児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

誰かが趣味として子供(6歳)の裸映像を収集しパソコンに保存していたが,誤ってAにその画像をメール送信してしまった。知らないうちに送り付けられたAは,送り付けられた段階で児菫ポルノ自己性的目的所持罪として処罰されるのか述べなさい

警察公論2017年01号付録全国出題論文2017p288
問題
誰かが趣味として子供(6歳)の裸映像を収集しパソコンに保存していたが,誤ってAにその画像をメール送信してしまった。知らないうちに送り付けられたAは,送り付けられた段階で児菫ポルノ自己性的目的所持罪として処罰されるのか述べなさい

答案
1 結論
Aは児童ポルノ自己性的目的所持罪として処罰されない。
(1) 「自己の性的好奇心を満たす目的」の意義
いわゆる単純所持といっても,
?嫌がらせなと・によりメールで送り付けられた場合
? ネットサーフィンによる意図しないアクセス
? パソコンがウイルスに感染し,勝手にダウンロードした場合
?インターネットの掲示板kに児童ポルノが掲載された場合における当該掲示板の管理者やサーバの管理者
等の事例も想定されることから,処罰範囲を合理的に限定するため, 「自己の性的好奇心を満たす目的」による所持を対象としたものである。
したがって,上記?から?のような事例は,処罰の対象とはされない。
なお,所持の目的については,所持の態様,分量所持している対象の内容等の客観的事情からの推認により立証される。

(3)故意について
所持罪が成立するためには,児童ポルノであることを認識し,かつ,所持について認容している必要がある。
したがって, メールで児童ポルノを送り付けられた場合や,パソコンがウイルスに感染し勝手に児童ポルノをダウンロードしたといった場合でも, そのことを知らないならば, (1)で論じた目的に係る要件を充足しないことはもとより,故意も存しないため所持罪は成立しない。