児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「強制わいせつ罪の保護法益は一元的なものではなく、一方で、性行為や性的刺激の意味が理解できる被害者にとっては、「いつ、どこで、誰と、どのように性行為をしたり性欲を刺激したりされたりするか、あるいはそれを拒否するのか」についての性的自己決定権であり、他方で、それらの意味がまだ理解できない幼児等にとっては、国家による保護を必要とする児童の権利の一環である性的に健全に成長・ 発達する権利だと解するべき」松宮孝明「平成29年11月29日大法廷判決の意味するもの」季刊刑事弁護No.94

「強制わいせつ罪の保護法益は一元的なものではなく、一方で、性行為や性的刺激の意味が理解できる被害者にとっては、「いつ、どこで、誰と、どのように性行為をしたり性欲を刺激したりされたりするか、あるいはそれを拒否するのか」についての性的自己決定権であり、他方で、それらの意味がまだ理解できない幼児等にとっては、国家による保護を必要とする児童の権利の一環である性的に健全に成長・ 発達する権利だと解するべき」松宮孝明「平成29年11月29日大法廷判決の意味するもの」季刊刑事弁護No.94
 
 「本件の弁護人が主張するように、性的行為ないし「わいせつ行為」の意味を解せず、「性欲」自体をまだ持っていない幼児については、性行為等をする/しないことに関する自己決定権という意味での「性的自由」の侵害は観念し難い。」と主張したんですけど、保護法益からして流動的。

松宮孝明「平成29年11月29日大法廷判決の意味するもの」季刊刑事弁護No.94
5 本罪の保護法益
以上の検討から示唆されるように、本罪の保護法益を「被害者の性的自由」と考えたとしても、それを「性的しゅう恥心ないし性的清浄性」が害されないことと同視することはできない16。
他方、本件の弁護人が主張するように、性的行為ないし「わいせつ行為」の意味を解せず、「性欲」自体をまだ持っていない幼児については、性行為等をする/しないことに関する自己決定権という意味での「性的自由」の侵害は観念し難い。
ゆえに、本罪の保護法益は一元的なものではなく、一方で、性行為や性的刺激の意味が理解できる被害者にとっては、「いつ、どこで、誰と、どのように性行為をしたり性欲を刺激したりされたりするか、あるいはそれを拒否するのか」についての性的自己決定権17であり、他方で、それらの意味がまだ理解できない幼児等にとっては、国家による保護を必要とする児童の権利の一環である性的に健全に成長・ 発達する権利18だと解するべきであろう19。これらは、一般的な人格権の一部と解される。「性的自由」という法益は、実はこのような複合的なものだったといってもよい。
このように考えると、「わいせつ行為」を行為者の性的衝動や性行為をしたいという動機に基づく行為に限るのは狭すぎるといわなければならない。しかし、被害者が行為者や第三者の性的衝動・性的欲求の対象として扱われていない場合には、たとえ被害者自身は性的羞恥心を著しく害されたとしても、それは「わいせつ行為」によるものではない20。ゆえに、「(誰かの性的衝動・性的欲求の対象として扱うという)犯人の性的意図の有無によって、被害者の性的自由が侵害されたか否かが左右されるとは考えられない」という命題自体が、すでに疑われるべきである。