児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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「集団強姦罪の廃止に関しましては、法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会におきまして、廃止に反対する御意見は一部ありました。ただ、法定刑を引き上げるとなりますと、現行法で集団強姦致傷の法定刑の下限が懲役6年ですので、仮にこれを引き上げるとなると懲役7年又はそれ以上となります。そうしますと、例えば前科がなく、関与の程度も相当程度低く、さらには被害者が宥恕しているような者についても、法律上酌量軽減をしても執行猶予を付すことができず実刑になるということになってしまいます。これについては、平成16年に集団強姦罪等が設

 既遂でも執行猶予の余地があると弁論要旨に使える。


 今井検事が退席するまでが法務省の説明になります

http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/boryoku/gijiroku/pdf/bo85-g.pdf
第85回男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会
議事録
(開催要領)
1日時平成28年12月13日(火)10:00〜11:55
2場所中央合同庁舎第8号館8階特別中会議室
○辻村会長ありがとうございます。
皆様、資料はよろしいでしょうか。
それでは、本日の議事に入らせていただきます。
なお、本日は都合によりまして、少し早めに閉会させていただきたいと考えておりますので御協力をよろしくお願い申し上げます。
それでは、初めに議事次第(1)「性犯罪に対処するための刑法の一部改正に関する法制審議会の答申について」、法務省より説明をしていただき、その後に質疑をさせていただきたいと思います。
それでは、法務省から説明をよろしくお願いいたします。
○今井刑事局付
法務省刑事局から、性犯罪に対処するための刑法の一部改正に関する法制審議会の答申に関しまして御説明させていただきます。
お手元の資料1に従って御説明します。
性犯罪の罰則に関しましては、明治40年の現行刑法制定以来、構成要件などについては制定当時のものが基本的に維持されてきましたが、平成16年の刑法改正や平成22年の刑法及び刑事3訴訟法の改正の際には、衆参両議院の法務委員会による附帯決議におきまして、性犯罪の罰則の在り方について更に検討することが求められ、平成22年に閣議決定されました第3次男女共同参画基本計画においても、「強姦罪の見直しなど性犯罪に関する罰則の在り方を検討する」こととされるなど、さまざまな指摘がなされてきたところでございます。
そして、平成27年10月の第79回の専門調査会においても御説明いたしましたが、法務省におきましては、これらの御指摘等を踏まえまして、平成26年10月から性犯罪の罰則に関する検討会を開催するなどして検討した結果、性犯罪の実情等に鑑み、事案の実態に即した対処をするため、法整備を行う必要があると考え、平成27年10月、性犯罪に対処するための刑法の一部改正について、法制審議会に諮問いたしました。
その後、平成27年11月から本年6月までの間、法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会において、合計7回の調査審議が行われ、その中で、性犯罪の罰則に関する検討会において実施されたヒアリングを補充する観点から、性犯罪、被害者等のヒアリングがさらに実施され、そこで示された御意見をも踏まえて調査審議が行われた上で、本年9月12日、法制審議会第177回総会において、全会一致で要綱(骨子)が採択され、お手元の資料の要綱(骨子)のとおり法整備を行うのが相当である旨、法務大臣に答申されたものでございます。
この答申の要点について申し上げます。
先ほどの資料裏面の「性犯罪に対処するための刑法の一部改正に関する要綱(骨子)の概要」と記載されている横書きの資料を御覧ください。
まず、?強姦罪等の構成要件の見直し及び?法定刑の引き上げについて御説明させていただきます。
現行の刑法第177条等は「女子」に対する「姦淫」のみを強姦罪等の対象として、強制わいせつ罪よりも重く処罰するものとしておりますが、その構成要件を見直し、行為者及び被害者の性別を問わず、性交、肛門性交、口腔性交を重い処罰の対象とすることとした上で、その法定刑の下限を懲役3年から懲役5年に引き上げるとともに、被害者を死傷させた場合の罪の法定刑の下限も、懲役5年から懲役6年に引き上げるなどしようとするものです。
その理由としては、肛門性交や口腔性交は、陰茎の体内への挿入という濃厚な性的接触を強いられるもので、現行法の姦淫と同様の悪質性、重大性を有すると考えられたこと、近時における性犯罪の量刑の実情等に照らすと、法定刑を引き上げるのが相当であると考えられたことなどが挙げられております。
