児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

岡田好史 不特定多数の者に提供する目的で、衣服をつけない実在する児童の姿態が撮影された画像データを素材としてコンピュータグラフィックスを作成する行為と児童ポルノ製造罪東京高裁平成29年1月24H第10刑事部判決平成28年(う)第872号児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件高刑集70巻1号1頁 刑事法ジャーナル56号

岡田好史 不特定多数の者に提供する目的で、衣服をつけない実在する児童の姿態が撮影された画像データを素材としてコンピュータグラフィックスを作成する行為と児童ポルノ製造罪東京高裁平成29年1月24日第10刑事部判決平成28年(う)第872号児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件高刑集70巻1号1頁 刑事法ジャーナル56号
 個人的法益寄り。
 破棄理由となった罪数問題については言及なし。

 裁判経緯・評釈をwestlawから。ずーっと上告中。

裁判年月日 平成29年 1月24日 
裁判所名 東京高裁 裁判区分 判決
事件名 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
裁判結果 破棄自判・一部無罪、一部有罪(罰金30万円(求刑 懲役2年及び罰金100万円)) 
上訴等 上告 
文献番号 2017WLJPCA01246001
出典
高刑 70巻1号10頁
裁判所ウェブサイト
判タ 1446号185頁 
判時 2363号110頁
エストロー・ジャパン
評釈
渡邊卓也・ジュリ臨増 1518号169頁(平29重判解) 
髙良幸哉・法学新報(中央大学) 125巻1・2号173頁
上田正基・立命館法学 372号157頁
岡田好史・刑事法ジャーナル 56号149頁

児童ポルノ法がわいせつ罪的側面を有していることは否定できない。しかし、性的描写の点ではわいせつ表現よりも児童ポルノの方がわいせつに達しない描写も含んでいる点でより広い規制となっていること、刑法175条と異なり児童ポルノ関連犯罪の方が相当広範囲にわたる行為を規制対象としていること、罰則においても刑法175条よりも児童ポルノ関連犯罪の方が重く設定されていることからすると、児童ポルノ法は既存の性刑法に比べて相当厳しい規制であることと認められる。
立法の沿革等から児童ポルノ関連犯罪も物に対する規制であるとの理解が広がり、個人的法益性が読み取りづらくなっていたといえるが、法文から社会的法益性が読み取れるとしても、法の目的や立法趣旨、児童保護措置規定の存在からすると、少なくとも現行法においては、児童の個人的法益の保護が第一次的であると解すべきであり、社会的法益は個人的法益に付随して副次的に認められるに過ぎないというべきであろう
・・・
4本判決の意義
児童ポルノにかかわる表現につき、厳格な規制による保護が憲法上正当化される根拠は、表現の自由についての規制にかかる以上、児童を性欲の対象としない風潮の維持や児童の健全な心身の成長を脅かす環境の排除といった社会的法益自体から正当化することは困難である。すなわち、児童ポルノの作成や流通から被る害悪から被害児童を保護するという実在児童の個人的法益があくまでも前提であって、児童ポルノの受け手への悪影響の除去、児童の健全な心身の成長を脅かす環境の排除自体から、児童ポルノの規制は根拠付けられるものではないと解するべきである。
本件では、実在性を判断するにあたり、モデルとされた児童とCGとしての児童との同一性は、機械的一致によらずともよいということを明らかにしている。CG等により極めてリアルに描写されたものに対しては、被害児童の描写と認識されることがありうることから、総合的に考慮するとしたことは評価できる。
本件では、精綴に作られたCGの立証の困難さも浮き彫りにしている。今後の判例の判断、集積が待たれる。
(おかだ・よしふみ