児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

女性に対し,その後方から,自己の陰茎を手淫しながら接近し,Aに向けて射精して自己の精液をその着衣に付着させた行為を暴行罪とした事例(前橋地裁H27.6.19)

 女性に対し,その後方から,自己の陰茎を手淫しながら接近し,Aに向けて射精して自己の精液をその着衣に付着させた行為を暴行罪とした事例(前橋地裁H27.6.19)
 強制わいせつ罪にしたのもあるんですけど、判例DBにはでてませんね
 親告罪の一部起訴の問題があります。

前橋地方裁判所
平成27年6月19日刑事第1部判決
       判   決
 上記の者に対する強制わいせつ致傷,暴行,強制わいせつ,窃盗被告事件について,当裁判所は,検察官萩谷葉子及び同高橋俊輔並びに私選弁護人小和瀬聡(主任)及び同中本真理各出席の上審理し,次のとおり判決する。
       理   由
(罪となるべき事実)
(以下,「同」年月日とされているものは,括弧内の起訴状の日付の記載を除いた直近の年月日の記載と同じ年月日を示すものとする。)
 被告人は,インターネット上の動画サイトに投稿された様々な種類のわいせつ動画を見ては、性的満足を得るためにその内容を自ら模倣して実行したいと考え,
第1(平成26年10月31日付け起訴状記載の公訴事実)
 平成26年3月24日午後8時35分頃,群馬県高崎市内のラーメン店■駐車場において,A(当時33歳)に対し,その後方から,自己の陰茎を手淫しながら接近し,Aに向けて射精して自己の精液をその着衣に付着させるなどの暴行を加え,
第2(平成27年1月26日付け起訴状記載の公訴事実)
 路上で見かけた通行中のB(当時17歳)に強いてわいせつな行為をしようと考え,同年8月26日午後2時5分頃,同市■路上において,Bに対し,その背後からいきなり抱きつき,両手で着衣の上からその両胸を揉みながら引き倒した上,スカートに手を入れてその右大腿部を触るなどの暴行を加え,もって強いてわいせつな行為をし,
第3(平成27年2月27日付け起訴状記載の公訴事実)
 同月27日午後10時頃,同市内の■C方ベランダにおいて,C所有又は管理のブラジャー等4点(時価合計約2000円相当)を窃取し,
第4(平成26年12月3日付け起訴状記載の公訴事実)
 鉄道の駅付近で女性を物色中に見つけたD(当時22歳)に対して強いてわいせつな行為をしようと考え,数百メートルの距離を追跡した上,同年9月12日午後8時50分頃から同日午後8時55分頃までの間,前橋市■路上において,Dに対し,その背後からいきなり抱きつき,地面に両膝をついて座り込んだ状態のDの背後から,その口を手で押さえるなどしながら,胸元から着衣及び下着内に右手を差入れてその乳房を揉み,さらに,Dのショートパンツの中に右手を差し入れて下着の上から陰部を触るなどの暴行を加え,もって強いてわいせつな行為をし,その際,Dに対して全治約1週間を要する両膝擦過創の傷害を負わせ,
第5(平成26年10月10日付け起訴状記載の公訴事実)
 同月21日午後9時頃,同県高崎市内のスーパー店内■において,E(当時18歳)に対し,その左後方から,自己の陰茎を手淫しながら接近し,Eに向けて射精して自己の精液をその着衣に付着させる暴行を加え
たものである。
(証拠の標目)《略》
(法令の適用)
 被告人の判示第1,第5の各所為はいずれも刑法208条に,判示第2の所為は同法176条前段に,判示第3の所為は同法235条に,判示第4の所為は同法181条1項(176条前段)にそれぞれ該当するところ,各所定刑中判示第1,第3,第5の各罪についてはいずれも懲役刑を,判示第4の罪については有期懲役刑をそれぞれ選択し,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により最も重い判示第4の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役4年に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中180日をその刑に算入することとする。 
(量刑の理由)
平成27年6月19日
前橋地方裁判所刑事第1部
裁判長裁判官 高山光明 裁判官 齊藤学 裁判官 伊藤愉理子