次に、?監護者であることによる影響力があることに乗じたわいせつな行為又は、性交等に関する罰則の新設についてです。
18歳未満の者は一般に精神的に未熟である上、生活全般にわたって自己を監督し、保護している監護者、例えば実親や養父母等が典型でありますが、このような監護者に精神的にも経済的にも依存しており、そのような依存・被依存ないし保護・被保護の関係にある監護者が、その影響力があることに乗じて18歳未満の者と性交等をすることは、強姦罪等と同じく、これらの者の性的自由ないし性的自己決定権を侵害するものであるといえ、強姦罪等と同等の悪質性、当罰性が認められると考えられることから、そのような行為についても新たな犯罪類型を設け、4強姦罪と同様に処罰する規定を設けようとするものです。
法制審議会においては、行為者との日常生活の中で、性的関係が常態化している事案などは、行為者による明確な暴行や脅迫がなく、かつ、個別の性交等について、抗拒不能にも該当しない場合が多く、刑法の性犯罪として処罰されていないが、強姦罪準強姦罪等と同様に性的自由を侵害していることから、このような行為を性犯罪として刑法に規定し、重く処罰する必要があるといった意見があり、このような処罰規定を設けることに賛成する意見が多数を占めました。
続きまして、?強制わいせつ罪等の非親告罪化についてですが、現行法で親告罪とされている強制わいせつ罪や強姦罪等について、非親告罪化することとするものです。
現行法においては、強制わいせつ罪等は、被害者のプライバシー等を保護する観点から親告罪とされていますが、現状においては、告訴をするか否かの選択が迫られているように感じる場合があるなど、親告罪であることにより、かえって被害者に精神的な負担を生じさせていることが少なくない状況に至っていると認められたことや、現在では、刑事訴訟法の改正等により、被害者のプライバシー保護が図られるなどしており、親告罪であることと、プライバシー保護との関連性は既に薄れていることなどから、これらの罪を非親告罪化しようとするものです。
なお、法制審議会においては、非親告罪化した場合の刑事手続における被害者の心情への配慮及び二次被害の防止等の必要性等について御意見があったところ、検察官である委員から、性犯罪においては、公判で事件の内容等が公になることを望まない被害者もおられることなどから、被害者のプライバシー等の保護が特に重要であり、現行法で非親告罪とされている強姦致傷等の罪についても、起訴するか否かの判断に当たって、被害者の意思を丁寧に確認しており、強姦罪等を非親告罪化した場合にも、被害者の意思を最大限尊重することになると考えているとの発言があり、実務での運用によって適切に対応できるとの意見が多数でした。
また、?の※印の部分に記載しております「改正法施行前の行為についても、原則、非親告罪として取り扱う」との点は、諮問に係る要綱(骨子)には示されていなかったものですが、被害者の負担を軽減するという非親告罪化の今般の趣旨に鑑みると、改正法施行前の行為も、非親告罪として取り扱うのが適当であるとして、改正法施行前の行為についても原則として新法を適用し、非親告罪として取り扱うこととすべきとして、盛り込まれたものでございます。
もっとも、改正法施行前に既に法律上告訴がされる可能性がなくなっている場合については、一旦、起訴される可能性がなくなった被疑者の地位の安定を考慮する必要があることから、そのようなものについては新法を適用しないこととされております。
最後に、?強姦と強盗とを同一機会に行った場合の罰則の整備についてです。
現行法においては、強盗の犯人が強姦をしたときについては、強盗強姦罪として、無期または7年以上の懲役という重い法定刑が規定されていますが、強姦犯人が強盗をした場合にはこのような規定がなく、一般的な併合罪の規定にしたがって、その処断刑は5年以上30年以下の懲役刑となり、強姦行為と強盗行為の先後関係等によって、犯人に科すことができる刑に大きな差異があります。
5しかし、強姦行為と強盗行為の先後関係等によって、被害の重大さに違いがないにもかかわらず、科すことのできる刑に大きな差異があることを合理的に説明することは困難であると考えられることから、同一の機会において、強姦行為と強盗行為等を行った場合につき、現行の強盗強姦罪と同様の法定刑で処罰できるようにするなどの整備を行おうとするものです。
性犯罪に対処するための刑法の一部改正に関する答申が行われた要綱の概要の説明は以上でございます。
法務省としましては、この法制審議会の答申を踏まえ、適切な時期に法案を提出できるよう、現在準備を進めているところでございます。
○辻村会長御説明どうもありがとうございました。
それでは、大体10時半ぐらいまでをめどに委員のほうから質問と御意見をお出しいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
阿部委員、どうぞ。
