児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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「「美人だから」検事、弁護士からの被害女性に不適切発言」なんて、刑事局長通達と添付資料の附帯決議が徹底されてないな。

 通達と添付資料の附帯決議が徹底されてないな。

法務省刑制第121号(例規)平成29年6月26日法務省刑事局長(公印省略)「刑法の一部を改正する法律」の施行について(依命通達)
留意事項
1強姦罪等の非親告罪化について 性犯罪については,もとより,被害者のプライバシー等の保護が特に重要であり,事件の処分等に当たっても被害者の心情に配盧することが必要であることは,強姦罪等を非親告罪化した後も変わるものではない。
したがって,本法施行後においても,引き続き,事件の処分に当たって被害者の意思を丁寧に確認するなど被害者の心情に適切に配慮する必要があることに留意されたい。
附帯決議本法の国会審議に際し,衆議院法務委員会において別添1の,参議院法務委員会において別添2の附帯決議がそれぞれなされているので,留意されたい。

・・・
別添1衆議院法務委員会における附帯決議
政府及び最高裁判所は,本法の施行に当たり,次の事項について格段の配慮をすべきである。
一性犯罪が,被害者の人格や尊厳を著しく侵害する悪質重大な犯罪であることはもとより, その心身に長年にわたり多大な苦痛を与え続ける犯罪であって,厳正な対処が必要であるものとの認識の下,近年の性犯罪の実情等に鑑み,事案の実態に即した対処をするための法整備を行うという本法の趣旨を踏まえ,本法が成立するに至る経緯,本法の規定内容等について, 関係機関及び裁判所の職員等に対して周知すること。
二刑法第百七十六条及び第百七十七条における「暴行又は脅迫」並びに刑法第百七十八条における「抗拒不能」の認定について,被害者と相手方との関係性や被害者の心理をより一層適切に踏まえてなされる必要があるとの指摘がなされていることに鑑み, これらに関連する心理学的・精神医学的知見等について調査研究を推進するとともに, 司法警察職員,検察官及び裁判官に対して,性犯罪に直面した被害者の心理等についてこれらの知見を踏まえた研修を行うこと。
三性犯罪に係る刑事事件の捜査及び公判の過程において,被害者のプライバシー,生活の平穏その他の権利利益に十分な配慮がなされ,偏見に基づく不当な取扱いを受けることがないようにし, 二次被害の防止に努めるとともに,被害の実態を十分に踏まえて適切な証拠保全を図り, かつ, 起訴・不起訴等の処分を行うに当たっては,被害者の心情に配慮するとともに,必要に応じ,処分の理由等について丁寧な説明に努めること。
四性犯罪被害が潜在化しやすいことを踏まえ,第三次犯罪被害者等基本計画等に従い,性犯罪等被害に関する調査を実施し,性犯罪等被害の実態把握に努めること。
刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成二十八年法律第五十四号)附貝ll第九条第三項の規定により起訴状等における被害者の氏名の秘匿に係る措置についての検討を行うに際しては,性犯罪に係る刑事事件の捜査及び公判の実情や,被害者の再被害のおそれに配盧すべきであるとの指摘をも踏まえて検討を行うこと。
六性犯罪が重大かつ深刻な被害を生じさせる上,性犯罪被害者がその被害の性質上支援を求めることが困難であるという性犯罪による1,-被害の特性を踏まえ,被害者の負担の軽減のため, 第三次犯罪被害者等基本計画に従い,被害者の負担の軽減や被害の潜在化の防止等ワンストップ支援センターの整備を推進すること。

