児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

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男子児童に対する性交類似行為・名誉毀損の慰謝料として290万円が認容された事例(東京地裁H27.10.15)

東京地裁平成27年10月15日
損害賠償請求事件
同訴訟代理人弁護士 
郄橋哲哉 
主文
 1 被告は,原告に対し,190万円及びこれに対する平成27年6月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 2 原告のその余の請求を棄却する。
 3 訴訟費用は,これを3分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 請求
 被告は,原告に対し,300万円及びこれに対する平成27年6月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
 1 本件は,高校生であった原告が,被告と性交類似行為をした後,被告との連絡を拒絶したところ,これに憤慨した被告が,原告はゲイである旨記載して原告を中傷するビラを作成して,原告が通学する高校周辺にばらまいたり,上記ビラをブログに掲載したり,インターネット掲示板に原告を誹謗中傷する投稿をする等の名誉毀損行為をして原告の社会的評価を低下させ,原告の名誉権を侵害したとして,原告が,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償を請求する事案である(附帯請求は,各不法行為の後の日である訴状送達日の翌日からの民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払請求である。)。これに対して,被告は損害額に関する言い分を記載した答弁書を提出するものの,その余の認否は明らかにせず,口頭弁論期日に一度も出廷しなかった。
 2 請求原因事実
 別紙参照
 3 被告の認否等
 本件により被告が負担すべき損害賠償の額は150万円が相当である。既に被告は100万円を支払っており,また,被告が原告から窃取された15万円は損害から控除すべきであるから,残額は35万円にとどまる。
第3 裁判所の判断
 1 証拠(甲1ないし甲19)及び弁論の全趣旨によれば,請求原因事実1(当事者について),同2(本件の経緯について)及び同3(被告の行為が不法行為に該当すること)はいずれも認められる。
 2 請求原因事実4(原告の被った損害について)
 原告が通学する高校周辺において被告により原告を中傷する内容のビラが多数撒かれたところ,そのビラの記載内容や撒かれた枚数の多さ,被告によって上記ビラがブログに掲載されたこと,被告による原告を誹謗中傷するインターネット上の投稿の内容,これらによって原告が感じた強い恐怖感,投稿記事を閉鎖するための対処の苦労,一方で,原告と被告が性交類似行為に及んだ際,原告が被告の財布から15万円を窃取した事実(甲2。原告もこれを認めて争わない。)等の諸事情を総合的に検討すると,被告の不法行為によって原告の被った精神的苦痛を慰謝するのに相当な金額としては290万円を認める。
 ところで,被告による損害賠償内金として,被告は原告に対して既に100万円を支払っていることから,原告の損害としては,290万円から上記100万円を控除して190万円を認める。
 3 結論
 以上によれば,原告の請求は主文の限度で理由があることになる。よって,主文のとおり判決することとする。
 (裁判官 関根規夫)