児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・強姦・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(強姦罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例違反)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

実在する児童の裸体が撮影された写真を素材として編集されたコンピューターグラフィックスの作成,委託販売につき,児童ポルノの製造罪及びその提供罪の成立を認めた事例(東京高判平29. 1 .24)「平成29年版 警察実務 重要裁判例」警察公論第72巻第8号付録2017

実在する児童の裸体が撮影された写真を素材として編集されたコンピューターグラフィックスの作成,委託販売につき,児童ポルノの製造罪及びその提供罪の成立を認めた事例(東京高判平29. 1 .24)「平成29年版 警察実務 重要裁判例」警察公論第72巻第8号付録2017
 31/34画像が無罪になったことには言及なし

判旨
なお,本判決の主文では,原判決(懲役1年及び罰金30万円,懲役刑につき,3年間執行猶予)が破棄され, 罰金30万円の刑罰が言い渡され, さらに,公訴事実の一部(CG集「聖少女伝説」を提供した事実)につき,無罪とされているが, これは,本判決において量刑が見直されたことや, CG集「聖少女伝説」(原判決・本判決共に, 同CG集には児童ポルノに該当するものを認定できないとされたもの)の提供の事実と,罪となるべき事実である「聖少女伝説2」の提供の事実の関係が,原判決が認定したように一罪の関係ではなく,併合罪の関係にある(そのため, 「聖少女伝説」の提供の事実について,無罪を言い渡す必要がある) と判断されたことによるものであり, 原判決と本判決の間で,被告人が作成したCGの児童ポルノ該当性の判断が異なったわけではない。
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解説
本判決も判示するとおり,児童ポルノ法が規制する児童ポルノには,児童を直接撮影した写真や動画に限られるものではなく,絵画や合成写真も含み得るものであることは,児童ポルノ法制定時の法案審議においても明らかにされていたところであり.本件CGがCGであるという理由だけで児童ポルノ該当性を否定されるものではないことは, 当然の結論であると言える。
その上で,本判決の判示事項で実務上参考となると思われるのは, いかなる場合にCGが児童ポルノに該当するかということについて, その具体的な判断過程・方法を明らかにしている点であろう。
すなわち,本件CGの児童ポルノ該当性に関する検察官の立証構造は,①本件CGを描写する元となったヌード写真(素材画像)が収められた写真集等の存在から, そのヌード写真の被写体となった女性が実在することを立証し(この素材画像の被写体である児童の実在性について,本判決も, それを肯定する原判決の事実認定を前提としている。),②専門的知見を有する医師の証言により, そのヌード写真の被写体の女性が18歳未満であるという児童性を立証し,③本件CGの作成方法や本件CGと素材画像の客観的類似性などから,本件CGと素材画像の同一性を立証する(その結果,本件CGに描かれた児童の実在性や児童性も肯定される) というものであり.本判決及び原判決は, そのような立証構造を前提として,各点についての判断を下したものである。
そのため,立件対象とする児童ポルノが絵画や合成写真, CG等であり,捜査機関において当該児童ポルノに描写された児童が特定できておらず, 当該児童の実在性, 当該児童の年齢。当該児童ポルノ内の人物像と実在する児童との同一性が問題となるような事案の捜査にあたり,本判決(及び原判決)の判示は,大いに参考になるものと思われる。