児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

医師の面談を拒否されて、医師との面談を強く求め、事務局長に「医師を出さないと痛い目に遭わせるぞ」と申し向けたり。包丁を示す行為は、脅迫罪ではなく強要未遂罪なので罰金刑が選択できない。~イチケイのカラス(モーニング2018/08/16号)

脅迫して義務無きことを行わせようとすると、強要未遂罪になって、脅迫罪は成立しないことになって、罰金刑を選択できません。脅迫して何か頼むという点は罪となるべき事実に記載しないことだ。
 脅迫罪として罰金刑とした原判決には法令適用の誤りがある。

f:id:okumuraosaka:20180806142718j:plain

刑法
第二二二条(脅迫)
1 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
第二二三条(強要)
 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3前二項の罪の未遂は、罰する。

 脅迫罪の犯罪事実にはそこまで書き込まないものだ。

脅迫被告事件、詐欺被告事件
【事件番号】 福岡地方裁判所判決
【判決日付】 平成29年12月27日
【掲載誌】  LLI/DB 判例秘書登載
第1 被告人は,元交際相手であるA(当時24歳)を脅迫しようと考え,平成28年8月28日午後7時26分ころから同月29日午後1時54分ころまでの間,福岡県内において,自己が使用する携帯電話機から前記Aが使用する携帯電話機に,「絶対地獄に落としてやろ」「ソープに沈めてもいい」「地獄みせてやる」旨記載したショートメッセージを送信し,いずれも,そのころ,同県内にいた同人に閲覧させてその内容を了知させ,もって同人の生命,身体等に危害を加える旨を告知して脅迫した。
・・・
      脅迫,傷害被告事件
【事件番号】 京都地方裁判所判決
【判決日付】 平成29年10月19日
【掲載誌】  LLI/DB 判例秘書登載
罪となるべき事実)
被告人は,
第1 平成27年4月20日午前6時15分頃から同日午前6時45分頃までの間に,E市内所在の社会福祉法人E府社会福祉事業団E府立F学園3階一般男子フロアープレイルームにおいて,V(当時9歳)に対し,手に持ったはさみを開閉させながら「そんなおちんちんなら要らないし,切ったらいい。」などと言い,同人の身体に危害を加える旨告知し,もって脅迫した。