児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

子供に万引きさせるという児童福祉法違反(有害支配)

 窃盗は間接正犯。

児童福祉法
第三四条[禁止行為]
1 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
九 児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもつて、これを自己の支配下に置く行為
第六〇条
2第三十四条第一項第一号から第五号まで又は第七号から第九号までの規定に違反した者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

新版 注解 福祉犯罪
児童の心身に有害な影響を与える行為
どのような行為が「児童の心身に有害な影響を与える行為」であるかは、法上必ずしも明確でない。その判断は、一般的には心身ともに未熟であるという児童の特質と保護法規の精神に正しく立脚し、その時代における健全な社会通念に従つてなすべきものといえよう。
この問題に関する裁判例をみると、次のような行為が「児童の心身に有害な影響を与える行為」にあたるとされている。
ミストルコとして、個室内において水着姿で客の身体を洗いマyサージをする行為〔判例三五〕。
満一五歳以上満一八歳未満の児童を芸妓として遊客の間にあって遊芸をさせ、また酒席を取り持たせ、その問淫狼な言動に接することのあるのはもちろん、時として売淫行為に及ぶことすらめずらしくない事情を認められる場合〔判例三六〕。
児童をマッサージ師見習として雇い入れ、深夜までみだらな行為をするおそれのある宿泊客にマッサージをする等の行為をさせる場合〔判例三七〕。
13歳の少女をストリップショウに出演させる行為〔判例三八〕。
パチンコの景品買い〔判例三九〕。
満一五歳以上の児童に酒席に侍する行為をさせる場合〔判例四〇〕。
なお、本号違反罪の成立には、支配者に有害であることの認識あることを必要とせず、客観的にみてその行為が児童の心身に有害な影響を与えると目されればよい。
。。。
3 自己の支配下に置く
「自己の支配下に置く」とは、児童の意思を心理的にかつ外形的に抑制して支配者の意思に従わせることができる立場にたたせた状態をさすものであり、必ずしも現実に児童の意思を抑制することがなくても、客観的に児童の意思を抑制して支配者の意思に従わせ得られる状態を顕現した場合も包含する。また、被支配者が支配者から支配されているという認識を有することの有無は、支配行為の有無に何等の消長を及ぼすものでないと解されている。

子供に万引きさせた疑い 母親ら追送検=埼玉
2017.03.24 読売新聞
 子供におもちゃを万引きさせたとして、川越署は23日、長野県上田市、無職の母親(33)(窃盗罪で公判中)と同居のとび職の女(25)(同)を、児童福祉法違反(有害支配)の疑いで、さいたま地検川越支部に追送検したと発表した。
 発表によると、2人は昨年11月15日、川越市内のリサイクルショップで、当時10歳の男児と6歳の女児に指示し、おもちゃのロボット2点(約7万円相当)を万引きさせた疑い。同月29日にも、茨城県結城市のリサイクルショップで、おもちゃの変身ベルト2点(約6万円相当)を万引きさせた疑い。
 店の防犯カメラに4人の姿が映っていたことから、2人は1月17日に窃盗容疑で逮捕された。盗んだおもちゃは転売して現金に換えたという。
 調べに対し、母親は「生活が苦しかった。子供の方が万引きがばれにくいと思った」と供述している。