○阿部委員重罪にすることについては賛成をしております。
しかし、今回はこの刑法の一部改正ということですけれども、特に?の監護者である影響力があることに乗じたということで、親が子供に対して強姦を行う、あるいは強制わいせつを行うということにつきましては、私どもの施設におきましても、DVだけではなくて、いろいろな事情で一時保護された単身女性のほうが、中期シェルターを利用して一定期間、落ちついた生活をする中で、打ち明け話ではないのですが、子供のころに父親から強姦された、あるいは性暴力を受けた。
それから、母親が離婚して、父親のほうに引き取られて、実の父親からも性暴力を受け続けた。
非常に精神的に不安定で、生育歴の過程の中で精神科を受診したり、入退院を繰り返したりするというような話がこのところ、たびたび聞かれております。
そういった意味では重罰化することも非常に重要なのですけれども、監護者によるこういった性暴力を防止する。
性暴力は犯罪なのだということを周知していく、あるいはキャンペーンを張っていくということも、あわせてとても重要なことだと思うのですが、イメージとしてキャンペーンの仕方も含めて大変難しいのかなとは思っているのですが、何か有効なキャンペーン方法あるいは啓発の方法がありましたら、ぜひ教えていただきたいと思います。
○辻村会長ありがとうございました。
ただいまのは、御意見というか、法務省に対する御質問ですか。
○阿部委員それも兼ねています。
○辻村会長何か刑事局のほうでお答えはございますでしょうか。
○今井局付
ホームページ等を通じて広報等をすることになろうかと思っております。
○辻村会長ありがとうございました。
ホームページ等による広報ということですが、自ら法務省のホームページから検索する人は多くはありませんので、どのように広報をするかは今後の課題だと思います。
今の論点について、ほかの委員から何か関連質問、御意見等はございますか。
小木曾委員、どうぞ。
○小木曾委員補足的なことですけれども、広報が必要だということでは、夫婦間の犯罪です。
6それを明記して夫婦間でも犯罪が成立することを社会に広く示すべきだという議論があったのですけれども、現行法でも当然それは犯罪になるということで、ここには盛り込まれなかったわけですが、これなどはまさに社会全体が、夫婦間でも望まない関係を強要されるのは犯罪であるということを認識しないといけないという典型例だろうと思います。
○辻村会長ありがとうございました。
ただいま御意見がございましたように、夫婦間レイプについては、今回改正項目に入らなかったわけですが、当然それも含まれている(現行法でも強姦罪として処罰される)ということですので、マスコミ、その他、さまざまな機会で広報をする必要があるかと思います。
ほかに、また別の論点で結構ですが、御質問、御意見はございますか。
山田委員、お願いします○山田委員集団強姦罪が廃止されることは強姦罪の法定刑を引き上げることによるものだと思うのですけれども、集団強姦罪を廃止せず、その法定刑を引き上げるという意見等は出なかったのでしょうか。
○辻村会長お願いします。
○今井局付
集団強姦罪の廃止に関しましては、法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会におきまして、廃止に反対する御意見は一部ありました。ただ、法定刑を引き上げるとなりますと、現行法で集団強姦致傷の法定刑の下限が懲役6年ですので、仮にこれを引き上げるとなると懲役7年又はそれ以上となります。
そうしますと、例えば前科がなく、関与の程度も相当程度低く、さらには被害者が宥恕しているような者についても、法律上酌量軽減をしても執行猶予を付すことができず実刑になるということになってしまいます。
これについては、平成16年に集団強姦罪等が設けられた際に、国会で審議された場においても、このような、法定刑を定めることについては、やはり酷な場合があり、行為者の社会復帰の面からも相当でないとされたものでございます。
そして、その趣旨は現在も妥当していると考えられますので、集団強姦罪の法定刑の下限を引き上げるのではなく、現在の法定刑が定められた趣旨を踏まえた上で議論した結果、集団強姦罪等を廃止するのが相当であるとされたものです。
○辻村会長ありがとうございます。
ほかにいかがですか。
原委員、お願いします。
○原委員?の性犯罪の非親告罪化が行われることによって、犯罪として取り扱われる件数が増えると思うのですが、お話にあったように、被害者の意思を尊重してその先を進めていくことになると思うのですけれども、もともと被害者の聴取においては気をつかっておられると思うのですが、現場にいると、警察の捜査段階から何度も同じことを聞かれて、特に女子児童などはすごく疲弊を起こしているのを何度か支援の現場でも見てきていますので、そのあたりの配慮についても、また一段と御考慮いただけたらと思っております。
○辻村会長ありがとうございました。
ただいまの御意見、いかがでしょうか。
