児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

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「大阪は淫行特区」のワケ 生徒にわいせつ行為の教育実習生「不起訴」を考察

 大阪府条例の「専ら性的欲望を満足させる目的で、青少年を威迫し、欺き、又は困惑させて、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。」は、兵庫県等の条例の「何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。」と比較すると、手段の要件が限定されているので、犯罪となりにくいという解説です。
 これらの府県では、児童淫行罪と青少年条例との間に隙間ができています。

「大阪は淫行特区」のワケ 生徒にわいせつ行為の教育実習生「不起訴」を考察
https://headlines.yahoo.co.jp/cm/main?d=20180916-00008552-bengocom-soci&s=create_time&o=desc&p=1

大阪府青少年健全育成条例
(淫らな性行為及びわいせつな行為の禁止)
第三十九条 何人も、次に掲げる行為を行ってはならない。
二 専ら性的欲望を満足させる目的で、青少年を威迫し、欺き、又は困惑させて、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。
大阪府青少年健全育成条例の解説h26
2 第2号
性的欲望を満足させるため、心身ともに未熟な青少年を、正常な判断を行わせないような状態において、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うことを禁止するものである。
ア 「専ら」とは、概ね7割ないし8割程度以上をいうが、「専ら」に該当するかは、当該者の行為の態様、動機などを総合的に勘案することになる。
イ 「満足させる目的で」とは、行為者自らだけでなく、第三者の性的欲望についても含めるものである。
ウ 「威迫し」とは、暴行、脅迫に至らない程度の言語、動作、態度等により心理的威圧を加え、相手方に不安の念を抱かせることをいう。例えば、暴力団の構成員であると言ってすごむことなどが挙げられる。
エ 「欺き」とは、嘘を言って相手方を錯誤に陥らしめ、又は真実を隠して錯誤に陥らしめる行為をいう。例えば、婚姻をするつもりはないのにもかかわらず婚姻をするつもりであると言うことなどをいう。
オ 「困惑させて」とは、立場を利用したり、言語や態度により相手方を惑い困らせることをいう。例えば、雇用や金銭融通の恩義その他義理人情の機微につけ込むことや、職場の上司、教師などの立場を利用することにより、青少年が拒否の意思表示をできなくすることなどをいう。
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山口県青少年健全育成条例の解説h19.
(みだらな性行為又はわいせつの行為の禁止等)
第12条何人も、青少年に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
(j)金品その他の財産上の利益を供与し、若しくは役務を提供し、又はこれらの供与若しくは提供を約束して性行為又はわいせつの行為をすること。
(2) 相手方を欺き、若しくは困惑させ、又はその困惑に乗じて性行為又はわいせつの行為をすること。
(3) あっせんを受けて性行為又はわいせつの行為をすること。
2 何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつの行為を教え、又はこれらを見せてはならない。
解説
3 欺岡・困惑(第2号関係)
本条第1項第2号は、青少年の精神的、知的な未熟さや情緒的な不安定に乗じて性行為又はわいせつの行為をする場合であり、例えば、家出中の少女が金銭も宿泊する所もなく途方に暮れているのに付け込んで性行為又はわいせつの行為をする場合が含まれる。
(1) 「欺き」とは、青少年をだまして真実と合致しない観念を生ぜしめる場合をいうものである。
(2) 「困惑させ」とは、暴行脅迫に至らない程度の心理的威圧を加え、又は自由意思を拘束することによって精神的に自由な判断ができないようにすることをいうものである。
(3) 「困惑に乗じて」 とは、直接医惑させなくても、既に上記の困惑に陥っている状態に付け込むことをいうものである。
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長野県子どもを性被害から守るための条例の解説書
【威迫等による性行為等の禁止】
第17条第1項
何人も、子どもに対し、威迫し、欺き若しくは困惑させ、又はその困惑に乗じて、性行為又はわいせつな行為を行ってはならないb (罰貝ll : 2年以下の懲役又は100万円以下の罰金)
l 「何人も」とは、県民はもとより、旅行者、滞在者を含み、年齢、性別、国籍等を問わず長野県内にいる全ての者をいう。また、行為者が子どもの場合でも本条違反に該当するが、第20条(適用除外)の規定により罰則は適用しない。
2 「子ども」とは、18歳未満の者をいう。
なお、婚姻の有無は問わない。
3 「威迫」とは、暴行、脅迫に至らない程度の言語、動作、態度等により、心理的威圧を加え、相手方に不安の念を抱かせることをいう。
4 「欺き」とは、嘘を言って相手方を錯誤に陥らせ、又は真実を隠して錯誤に陥らせる行為をいう。
5 「困惑」とは、困り戸惑い、どうしてよいか分からなくなるような、精神的に自由な判断ができない状況をいう。
6 「困惑に乗じて」とは、困惑状態を作為的に作り出した場合だけではなく、既に子どもが何らかの理由により困惑状態に陥っており、それにつけ込んで(乗じて)性行為等を行う状況をいう。
7 「性行為」とは、「性交及び性交類似行為」と同義である(昭和40年7月12日新潟家裁長岡支部決定)。『性交類似行為』とは、実質的にみて、性交と同視し得る態様における性的な行為をいい、例えば、異性間の性交とその態様を同じくする状況下におけるあるいは性交を模して行われる手淫・口淫行為・同性愛行為などであり、児童買春・児童ポルノ禁止法における性交類似行為の解釈と同義である。
8 「わいせつな行為」とは、「いたずらに性欲を刺激興奮せしめたり、その露骨な表現によって健全な常識のある一般社会人に対し、性的差恥心及び嫌悪の情をおこさせる行為」をいう(昭和39年4月22日東京高裁判決)。具体的には、陰部に対する弄び・押し当て、乳房に対する弄び等がこれにあたる。