児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

監護者性交罪1罪で懲役6年(松山地裁H30.7.24)

 
 児童淫行罪の流儀を引き継いで量刑理由として過去の性交が考慮されています。併合罪関係にあって、さらに訴追可能性があるのに。

上記の者に対する監護者性交等被告事件について、当裁判所は、検察官矢尾板隼、国選弁護人和田資篤各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文
被告人を懲役6年に処する。
未決勾留日数中20日をその刑に算入する。

理由
(罪となるべき事実)
 被告人は、実子である□□□□(当時14歳・以下「A」という。)と同居してその寝食の世話をし、その指導・監督をするなどして、Aを現に監護する者であるが、Aが18歳未満の者であることを知りながら、Aと性交をしようと考え、平成30年4月24日頃、愛媛県□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□被告人方において、Aを現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてAと性交をしたものである。
(証拠の標目)
(法令の適用)
罰条 刑法179条2項、177条前段
未決勾留日数の算入 同法21条
訴訟費用の不負担 刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の理由)
 被告人は、遅くとも被害者が小学5年生の頃から胸や陰部を触るなどの性的接触を始め、被害者が中学1年生の夏頃以降、繰り返し性交をするようになった。本件犯行は、こうした常習的行為の一環として行われたものである。
 被害者は、本件犯行時、未だ中学3年生であるところ、本来は家庭内で健全な愛着関係が築かれるべき時期に、信頼を寄せるべき実父から性的接触を継続される中、本件被害を受けているのであり、他者に対する基本的な安心感や信頼感が壊され、心理的・精神的にも大きな傷を残してしまうことが危惧されるなど、人格的にも性的にも未熟な時期に被った被害者の悪影響は誠に深刻である。
 被告人は、実父として被害者を特に保護すべき関係にあるのに、常習的に性的接触を持ち続け、その間、被害者が泣きながら性交を拒絶したこともあったのに、被害者の心情を何ら顧慮することなく、被害者も受け入れているなどと自己に都合よく考え、本件犯行にまで至っている。また、被告人は、一連の性的接触について、単なる性欲解消目的ではなく、大切に思う被害者を誰にも渡したくないという思いになり、自分によく懐いていた被害者に女性として好意を寄せてしまったなどとも述べるところ、そのような考え自体が大きく歪み偏っているのであり、常軌を逸した自分本位な経緯・動機等に酌むべき事情は一切見受けられない。
 このような観点からすると、本件は、監護者性交等1件の事案において軽い部類に属するものとはいえず、法定刑の下限である懲役5年をある程度上回る範囲の刑を念頭に置くべき事案と考えることができる。
 その上で、被告人に前科前歴がないこと、犯罪事実を認めて被告人なりに反省の態度を示していることなどの事情を考慮し、刑期については主文のとおりにするのが相当であると判断した。
(求刑-懲役8年)
刑事部
 (裁判長裁判官 末弘陽一 裁判官 南うらら 裁判官 重田裕之)