児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

高校生にキスの教諭、免職取り消し「真剣に交際」と認定 (さいたま地裁h29.11.24)

 師弟関係にはなかったので、懲戒処分の基準によれば「免職又は停職とする」とされていて、キスは「わいせつ行為」でも軽い部類だという評価だと思われます。
 教育委員会の調査能力は乏しいので、教員と青少年とが協力して交際関係を示すメールやLINEを出してくると、反証困難になることがあります。
 教員に500万円請求しているようです

 県は控訴
www.sankei.com

http://www.center.spec.ed.jp/?action=common_download_main&upload_id=9346
p19
教職員によるわいせつ行為は言語道断です。児童生徒を性犯罪から守るべき立場の教職員が加害者となることは、県民の信頼を失う最も卑劣な非違行為であり、埼玉県教育委員会では最も重い懲戒処分(免職)としています。
児童生徒(卒業生を含む)とのメールやLINE®の交換から教職員として不適切な行為に及んだ事例や、学校の外でも、通勤途中での痴漢行為や盗撮、出会い系サイト等がきっかけとなった買春などが発生しています。
このような、わいせつ行為を行い、厳しい懲戒処分を受けた場合、その教職員だけでなく、所属している学校の信頼も失墜してしまいます。
さらに、被害者が当該校の児童生徒である場合は学校全体がその責めを負うことになります。
被害者も、心と身体に傷を負い一生癒えないことでしょう。人間として、そして何より教育者として、わいせつ行為は絶対に許さない、許されないという断固とした意志をもたなければなりません。
・・
p21
(参考) 懲 戒 処 分 の 基 準
埼 玉 県 教 育 委 員 会
4 児童生徒に対する非違行為関係
(2)わいせつな行為等
ア 職務上関係のある、あるいは関係のあった児童生徒に対してわいせつな行為をした職員は、免職とする。
イ 職務上関係のある、あるいは関係のあった児童生徒に対してわいせつな言辞等の性的な言動等不適切な行為を行った職員は、停職又は減給とする
5 その他の非行関係
(12)みだらな性行為等
18歳未満の者に対して、みだらな性行為又はわいせつな行為をした職員は、免職又は停職とする。
(13)痴漢行為
公共の場所又は乗物において痴漢行為をした職員は、免職又は停職とする。
(14)盗撮行為
公共の場所若しくは乗物において他人の通常衣服で隠されている下着若しくは身体の盗撮行為をし、又は通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態となる場所における他人の姿態の盗撮行為をした職員は、免職又は停職とする。

懲戒処分の報道

高1女子と交際 教諭懲戒免=埼玉
2015.12.22 読売新聞
 県教委小中学校人事課によると、教諭は今年4~7月、交際していた県内在住の高校1年女子生徒に、自宅の鍵を渡して自由に出入りさせ、泊めたりしたほか、神奈川県・江の島や東京・お台場で抱きしめたり、キスしたりした。8月下旬に生徒の家族が気付き、同中に連絡した。
 教諭は今年4月に採用される前、大学生で塾のアルバイト講師をしており、塾に通っていた生徒と3月末から交際していた。同中では数学を担当、2年の副担任だったが、9月29日から授業や部活動を外れて服務研修などを受け、12月3日から体調不良で休んでいる。県教委に「交際しており、恋愛だから良いと考えていたが、今から考えると教員としてあるまじき行為だった」と話している。
 関根郁夫教育長は「県民の皆さまに深くおわび申し上げる。教職員に不祥事防止の意識を浸透させ、再発防止に取り組む」とコメントした。
・・・
 女子高生とキス、中学教諭を免職
2015.12.22 中日新聞社 
 【埼玉県】県教育委員会は二十一日、教諭(23)を懲戒免職処分にした。
 県教委によると、教諭は今年四月から七月にかけ、県立高校の女子生徒に自宅アパートの鍵を渡して自由に出入りさせ、自宅や外出先でキスや抱き締めるなどの行為を約十回行った。教諭は今年四月に採用される前にこの生徒と知り合ったという。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171124-00010006-saitama-l11
女子高生にキスで懲戒免職は違法 さいたま地裁、元教諭の処分取り消し「将来を見据え真剣に交際」
11/24(金) 22:29配信
 高校生の女子生徒=当時(15)=にキスするなど不適切な行為をしたとして、懲戒免職処分になった埼玉県内の中学校の元男性教諭(25)が、処分が重いとして県に取り消しを求めた訴訟の判決が24日、さいたま地裁であった。針塚遵裁判長は男性の行為が「著しく悪質とは言えない」として、処分を違法と認めて取り消しを言い渡した。

