児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「いわゆる弁当切り」の時系列

 弁護士ドットコムで、弁当切りが微妙な相談が出ていました。弁護士の回答もぶれています。(最後の検事出身の弁護士の回答は法律を間違っています。)
 大まかな手続きを並べてみると、大至急で手続きされると、4月末には確定させることができます。上訴で最短で4ヶ月半稼げる。

  2017/12/12 第1審判決言渡=懲役4月実刑
   ↓
  2018/4/27 最高裁に到達,即日棄却決定(確定)

 時間稼ぎしやすいのは1審ですのでそこから慎重に審理してもらうことが必要でしょう。

下村忠利弁護士「刑事弁護人のための隠語俗語実務用語辞典」
弁当
執行猶予のこと(刑法25条)。「弁当持ち」が猶予期間を満了させることを「弁当切る」.満了できずに取り消されてしまうことを「弁当食う」という。「先生,弁当切れるように弁護して下さい」「あかん,無理。もうあきらめて弁当食えよ」。
・・・
城祐一郎検事「捜査・公判のための実務用語・略語・隠語辞典」
弁当持ち(べんとうもち)(隠語)
執行猶予期間中の者のこと。その由来の詳細は不明だが.執行猶予判決が弁当に相当するものとして.それを持っていることから言われているものと思われる。

 法定の手続を並べて、必要な日数を予想すると、■■■■■■■の部分が決定・判決を書く期間で未知数ですが、一審判決後最速で5ヶ月で確定する可能性があるようです

最悪最速の時系列
2015/5/13 前刑判決=懲役1年6ヶ月・執行猶予3年
2015/5/27 前刑判決確定
2017/11/28 1審1回目
2017/12/12 第1審判決言渡=懲役4月実刑
2017/12/26 被告人,控訴申立て(法366条1項)
2017/12/27 控訴状が第1審裁判所に到達
2017/12/27 第1審裁判所から高裁に記録到達
被告人に控訴趣意書差出最終日を指定した通知書が送達(規則236条2項)
国選弁護人選任(第1回公判期日指定つき)
2018/2/20 控訴趣意書差出最終日(規則236条3項)に控訴趣意書提出
2018/2/21 控訴趣意書を検察官に送達
2018/2/28 検察官の答弁書差出期間(規則243条)
2018/3/8  控訴審第1回公判期日
最速2018/3/8 即日判決言渡し
■■■■■■■■■■■■■■■■

2018/3/22 被告人上告申立て
2018/3/23 上告状が高裁に到達
2018/3/24 高裁から最高裁に記録到達
2018/3/25 上告趣意書の差出最終日を指定した通知書を被告人に送達(規則252条1項)
2018/4/22 上告趣意書差出最終日に上告趣意書提出
■■■■■■■■■■■■■■■■
最速2018/4/22 上告棄却判決(法408条)又は上告棄却決定(法414条,386条1項3号)
2018/4/23 判決又は決定の被告人への送達
2018/4/26 決定に対して異議申立て(法428条3項,386条2項,385条2項,422条)
2018/4/27 最高裁に到達,即日棄却決定(確定)
2018/5/27 前刑執行猶予期間経過

裁判所も警戒しています。

原田國男「量刑判断の実際〔第3版〕(立花書房・平成11年)」
p44
(3) 執行猶予中の被告人に対して実刑とした場合,その執行猶予期間の満了が迫っているときには,被告人が控訴・上告を行って実刑の確定を遅らせると,前刑の執行猶予の取消しを免れることができる。改正刑法草案73条2項は,このような不都合を回避するために,期間経過後の執行猶予の取消しを認めている。現行刑法には,このような規定がないから,前記のような事態も避け得ない。
そこで,第一審としてもなるべく判決宣告を早める等の措置を取ることは可能である。控訴審の係属期間として約3か月,上告審の係属期間として約2か月が見込まれることを考えておく必要がある。(40)
また,被告人側がその目的で不合理な引き延ばしを図ることもあるので,それに乗じられるようなことがないようにしなければならなに。(41)
もっとも,事実を全面的に否認しているからといって,引き延ぱしのためだけと速断すべきではなく,事案として通常のケースと同様に処理すべきは当然である。
ただ,前記の点も頭の隅に入れておくのが賢明であろう。なお,前刑終了後5年の経過が近いときには,執行猶予の言渡しが法律上可能となるように,被告人が引き延ばしを図ることもある。同様の注意が必要であろう。
(40)この期間は,一応の見込みにすぎなし、から,これよりも長くなることも,逆に短くなることもある。ただ,執行猶予期間の満了が切迫している事件については,上訴審としてある程度処理を早めているのが実情であろう。執行猶予取消しまで、のフロセスとしては,上告棄却決定→異議申立て→同棄却決定(判決確定)→執行猶予取消請求→同取消決定→即時抗告→同棄却決定告知までが考えられる。この告知があれば,特別抗告に対する決定前でも,取消しの効果が発生する(最大決昭和40年9月8日刑集19巻6号636頁等)。
(41) 最決昭和36年5月9日刑集15巻5号771頁は,執行猶予を付し得ることとなる10月余りも先に判決言渡しを延期した期日変更決定を違法であるとしている。

https://www.bengo4.com/c_1009/c_19/c_1092/b_629319/
黒岩 英一 弁護士
長崎 長崎市
弁護士ランキング 長崎県1位
ベストアンサー ありがとう
控訴審の判決日が3月中になるとしても、そこから2週間で上告すると4月になり、上告趣意書の提出期限が通常は1ヶ月以上設けられますので、5月に入ることは間違いありません。

そこから上告審の審理も多少はありますので、ぎりぎりであることはその通りですが、5月を超える可能性は高いと思われます。

https://www.bengo4.com/c_1009/c_19/c_1092/b_613282/
川面 武 弁護士
東京 豊島区
弁護士ランキング 東京都7位
ベストアンサー ありがとう
> ①在宅起訴で、道路交通法違反の軽微な事案でしかも在宅で1年も引っ張られてる事は、判決に影響してきますか?罰金刑で抑えてくださいとこちらは訴えてます。②控訴をした場合、弁当切りできますかね?