別添2
参議院法務委員会における附帯決議
政府及び最高裁判所は,本法の施行に当たり, 次の事項について格段の配慮をすべきである。
一性犯罪は,被害者の心身に長年にわたり多大な苦痛を与え続けるばかりか, その人格や尊厳を著しく侵害する悪質重大な犯罪であって,厳正な対処が必要であるところ,近年の性犯罪の実情等に鑑み,事案の実態に即した対処をするための法整備を行うという本法の適正な運用を図るため,本法の趣旨,本法成立に至る経緯,本法の規定内容等について, 関係機関等に周知徹底すること。
二刑法第百七十六条及び第百七十七条における「暴行又は脅迫」並びに刑法第百七十八条における「抗拒不能」の認定について,被害者と相手方との関係性や被害者の心理をより一層適切に踏まえてなされる必要があるとの指摘がなされていることに鑑み, これらに関連する心理学的・精神医学的知見等について調査研究を推進するとともに, これらの知見を踏まえ, 司法警察職員,検察官及び裁判官に対して,性犯罪に直面した被害者の心理等についての研修を行うこと。
三性犯罪に係る刑事事件の捜査及び公判の過程においては,被害者のプライバシー, 生活の平穏その他の権利利益に十分配慮し,偏見に基づく不当な取扱いを受けることがないようにするとともに, 二次被害の防止に努めること。
また,被害の実態を十分に踏まえた適切な証拠保全を図ること。
四強制性交等罪が被害者の性別を問わないものとなったことを踏まえ,被害の相談,捜査,公判のあらゆる過程において,被害者となり得る男性や性的マイノリテイに対して偏見に基づく不当な取扱いをしないことを, 関係機関等に対する研修等を通じて徹底させるよう努めること。
五起訴・不起訴等の処分を行うに当たっては,被害者の心情に配慮するとともに, 必要に応じ,処分の理由等について丁寧な説明に努めること。
六性犯罪が重大かつ深刻な被害を生じさせる上,性犯罪被害者がその被害の性質上支援を求めることが困難であり, その被害が潜在化しやすいという性犯罪被害の特性を踏まえ,第三次犯罪被害者等基本計画等に従い,性犯罪等被害に関する調査を実施し,性犯罪等被害の実態把握に努めるとともに,被害者の負担の軽減や被害の潜在化の防止等のため, ワンストップ支援センターの整備を推進すること。
刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成二十八年法律第五十四号)附則第九条第三項の規定により起訴状等における被害者の氏名の秘匿に係る措置についての検討を行うに当たっては,性犯罪に係る刑事事件の捜査及び公判の実情や,被害者の再被害のおそれに配慮すべきであるとの指摘をも踏まえること。
八児童が被害者である性犯罪については, その被害が特に深刻化しやすいことなどを踏まえ,被害児童の心情や特性を理解し, 二次被害の防止に配慮しつつ,被害児童から得られる供述の証明力を確保する聴取技法の普及や,検察庁,警察,児童相談所等の関係機関における協議により, 関係機関の代表者が聴取を行うことなど,被害児童へ配慮した取組をより一層推進していくこと。
九性犯罪者は,再び類似の事件を起こす傾向が強いことに鑑み,性犯罪者に対する多角的な調査研究や関係機関と連携した施策の実施など,効果的な再犯防止対策を講ずるよう努めること。

http://www.sankei.com/west/news/170829/wst1708290008-n1.html 
関係者によると、検事は6月下旬に実施した女性への聴取で「(弁護士は)旧司法試験を複数回受験して合格した努力家だ」と伝え、弁護士の立場にも理解を示すよう求めた。
さらに「あなたは美人だから(弁護士が)舞い上がったのだろう。
(弁護士の気持ちは)男として分からなくもない」と弁護士を擁護するかのような発言もあった。
こうした検事の態度に女性はショックを受けたが、被害を受けたのに泣き寝入りしたくないと説明。
検事は聴取の後半になって、発言の一部が不適切だったと認めたが「(聴取内容を)マスコミには言わないでほしい」と口止めしたという。
 地検は聴取に問題があったのではとの指摘を受け、内部調査を実施。
28日に女性と面会し、検事の発言について「弁護士をかばうような発言があった」と認めたうえで「被害者の心情に全く配慮していなかった」と謝罪した。
 一方、問題の発言をした検事は地検の調査に対し、仮に弁護士が起訴されて公判になった場合、女性が弁護側からの尋問を受ける立場になることから「弁護側の厳しい質問にも耐えられるようにと聴取したら、こういう発言になった」と説明したという。
女性「二次被害受けた」 「被害者ではなく、犯罪者として扱われているように感じた。
二次被害を受けたような気持ち」。
強制わいせつ事件の事情聴取で、男性検事から不適切な発言をされた女性は取材にそう打ち明けた。
地検からの謝罪には「十分に反省していることは伝わった」と評価する一方で、「弱い立場の被害者に配慮した捜査をしてほしい」と求めた。
 性犯罪の事件では、捜査機関からの聞き取りでも被害者にとっては心理的な重圧となり、それを避けるために告訴を取り下げることも少なくなかった。
このため近年は、被害者への聴取を女性警察官が担当するなど、より細かな配慮がされるようになってきた。
 あるベテラン検事は「被害者に誠実な対応をすることは議論するまでもない基本中の基本。
今回は個人の資質が問われる問題だ」と話している。