 判決理由で針塚裁判長は「原告と女子生徒は将来を見据えて真剣に交際しており、原告が性的欲求を満たすために行為に及んだとは認められない」と指摘。女子生徒を自宅アパートに宿泊させるなどしたことを「公務員としての意識や責任感に欠ける」とした一方、「キスや抱擁以上の性的な行為に及んでおらず、わいせつ性の程度は低い」と述べた。また、男性の勤務態度が誠実で、女子生徒の保護者に謝罪し反省していることを認めた上で「処分は著しく妥当を欠いている」とした。

 判決によると、男性は大学生だった2015年3月、アルバイト先の県内の学習塾で知り合った女子生徒と交際を開始。4月から7月までの間、自宅などで抱きしめたりキスしたりしたほか、自宅に宿泊させた。県教育委員会は同年12月、信用失墜行為に当たるとして懲戒免職処分とした。

 男性側の弁護士は「こちらの主張がおおむね認められたと認識している」とコメント。小松弥生県教育長は「県の主張が認められなかったことは大変残念。今後については判決の内容を詳細に検討し対応する」としている

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171124-00000090-asahi-soci
高校生にキスの教諭、免職取り消し「真剣に交際」と認定
11/24(金) 20:53配信 朝日新聞デジタル
 交際していた少女にキスをしたなどとして、埼玉県教委から懲戒免職処分を受けた同県東部の公立中学校の教諭だった20代男性が、県に処分取り消しを求めた訴訟の判決が24日、さいたま地裁であった。針塚遵裁判長は「将来を見据えて真剣に交際していた」などと認め、処分は裁量権の乱用だとして取り消した。
 判決によると、元教諭は教諭になる前の2015年3月にアルバイト先の学習塾で知り合った、当時中学生だった少女と交際を始め、教員になった同年4月以降、高校生になった少女と複数回キスや抱擁をするなどした。保護者が交際に気付き、県教委は同12月、元教諭を懲戒免職にした。

 判決は「生徒を教え導く立場なのに、生徒に言われるがままに非違行為に及んだ。思慮が浅すぎる」などと批判する一方、「交際は生徒が積極的に望んだ」などと認定した。

 県教委の懲戒基準は「18歳未満にわいせつな行為をした職員は免職または停職」と規定しているが、判決は、2人は真剣に交際しており、著しく悪質な行為とはいえないと判断。処分は「社会観念上、著しく妥当を欠く」と結論づけた。

