児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

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集団強姦罪の成立が認められ、示談が成立したものの、前科のない被告人両名に対する実刑判決が維持された事例(東京高裁H18.2.24)

 原判決後に贖罪寄付したところで2項破棄はないようです。
 被害者に追加に支払って「実刑は勘弁してあげてください」「執行猶予にしてください」という上申を書いてもらうというのが常套手段です。

平成18年2月24日東京高等裁判所
集団強姦被告事件
高等裁判所刑事裁判速報集(平18)号66頁

各論旨は、要するに、被告人Aを懲役3年6月に、被告人Bを懲役3年に、それぞれ処した原判決の量刑は、犯情に関する事実の誤認に基づくもので重過ぎて不当であり、被告人Aについては刑期を短縮した上、被告人両名に対していずれも刑の執行を猶予すべきである、というのである。
 そこで検討すると、本件は、被告人両名が、原判示の犯行の3日前である平成17年5月22日夜に、車で徘徊中、JR平塚駅付近で、いずれも家出をしてたむろしていた中学1年生の甲女(当時12歳)、中学2年生の乙女及び高校3年生の丙女に声を掛け、被告人Bのアパートで遊んだりドライブをしたりするなどした後、同被告人とは別れ、被告人Aが同女らを自宅に連れて行って泊めてやるなどし、その後平塚駅で別れたが、被告人Aはその後も同女らと遊びたいと考え、聞いていた丙女の携帯電話に電話をしたものの、相手にされずに切られてしまったことに腹を立て、5月24日夜その旨被告人Bに伝えたところ、同被告人も腹を立て、「脅かしてやっちまおう」などと話し合って、両名で甲女らを共同して強姦する旨相談した上、被告人Bが電話で同女らを平塚市内の公園に呼び出し、同日午後10時30分ころ、被告人Aが運転する普通乗用自動車後部座席に同女らを乗車させ、被告人Bが助手席に乗って発進し、間もなく邪魔になる丙女を車から降ろした後の翌25日午前零時30分ころから午前2時前ころまでの間、東名高速道路を経由して静岡県御殿場市所在のホテルに至るまでの走行中の車内において、車内に残した甲女及び乙女に対し、被告人両名が「電話を切った落とし前どうするんだよ」と言い、被告人Bが「迷惑料として30万円払え」「もし払えないのなら風俗を紹介するぞ」「払えなければ、船に乗せて遠くへ連れて行くぞ」「身体で払え」などと言って脅迫し、午前2時前ころホテルに着くや、被告人Aが甲女を、同Bが乙女を連れてそれぞれ客室に入り込み、被告人Aにおいて、被告人両名による脅迫を受けて畏怖していた甲女に対して深夜から未明に掛けてその身体に覆い被さり、両手で大腿部を押し広げるなどの暴行を加えて反抗を抑圧して2回にわたり姦淫したという、甲女に対する集団強姦の事案である。
 二人掛かりで長時間年端もいかない甲女を脅迫して泣き出させるまで畏怖させ、被告人Aが2回にわたって同女を姦淫した事案自体極めて悪質なものである。
甲女の被った精神的、肉体的苦痛はもとより、その将来に対する影響も懸念される。甲女は、その母親と被告人Aとの間で示談が成立した後も、被害感情が癒えてはいない。被告人両名の責任は重いといわざるを得ない。
 もとより、被告人両名が甲女に対してこもごも脅迫を加え、被告人Aが原判示の暴行を加えた上、甲女を強姦した本件について、被告人両名について集団強姦罪が成立することはいうまでもない。
 また、被告人Aの弁護人の所論は、原判決は、「甲女の身体に覆い被さり、両手で同女の大腿部を押し広げる」行為を暴行と認定しているが、この行為は性行為そのものであって暴行であるはずがないともいうのであるが、本件が脅迫行為によって抵抗できなくなっている女性に対する姦淫である以上、この行為は暴行に該当するというべきであるから、所論は採用できない。
 被告人Bについて、所論は、被告人Bは、同Aに追従しただけであって、重要な役割を果たしたわけではない、というのである。しかしながら、被告人Bは、前記のとおり、甲女らを呼び出し、ホテルまでの車内においても積極的に甲女を脅迫していることが認められるのであって、被告人Bが甲女に対する姦淫行為を行っていないとはいえ、本件において積極的かつ重要な役割を果たしたことは明らかであるから、所論は理由がない。
 そうすると、被告人Aが200万円を支払うことで甲女の母親との間で示談が成立し、被告人Aの母親が180万円を、同Bの父親が20万円を分担して支払い、甲女の母親が被告人両名を宥恕する意思を表していること、被告人両名が犯行を認めて反省の態度を示していること、被告人両名にはいずれも前科がないこと、被告人両名の親がそれぞれ被告人らの更生に助力する旨述べていること、当審において被告人Aの元上司が社会復帰後の同被告人を受け入れて雇用する旨述べていること、被告人Bの社会復帰後の就職先が用意されていること、原判決後に被告人Bの父が同被告人に代わって法律扶助協会に50万円の贖罪寄付をしたことなど、被告人両名にとって酌むべき事情を十分考慮しても、本件はその犯情にかんがみて、両被告人に対して刑の執行を猶予するのが相当な事案とはいえず、被告人Aを懲役3年6月に、被告人Bを懲役3年にそれぞれ処した原判決の量刑は、刑期の点を含めてやむを得ないものであってこれが重すぎて不当であるとはいえない。論旨はいずれも理由がない。
第11刑事部