児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

弁護⼠法⼈・響の代表弁護⼠、⻄川研⼀⽒曰く「求刑通りの懲役は重い。」

 執行猶予が付く場合の刑期は、たいてい検察官求刑の刑期ですから、求刑通りだから重いということはありません。
 「求刑懲役2年、宣告刑懲役2年執行猶予5年」という場合に重いと感じさせるのは執行猶予期間が普通は3年程度なのに、法律上最長の「5年」になっている点です。

原田國男「量刑判断の実際〔第3版〕(立花書房・平成11年)」 P47
3 執行猶予の場合の刑期
(1) 次に,執行猶予を選択した場合に,刑期をどのように定めるのかを検討する。実務の大勢は,執行猶予の場合には,刑期は原則として求刑どおりとしているように思われる。ただし求刑自体が懲役3年を超える場合や再度の執行猶予を付する事案で求刑が1年を超える場合は,論外である。ここでは,求刑自体が懲役3年以下の主として単独事件の場合を想定している。これに対して,執行猶予を付するかどうかの問題と刑期の長短とは別の事柄であり,刑期は責任に応じて定め,執行猶予は主に予防の観点から決すべきであるから,まず,刑期を定めてから執行猶予とすべき情状があるか否かを検討すべきであって,実刑とすべき場合と執行猶予とすべき場合とで,刑期が異なることは許されないという考え方もあり得る。しかし,実務では,前述のように,刑期と執行猶予の許否を一体として量刑判断をしているものと思われる。これは,両者で厳密に情状を区別することが困難であること,執行猶予の刑期は,それが取り消されたときに服役しなければならない刑の期間を示して,善行保持のための心理的強制の効果をねらったものといえることなどを理由とする。したがって,執行猶予とするときの刑期が実刑とするときのそれよりも長期になることは,不合理ではない。そして,その刑期を求刑と同ーとするのが実務の大勢なのである。ただいこれは,あくまで原則的な取扱いであり,求刑よりも刑期を短く定めて執行猶予とすることもある
注46 古川・前注36 254頁,松本・刑の量定151頁。
注47 藤本・前注37 200頁。

松本時夫「刑の量定・求刑・情状立証」現代刑罰法体系6
筆者もかつて若干の実例について調査してみたことがあったが、その結果によっても、実刑の場合は求刑より一段階ないし二段階低い刑が言い渡された例が全体の九三パーセント近くに達し、一方、執行猶予が付された場合には求刑どおりが七七ハーセント、一段階低い刑までで九○パーセントを越えている(注14)。一般的にいって、まず、検察官が死刑を求刑しないときは、いかに残虐な事件においても、裁判所が死刑を言い渡すことはありえない。懲役刑の場合、求刑よりも重い刑を言い渡すのは極めて異例のことであり、右の調査結果にもみられるとおり実刑であれば求刑よりも一段階ないし二段階低い刑、執行猶予であれば刑期は求刑どおりというのが全体の傾向といってよいであろう。裁判所の量刑態度に対する一つの悪口として「求刑二割引」という言葉があるくらいである。
このように求刑と宣告刑との間に相関関係があるということは、量刑の具体的基準が確立し、裁判所の言い渡す刑及び検察官の求刑いずれもこれに基づいているということをまさに示すものである。
(14)前田俊郎「求刑刑期による量刑刑期の推定」植松正博士還暦祝賀・刑法と科学・心理学・医学編(有斐閣昭四五)六二九頁以下においては、詐欺犯についての実態調査結果に基づき、「検察官の求刑刑期(月で表わす必要がある)に○・七一五を掛けたものに一・○五月を加えると量刑刑期が算定される」(六三五頁)という「求刑刑期を説明変数とする量刑刑期の回帰方程式」を導き出しておられる。

