Bが18歳未満の者であることを知りながら
 1 同日午後10時32分頃から同日午後10時39分頃までの間、前記駐車場に駐車中の自動車(登録番号(省略))内において、Bに被告人Y1の陰茎を口淫させる姿態及びBに被告人Y1を相手として性交させる姿態等をとらせ、これを被告人Y1の撮影機能付き携帯電話機で動画撮影し、同月30日午前零時44分頃から同日午前1時30分頃までの間に、(住所略)C(省略)号被告人Y1方において、その動画データをアプリケーションソフト「D」を使用して、被告人Y1が所有する別の携帯電話機の内蔵記憶装置に記録させて保存し、
 2 同月29日午後10時39分頃から同日午後11時30分頃までの間に、前記駐車場に駐車中の自動車(登録番号(省略))内において、Bに被告人Y2を相手として性交させる姿態をとらせ、これを被告人Y1の撮影機能付き携帯電話機で動画撮影し、同月30日午前零時44分頃、前記被告人Y1方において、その動画データをアプリケーションソフト「E」を使用して、被告人Y1が所有する別の携帯電話機の内蔵記憶装置に記録させて保存し
 もってそれぞれ児童を相手方とする性交又は性交類似行為に係る児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造し
たものである。
(証拠の標目) 括弧内の甲乙の番号は検察官請求証拠番号を示す。
(法令の適用)
○ 被告人Y1について
1 罰条
 判示第1について 刑法60条、177条前段
 判示第2のうち
  わいせつ略取の点について 刑法60条、225条
  強制性交等の点について 刑法60条、177条前段
 判示第3について 包括して児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2項、2条3項1号
2 科刑上一罪の処理
 判示第2について 刑法54条1項後段、10条(重い強制性交等罪の刑で処断)
3 刑種の選択
 判示第3の罪について 懲役刑を選択
4 併合罪の処理 刑法45条前段、47条本文、10条(刑及び犯情の最も重い判示第2の罪の刑に法定の加重)
5 未決勾留日数の算入 刑法21条
6 訴訟費用の不負担 刑事訴訟法181条1項ただし書
○ 被告人Y2について
1 罰条
 判示第1について 刑法60条、177条前段
 判示第2のうち
  わいせつ略取の点について 刑法60条、225条
  強制性交等の点について 刑法60条、177条前段
2 科刑上一罪の処理
 判示第2について 刑法54条1項後段、10条(重い強制性交等罪の刑で処断)
3 併合罪の処理 刑法45条前段、47条本文、10条(犯情の重い判示第2の罪の刑に法定の加重)
4 未決勾留日数の算入 刑法21条
5 訴訟費用の不負担 刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の理由)
 本件は、幼なじみである被告人両名が、いわゆるナンパ目的で女性に声をかけては体を触って逃げるなどの行為を繰り返すうち、女性と強制的に性交等をしようなどと考え、夜間、一人で通行中の女性を物色して判示第1の犯行に及び、その犯行が発覚しないとみるや、わずか約1か月後に別の被害者に対して判示第2の犯行に及ぶなどしたもので、強制性交等の事案の中でも特に悪質な部類に入る。
 判示第1の犯行では、自転車で走行中の被害者を引き降ろし、激しく抵抗する被害者の首を絞めるなど強度の暴行を加え、「いつでも殺せる」などと強烈な言葉で脅迫した上で、こもごも口淫、姦淫に及んだ。判示第2の犯行でも、自転車で走行中の被害者を引き降ろし、車内に押し込んで連れ去り、1時間余りにわたって順次口淫、姦淫した。いずれの犯行も、性欲の赴くまま被害者の人格を無視してその身体を弄び、口内ないし膣内に射精しており、犯行態様は卑劣で悪質極まりない。被告人両名が各犯行において果たした役割、責任の重さに軽重はない。
 さらに、被告人Y1は、判示第2の犯行の際、口止め目的で動画を撮影して判示第3の犯行に及び、犯行後は、被害者の携帯電話に性交を求めるようなメッセージを送っており、犯行後の情状も悪い。
 各被害者の身体的、精神的苦痛は甚大であり、被告人両名に対する処罰感情が厳しいのも当然である。
 以上の諸事情からすれば、被告人両名は、若年で前科前歴がなく更生の余地が大きいこと、各公訴事実を認め、被害者に対する謝罪と反省の弁を述べていること、被告人Y1の母親及び被告人Y2の父親がそれぞれ出廷して監督を誓約していること、被告人Y1が被害者の一人に対して謝罪文を送付し、被告人Y2が20万円を贖罪寄付したことなどを考慮しても、被告人両名の刑責は重く、主文の刑を科すのが相当であると判断した。
(求刑 被告人Y1に対し懲役10年、被告人Y2に対し懲役9年)
刑事第2部
 (裁判長裁判官 齋藤千恵 裁判官 近藤和久 裁判官 鈴木真理子)