児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

性犯罪の起訴率は下がったまま・・・裁判員候補、出席2割 選任手続き 制度形骸化の恐れ

 検察統計でいうと、裁判員制度が施行された2009(H21)ころから起訴率が落ちていて、上昇してきません。
 裁判所の統計では、性犯罪の量刑がやや重くなった感じですが、起訴段階の統計を見ると、裁判員制度のおかげで、対象罪名の行為をやっても、起訴されない人(懲役0年)が増えていることに注意。


検察統計年報

強制わいせつ致死傷罪 総数 起訴件数 不起訴件数 起訴率
h18 250 166 51 76.5%
h19 279 157 68 69.8%
h20 284 137 83 62.3%
h21 257 117 95 55.2%
h22 273 106 125 45.9%
h23 266 109 119 47.8%
h24 271 115 118 49.4%
h25 295 136 120 53.1%
h26 287 134 121 52.5%
h27 228 113 84 57.4%
h28 246 117 82 58.8%
h29 212 93 88 51.4%

・・・

強姦致死傷罪 総数 起訴件数 不起訴件数 起訴率
h18 390 253 110 69.7%
h19 436 239 156 60.5%
h20 367 198 137 59.1%
h21 308 139 137 50.4%
h22 295 110 148 42.6%
h23 317 128 162 44.1%
h24 286 129 135 48.9%
h25 323 123 173 41.6%
h26 281 85 165 34.0%
h27 217 104 87 54.5%
h28 166 74 73 50.3%
h29 112 45 53 45.9%
h29(強制性交致死傷含む) 160 68 65 51.1%

裁判員候補、出席2割 選任手続き 制度形骸化の恐れ
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018111102000164.html
二〇〇九年に導入された裁判員制度で、裁判員を選ぶ手続きへの市民の出席率が下がり続けている。昨年一年間の裁判員候補者のうち、選任手続きに出席した人は約二割で、過去最低となった=図。裁判員制度の最大の理念は「市民参加」だが、来年五月の施行十年を前に、形骸化が懸念されている。
 同制度では、有権者から無作為に選ばれた名簿登録者の中から、各裁判ごとにくじで選んだ候補者に「呼出状(よびだしじょう)」を送る。裁判所は国会議員など裁判員に就けない人を除き、辞退を希望しなかったり、辞退が認められなかった候補者を「選任手続期日」に呼び出す。この中から裁判員が決まる。
 最高裁によると、一七年の裁判員候補者数は十二万百八十七人。このうち、選任手続きに出席した人は二万七千百五十二人で、出席率は22・6%だった。制度が始まった〇九年の40・3%から下がり続けている。期日前に「重要な仕事」などの理由で辞退する人も多く、一七年の裁判員候補者のうち辞退率は66・0%で過去最高。これも〇九年(53・1%)から増加傾向がある。呼出状が届かない人のほか、理由なく出席しない人もいるという。
 背景には審理の長期化がある。最高裁によると、ゆとりを持ち審理計画を組むようになったことなどが影響し、裁判員裁判の平均日数は〇九年の三・七日に対し、一七年は一〇・六日に伸びた。同年の調査では審理予定日数が長いほど、辞退率が高い傾向があった。
 白鴎大法学部の村岡啓一教授(刑事訴訟法)は「制度が始まって九年たっても関心が高まっていない。裁判員になることが義務という意識が薄らいでいる。事前に辞退を希望する候補者について、正当な理由かどうか裁判所が厳しくチェックしていないことも一因だ」と分析している。 (中山岳)