①については,在宅事件は検察にとって急いで処理する誘因がないため,伸びただけで,さして判決に影響する事由ではないと思います。

②については,国選の上告事件を扱えるのは東京三会の弁護士だけですので,比較的ノウハウを持っている立場として回答すれば,適切な対応をとれば弁当切りはほぼ固いことを以下に示します。

まず,12日に実刑判決が出たら,控訴期限最終日(26日)の午後に,当該裁判所の事件受付に控訴状を提出します。そうすると原審の記録チェックだけで年を越すことになり,高裁に記録を送るのはどんなに早くても1月4日(通常は1月9日以降)と考えられます。
その後弁護士の選任意向通知が発送されますが,それを無視します。
裁判所が職権で国選弁護人を選任するのが,おそらくどんなに早くても月末くらいになるでしょう。要急事件として処理されるとしても,国選弁護人の控訴趣意書提出最終日まで2.3週間はかかるでしょうら,第1回公判は超特急でも2月末くらいでしょうか。国選弁護人とよく話し合って,この時期は確定申告で忙しいとか色々理由を付けてもらえば判決は3月中旬になるでしょう。
以下上告も同じです。上告期限最終日の午後高裁の事件受付に持参して上告状を出します。
超特急でも弁護人選任は4月になるでしょう。これを無視するのも高裁段階と同じです。
しかも今年は曜日の並びがいい。最高裁判所も質問者の事件など土日に処理はしませんから,最終日は11日です。上告趣意書の提出期限自体がこの日前後かもしれません。
余裕で逃げ切りです。
一つ忘れていました。国選弁護人の中には,弁護士としては有能であっても,弁当切りのことをよく理解しない人もいます。各々最終日に提出するよう強く要望しておく必要があります。
なお最高裁判決には,異議申し立てができこれで10日前後伸ばせます。いずれにせよ質問者の事例は,質問者と弁護人が適切な対応をすれば,弁当切りは余裕で可能な事案です。なお控訴状や上告状の提出を1日でも遅れると逆にアウトですので要注意です。

2017年12月12日 00時18分

https://www.bengo4.com/c_1009/c_19/c_1092/b_613282/
松本 篤志 弁護士
大阪 大阪市 北区
弁護士が同意2
ありがとう
> 控訴をした場合、弁当切りできますかね?
> 30年の5月13日が執行猶予が切れる日です。
一審判決宣告から約半年となると、なかなか楽観的なことは言えないのが実際だと思います。
高裁も最高裁も、本件のような事案については、あまり日をあけずに書面の提出期限を定めたり期日指定したりして、前刑の執行猶予期間中に上告棄却まで済ませてしまおうとする傾向にあります。
ただ、あなた側としては、希望する罰金刑にはならなくとも、できるだけ手続が先延ばしになる方が有利なのは勿論ですから、各弁護人と相談しながら上手に対応する必要があります。 2017年12月11日 21時44分
・・・・
松本 篤志 弁護士
大阪 大阪市 北区
弁護士が同意1
ありがとう
補足ですが、前刑の執行猶予期間満了が近い事案などの場合、控訴裁判所が国選弁護人を選任するにあたり、控訴趣意書の提出期限のみならず初回期日まで指定しており、期日調整を理由とした引き延ばしができないように対策が採られることがあります。

もちろんそれでもなお手を変えて時間稼ぎをすることは可能ですが、上記の例でも分かるように裁判所も黙って引き延ばしを許すことはありませんので、具体的な部分については、手続が進む都度に弁護人等とよく相談することが大切です。 2017年12月12日 00時48分

この回答は、間違っています。確定しないと執行猶予が取り消されることはありません。
 ↓

https://www.bengo4.com/c_1009/c_19/c_1092/b_629378/
小野寺雅之弁護士
質問者がありがとう
控訴が棄却され,上告も棄却されると,第一審判決が確定することになります。
つまり,ご相談の事案では昨年12月12日の判決が確定するということです。
たとえ控訴審判決あるいは上告審決定が執行猶予期間である今年の5月27日の後になされたとして,第一審判決が執行猶予期間中になされたという事実に変わりはありません。
そのため,控訴・上告をしたことによって,いわゆる弁当切れとなることはないはずであり,服役は免れないと思います。
・・・
https://p40.bengo4.com/a_40130/g_40132/l_801539/
検事として刑事事件を扱った17年間の実務経験と,法科大学院教授として刑事法の研究と法曹養成に携わった10年間の学識経験・教育経験とが相まって,より質の高い刑事弁護を提供できる弁護士です <<

追記 令和6(2024)年3月10日
 手持ち記録から上告棄却決定から、異議申立棄却決定までの日数を拾いました。

上告棄却決定 異議申立棄却
7月19日 8月7日 19
3月11日 3月28日 17
9月28日 10月13日 15
7月18日 8月31日 44
12月26日 1月15日 20