児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

動物の愛護及び管理に関する法律違反被告事件について、世間の反応が「本件が広く報道され,被告人を批判する声が多数挙がるなどして,税理士を廃業するに至った。それにとどまらず,勤務先の税理士事務所や被告人の家族に嫌がらせをされ,インターネット上に被告人に対する危害予告とも解される書き込みがされたなどといった事実が認められ,被告人が様々な制裁を受けているとの弁護人の指摘もあながち否定できない。」と評価された事例(東京地裁h29.12.12)

 法令適用が公開されていません。

「その凄惨な映像を見て強い嫌悪感や憤りを覚えた者らから,被告人の厳罰を求める非常に多数の嘆願書が裁判所に提出されるなど,本件が社会に与えた影響も大きいものがある。」ということなので、署名を取り調べたのか、被告人質問で話題になったかなんでしょうね。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87409
事件番号  平成29特(わ)1985
事件名  動物の愛護及び管理に関する法律違反被告事件
裁判年月日  平成29年12月12日
裁判所名・部  東京地方裁判所  刑事第15部

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/409/087409_hanrei.pdf
平成29年12月12日宣告
平成29年特(わ)第1985号,第2048号
動物の愛護及び管理に関する法律違反被告事件
主 文
被告人を懲役1年10か月に処する。
この裁判確定の日から4年間その刑の執行を猶予する。
理 由
【犯罪事実】
被告人は,埼玉県深谷市〔以下省略〕の敷地内において,第1 別表1(省略)記載のとおり,平成28年4月2日から平成29年4月17日までの間,前後9回にわたり,猫を金属製捕獲器に閉じ込めた上,その全身に熱湯を数回かけるなど別表1の「犯行態様及び死因」欄記載のとおりの態様,死因により,猫合計9匹を死亡させ,もって愛護動物をそれぞれみだりに殺し,第2 別表2(省略)記載のとおり,平成28年3月24日から平成29年2月15日までの間,前後4回にわたり,猫を金属製捕獲器に閉じ込めた上,その全身に熱湯を1回かけるなど別表2の「犯行態様」欄記載のとおりの態様により,猫合計4匹にⅡ度以上の熱傷の傷害を負わせ,もって愛護動物をそれぞれみだりに傷つけた。
【量刑の理由】
本件は,愛護動物である猫9匹を殺害し,4匹に傷害を負わせた事案である。
捕獲器で捕まえた猫に,熱湯を繰り返し浴びせかけたり,ガストーチの炎であぶったり,パイプに取り付けたロープでその首をつるし,熱湯を満たした缶に漬けたりするといった態様で,猫を殺害し,あるいは重傷を負わせるなどしており,その犯行態様は,誠に残虐なものである。
1年余りの間に合計13匹の猫に虐待を加えており,本件が常習的犯行であることも認められる。
本件によって,多くの猫の命が奪われるなどしたという結果の重さにとどまらず,被告人は,犯行を撮影した動2画をインターネット上に投稿したため,その凄惨な映像を見て強い嫌悪感や憤りを覚えた者らから,被告人の厳罰を求める非常に多数の嘆願書が裁判所に提出されるなど,本件が社会に与えた影響も大きいものがある。
被告人は,かつて猫の糞尿被害に遭ったことや,税理士としての繁忙期に手をかまれて仕事に支障を来したことで猫に対して悪感情を抱き,インターネット上で見た残虐な映像に感化され,駆除のために本件に至った旨述べる。
しかし,駆除行為とはいえないような虐待を当初から行っている上,被告人自身も公判廷で認めるように,犯行を繰り返すうちに,虐待行為自体に楽しみを覚えるとともに,その様子を撮影した動画をインターネット上で公開することが目的化したというのであって,本件各犯行を正当化する余地はない。
本件各犯行は,動物愛護の精神に反する悪質なものであり,被告人に対しては,懲役刑を科すべきである。
その一方で,被告人は,これまでA職員や税理士として前科もなく生活してきたところ,自らの行為が招いた結果ではあるが,本件が広く報道され,被告人を批判する声が多数挙がるなどして,税理士を廃業するに至った。
それにとどまらず,勤務先の税理士事務所や被告人の家族に嫌がらせをされ,インターネット上に被告人に対する危害予告とも解される書き込みがされたなどといった事実が認められ,被告人が様々な制裁を受けているとの弁護人の指摘もあながち否定できない。
また,被告人は,公判廷で自己の行為が誤りであったことを認めるとともに,自分があやめた猫に対するしょく罪の気持ちを持ち続けると述べ,動物愛護団体にしょく罪のための寄附も行っている。
このような事情に加え,動物の愛護及び管理に関する法律が定める法定刑や同種事案の量刑傾向にも照らせば,主文の刑に処した上で,その執行を猶予するのが相当であるが,行為の残虐性や常習性といった本件各犯行の悪質さを踏まえれば,その執行猶予期間は,同種事案に比較して長期間とすべきであると思料した。
(求刑 懲役1年10か月)
東京地方裁判所刑事第15部裁判官 細 谷 泰 暢