児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

 幼児ABにつき、Aの陰茎をBの口腔内に入れさせてそれぞれに口腔性交をさせるという強制口腔性交罪を観念的競合とした事例・ABに,被告人が同児童らの陰茎を触る姿態,同児童らに性器を露出させる姿態等をとらせ,これらを携帯電話機の撮影機能を用いて撮影するという姿態をとらせて製造罪を観念的競合とした事例(さいたま地裁H30.7.30)

 このパターンが強制性交等になるというのは、法文上よくわかりません。
 

(強制性交等)
第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

「刑法の一部を改正する法律」の概要
今井將人
研修(平29. 8,第830号)法の焦点
(2)要件
「性交」とは,改正前の刑法177条の「姦淫」と同義であり,膣内
に陰茎を入れる行為をいう。
「肛門性交」とは肛門内に陰茎を入れる行為をいい, 「口腔性交」とは口腔内に陰茎を入れる行為をいう(注4)。
「性交」, 「肛門性交」及び「口腔性交」を合わせて「性交等」ということとされており, これらの行為には, 自己又は第三者の陰茎を被害者の膣内等に入れる行為だけでなく, 自己又は第三者の膣内等に被害者の陰茎を入れる行為(入れさせる行為)を含む。具体的には,女性が行為主体となって,男性の陰茎を自己の膣内に入れさせる行為や,男性が別の男性の陰茎を自己の肛門内に入れさせる行為も,強制性交等罪による処罰対象となる。

(注4)例えば,陰茎を口腔内に全く入れずに単に舌先でなめる行為や,女性の外陰部をなめる行為などは, 「口腔性交」には当たらない。

【文献番号】25561082
強制性交等,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
さいたま地方裁判所
平成30年7月30日第3刑事部判決
       判   決
       理   由

(罪となるべき事実)
 被告人は,
第1 ■(当時6歳)及び■(当時4歳)がいずれも13歳未満のものであることを知りながら,同人らに性交等をさせようと考え,平成29年9月18日午後零時30分頃から同日午後3時頃までの間に,さいたま市α区■の駐車場及び同区■の■駐車場において,同人らに対し,その衣服を脱がせて全裸にした上,前記■に前記■の陰茎を手淫させ,被告人が前記■の陰茎を手淫し,前記■の陰茎を前記■の口腔内に入れさせてそれぞれに口腔性交をさせて,被告人が前記■の陰茎を手淫し,もって性交等をした,
第2 前記■(当時6歳)及び前記■(当時4歳)がいずれも18歳に満たない児童であることを知りながら,同日午後1時50分頃から同日午後2時23分頃までの間,前記各駐車場において,別表記載のとおり,被告人が同児童らの陰茎を触る姿態,同児童らに性器を露出させる姿態等をとらせ,これらを携帯電話機の撮影機能を用いて撮影し,その静止画データ37点及び動画データ3点を同携帯電話機本体の内蔵記録装置に記録して保存し,もって他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造した。
(証拠の標目)《略》
(累犯前科)
(法令の適用)
罰条
判示第1の所為のうち
 ■を口腔性交した点 刑法177条後段
 ■を口腔性交した点 刑法177条後段
判示第2の各所為 被害児童ごとに包括して児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項,2項,2条3項2号,3号
科刑上一罪の処理
判示第1の各強制性交等罪につき
 刑法54条1項前段,10条(犯情の重い前記■に対する強制性交等罪の刑で処断)
判示第2の各児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反の罪につき
 刑法54条1項前段,10条(犯情の重い前記■に対する児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反の刑で処断)
刑種の選択
判示第2の罪につき 所定刑中懲役刑を選択
判示第1及び第2の各罪の刑につき
併合罪の処理 刑法45条前段,47条本文,10条(重い判示第1の罪の刑に刑法14条2項の制限内で法定の加重)
未決勾留日数の算入 刑法21条
(量刑の理由)
(検察官佐野嘉信,私選弁護人中原潤一(主任),同関哉直人,同山田恵太各出席)
(求刑:懲役6年)
平成30年7月30日
さいたま地方裁判所第3刑事部
裁判長裁判官 松原里美 裁判官 結城剛行 裁判官 須川智裕