児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

わいせつとは「社会通念に照らし性的な意味合いが強い行為」という報道(福岡地裁H30.10.31)

 大法廷H29.11.29以降は、性的意図不要としつつ、わいせつの定義を先送りしたので、事実認定を争う場合には、前提として定義を問うて下さい。
 「社会通念に照らし性的な意味合いが強い行為」という判例はありませんし、高裁レベルの判例違反になります。
 詳しいことは奥村に問い合わせて下さい。

https://digital.asahi.com/articles/ASLB02PBXLB0TIPE002.html
 判決によると、2015年9月18日夜、福岡市中央区の飲食店であった同課の懇親会で、被告が同僚女性の背後から両脇に腕を入れて持ち上げて仰向けに引き倒し、被告が両足をつかんで無理やり足を開き、覆いかぶさるなどしてわいせつな行為をした。
判決は、「被告の股間付近と女性の股間付近が当たったという被害者の供述は、具体的で信用性が高い」と指摘。被告の行為について、「社会通念に照らし、性的な意味を持つ」と述べ、弁護側の「宴会芸として行われ、わいせつな行為ではない。股間には当たっていない」などとする主張を退けた。
 さらに、被告について「性的な色彩の濃い行為をする被告の意図は明らかだったのに、体を押さえ続けた」と指摘し、共謀があったと認めた。
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https://www.yomiuri.co.jp/national/20181031-OYT1T50066.html
判決によると、両被告は共謀し、2015年9月18日夜、福岡市内の飲食店で、被告が女性警察官を羽交い締めにして引き倒した後、被告が女性の両足を広げ、股間を押し当てるなどした。
 弁護側は公判で、女性の両足を広げたことは認めたが、股間を押し当てた行為は否定。「冗談でやった宴会芸。セクハラではあるが、わいせつ行為とは評価できない」と無罪を主張していた。
 太田裁判長は「股間が少なくとも2、3回は当たった」とする女性の証言を「具体的で信用できる」と指摘し、弁護側の主張を退けた。その上で、「多数の男性の前で部下の女性に及んだ卑わいで悪質な犯行だ」と述べた。
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https://r.nikkei.com/article/DGXMZO3715768031102018ACX000?s=0
太田裁判長は枝尾被告の行動が「わいせつ行為に及ぼうとしたのは明らかで、合意があったとは到底認められない」と指摘した。於保被告についても女性警官の体を押さえつけて離れなかったとして「(2被告は)暗黙のうちに意思を通じていた」と批判。「宴会の悪ふざけで性的意図はなく、いたずらに過ぎない」としていた弁護側の無罪主張を退けた。

閉廷後、被告と弁護士が記者団の取材に応じ、弁護士は「事実と証拠に基づかない不当な判決」として控訴する方針を示した。被告は「事実と違う」と訴えた。

判決などによると、両被告は県警留置管理課に所属していた2015年9月、福岡市中央区の居酒屋で開かれた懇親会で、40代の女性警官の体を羽交い締めにするなどして無理やり触った。
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https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181031-00000002-tncv-l40
判決によりますと2人は2015年、職場の懇親会で当時40代の女性巡査部長を羽交い締めにして倒し、無理やり下腹部を押し当てるなどわいせつな行為をしました。
被告側はこれまで「性的な目的はなかった」などと無罪を主張していましたが、31日の判決公判で福岡地裁は「社会通念に照らし性的な意味合いが強い行為であることは明らか」と述べたうえで「被害者は性的羞恥心を著しく害されている」と指摘し、それぞれに執行猶予3年がついた有罪判決を言い渡しました。

 性的意図不要の点では大法廷H29.11.29の影響をもろに受けたようです。大法廷H29.11.29によればわいせつの定義はわからなくなるはずですが、どういう定義を前提に争ったんでしょうか

福岡・元警部補部下わいせつ:元警官2人有罪 「性的意味合い明らか」 地裁判決
2018.11.01 毎日新聞
 福岡県警の元警部補2人が職場の飲み会で部下の女性警察官にわいせつ行為をしたとされる事件で、福岡地裁(太田寅彦(ともひこ)裁判長)は31日、強制わいせつ罪に問われたA被告(59)に懲役1年4月、執行猶予3年、B被告(58)に懲役1年6月、執行猶予3年(ともに求刑・懲役1年6月)を言い渡した。性的意図がなくても同罪が成立するとした昨年の最高裁判決の判断を適用した。
 起訴状では、B被告が女性警察官の両脚を無理やり開き、腰を振るなどしたとされたが、弁護側は公判で「体育会系組織風土の中で発生した宴会芸の一環で、わいせつ行為には当たらない」(B被告側)などと性的意図を否定し、無罪を主張していた。
 これに対し判決は、強制わいせつ罪の成立に性的意図は不要だとする初判断を示した昨年11月の最高裁判決の判断枠組みを引用。「行為の内容から性的意味合いが強いことが明らかだ。宴会の悪ふざけや嫌がらせだったとしても、罪の成立に影響を与えない」と結論づけた。
 その上で「男性ばかりの懇親会で部下に行った行為は卑劣、悪質で破廉恥。被害者には耐え難い、屈辱的扱いだ」と批判した。A被告は控訴する方針。
 判決などによると、両被告は2015年9月18日、福岡市中央区の飲食店であった、所属する留置管理課の懇親会に参加。A被告が女性警察官を背後から両脇をつかんで押さえつけ、B被告が女性を無理やり開脚させるなどした。懇親会には16人が参加し、女性は1人だけだった。【平川昌範】