児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

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強姦慰謝料として300万円を認容した事例(東京地裁H28.10.17)

 侵入強姦なので転居費用が認められています。

東京地裁平成28年10月17日
損害賠償請求事件
原告 
同訴訟代理人弁護士 
柴粼拓己 
主文
 1 被告は,原告に対し,369万9898円及びこれに対する平成27年7月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 2 原告のその余の請求を棄却する。
 3 訴訟費用は,その2分の1を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。
 4 この判決は,第1項に限り仮に執行することができる。
 
 

事実及び理由

第1 請求
 被告は,原告に対し,694万8912円及びこれに対する平成27年7月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
 本件は,原告が,被告による強姦の被害を受けたと主張して,被告に対し,不法行為に基づき損害賠償金694万8912円及びこれに対する不法行為の日である平成27年7月13日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
・・
 2 争点(2)(原告の損害額)について
  (1) 診療費 1万2698円
 本件不法行為の内容等に照らし,原告のうつ状態等の発症及び伊藤病院における通院治療並びに東京医科大学病院における性病検査及び再診は,本件不法行為との相当因果関係を認めるのが相当である。診療費は,伊藤医院につき1万1910円(甲6から8まで),東京医科大学病院につき788円(平成27年10月19日の再診分・甲9)の合計である上記金額と認められる。
  (2) 通院交通費 6200円
 医療機関の所在地,公共交通機関の状況等に照らし,原告が伊藤病院又は東京医科大学病院に通院するに当たってはタクシー利用の必要があったと認めるのが相当である。これを前提として,通院交通費は,上記金額(甲10から13まで)と認められる。
 被告は,タクシー料金につき,領収書(甲10から13まで)記載の金額が730円ないし1000円と異なっていることが不自然であるなどと主張する。しかし,上記金額にさほど大きな差異はないといえるところ,この程度の差異は交通状況によっても生じ得ると考えられ,特段不自然とはいえないから,被告の上記主張は採用することができない。
  (3) その他交通費 2万円
 本件不法行為の内容等に加え,証拠(乙2)及び弁論の全趣旨によれば,原告は本件不法行為により夜道の一人歩き等に恐怖を覚えるようになったこと,このため状況によっては帰宅等に当たってタクシー利用の必要があったことが認められる。もっとも,原告は,その他交通費として4万1280円(甲14)を主張するが,タクシー利用の状況は,原告の説明によっても必ずしも明らかではなく,タクシー利用の必要性も同様といえる。そこで,その他交通費は,上記金額の限度でこれを認めるのが相当である。
  (4) 転居費用 31万3600円
 本件不法行為の内容等に加え,証拠(乙2)及び弁論の全趣旨によれば,原告は本件不法行為の被害に遭遇したことから原告方に居住し続けることが困難となって,転居を余儀なくされたことが認められる。原告の転居は,本件不法行為との相当因果関係を認めるのが相当である。もっとも,原告は,転居費用として家賃13万0334円及び契約一時金27万5800円(消費税を含む。甲15。)並びに仲介手数料3万7800円(甲16)の合計44万3934円を主張するが,このうち家賃は,転居の有無にかかわらず,原告が負担すべきものであって,本件不法行為による損害とはいえない。そこで,転居費用は,契約一時金及び仲介手数料の合計である上記金額の限度でこれを認めるのが相当である。
  (5) 家具処分費用及び買替費用 4万7400円
 本件不法行為の内容等に加え,証拠(乙2)及び弁論の全趣旨によれば,原告は本件不法行為の被害に遭遇したことからベッド等の家具の処分及び買替えを余儀なくされたことが認められる。これらの家具の処分及び買替えは,本件不法行為との相当因果関係を認めるのが相当である。もっとも,平成27年10月2日注文に係るドラム式洗濯乾燥機9万7400円(甲19)は,本件不法行為との関連性が明らかではない。そこで,家具処分費用及び買替費用は,ベッド等の処分及び買替えに関する上記金額(甲17,18)の限度でこれを認めるのが相当である。
  (6) 慰謝料 300万円
 被告が深夜当時の原告の自宅に侵入し,2回にわたり原告を強姦したという本件不法行為の内容,被告は本件不法行為を否認し続け,刑事訴訟手続においては原告に法廷における証言を余儀なくさせたことその他本件全証拠及び弁論の全趣旨によって認められる本件不法行為に関する一切の事情を総合考慮して,慰謝料は上記金額を認めるのが相当である。
  (7) 弁護士費用 30万円
 本件訴訟の類型,難易度,請求額,認容額その他本件全証拠及び弁論の全趣旨によって認められる本件訴訟に関する一切の事情を考慮して,弁護士費用は上記金額と認めるのが相当である。
  (8) 合計 369万9898円
 3 結語
 以上によれば,原告の請求は主文第1項の限度で理由があるが,その余は理由がない。
 (裁判官 鈴木尚久)