 小松弥生県教育長は「判決を詳細に検討する」との談話を出した。(小笠原一樹

さいたま地裁H29.11.24
主文
1埼玉県教育委員会が原告に対して平成27年12月21日付けでした懲戒免職処分を取り消す。
2訴訟費用は被告の負担とする。
・・・・
当裁判所の判断
2 争点(1) (懲戒事由該当性)について
(1) そもそも,地方公務員は,全体の奉仕者として公共の利益のために勤務しなければならず(憲法15条2項,地公法30条), また, その職の信用を傷つけ,又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない義務がある(地公法33条)など,その地位の特殊性や職務の公共性があるところ,特に,教育に携わる教育公務員は,単に教科教育を行うのみならず,わが国の将来を担う児童・生徒の心身の健全な育成を図るべく,同人らに社会一般のルールやモラルを教え導く立場にあるから,公務員の中でも高度の倫理性が期待,要求されており,教職に対する生徒,保護者,社会一般の信用を傷つけ,公教育全体への信頼を損なう行為は許されないというべきである。
(2) 本件非違行為の内容は,中学校の教諭である原告が本件保護者の承諾を得ないまま当時15歳の本件女子生徒と交際し,その交際中に本件アパートなどにおいてキスや抱擁を複数回行い,本件女子生徒を本件アパートに宿泊させ,翌日の夕方まで一緒に過ごしたなどというものである(前記1(4), (7)ないし伽)。
かように原告が本件中学校の生徒とほとんど年齢の違わず婚姻適齢にも達しない女子生徒を恋愛対象としたことによれば,生徒,保護者が,原告に対し,本件中学校の生徒に好意を抱くなどして生徒を平等に扱わなかったり,生徒の未成熟さに乗じて性的行為に及んだりするのではないかなどと不信感や不快感を抱いたとしてもやむを得ないものであり,かような行為は,中学校の教職に対する生徒,保護者,社会一般の信用を傷つけ,公教育全体への信頼を損なう行為であるというべきである。
よって,原告は, 中学校教諭の「職の信用を傷つけ」, 「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行」を行ったといえ,地公法33条に違反し,同法29条1項1号及び3号の懲戒事由に該当すると認められる。
(3) これに対し,原告は,原告の行為は,本件基準に定められる非違行為のいずれにも該当しないから, これに対する懲戒免職処分は,地公法29条1項の要件を欠き,違法であると主張する。
しかし,本件基準は, あくまでも,代表的な事例を選び,それぞれにおける標準的な懲戒処分の種類を掲げて,処分の量定を規定したものにすぎないから(前記第2の2(3)ア),懲戒免職の事由を限定して定めたものではないと解すべきである。
そのことは, 「標準例に掲げられていない非違行為についても,懲戒処分の対象となり得るものであり,これらについては標準例に掲げる取扱いを参考としつつ判断する。」との記載(前記第2の2(3)ア)からも明らかである。
したがって,原告の上記主張は採用し得ない。
3 争点(2) (処分選択の違法性)について
(1)公務員に対する懲戒処分について,懲戒権者は,懲戒事由に該当すると認められる行為の原因,動機,性質,態様,結果,影響等のほか, 当該公務員の上記行為の前後における態度,懲戒処分等の処分歴選択する処分が他の公務員及び社会に与える影響等,諸般の事情を考盧して,懲戒処分をすべきかどうか,また,懲戒処分をする場合にいかなる処分を選択すべきかを,その裁量的判断によって決定することができるものと解すべきである。
したがって,裁判所が上記処分の適否を審査するに当たっては,懲戒権者と同一の立場に立って懲戒処分をすべきであったかどうか又はいかなる処分を選択すべきであったかについて判断し,その結果と懲戒処分とを比較してその軽重を論ずべきものではなく,懲戒権者の裁量権の行使に基づく処分が社会観念上著しく妥当を欠き,裁量権の範囲を逸脱しこれを濫用したと認められる場合に限り,違法であると判断すべきものである。
最高裁昭和52年12月20日第三小法廷判決・民集31巻7号1101頁,最高裁平成2年1月18日第一小法廷判決・民集44巻1号1頁参照)この点,前記第2の2(3)のとおり,県教委においては,職員の懲戒処分の基準(本件基準) (乙4)として処分量定の標準例を定めているが,具体的な処分量定の決定に当たっては,標準例を基本として,非違行為の動機,態様及び結果,故意又は過失の程度,職員の職責,他の職員及び社会に与える影響,過去の非違行為の有無, 日頃の勤務態度並びに非違行為後の対応等を含めて総合的に考盧した上で判断するものとされており,本件基準は,裁量権の行使を適正妥当なものとし,併せて公平性を確保しようとする趣旨に基づくものと解されるから,本件処分が,社会観念上著しく妥当を欠き,裁量権の範囲を逸脱した35 (1)1015202522ものであるかを判断する上においても,上記の諸事情を考慮して判断するのが相当である。
