児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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鉄道営業法34条2項の「婦人ノ為ニ設ケタル待合室及車室等ニ男子妄ニ立入リタルトキ」

鉄道営業法
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=133AC0000000065&openerCode=1
第三十四条 制止ヲ肯セスシテ左ノ所為ヲ為シタル者ハ十円以下ノ科料ニ処ス
一 停車場其ノ他鉄道地内吸煙禁止ノ場所及吸煙禁止ノ車内ニ於テ吸煙シタルトキ
二 婦人ノ為ニ設ケタル待合室及車室等ニ男子妄ニ立入リタルトキ

安西温 特別刑法1 p305
④吸煙、男子禁制場所への立入り(三四条)
『制止ヲ肯セスシテ、(イ)停車場其ノ他鉄道地内吸煙禁止ノ場所及吸煙禁止ノ車内ニ於テ吸煙シタルトキ、(ロ)婦人ノ為ニ設ケタル待合室及車室等ニ男子妄ニ立入リタルトキ』は、科料に処せられる。「制止」は、権限のある鉄道係員によるものに限られ、私人によるものは含まれない。本条の行為は、このような者の「制止」をきかないで、的停車場その他の「鉄道地内」(後述⑤参照)において禁煙と指定された場所や、禁煙と指定された車両(いわゆる『禁煙車』。車両の一部につき禁煙の指定がされている場合は、車両のその部分)内でタバコを吸うこと、帥婦人のために設けられた待合室または車室等(現在このようなものが存在するか疑わしいが〉に、男子が「妄に」、すなわち、正当な理由がないのに不法に立ち入ることである。

注解特別刑法02 交通編p67
〔吸煙および婦人室立入りに関する罪〕
第三四条
制止ヲ肯セスシテ左ノ所為ヲ為シタル者ハ十円以下ノ科料ニ処ス
一停車場其ノ他鉄道地内吸煙禁止ノ場所及吸煙禁止ノ車内ニ於テ吸煙シタルトキ
二婦人ノ為ニ設ケタル待合室及車室等ニ男子妄ニ立入りタルトキ

本条の趣旨
本条は、火災を防止し、社会的礼儀を維持するための罰則規定である。本条の法定刑は、制定当時は科料とされていたが、明治四三年法律第五〇号により「十円以下ノ科料」とされたのである。現在、罰金等臨時措置法四条三号により、単に「科料」と読みかえられ、二条二項により科料は二〇円以上四千円未満ということになる。
本条は、鉄道略則七条に「吸煙並婦人部屋男子出入禁止ノ事 何人ニ限ラス『ステーション』構内吸煙ヲ禁セシ場所並ニ吸煙ヲ禁セシ車内ニテ吸煙スルづヲ許サス且婦人ノ為ニ設アル車及部屋等ニ男子妄リニ立入ルヲ許サス若右等ノ禁ヲ犯シ掛リノ者ノ戒メヲ用ヒサル者ハ車外並ニ鉄道構外ニ直一一退去セシムヘシ」とあり、鉄道犯罪罰例五条に「規則第七条ノ禁ヲ犯ス者ハ払タル賃金ヲ没シ十円以内ノ罰金ニ処ス」とあるのを引き継いだものである。
科料のみが定められているので、逮捕、勾留に制限があるほか 、執行猶予ができず、教唆犯、幇助犯は処罰できず 、刑の時効は一年であり、公訴時効も一年である等の点に留意する必要がある。
行為
「制止ヲ肯セス」とは制止に従わずにという意味であるが、これを要件としたのは、一号および二号の各行為は、旅客が当初気付かず、あるいは故意なくすることがありうるためであろう。制止されたのに、これに従わない場合であるから故意犯であり、制止に気付かない場合とか制止以前の行為は処罰しえない。
制止は、本条の趣旨からみて権限ある鉄道係員によるものでなければならず、私人が制止してもこれにあたらない
三 吸煙禁止の場所
「停車場其ノ他鉄道地内」の意義については、三七条注二参照。「吸煙禁止ノ場所」または「吸煙禁止ノ車内」とは、火薬類の積卸をする場所とか火薬類を積載した貨車内のように法令上定められている場所のほか、寝台使用中の寝台車内とか国電区間で旅客が混雑する車両等鉄道が合理的な基準により指定した場所も含む。なお、「きつ煙は御遠慮下さい」と表示した場所は、本条にいう吸煙禁止の場所とはいえない。また、き煙を御遠慮下さいというマイク放送も制止にはあたらない。

退去強制
本条の違反者は四二条一項二号により車外または鉄道地外に退去させることができ、その場合にはすでに支払った運賃は還付しない(同条2項)

注釈特別刑法第六巻 交通法・通信法編Ⅱp26
第三十四条
制止ヲ肯セスシテ左ノ所為ヲ為シタル者ハ十円以下ノ科料ニ処ス
一停車場其ノ他鉄道地内股煙禁止ノ場所及吸煙禁止ノ車内ニ於テ吸煙シタルトキ
二婦人ノ為ニ設ケタル待合室及車室等二男子妄ニ立入リタルトキ
一 本条は、火災を予防し、社会的礼儀を維持するための罰則規定である。
本条の法定刑は、法制定当時、単に「科料」とされていたが、明治四三年の改正で「十円以下ノ」が加えられて今日に至っている。
二 本条の行為は、制止をがえんじないで、
(1)鉄道地内で禁煙と指定された場所又は禁煙と指定された車両(車両の一部につき禁煙の指定がされている場合は当該一部)内で喫煙すること(2)婦人のために設けた待合室又は車室等に、男子がみだりに立ち入ること、である。
「制止」は、権限のある鉄道係員によるものと解され、私人によるものを含まない。本条の罪は、制止に従わず、あえてすることによって成立するから、故意犯である。過失による場合はもちろん、制止前の行為もまた処罰の対象とならない。
「停車場」は、「鉄道地内」の例示である。「鉄道地内」の意義については、三七条の注釈二参照。
三 本条の罪の法定刑は、「十円以下ノ科料」とされているが、罰金等臨時措置法四条三号により、単に「科料」と読みかえられる。科料の上限は四千円未満、下限は二十円である。