前田俊郎「求刑刑期による量刑刑期の推定」
一求刑刑期と量刑刑期の関係
二求刑刑期を説明変数とする量刑刑期の回帰方程式
三使用例
四誤差の検討
五量刑刑期が求刑刑期の二分の一を下廻った場合の検事控訴
むすび
一 求刑刑期と量刑刑期の関係
かつて詐欺犯執行猶予予測表を作成した際に、実態調査を行なった有罪詐欺犯被告人の執行猶予・実刑別量刑刑期.求刑刑期の一致状況を表示すると第1表の通りである。第1表によれば、刑の執行を猶予された詐欺犯被告人の量刑刑期は求刑刑期と一致する公算が大であり、逆に実刑を言い渡された詐欺犯被告人の量刑刑期は求刑刑期と一致しない傾向が強い。換言すれば、執行猶予になる場合の詐欺犯被告人の量刑刑期は検察官の求刑刑期付近に落ちつくものと推定しても大過はあるまい。このことは、執行猶予判決の場合、被告は刑務所に収容されないのだから、検察官の主張する求刑刑期をほとんど認めることによって当事者を納得させようとする司法行動法則の存在を物語っているようである。両当事者を説得する巧みな解決とも言えようが、執行猶予が取り消されて被告が刑務所に収容される場合を考えると(実刑判決の量刑刑期は求刑刑期の二割引ないしは三割引が相場といわれるだけに)、過重の感を免れ難い。それはともかく、執行猶予の場合は量刑刑期が求刑刑期付近に落ちつく公算が強いから”執行猶予予測表″などによって執行猶予・実刑を判別し、執行猶予と判定し得る場合は求刑刑期を一応量刑刑期と考えてさしつかえないだろう。


 「執⾏猶予期間中、禁錮刑以上の罪を犯すと執⾏猶予が取り消され、実刑となる。」という点についても、執行猶予取消の要件はいろいろあって、罰金刑でも取消になることがあります。

第二六条(刑の全部の執行猶予の必要的取消し)
 次に掲げる場合においては、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消さなければならない。ただし、第三号の場合において、猶予の言渡しを受けた者が第二十五条第一項第二号に掲げる者であるとき、又は次条第三号に該当するときは、この限りでない。
一 猶予の期間内に更に罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
二 猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
三 猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられたことが発覚したとき。

第二六条の二(刑の全部の執行猶予の裁量的取消し)
 次に掲げる場合においては、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消すことができる。
一 猶予の期間内に更に罪を犯し、罰金に処せられたとき。
二 第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いとき。
三 猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部の執行を猶予されたことが発覚したとき。

https://www.sanspo.com/smp/geino/news/20181201/sca18120105030002-s.html

吉澤被告、事件後も断酒せず…弁護⼠が忠告「やめられた⽅が賢明」
2018.12.1 05:03
酒気帯び運転でひき逃げをしたとして、⾃動⾞運転処罰法違反(過失傷害)と道交法違反の罪に問われた元モーニング娘。被告(33)の判決公判が30⽇、東京地裁で開かれ、懲役2年、執⾏猶予5年(求刑懲役2年)の有罪判決が⾔い渡された。
量刑について、弁護⼠法⼈・響の代表弁護⼠、⻄川研⼀⽒(48)は「求刑通りの懲役は重い。5年の執⾏猶予期間はしっかり反省を促すためだと思うが、⼀歩間違ったら実刑になっていたのでは」と“ギリギリ”だったとの⾒解を⽰した。執⾏猶予期間中、禁錮刑以上の罪を犯すと執⾏猶予が取り消され、実刑となる。被告が現在も飲酒を続けていることについては「お酒を飲むと規範意識が鈍化するので、粗暴な⼈には『酔っ払ってケンカしては駄⽬だよ』とよく⾔っている」とした上で、「お酒との関係をコントロールできないのであれば、やめられた⽅が賢明だと思う」と忠告した。

この事務所、強姦致傷罪についてこんな解説がありました。起訴猶予でしたよね

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160824-00000005-dal-ent
容疑者に対する量刑について、弁護士法人・響の徳原聖雨弁護士は、デイリースポーツの取材に対し「懲役7年程度の実刑判決になる」との見解を示した。
 徳原弁護士によると、容疑者の罪状は、刑の範囲として死刑および無期懲役・禁固が定められている「強姦致傷罪」であるため、裁判員裁判で裁かれることになる。その上で「初犯であること、既遂であること、被害者の負傷程度が軽いことなどからすると、検察側の求刑は懲役10年前後、判決は懲役7年程度の実刑になると推測されます」と話した。被害者が負傷しておらず「強姦罪」であった場合は、懲役3年程度の量刑が予想されたという。
 計画的な犯行を否定していることに関しては「弁護人は情状の要件として主張するかもしれませんが、基本的に量刑にあまり影響は与えないと思います」と解説。「性犯罪に対しては裁判員の目も厳しくなる。当然、芸能界復帰は難しいでしょうし、お母さまの活動にも影響が及ぶのでは」とした。
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刑法第一八一条(強制わいせつ等致死傷)
2第百七十七条若しくは第百七十八条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、無期又は五年以上の懲役に処する。