児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

監護者が被監護者(7歳)にわいせつ行為をした場合の罪名・・・監護者わいせつ罪で逮捕(静岡県警)→強制わいせつ罪(176条後段)で起訴(沼津支部)

 従前通り、強制わいせつ罪(176条後段)だと思います。立証も容易ですし。
 逆に、今回の改正で性的虐待事案に特化した罰則を設けたという点を強調すれば、監護者わいせつ罪になる可能性もありますが、監護者・乗じての立証が面倒です。

法務省大臣官房審議官加藤俊治「性犯罪に対処するための刑法改正の概要」ひろばH29.8
(4)本罪と他罪との罪数関係については、法制審議会あるいは国会における審議の過程において必ずしも詳細な議論がなされていないところであるが、私見においては、監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪は、準強制わいせつ罪及び準強制性交等罪が存在することを前提に、既存の罰則では処罰できない事案に対応するために設けられたものであるから、準強制わいせつ罪又は準強制性交等罪が成立する場合には、重ねて監護者わいせつ罪又は監護者性交等罪は成立しない(いわゆる補充関係にある)ものと考えている。

法務省刑事局長「刑法の一部を改正する法律」の施行について(依命通達)h29.6.26
2 監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪(刑法第179条)
(1)概要
実親,養親等の監護者が18歳未満の者に対して性交等やわいせつな行為(以下,両者を合わせて「性的行為」という。)を継続的に繰り返し,監護者と18歳未満の者との性的行為が常態化している事案等においては,日時,場所等が特定できる性的行為の場面だけを見ると,暴行,脅迫が認められず,また,抗拒不能にも当たらないため,刑法上の性犯罪として訴追することが困難なものが存在していた。
このような事案の実態に即した対処を可能とするため,刑法第176条から第178条までの罪(強制わいせつ,強制性交等,準強制わいせつ,準強制性交等)とは別に,18歳未満の者を現に監護する者がその影響力があることに乗じて性的行為をした場合について,新たな犯罪類 型として,監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪を設けることとされた。
(2) 趣旨
18歳未満の者は,一般に,精神的に未熟である上,生活全般にわたって自己を監督し保護している監護者に経済的にも精神的にも依存しているところ,監護者が,そのような依存・被依存ないし保護・被保護の関係により生ずる監護者であることによる影響力があることに乗じて18歳未満の者と性的行為をすることは,、強制わいせつ又は強制性交等と同様に,これらの者の性的自由ないし性的自己決定権を侵害するものであるといえる。
そこで,このような行為類型については,強制わいせつ又は強制性交等と同等の悪質性・当罰性が認められると考えられることから,罰貝llを新設し,強制わいせつ罪又は強制性交等罪と同様に処罰しようとするものである。
(3) 要件
ア「監護する」とは,民法第820条に親権の効力として定められているところと同様,監督し,保護することをいい,18歳未満の者を「現に監護する者」とは,18歳未満の者を現に監督し,保護している者をいう。
本罪は,監護者の影響力がある状態下で性的行為が行われた場合,18歳未満の者の意思決定は,そもそも精神的に未熟で判断能力に乏しい者に対して監護者の影響力が作用してなされたものであり,自由な意思決定に基づくものということはできないことに着目して設けるものであるから,「現に監護する者」に当たるといえるためには,法律上の監護権の有無を問わず,現にその者の生活全般にわたって,衣食住などの経済的な観点や,生活上の指導監督などの精神的な観点から,依存・被依存ないし保護・被保護の関係が認められ,かつ,その関係に継続性が認められることが必要であると考えられる。
イ「現に監護する者であることによる影響力」とは,現にその者の生活全般にわたって,衣食住などの経済的な観点や,生活上の指導監督などの精神的な観点から,現に18歳未満の者を監督し,保護することにより生ずる影響力をいう。
したがって,「現に監護する者であることによる影響力」には,ある特定の性的行為を行おうとする場面における,その諾否等の意思決定に直接影響を与えるものだけではなく,被監護者が性的行為に関する意思決定を行う前提となる人格,倫理観,価値観等の形成過程を含め,一般的かつ継続的に被監護者の意思決定に作用を及ぼし得る力が含まれるものである。
ウ「現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて」とは,18歳未満の者に対する「現に監護する者であることによる影響力」が一般的に存在し,当該行為時においてもその影響力を及ぼしている状態で,性的行為をすることをいう。
その上で,被監護者である18歳未満の者を現に監護している者は,通常,当該18歳未満の者に対し,このような影響力を及ぼしている状態にあるといえるので,一般的には,「現に監護する者」であることが立証されれば,当該性的行為の行為時においても,「現に監護する者であることによる影響力」を及ぼしていたこと,すなわち,「現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて」いたことが認定できることとなる。
したがって,「乗じて」といえるためには,通常は,性的行為に及ぶ特定の場面において,影響力を利用するための具体的行為は必要ない。
エ本罪の趣旨に照らし,本罪の成否を論ずるに当たり,18歳未満の者の性的行為に対する同意の有無は問題とならない。
(4)法定刑等
監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪の法定刑については,それぞれ,刑法第176条及び第177条の「例による」とされていることから,強制わいせつ罪及び強制性交等罪と同じになる。
また,死傷の結果を生じた場合には,同法第181条が適用される。
(5)他罪との関係
監護者わいせつ罪又は監護者性交等罪に当たる行為が,同時に,児童福祉法上の児童に淫行をさせる罪(同法第60条第1項,第34条第1項第6号)にも該当する場合には,両罪が成立し,観念的競合となるものと考えられる。

