児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

わいせつ性の判断は,本件各造形物自体について,それを見る者が視覚等でどのように捉え理解するかということを前提に検討すべきであって,視覚等では理解することができない制作者の意図や作品の制作過程等は,わいせつ性判断の基準外に置かれるべきものである。(東京高裁H29.4.13)

 児童ポルノの定義の「性欲を興奮させ又は刺激するもの」の判断にも共通すると思います。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/702/086702_hanrei.pdf
しかし,この説示は,本件各造形物について,それ自体からは知り得ない制作者の意図ないし制作過程等(上記?)と,それを見る者が視覚等で認識し,あるいは連想する事項(上記?,?)やわいせつ性の判断(上記?,?)を区別せずに論じたもので,本件各造形物のわいせつ性判断の説明として不適切なものといわざるを得ない。
すなわち,本件各造形物に関するわいせつ性の判断は,本件各造形物自体について,それを見る者が視覚等でどのように捉え理解するかということを前提に検討すべきであって,視覚等では理解することができない制作者の意図や作品の制作過程等は,わいせつ性判断の基準外に置かれるべきものである。そのような観点から判断すると,本件各造形物は女性器を象って制作された作品とはいえ,その制作過程等を知らされずに,出来上がった本件各造形物を,社会の平均的一般人が見た場合,その着色や装飾,材質等と相まって,これらが女性器であると認識し,あるいは,これらから性的刺激を受けるほど明確に女性器であると認識することは,困難であるというべきである。
原判決は,本件各造形物の制作過程等をも考慮に入れた結果,また,女性器を象った部分と本件各造形物の全体の形状(着色や装飾,材質等を含む)とを分断して考察した結果,わいせつ性判断の客体の捉え方を誤り,ひいては,わいせつ性判断の過程を誤ったものといわざるを得ない。
しかしながら,既に述べたところからすれば,本件各造形物から性的刺激を受けることは考えにくく,芸術性・思想性等による性的刺激の緩和について検討するまでもなく,結局,本件各造形物はわいせつ物とは認められないから,原判決は結論において正当である。