児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

大麻所持の量刑相場は懲役6~10月(東京地検)なのに、1年6月を求刑して、懲役1年6月執行猶予3年の判決が出て(東京地裁H29.3)、控訴審で懲役6月執行猶予3年に是正された事例(東京高裁H29.6)

 地裁は検事の誤った求刑を盲信して、そのままの刑期に執行猶予を付けたということで、量刑知らなくて判決書いてるんでしょうね。
 これ、判決を特定して、検察官の控訴趣意書を閲覧すると、同種事件の裁判例の一覧表が添付されていて、量刑相場を把握することができます。
 薬物事件は多いので、滅多にないと思いますが、福祉犯など珍しい罪名になると、裁判所に相場観がないので、弁護人から同種事案を示すと、誘導できることがあります。

刑訴法
第三八一条[量刑不当]
 刑の量定が不当であることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつて刑の量定が不当であることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。
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条解刑事訴訟法
量刑の原理・政策に反してしていると主張する場合には、記録等に現われた個別的事実を媛用せず、量刑基準を認める根拠となる同|種事業にいての裁判例を援用すればたりる(判例10参照)
判例10量刑不当の控訴趣意において、訴訟記録にも第ー審裁判所の証拠にも現われてしなし、同種事案に関する裁判例を援用しても.不適法ではない(最判昭29 ・10 ・2 2集8-10-1653

東京地検「量刑重すぎた」と控訴 大麻所持事件、高裁が減刑判決
2017.10.06 朝日新聞
 東京地裁が3月に大麻を所持した罪で懲役1年6カ月執行猶予3年の判決を出した男性について、東京地検が「量刑が重すぎた」とする異例の理由で控訴していたことが5日、関係者の話でわかった。東京高裁は6月に一審判決を破棄し、懲役6カ月執行猶予3年に減刑する判決を出し、確定した。
 検察関係者によると、男性は東京都大田区の路上で、大麻2・4グラムを所持していたとして、大麻取締法違反の罪で起訴された。初犯だったが、地検は公判で懲役1年6カ月を求刑し、地裁が懲役1年6カ月執行猶予3年の判決を出した。判決後、地検内部の会議で量刑の重さが問題になり、同種事件の量刑傾向を調べて控訴を決めたという。大麻の違法所持は法定の最高刑が5年だが、検察幹部は「同種事件だと求刑は懲役6~10カ月が基準になる」と話した。
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大麻所持:同様事件と比べ「求刑重過ぎた」 検察控訴
2017.10.06 毎日新聞
 東京地裁が3月、大麻取締法違反事件の被告に言い渡した有罪判決について、東京地検が「同様の事件と比べて求刑が重過ぎた」との理由で控訴していたことが5日、裁判関係者への取材で分かった。求刑の重さを理由とした控訴は異例。

 検察側は大麻所持の罪に問われた被告の男に懲役1年6月を求刑し、地裁は3月に懲役1年6月、執行猶予3年の判決を言い渡した。

 大麻所持罪の最高刑は懲役5年だが、地検は過去の裁判例を調べ、同様の事件と比べて求刑が重過ぎたと判断、控訴を決めた。東京高裁は6月、地裁判決を破棄し、懲役6月、執行猶予3年とした。

 地検は「不当な量刑だったため、判決の是正を求めて控訴した」としている。

 元東京高裁判事の木谷明弁護士は、「一般的な量刑より重過ぎる求刑や判決は、不公平となるため問題だ。検察の求刑が不適切なのはもちろんだが、それに寄り掛かって判決を出した裁判官も責任を免れない」と話した。
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「求刑重過ぎた」 地検が異例控訴
2017.10.06 産経新聞
 東京地裁が3月、大麻取締法違反事件の被告に言い渡した有罪判決について、東京地検が「同様の事件と比べて求刑が重過ぎた」との理由で控訴していたことが5日、裁判関係者への取材で分かった。求刑の重さを理由とした控訴は異例。検察側は大麻所持の罪に問われた被告の男に懲役1年6月を求刑し、地裁は3月に懲役1年6月、執行猶予3年の判決を言い渡した。地検は同様の事件と比べ求刑が重過ぎたと判断、控訴を決めた。東京高裁は6月、地裁判決を破棄し懲役6月、執行猶予3年とした。
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「求刑重過ぎた」異例控訴東京地検大麻所持事件
2017.10.06 河北新報記事情報 27頁 共同通信 (全433字) 
 東京地裁が3月、大麻取締法違反事件の被告に言い渡した有罪判決について、東京地検が「同様の事件と比べて求刑が重過ぎた」との理由で控訴していたことが5日、裁判関係者への取材で分かった。求刑の重さを理由とした控訴は異例。
 検察側は大麻所持の罪に問われた被告の男に懲役1年6月を求刑し、地裁は3月に懲役1年6月、執行猶予3年の判決を言い渡した。
 大麻所持罪の最高刑は懲役5年だが、地検は過去の裁判例を調べ、同様の事件と比べて求刑が重過ぎたと判断、控訴を決めた。検察側は控訴審で懲役6月を求刑。東京高裁は6月、地裁判決を破棄し懲役6月、執行猶予3年とした。
 地検は「不当な量刑だったため、判決の是正を求めて控訴した」としている。
 元東京高裁判事の木谷明弁護士は「一般的な量刑より重過ぎる求刑や判決は、不公平となるため問題だ。検察の求刑が不適切なのはもちろんだが、それに寄り掛かって判決を出した裁判官も責任を免れない」と話した。
河北新報社
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“求刑重すぎた” 大麻事件判決の取り消し求め 東京地検が異例の控訴
2017.10.05 NHKニュース (全725字) 
 ことし3月、東京地方裁判所大麻取締法違反事件の被告に懲役1年6か月の有罪判決を言い渡したことについて、検察が「ほかの同じような事件と比べて求刑が重すぎた」として、判決の取り消しを求める異例の控訴をしていたことがわかりました。

