児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

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嘉門優児童福祉法34条1項6号にいう「淫行」と「させる行為」の意義 刑事法ジャーナル51号

 判例の事例は師弟関係ですが、児童淫行罪というのは実際には9割はデリヘルです。
 判例は「総合考慮」になっているので、結局、判断基準はよくわかりません。契約関係・親族関係・師弟関係という上下関係がベースにあると、一方は成人・他方は児童なので、原則として影響関係は認定される・児童側の思慮不足を補うものとして保護者の承諾などがあれば否定の方向と考えた方がよさそうです。
 
 なお、「被告人は被害児童の中学校の教諭・運動部顧問(東京高判平成24年10月17日東高判特63巻1=12号209頁。以下「東京高裁平成24年判決」と称する)、」が弁護人は奥村。理由不備で原判決が破棄されています。卒業後の関係で実刑です。「被告人は中学教諭で、被害者は同校の生徒(最決平成21年10月21日刑集63巻8号1070頁。以下「最高裁平成21年決定」と称する)」も弁護人は1審の小樽支部から奥村。事物管轄を争って執行猶予です。

嘉門優児童福祉法34条1項6号にいう「淫行」と「させる行為」の意義 刑事法ジャーナル51号
このような「事実上の影響力」の判断は、非常に暖昧であったため、本決定において最高裁がはじめて具体的な判断基準を明示するに至った(9)。
つまり、本決定によれば、「?行為者と児童の関係,?助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度,?淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯,?児童の年齢?その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考盧して判断するのが相当」(丸数字は筆者)だとされた。
以下、本決定が示した基準に従い、被告人が直接、淫行の相手方となった事例に限定して、より具体的に裁判例をみていくと、

?行為者と児童の関係については、裁判例では、ほとんどが「教師とその生徒」という関係であり(10)、そのほかに被害者が被告人の養女(11)や娘(12)といった場合がある(13)。
次に、
?助長.促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度について、特に教師の場合は、「教師として児童の保護と健全な育成に責任を負う立場(最高裁平成21年決定)」であり、その立場にありながら、その地位を利用して性行為を行った場合に事実上の影響力を行使したと認められている(14)。
なお、仮に被害者が被告人に対する信頼や尊敬の念等から、被告人に自身の思いを伝えたことが交際等の契機となり、その後互いに恋愛感情にとらわれる経過があったとしても、両者の根本的な関係に変化はなく、教師である被告人の強い影響力を肯定している(東京高裁平成21年判決)15)。
?淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯について、前述のとおり、判例上、「淫行」は性交及び性交類似行為とされており、裁判例において性交類似行為が認定されたものが多くみられる(16)。
とくに、教師の場合、教え子である被害児童を校舎内や被告人の児童車内、ホテル等において多数回に渡り、性交.性交類似行為を重ねている場合が多い(1noなお、被害児童が比較的年長である場合、被害児童の意思に基づいて交際するということもありうるが、それに対して、本決定は「児童を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような者を相手とする性交又はこれに準ずる性交類似行為」という定義から、被告人には「結婚を意識した女性」が別に存在することや、被害児童に対し他言を禁止していたことを事情として挙げた上で、淫行として認定している。
?児童の年齢について裁判例においては14歳から17歳の事例が多くみられる(18)。
最後に、
?その他当該児童の置かれていた具体的状況が判示されることはあまりないが、東京高裁平成21年判決では、被害者が心療内科において社会不安障害の診断を受け、他の生徒とともに教室で授業を受けるのが困難になったことから、被告人や他の教員が別室で個別に勉強を教えていたことが示されている。