児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・強姦・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(強姦罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例違反)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

建造物侵入して女児の裸を撮影・盗撮する行為を、建造物侵入罪とひそかに製造罪の牽連犯とする事例(名古屋地裁h28.10.4、大分地裁H27.6.18、名古屋地裁半田H28.2.15、釧路地裁H27.10.8等)


 強制わいせつ罪(176条後段)と製造罪を併合罪だといっても、かすがいになる侵入罪とかわいせつ目的誘拐罪を起訴すると、全体が科刑上一罪になることがあります。

例1
女児にわいせつ行為しようと企て 平成29年8月5日 午後4時37分ころ、大阪市 A宅に警察官を詐称して侵入して
1 同日時 A9 13歳未満の者と知りながら 衣服脱がせて座らせ 陰部弄ぶ。強制わいせつ罪(176条後段)
2 同日時 児童であることを知りながら 露出した同児童の性器を手指で押し広げて撫で回す姿態 舌で舐める姿態 陰茎押し当てる姿態とらせて デジタルビデオカメラで撮影して動画をsdに記録して 1号 2号 3号 姿態をとらせて製造罪
法令適用
刑法54条1項後段 10条(侵入と強制わいせつ、侵入と製造罪との間には それぞれ手段結果の関係があるので、結局以上を一罪として重い強制わいせつ罪の刑で処断)
・・・
例2
着替え中の児童を盗撮する目的で 平成29年8月5日午後4時40分ころ校長が看守する 同校体育会地下倉庫内に無施錠の出入り口から侵入した上
そのころから16:50まで地下倉庫において着替え中の9Aが児童であることを知りながらひそかに児童の上半身裸の姿態を地下倉庫に設置したビデオカメラで撮影して その動画データを内蔵メモリに記録させ
もって 3号 密かに製造罪
法令適用
刑法130条前段 児童ポルノ・児童買春7条5項 2項前段 2条3項3号
54条1項後段 10条
25条1項

名古屋地裁平成28年10月 4日
事件名 建造物侵入,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
 上記の者に対する建造物侵入,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件について,当裁判所は,検察官木村友香,弁護人太田重俊(私選)各出席の上審理し,次のとおり判決する。
 (罪となるべき事実)
 被告人は
 第1 女児の裸体を盗撮するためのデジタルビデオカメラを設置する目的で,平成28年6月16日午後7時頃,名古屋市〈以下省略〉名古屋市立a小学校校長Aが看守する同小学校4階児童会室内に,その出入口ドアから鍵を使用して侵入し,同月17日午後1時25分頃から同日午後3時20分頃までの間,前記児童会室内において,水泳の授業のため着替え中の同小学校の女子児童である複数名の女児がいずれも18歳に満たない児童であることを知りながら,ひそかに,各女児の乳首又は胸部等の姿態を動画撮影機能を作動させたデジタルビデオカメラで撮影し,同月18日,愛知県清須市〈以下省略〉被告人方において,その電磁的記録である動画データ3点を,同ビデオカメラに装着されたマイクロSDカードを経由して,パーソナルコンピュータのハードディスクに記録して保存し,もってひそかに衣服の一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写することにより,児童ポルノを製造した。
 第2 女児の裸体を盗撮するためのデジタルビデオカメラを設置する目的で,同月23日午後7時55分頃,前記Aが看守する前記児童会室内に,その出入口ドアから鍵を使用して侵入し,同月24日午前10時50分頃から同日午後零時30分頃までの間,前記児童会室内において,水泳の授業のため着替え中の同小学校の女子児童である複数名の女児がいずれも18歳に満たない児童であることを知りながら,ひそかに,各女児の乳首又は胸部等の姿態を動画撮影機能を作動させたデジタルビデオカメラで撮影し,その電磁的記録である動画データ5点を同ビデオカメラに装着されたマイクロSDカードに記録させ,もってひそかに衣服の一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写することにより,児童ポルノを製造した。
 (証拠の標目)
 (法令の適用)
 被告人の判示第1及び第2の各所為のうち,各建造物侵入の点はいずれも刑法130条前段に,各児童ポルノ製造の点はいずれも児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条5項,2項,2条3項3号にそれぞれ該当するところ,判示第1及び第2のそれぞれの建造物侵入と児童ポルノ製造との間にはいずれも手段結果の関係があるので,刑法54条1項後段,10条により1罪としてそれぞれ犯情の重い児童ポルノ製造の罪の刑で処断することとし,各所定刑中判示第1及び第2の各罪についてそれぞれ懲役刑を選択し,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により犯情の重い判示第1の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役2年に処し,情状により同法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予することとする。
 (量刑の理由)
 (求刑―懲役2年)
 (裁判官 小川貴紀)