児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

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卑わいな言動(迷惑防止条例)と、わいせつ行為(刑法176条)の関係

 条例によってニュアンスが違いますが、法条競合としているようです。
 理論的には保護法益の違いがあるので、観念的競合が説明しやすいと思います。

大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の解釈及び運用についての全部改正について h17
第6 卑わいな行為の禁止(第6条関係)
1 この条は、痴漢行為、のぞき見行為、隠し撮り等卑わいな行為を規制することにより、人にしゅう恥心又は不安感を抱かせる行為を防止し、個人の意思及び行動の自由を保護しようとするものである。
2 第1号関係
( 1 ) 「人」とは、自然人をいい、性別、年齢又は国籍を問わない。
(2 ) 「著しく」 の程度は、具体的にどの程度と明示することは非常に困難であるが、社会通念上、容認し難い程度のものであれば足りる。
(3 ) 「人を著しくしゅう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような」とは、社会通念上人に著しく性的恥じらいを感知させ、又は不安を覚えさせるであろう程度のことをいい、被行為者が行われた言動を認識する必要はあるが、当該言動によって実際に性的恥じらいを感知し、又は不安を覚えたか否かは問わない。この場合において、被行為者とは、言動の直接的な対象となった人はもとより、言動の直接的な対象となった人が当該言動の内容を理解できない場合において、それを理解し得る能力があり、かつ、当該言動を認識し得る状態にある間接的な対象となった他の人も含まれる。
(4) 「衣服等」 の「等」とは、人が身にまとっているバスタオル等をいう。

6 第5号関係
( 1 ) この号は、第1号から第4号までに具体的に掲げられた行為のほか、「人を著しくしゅう恥させ又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動」を規制するものである。
(2) 「卑わいな」とは、いやらしくみだらで、社会通念上、人に性的しゅう恥心を抱かせ、嫌悪感を催させ、又は不安を覚えさせるに足りることをいい、刑法上の「わいせつ」よりも広い概念である(第8条及び第9条において同じ。)。

北海道警察本部「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」逐条解説(
(4) 「しゅう恥」とは、卑わいな行為によって惹起されるものであり、性的しゅう恥心を意味
する。
(5) 「不安」 とは、第2条用語の解説(2)参照。
(6) 「衣服等の上から」とは、身体にまとっている衣服等の上からという意味であるが、衣撮等とは、人が着るものの総称であって、シャツ、ズボン、スカートはもちろん、パンツ等の下着類も含まれる。
(7) 「直接」 とは、直(じか〉にという意味であり、衣服等を介さず、「身体」 に直に触れることを意味する。
(8) 「身体」 とは、胸部、下腹部、臀部部、大腿部、腹部、背中等のみならず、行為の方法、程度によって人を著しくしゅう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような首筋、腕、足等の部位も含まれる。
(9) 「触れる」 とは、手で触れる行為が一般的でd5るが、行為者が肘、膝、足等を使思して人の身体等(衣服等に覆われた身体を含む。)の一部に触れた場合であっても、卑わいな行為と認められる限りにおいて本条の触れるに該当する。
行為者が所携の傘等で、本号にいう人の「身体」に触れるなど当該行為が卑わいなものと認められる場合は、本号によらず、本条第l項第4号のf卑わいな言動」に該当する。
・・・
(4) 「卑わいな言動」とは、いやらしく、みだらな言語、動作で、通常人の性的しゅう恥心を害し、嫌悪感を催させ、又は不安を覚えさせるに足りる言語、動作をいう。
本条第1項第1号、第2号及び第3号は、その具体的行為の例示であるが、第4号は、これらに該当しない「卑わいな言語、動作」であり、例えば、「スカートをまくり上げる行為」「女性につきまといながら、性交や性器を意味する言葉をかけ続ける行為」等、様々な卑わいな行為の形態があるが、これらの卑わいな言動は、人に対するものであれば足り、直接であると間接であるとを問わない。
4 本罪と既存去令の関藤
(2) 刑法との関探
本条と;刑法第176条(強制わいせつ罪〉との関係は法条競合であり、第174条(公然わいせつ罪)との関係は、観念的競合である。

島根県迷惑行為防止条例の解説
(2) 第1項
ア本項は、「人を著しく羞恥させるような方法」又は「人に不安を覚えさせるような方法」による各号の行為を規制するものである。「・・ような方法」とは、
具体的状況に照らして、社会通念上、通常人が「著しく羞恥又は不安」を覚えると認められる方法をいい、現に被害者が著しい羞恥又は不安を覚えなくてもよい。従って、被害者が行為に気付かない場合でも本項違反は成立する。
イ犯行場所は、公共の場所又は公共の乗物である必要がある。
ウ第1号(痴漢の規制)について
本号は、刑法に規定する強制わいせつに至らない程度のいわゆる街頭や電車内等での痴漢行為を規制するものであり、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で「衣服等の上や直接に人の身体に触れること」を禁止している。
※ 強制わいせつ罪の構成要件等については「既存法令との関係」を参照
  「身体」とは、大腿部、腹部、背中のほか、卑わいな行為と認められる限りにおいて、首筋、腕、足等の部位も含まれる。
 行為の手段については、手で触る行為が一般的であるが、肘、膝、足等を使用して身体に触る場合であっても、卑わいな行為と認められる限りにおいて、違反が成立することとなる。

4 既存法令との関係
(1) 刑法第17 6条(強制わいせつ罪)との関係等
ア強制わいせつ罪との相違点
刑法第17 6条(強制わいせつ罪)は、「13歳以上の男女に対して暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為を行った場合」に成立し、13歳未満の男女に対しては、暴行、脅迫を必要としないとしている。
本条第1項は、年齢の規制はなく、かつ、暴行又は脅迫を用いることを要件としていないが、羞恥心、不安を覚えさせる行為を対象としている。
具体的には、バスや列車内での女性の身体に触れる行為、又はカバンに隠しカメラを仕掛けてスカートの下から下着等を撮影する行為等を規制するものである。
イ関係
強制わいせつ罪が成立する場合は、本条例の適用はない(法条競合)。