 2審では懲役の期間を3分の1の6か月に見直す判決を言い渡していて、専門家は「検察の不当な求刑を見過ごした裁判所や弁護士も、今回の事態を重く受け止めるべきだ」と指摘しています。

 この裁判は、神奈川県の40代の男が東京・大田区の路上でおよそ2点4グラムの大麻を所持していたとして、大麻取締法違反の罪に問われたもので、検察が懲役1年6か月を求刑し、ことし3月、東京地方裁判所も懲役1年6か月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。

 営利目的を除く大麻の違法所持の罪の最高刑は、懲役5年で、求刑や判決は法令の範囲内でしたが、東京地方検察庁が同じような内容の事件の最近の判決、およそ100件を調べたところ、懲役1年を超えたケースは1件もなく、およそ7割が執行猶予の付いた懲役6か月の判決だったということです。

 このため検察は「ほかの同じような事件と比べて求刑が重すぎた」として、判決の取り消しを求めて控訴し、2審の東京高等裁判所は懲役の期間を3分の1の6か月に見直す判決を言い渡しました。

 検察が求刑が重すぎたとして判決の取り消しを求めて控訴するのは、極めて異例です。

 今回の問題について、刑事裁判に詳しい元裁判官の門野博(かどの・ひろし)さんは「裁判所や弁護士にも執行猶予が付けば検察の求刑通りで大丈夫だという感覚があったのではないか。不当な求刑を見過ごした裁判所や弁護士も今回の事態を重く受け止めるべきだ」と指摘しています。
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地検「刑重すぎ」控訴 大麻所持事件 東京高裁が減刑
2017.10.05 読売新聞社
 東京地裁で3月、大麻取締法違反事件の被告に対し、検察側の求刑通りの懲役刑に執行猶予付きの有罪判決が言い渡されたにもかかわらず、東京地検が「刑が重すぎる」と控訴していたことが、5日わかった。2審・東京高裁はその後、1審判決を破棄し、被告の刑を軽くする判決を言い渡した。検察側が、被告の刑の軽減を求めて控訴するのは異例。
 関係者によると、大麻2・4グラムを所持したとして同法違反に問われた40代の男性被告に、同地検は懲役1年6月を求刑。同地裁は懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。

 だが、判決後に同地検が他の同種事件の量刑と比較したところ、被告の刑が重すぎたことが判明。同地検は「量刑不当」として控訴し、2審判決は、1審判決を破棄した上で、被告の刑を懲役6月、執行猶予3年とした。同地検は、「量刑が不当だったため控訴を申し立て、判決を是正した」としている。

 一方、検察側の求刑は、裁判官が刑の重さを決める際の参考意見とされる。元東京高裁裁判長の門野(かどの)博弁護士は、「求刑を誤った検察側の対応も問題だが、本来は、地裁が求刑の誤りに気付いて、正しい刑を言い渡すべきだった。仮に執行猶予が取り消された場合、被告はその分、長く受刑することになる。不適正な刑が言い渡されることはあってはならない」と指摘している。
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◎「刑重過ぎ」検察が異例控訴=東京高裁で減刑大麻所持事件
2017.10.05 時事通信 (全495字) 
 大麻取締法違反事件で東京地裁が言い渡した有罪判決について、東京地検が「刑が不当に重かった」として控訴していたことが5日、関係者への取材で分かった。地裁は検察側求刑通りの懲役刑に執行猶予を付けたが、判決後に求刑が重過ぎたことが判明したという。
 検察側が刑が重過ぎるとして控訴するのは異例。高裁は一審判決を破棄して減刑した。
 関係者によると、被告の男性は大麻約2.4グラムを所持したとして起訴された。前科はなかったが、東京地検は懲役1年6月を求刑し、東京地裁は3月に懲役1年6月、執行猶予3年の判決を言い渡した。
 地検が判決内容を検討する中で、同種事件と比較して求刑が不当に重かったことが発覚。検察、弁護側双方が控訴し、東京高裁が6月、一審判決を破棄して懲役6月、執行猶予3年を言い渡して確定した。
 大麻取締法は営利目的でない大麻の所持について、5年以下の懲役と定めている。 

 あるベテラン裁判官は「同種事件で求刑が1年を超えることはまずない。一審判決に違法性はないが、異例の事態だ」と指摘。検察幹部は「量刑に対する問題意識が欠けていた。今後は適切な求刑に努める」と話している。