児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

迷惑条例の盗撮行為と、窃視罪の関係~「警視庁では,条例制定の際,主管課と東京地検で協議し,説例の事案では,迷惑防止条例を適用しないと取り決めた。」という話

 罰則審査とか検察協議ということでしょうね。

地域警察官のための軽微犯罪の措置要領(2010年 立花書房)P190
Q2 甲は, A女が入っている公衆便所の上部の隙間から,カメラを差し出して同女の写真を撮影したが, A女が空間に差し出された手とカメラに驚き悲鳴をあげて騒ぎ出したため,甲は,駆けつけた一般人に取り押さえられた。
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カメラによって密かに写真撮影をすることは,軽犯罪法1条23号(窃視の罪)にいう「のぞき見る」に当たるので軽犯罪法違反となる。
事例の行為が,迷惑防止条例(卑わいな行為《粗暴な行為》の禁止)に違反するか否かについて検討してみると,用便中の女性がいる便所内をのぞく行為は,「卑わいな行為」となる。ただし,条例を制定するに当たり,既に他の法令に規定されている事項について,重ねて規定を設けることができないという原則があることから,この条例の制定に当たっても,他の法令の間隙を縫って規制がなされており,既に他の法令で規制されている事項については,条例の規制が及ばないこととされているので,明らかに軽犯罪法に違反する本間の行為には,条例を適用することはできない(※警視庁では,条例制定の際,主管課と東京地検で協議し,説例の事案では,迷惑防止条例を適用しないと取り決めた。他府県でも同じような取り決めがあり,その内容も県によって違い,迷惑防止条例を適用する県もあるので注意を要する。)。
なお,その行為が軽犯罪法違反の構成要件を満たさない場合で,人を著しく蓋恥させ,又は不安を覚えさせるような卑わいな行為であれば,迷惑防止条例違反となる。