児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

傍聴人の皆様へ 最高裁判所広報課 児童買春児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,強制わいせつ等被告事件について

 10/18の大法廷の弁論でこんなのが配られていました。
 奥村の主張の4/6が落とされたような感じです。

傍聴人の皆様へ
平成29年(2017年) 10月18日
最高裁判所広報課
児童買春児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,強制わいせつ等被告事件について
事案の概要
◇本件は,被告人が13歳未満の被害女子に対し,わいせつな行為をし,その様子をスマートフオンで撮影するなどして児童ポルノを製造し,そのデータを知人に送信して提供したとされる事案である。
※なお,上記のほかに,正当な理由なく,被告人名義の貯金通帳等を第三者に有償譲渡したとされる事案も併せて係属しているが, この事案については争いがない。
◇ 1審弁護人は,下記最高裁判例(昭和45年判例)を挙げ,被告人には性的意図がなかったから強制わいせつ罪は成立しないと主張した。1審(神戸地裁)は,被告人の弁解(金を借りるために条件として要求された行為をしたもので,金を得る目的であった。)を排斥できないとした。その上で,昭和45年判例は相当ではなく,強制わいせつ罪の成立について犯人が性的意図を有する必要はないとして,被告人に強制わいせつ罪が成立すると認め,その他の事実も有罪と認めて,被告人を懲役3年6月(求刑懲役4年6月)に処した。
◇原審(大阪高裁)も,昭和45年判例を現時点において維持するのは相当でないと判断し,被告人の控訴を棄却した。
最高裁昭和45年1月29日第一小法廷判決・刑集24巻1号1頁
「刑法176条前段のいわゆる強制わいせつ罪が成立するためには,その行為が犯人の性欲を刺戟興奮させまたは満足させるという性的意図のもとに行なわれることを要し,婦女を脅迫し裸にして撮影する行為であっても, これが専らその婦女に報復し, または, これを侮辱し,虐待する目的に出たときは,強要罪その他の罪を構成するのは格別,強制わいせつの罪は成立しないものというべきである」