「5前二項に規定するもののほか」という法文になってるので、条文の並びから、姿態をとらせて製造罪が成立する場合には、ひそかに製造罪は成立しません。
大分簡裁、札幌地裁にひそかに製造罪とした有罪事例があります。
姫路支部では、ひそかに製造罪で起訴したものの裁判所に指摘されて姿態をとらせて製造罪に訴因罰条変更した事例があります。
大阪高裁の判例があります。注意喚起のためにあえて起訴検事を代弁してみましたが、「法文も読めんのか、バカ」という判決になっていて、代理で怒られました。ひそかに製造罪で有罪にした大分・札幌の裁判官に捧げます。
大阪高裁平成28年10月26日
論旨は,本件製造行為は,いずれも盗撮によるものであるから,法7条4項の製造罪ではなく,同条5項の製造罪が成立するのに,同条4項を適用した原判決には,法令適用の誤りがある,というものである。
しかしながら,法7条5項は「前2項に規定するもののほか」と規定されているから,同条4項の罪が成立する場合には同条5項の罪は成立しないことが,法文上明らかである。所論は,法7条5項に「前2項に規定するもののほか」と規定されたのは立法のミスであってこの文言に特段の意味はないとした上で,法7条5項の罪と他の児童ポルノ製造の罪との関係は前者が後者の特別法の関係だと主張する。しかし,法7条5項の罪が追加された法改正の趣旨を考慮しても所論のように「前2項に規定するもののほか」に意味がないと解する必要はなく,法7条5項の罪が特別法の関係にあるとの所論は,独自の見解であって,採用できない。いずれも法7条4項の罪が成立しているとした原判決の法令適用に誤りはない。