児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

大規模小売店舗内においてわいせつの意図で女性を脅迫して、被告人の股の間に座らせて背後から数分間上半身を密着させた行為を強制わいせつ未遂罪としたもの(某地裁某支部H29)

 観念的競合で逮捕罪が認定されています。
 既遂で起訴されましたが未遂の認定です。
 大法廷h29.11.29でも「絶対的わいせつ行為」「相対的わいせつ行為」みたいな区別が出てきますが、実際問題としてやっかいな区別だと思います。

事実認定の補足説明
以上認定したところによれば被告人自身は本件行為により性的興奮を覚え、これを十分満たしていたということができる。
しかしながら営業時間内で店員や利用客が複数いる店舗内でおこなわれたという本件犯行の時間的場所的状況や 被告人が警察官に現行犯逮捕されるまでの行為の状況を含む客観的経緯、とりわけ被告人において本件行為以外に例えば被害者の陰部乳房等やそれに近接する部分に触れたり自己の陰部を被害者の身体に押し当てたりする等の客観的にわいせつと評価しうる行為に出たり、わいせついな言葉を発したりすることは一切無かったことに加え 被害者自身上記のような状況に遭い、被告人の行為をいやらしいと捉えていなかたことがうかがわれること に照らせば 本件行為は客観的にみてわいせつ行為と認めることはできず、その手段たる暴行にあたると過ぎないものといわなければならない。よって判示のとおり、強制わいせつ未遂罪が成立するに留まると認定した。