児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・強姦・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(強姦罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例違反)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童養護施設における児童淫行罪(性交1回)の行為否認事件で不合理弁解と評価され懲役2年6月(実刑)となった事例(京都地裁H29.1.20)

 2015.9.8 逮捕
 2015.11.19 第一回 無罪主張
 2016.11.17 論告弁論
 2017.1.20 判決 被告人控訴

 量刑相場的には、1回自白事件なら執行猶予もあり得ます。
 刑法が改正されると監護者性交等罪として強姦罪と同じ法定刑(5年)になりますが、現行法ではこの程度の量刑です。

 上記の者に対する児童福祉法違反被告事件について,当裁判所は,検察官早郄宏平及び私選弁護人牧野聡(主任),中田政義各出席のうえ審理し,次のとおり判決する。
主文
 被告人を懲役2年6月に処する。
 未決勾留日数中30日をその刑に算入する。
 訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
 (罪となるべき事実)
 被告人は,当時,児童養護施設の施設長を務めるものであるが,同施設に入所中であったAが18歳に満たない児童であることを知りながら,その立場を利用し,平成26年8月5日から同月6日までの間,滋賀県長浜市〈以下省略〉a広場bコテージにおいて,同児童をして被告人を相手に性交させ,もって児童に淫行をさせる行為をした。
 (証拠の標目) (注)括弧内の甲,乙の数字は証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号を示す。
 (事実認定の補足説明)
 1 弁護人は,被告人がA(以下「A」という。)を相手に性交させた事実はなく,無罪であると主張するので以下検討する。
 2 Aは公判廷において,児童養護施設のキャンプ行事で平成26年8月5日からa広場に行き,入浴を済ませた後,被告人が宿泊するコテージ1階「○○」でテレビを見せてもらっていたが,被告人が会議から戻ってきてAが座っていたベッドの隣に被告人が座り,キスをされ仰向けに倒されて陰部を触られ,服を脱がされて性交された旨述べるので,以下,信用性を検討する。
・・・・
 以上によれば,被告人の供述は信用できない。
 4 よって,信用できるA供述によれば,判示の事実を認定できる。
 弁護人の主張は採用できない。
 (法令の適用)
 被告人の判示所為は児童福祉法60条1項,34条1項6号に該当するところ,所定刑中懲役刑を選択し,所定刑期の範囲内で被告人を懲役2年6月に処し,刑法21条を適用して未決勾留日数中30日をその刑に算入することとし,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項本文により全部これを被告人に負担させることとする。
 (量刑の理由)
 被告人は被害児童が在籍していた児童養護施設の施設長であり,虐待を受けて入所した被害児童を保護し,健全な育成に努めるべき重責があるにもかかわらず,自己の性欲を満たすために本件犯行に及んだものである。被害児童は,当時17歳で母からの虐待により入所していたから,ほかに行き場がなく唯一の生活基盤である施設において,施設長である被告人を信頼していたところ,その関係を悪用されて性交に至ったものである。被害児童は本件後,嫌悪感や孤独感を感じながら誰にも言い出せず,自己肯定感が持てずにいたが,母との関係悪化により発覚したもので,児童の健全な育成は著しく阻害されており,将来への悪影響も強く懸念される。被害児童は,被告人の応訴態度により証人尋問を受けざるを得なくなり,この手続における精神的・肉体的苦痛も大きいといえる。他方,被告人は不合理な弁解に終始し,反省の態度は全く見受けられず,被告人の刑事責任は重いといえる。
 そうすると,被告人は罰金前科しかないことなどの事情を考慮しても,主文の刑はやむを得ない。
 よって,主文のとおり判決する。
 (求刑・懲役4年)
 京都地方裁判所第3刑事部
 (裁判官 御山真理子)