児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・強姦・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(強姦罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例違反)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

1回目の逮捕では,児童ポルノ製造罪, リベンジポルノ防止法違反・児童ポルノ公然陳列罪を立件し,2回目の逮捕では,ストーカー規制法違反(禁止命令違反) ・名誉製損罪を立件することとした事例 捜査研究795号

 最初から再逮捕決まってるんですね。

捜査研究795号
捜査方針の策定等に工夫を要したストーカー事件
東京地方検察庁検事 福永宏
(2) 本件では, Aが全面的に否認する可能性があり, 20日間の勾留期間では,その弁解を排斥するに足りる証拠を収集できず,捜査が不十分のまま終わってしまう可能性があったことから,再逮捕を念頭に入れ,捜査方針を策定することとした。
Aは,本件投稿のみならず,本件投稿に連続して, Vの名誉を段損する
内容の投稿もしており,本件投稿についてリベンジポルノ防止法違反,児童ポルノ公然陳列罪が成立し,連続する投稿についてストーカー規制法違反(禁止命令違反),名誉段損罪が成立し,それ以外にも児童ポルノ製造罪が成立すると考えられる状況であった。
各犯罪の成立要件や罪数関係について検討した結果の概要は,以下のとおりである。
アまず,前年3月の児童ポルノ製造罪については,犯行当時, AとVが交際していたこと, Vの年齢が18歳に近かったこと,写真撮影をVが承諾していなかったとも言い難い状況であったことなどの事情が認められた。
この点,児童ポルノ製造罪については, 「児童が,真摯な交際をする相手による写真撮影を承諾する場合のように,製造者と描写される児童との関係,描写される児童の承諾の有無及びその経緯(社会的相当性)等から,刑法上の違法性が認められない等の理由により,犯罪が成立しない場合もあると考えられます。」との指摘がなされているところであったが(森山眞弓野田聖子編著『よくわかる改正児童買春・児童ポルノ禁止法』199頁),児童ポルノ製造罪は,原則として児童の同意の有無にかかわらず,犯罪が成立するものであり,本件では違法性を阻却すべき事情までは認められないものと考え,立件することとした。

イ次に, リベンジポルノ防止法違反(同法3条2項)は,第三者が撮影対象者(本件ではV)を特定できる方法で,私事性的画像記録を公然と陳列することが要件とされているところ,本件リベンジポルノ画像には,Vの顔面が撮影されていた上, 「○○ことV」などと撮影対象者を明確に特定できる文言が付記されており, この要件を満たすものであった。
さらに, リベンジポルノ画像が児童ポルノでもある場合には,保護法益が異なるので, リベンジポルノ防止法違反と児童ポルノ公然陳列罪の両罪が成立し,観念的競合の関係に立つとされており(平沢勝栄,三原じゆん子,山下貴司編著『よくわかるリベンジポルノ防止法』92頁参照),本件の事実関係でも,そのように解されるところであった。
ウまた, ストーカー規制法で規制対象としている名誉を害する事項を告げることが(同法2条1項7号),同時に名誉段損罪にも該当する場合には,両罪が成立し,観念的競合の関係に立つものと一般に解されており,本件の事実関係でも,そのように解されるところであった。
工以上の検討結果を踏まえ, 1回目の逮捕では,児童ポルノ製造罪, リベンジポルノ防止法違反・児童ポルノ公然陳列罪を立件し,2回目の逮捕では,ストーカー規制法違反(禁止命令違反) ・名誉製損罪を立件することとした。