 改正前の量刑としてはこういう感じです。家庭内事例は件数が多かったり常習性が認定されたりで重くなる傾向です。

懲役2年06月実刑08才親族
懲役2年執行猶予5年09才知人の子
懲役1年06月実刑07才親族
懲役3年06月実刑08才家族同様
懲役2年06月10才家族同様
懲役2年06月実刑強制わいせつ05才養女
懲役2年実刑未決010日算入12才連れ子
懲役1年06月執行猶予3年12才家族同様
懲役3年実刑未決080日算入08才家族同様
懲役1年06月実刑10才家族同様
懲役2年実刑未決010日算入12才親族
懲役2年02月実刑未決050日算入11才親族
懲役2年04月実刑11才家族同様
懲役1年執行猶予3年12才連れ子
懲役2年実刑未決090日算入12才養女
懲役2年06月実刑未決120日算入06才家族同様
懲役3年06月実刑未決040日算入07才親族
懲役2年実刑未決010日算入07才連れ子
懲役2年執行猶予4年未決050日算入08才家族同様
懲役2年06月実刑未決010日算入12才養女
懲役3年実刑未決080日算入12才連れ子
懲役3年10月実刑未決010日算入09才親族
懲役1年06月執行猶予3年未決160日算入保護観察07才家族同様
懲役2年06月実刑未決030日算入09才養女
懲役3年06月実刑未決030日算入11才親族
懲役2年06月実刑未決010日算入10才知人
懲役2年実刑未決070日算入07才親族
懲役1年03月実刑未決070日算入12才親戚
懲役4年06月実刑未決130日算入CDRW104才実子
懲役2年実刑未決020日算入12才連れ子
懲役4年06月実刑未決070日算入11才親族
懲役2年06月執行猶予5年11才交際相手の娘
懲役2年実刑未決020日算入08才連れ子
懲役1年04月実刑未決030日算入08才家族同様
懲役3年執行猶予5年未決050日算入保護観察10才連れ子
懲役5年06月実刑未決050日算入HDD1没収09才連れ子
懲役2年06月執行猶予5年10才養女
懲役4年06月実刑未決080日算入10才弟の孫
懲役2年実刑未決050日算入11才連れ子
懲役2年実刑未決010日算入10才交際相手の妹
懲役3年実刑未決060日算入10才実子
懲役2年06月執行猶予5年12才養女
懲役3年執行猶予5年保護観察09才実子
懲役5年06月実刑未決080日算入08才知人
懲役2年06月執行猶予4年12才内妻の連れ子
懲役3年06月実刑当審9012才親族
懲役2年06月実刑未決120日算入04才親族 孫
懲役1年06月執行猶予4年10才親族
懲役4年06月実刑2012才親族
懲役2年04月実刑未決040日算入11才親族
懲役2年06月実刑未決110日算入12才親族
懲役6年実刑未決070日算入04才親族
懲役2年06月執行猶予5年未決030日算入08才親族
懲役2年実刑未決050日算入10才知人の娘
懲役6年実刑sd111才内妻の子
懲役2年04月実刑未決060日算入05才養女
懲役12年実刑未決200日算入10才養育
懲役3年実刑未決040日算入04才親族
懲役9年実刑未決110日算入12才親族
懲役2年執行猶予4年11才養女
懲役3年実刑未決040日算入04才監護
懲役2年02月実刑未決020日算入12才交際相手の娘
懲役1年06月実刑未決100日算入11才親族
懲役3年06月実刑未決020日算入06才親族
懲役2年実刑未決020日算入06才親族
懲役3年執行猶予5年11才親族
懲役2年執行猶予4年10才知人の娘
懲役3年執行猶予4年保護観察12才親族



http://digital.asahi.com/articles/ASK8C5G7DK8CUTPB00R.html
7歳娘にわいせつ容疑、父親を逮捕 静岡
2017年8月11日17時36分
 7歳の娘にわいせつな行為をしたとして、静岡県警大仁署は11日、父親で県東部に住む店員の男(27)を監護者わいせつの疑いで逮捕し、発表した。容疑を認めているという。

 署によると、男は今月上旬、自宅で小学生の娘に対し、わいせつな行為をした疑いがある。同居している妻が、同署に被害届を出した。

 監護者わいせつ罪は7月13日に施行された改正刑法で新設された。親など生活を支える者がその影響力を利用し、18歳未満の子どもにわいせつ行為をした場合、暴行や脅迫がなくても処罰できる。

 署によると、監護者わいせつ容疑が適用されるのは静岡県内では初めて。


追記2017/09/03
 予想通り強制わいせつ罪(176条後段)の起訴になりました

強制わいせつ罪、27歳父親を起訴 /静岡県
2017.09.01 朝日新聞社
 地検沼津支部は31日、県内に住む男(27)を強制わいせつの罪で静岡地裁沼津支部に起訴し、発表した。男は、7歳の自分の娘にわいせつな行為をしたとして監護者わいせつ容疑で大仁署に逮捕され、送検されていた。監護者わいせつ罪は7月13日に施行された改正刑法で新設された。親など生活を支える者がその影響力を利用し、18歳未満の子どもにわいせつ行為をした場合に、暴行や脅迫がなくても処罰できる。一方で地検支部は、男は娘が13歳未満であることを知っていたとし、13歳未満の者に対してはわいせつ行為をしただけで成立する強制わいせつ罪を適用し、起訴した。