児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

更衣室の盗撮、なぜ条例違反に問えない?

 盗撮行為で検討されるのは
  建造物侵入(最高懲役3年)
  迷惑条例(福岡では最高6月)
  軽犯罪法(拘留科料
ですので、順に検討して行けばいいわけです。
 店長は店更衣室の管理者なので、建造物侵入にはならない
 迷惑条例は、「公衆便所、公衆浴場、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」という要件なので、従業員用は適用外。
 結局窃視罪(軽犯罪法違反)ということになります。

福岡県迷惑行為防止条例(昭和三十九年福岡県条例第六十八号)
http://www.police.pref.fukuoka.jp/data/open/cnt/3/27363/1/meibou.pdf
(卑わいな行為の禁止)
第六条 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で次に掲げる行為をしてはならない。
一 他人の身体に直接触れ、又は衣服の上から触れること。
二 前号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
2 何人も、公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において、正当な理由がないのに、前項に規定する方法で次に掲げる行為をしてはならない。
一 通常衣服で隠されている他人の身体又は他人が着用している下着をのぞき見し、又は写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下この条において「写真機等」という。)を用いて撮影すること。
二 前号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること。
3 何人も、正当な理由がないのに、第一項に規定する方法で次に掲げる行為をしてはならない。
一 公衆便所、公衆浴場、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人の姿態をのぞき見し、又は写真機等を用いて撮影すること。
二 前号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること。

http://digital.asahi.com/articles/ASK3J3SXLK3JTIPE00L.html
■更衣室の盗撮、なぜ条例違反に問えない?
 福岡市にある回転すしチェーン店更衣室で発覚した盗撮行為。福岡県警は盗撮を禁じた県迷惑行為防止条例より罰則の軽い軽犯罪法違反容疑で捜査している。更衣室での盗撮をなぜ条例違反に問えないのか。
 背景には条例が定める要件の厳しさがある。条例は「公衆が利用する更衣室」での盗撮を禁じるが、県警は更衣室を使う従業員が限られているため、規制の対象にならないとみた。

 県警によると、「公衆」は「不特定または多数」を示す。2015年の条例改正で、公共空間や乗り物に加え、公衆トイレや更衣室での盗撮も禁止された。ただ、特定の人だけが使う私的空間には適用されない。

 ただ県警は2月、福岡市東区の飲食店更衣室に盗撮目的でスマートフォンを置いたとして、店のアルバイトの少年を条例違反容疑で逮捕した。東署は「広くて複数人が入れる更衣室だったため」とその理由を説明する。一方、回転すし店の更衣室は1人ずつが交代で入る形態で、県警は「公衆」が使うとはみなせないと考えた。

 盗撮に対する罰則は、条例が6カ月以下の懲役や50万円以下の罰金。それに対し、軽犯罪法は30日未満の拘留か1万円未満の科料にとどまる。

 同様の条例は全都道府県にあるが、盗撮行為についての規定にはばらつきがある。京都府は14年4月に全国で初めて学校や職場などでの盗撮を禁止し、兵庫県なども続いた。ただ、公共空間のみを対象とする複数の県では学校の教室で起きた盗撮行為を条例違反で立件できない例があった。

 福岡県警幹部は「場所に関係なく、盗撮行為そのものを禁じる法令が望ましい」と訴える。(井上怜)