児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「髪の毛約35センチを背後からはさみで切った」という傷害容疑(愛知県警)

 判例上は微妙。

条解刑法
傷害の意義
学説上,?人の生理機能に障害を与えること,又は人の健康状態を不良に変更することとする生理機能障害(侵害)説,?人の身体の完全性を侵害することとする完全性侵害説,?両説の折衷的なものとして,生理機能の障害又は身体の外貌への著しい変化とする折衷説の対立がある。これらの説の対立は,本罪によって保護されるべき法益をどのように考えるか.すなわち,身体の機能的側面と器質的側面のいずれを重視するかということと関連している。もっとも,?説も精神機能を含む身体機能のすべてを完全性の内容としているので,?説との差異は,皮膚等を損傷することのない毛髪,爪等の切除といった外貌の変更を傷害と認める点にある。
?説は,この点に修正を加え,毛髪等の切除といった行為も,外貌に著しい変化を生ずるものは,単なる暴行ではなく,傷害と評価すべきであるとする。
下記の判例等からもうかがえるように傷害に当たるかどうか問題となるのは,極く軽微な機能障害あるいは外観の変化であり?説が軽微な外貌の変化をはずそうとしているのと同様に,?説のいう生理的機能の障害にあっても,軽微なものは当たらないとする見解も有力である。この問題は暴行と傷害の限界をどこに置くかという問題(208条注2ア参照)と表裏をなすものであるが,本罪の法定刑の下限が暴行のそれと同様科料まで含むことを考えれば軽微であるがゆえに傷害に含まれないとされるものは極めて例外的なものに止めるべきであろう。
判例は.生理機能障害説に立っているものといわれている。この点,皮膚の表皮剥脱(大判大11・12・16集1799),中毒症状・めまい・堰吐(大判昭8・6・5集12ー736),病毒の感染(最判昭27・6・6集6-6-795),意識障害・筋弛緩作用を伴う急性薬物中毒の症状(最決平24・l・30集66-1-36),歯根の炎症(福岡高判昭25・9・13判特13156),陰毛の毛根からの脱取(大阪高判昭29・5・31高集75 752),皮下結締織炎(高松高判昭29・l・12高集7-3-233)胸部の廃痛(外見の打撲痕なし)(最決昭32・4・23集114 1393),腰部の圧痛(福岡高宮崎支判昭62・6・23判時125538),失神(大判昭8・9・6集121593),処女膜の裂傷(大判大3・7・4録20-1403)を生じさせた場合などが傷害とされている。他方剃刀による毛髪の根元からの切断は傷害に当たらないされている(大判明45・6・20録18896。これに対し,東京地判昭38・3・23判タ147-92は.傷害に当たるとしている)。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161205-00000058-mai-soci
 電車内で乗り合わせた女性の髪を切ったとして、愛知県警中村署は5日、容疑者(23)を傷害容疑で現行犯逮捕した。「(髪の毛を)インターネットオークションで売却するためにやった」と供述し、容疑を認めているという。
 逮捕容疑は同日午前7時40〜55分ごろ、名鉄名古屋本線国府宮(こうのみや)−名鉄名古屋間を走行中の特急電車内で、派遣社員の女性(40)の髪の毛約35センチを背後からはさみで切ったとしている。
 中村署によると、容疑者は自宅からはさみを持参しており「他にもやった」と話している。両駅間を走行中の電車内では2013年以降、同様の被害が約20件発生しているといい、同署が関連を調べている