(2)ア前記第2の2(3)エのとおり,本件基準の標準例「5 その他非行関係」の「12) みだらな性行為等」は, 「18歳未満の者に対して, (中略)わいせつな行為をした職員は,免職又は停職とする。
」と定めているところ,原告は,本件アパートや出掛けた先において,交際相手である当時15歳の本件女子生徒に対し,キスをしているのであって,原告と本件女子生徒のキスは,性的な意味を有し,性的差恥心の対象となるような行為といえるから,原告の行為は「わいせつな行為」に該当し,本件基準による処分量定の標準例は,免職又は停職とされているものである。
イそこで,前記(1)の観点から, さらに本件非違行為について検討すると,原告は,教諭の職にある者として本来は本件女子生徒を教え導く立場であるのに,いわば本件女子生徒に言われるがままに本件非違行為に及んだのであるから,思盧が浅すぎるものといわざるを得ない。
しかし,原告と本件女子生徒との交際は,本件女子生徒が積極的に望んでいたものであること)原告及び本件女子生徒が将来を見据えて真剣に交際をしていたことからすれば,原告が自らの性的欲求を満たすために本件非違行為に及んだとは認められない。
そうすると,本件女子生徒の判断能力が未成熟であることを考慮しても,原告が本件非違行為に及んだ動機が強い非難に値するとはいえない。
ウそして,原告が, 中学校の教諭でありながら,本件保護者の同意を得ないで, 自らが指導する生徒と年齢が極めて近い未成年者の本件女子生徒と交際をし,本件アパートへの自由な出入りや本件アパートに宿泊することを許した上,本件女子生徒が丸一日以上,その自宅に帰宅していないのを漫然許容して一緒に過ごすなどして本件保護者の監護権等を侵害した行為は,教育に携わる公務員として県民の信頼を得るべき立場としての意識や責任感に欠けるものといわざるを得ない。
しかし,原告は,本件女子生徒と真剣に交際しており,本件アパートに宿泊させた日を除けば,本件女子生徒をそれほど遅くない時間に帰宅させていたこと,原告が,本件女子生徒に対し,キスや抱擁以上の性的な行為に及んでいない上,キスの態様や抱擁の体勢からすれば,わいせつ性の程度は低いといえること,本件非違行為が仮に本件条例21条2項違反に当たるものとしても,法定刑は罰金30万円以下にとどまる上,原告は特段の刑事処分を受けていないことからすれば,本件非違行為の態様が著しく悪質であるとはいえない。
エ本件非違行為に係る動機及び態様が上記のとおりであることからすれば,本件女子生徒がこれにより健全な育成を妨げられるような心身の傷を負ったとは認められず,また,本件における具体的事実関係を前提とすると本件非違行為が,公立学校における教育全般や,教育に携わる公務員に対する信頼を大きく損なうものとまではいえない。
そして,本件処分後,本件学校に寄せられた苦情も1件にとどまり,本件アンケートの結果をみても,本件非違行為が本件中学校の生徒の心理に重大な影響を与えたとまではいえない。
また,本件中学校の他の教員は,原告が本来担当するはずの授業や部活動の指導を担当することを余儀なくされ,校長などの管理職は,本件処分に関連する事務手続きや生徒及び保護者に対する対応に伴い相応の労力を負担したことが認められるものの, これらは懲戒処分に伴い通常生じる程度を逸脱するものとはいえない。
そうすると,本件保護者が原告に対し, 500万円の損害賠償を求めるなど激しく,憤り,原告を教育の現場から退かせることを希望していることを考盧しても,本件非違行為による結果や他の職員及び社会に与える影響が重大であったとはいえない。
オそして,原告の日頃の勤務態度が誠実であったことに加え,原告が本件保護者に誠意をもって謝罪していること,原告が本件非違行為の発覚後,本件女子生徒に一切連絡をとっていないこと,原告が本件中学校において,授業や部活動の指導に携わることを禁じられた後も,研修や学年通信及び掲示物を作成するなどの作業に誠実に取り組んでいたことからすれば,原告は,本件非違行為を真蟄に反省していることが認められる。
(3) 以上によると,原告がまだ条件付採用職員であり,非違行為等について日頃から特に指導を受けていたにもかかわらず,本件非違行為に及んだことを考盧しても,県教委が原告に対して懲戒免職処分を選択したことは,社会観念上著しく妥当を欠き,その裁量権の範囲を逸脱しこれを濫用したと認められる。
したがって,県教委が本件非違行為に対して本件処分を選択したことは,違法である。
第4結論
以上によれば,原告の請求は理由があるから認容することとして,主文のとおり判決する。
Iさいたま地方裁判所第5民事部