二次被害の問題、いわゆるセカンドレイプの話も随7分議論になったと思います。
いかがですか。
○今井局付
御指摘のありましたような特に児童に対する聴取の在り方については、現在、検察庁、警察、それから、児童相談所の三者が連携して、聴取の回数をできるだけ減らすとともに、聴取方法についてもより一層配慮していくという取組をしているところでございまして、このような取組が更に進められるものと承知しております。
○辻村会長ありがとうございます。
ほかにいかがですか。
よろしいですか。
では、私から1点お伺いします。
この専門調査会では、平成24年の7月「『女性に対する暴力』を根絶するための課題と対策〜性犯罪への対策の推進〜」という報告書を出しております。
それまで2年ぐらいかけまして、強姦罪の構成要件の見直しについて、これは第3次男女共同参画基本計画にも書きましたけれども、問題提起をさせていただきました。
その中では、今回、骨子に含まれなかった問題として、いわゆる性交同意年齢の引き上げの問題でありますとか、その他、暴行・脅迫要件をどうするかとか、いろいろ問題があったかと思いますが、これらの残された課題といいますか、議論がありました問題については、今後どのように考えていったらよろしいでしょうか。
法務省としましては、刑法改正案がこれから国会で採択され、刑法改正が成立しましたら、この話は終わるという認識でおられるのか。
あるいは、ここで出た問題について、継続的にどこか検討する場を考えるというお立場でしょうか。
と申しますのは、この調査会は継続的にこれらの問題を扱っていく職務があると考えておりますので、そのあたりの認識について、お話になれる限りで結構ですのでお伺いしたいと思います。
○今井局付
当局としましては、現在、法制審議会で答申をいただいたものを法案にする準備をしておりますので、その後のことについては、現在のところ何か決まっているわけではなく、答申をいただいたものについて、適切な時期に法案を提出できるように準備を進めてまいりたいと考えている次第でございます。
○辻村会長ありがとうございます。
小木曾委員は法制審議会のメンバーでもございまして、何かそのあたりの議論状況はいかがでしょうか。
○小木曾委員暴行・脅迫を犯罪成立の要件としておくことの是非については、相当な時間をかけて議論がありました。
例えば意に反する行為を処罰するという提案や外国法はどうなっているのだということなどについて、議論がありましたけれども、ことの本質としては、もちろん、意に反した行為が処罰対象なのですけれども、それを犯罪として捕捉するためには、どういう外形的な行為があればいいかを考えたとき、やはり、何らかの外形的な行為がないと犯罪にできないわけです。
もし、これを意に反した関係の強要を処罰するというような書き方にしますと、むしろ犯罪は成立しにくくなるのではないかという懸念があります。
刑罰法規の明確性の要請や、むしろ犯罪立証が困難になる惧れがあるといったことから、現行の暴行・脅迫要件はそのままになりました。
8ただ、裁判所がそれを適用する際に、例えば、ここでも議論になりましたように、女性が黙っていたから、逃げなかったから、それだけで犯罪が成立しないというような認定はおかしいだろうと。
これについては、実務の現場からそのような認定はしていませんという説明はありましたけれども、そのあたりはまさに実務家の皆さんもより一層適切な認定に努めていただきたいという、そういう認識は十分共有されていると思います。
もう一点は、同意年齢ですけれども、その年齢を上げた場合に、子供たちの性行動、性的な接触を含む行動実態とずれた年齢設定をしてしまった場合に、非行少年を増やすことになってしまうおそれがあります。
少年事件の場合は全件送致ですので、例えば親がそれを見つけて、相手の子供がけしからんといって通報すると、社会的には早熟とみなされるだけかもしれない行為が非行事実として扱わなければいけないことになってしまう。
少年の健全育成という見地からは、児童福祉法や条例もあるわけですので、そちらで対処するほうが適切ではないかといったことも相当な時間をかけて議論が行われております。
○辻村会長ありがとうございました。
この調査会でも、レイプシールド法などについても検討したのですが、こういう法整備については、何か議論はありましたでしょうか。
○小木曾委員なかったですね。
○辻村会長それはなかったですか。
ありがとうございました。
いずれにいたしましても、当専門調査会で平成24年に問題提起させていただいたことの内容の大部分が、今回少し時間はかかりましたけれども、法改正というところまで来ているということでございます。
まだ残された課題につきましても、問題意識は共有されているという御発言でございましたので、この調査会においても、今後も継続すべき点があれば継続して審議をしていきたいと考えております。
では、法務省の皆様、どうもありがとうございました。
委員の皆様のほうでも、また何かありましたらお申し出くださいますようお願いいたします。
(今井局付退室)