児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

今井將人「刑法の一部を改正する法律」の概要(上) 警察公論2017年10月号

 2回に分かれました

イ要件
「性交」とは。改正前の刑法177条の「姦淫」と同義であり,膣内に陰茎を入れる行為をいう。
「肛門性交」とは肛門内に陰茎を入れる行為をいい, 「口腔性交」とは口腔内に陰茎を入れる行為をいう*7。
「性交」。「肛門性交」及び「口腔性交」を合わせて「性交等」ということとされており, これらの行為には. 自己又は第三者の陰茎を被害音の膣内等に入れる行為だけでなく、自己又は第三者の膣内等に被害音の陰茎を入れる行為(いわば、入れさせる行為)を含む。具体的には,女性が行為主体となって,男性の陰茎を自己の膣内,肛門内又は口腔内に入れさせる行為や,男性が別の男性の陰茎を自己の肛門内又は口腔内に入れさせる行為も、本罪による処罰対象となる。
*7 例えば、陰茎を膣内に全く入れずに単に舌先でなめる行為や、女性の外陰部をなめる行為などは「口腔性交」には当たらない。

2) 法定刑の下限の引上げ
ア概要及び趣旨
近年. 多方面から.強姦罪の法定刑の引上げを求める意見が述べられていた上,法定刑の下限が懲役5年である強硲罪及び現住建造物等放火罪よりも,強姦罪の方が,重い量刑がなされる事件の割合が高い状況にあった*8。
このような状況を踏まえれば.強姦罪の悪質性・重大性に対する現在の社会一般の評価は,少なくとも強盗罪や現住建造物等放火罪の悪質性.重大性に対する評価を下回るものではないと考えられ,現時点において強姦罪の法定刑の下限は低きに失しており,国民意識と大きく異なっていると言わざるを得ないことから、強姦罪の構成要件を見直して設ける強制性交等罪の法定刑の下限について、強盗罪及び現住建造物等放火罪と同様に.懲役5年に引きtげることとされた。
イ意義
今回の改正は.強姦罪に対する社会の評価を適切に法定刑に反映させようとするものであり,必ずしも,改正前の強姦罪の量刑が軽きに失して不当であるという認識を前提とするものではないが,法定刑の下限が懲役5年とされたことから,法律上の減軽事由(刑法43条等)又は酌量減軽(刑法66条)がなければ,執行猶予が付し得ない(刑法25条)こととなったことなどの意義は大きいといえる。

8 平成18年から平成27年までの実際の量刑において、強姦罪については、5年を超える懲役とされた事件の脾11台が約32パーセントであったのに対し,強盗罪岐び現イl建造物等放火罪については.5年を超える懲役とされた事件の割合はそれぞれ約21パーセント及び約23パーセントであり、法定刑の下限が懲役5年とされている強盛罪及び現住建造物等放火罪よりも,強姦罪の方が.重い量刑がなされる事件の割合が高くなっている状況が認められた。