児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「子ども性被害条例」 最後発の長野県 罰則限定 効果に疑問も2016.11.28 中日新聞

 「みだらな」という構成要件は、結局、娘の交際に保護者が怒ると逮捕という使われ方です。保護者が同棲を許しておいてケンカ別れしたら同棲直前の性行為について青少年条例違反で被害届という事件も出ています。
 大阪・山口の検挙数は周知ですので、淫行処罰規定での検挙数はさっぱりということになると知って、制定されたと理解しています。地方自治の範囲内。


 性被害に児童ポルノ・児童買春とか児童淫行罪も含めてしまっているのですが、どの程度の予算とか人材を確保して、全ての性被害者にどういう措置をするのかにも注目する必要があります。京都府は実績ゼロで条例の被害者保護条項を廃止しましたし。

http://www.pref.nagano.lg.jp/jisedai/kyoiku/kodomo/shisaku/documents/20160707shi1jorei.pdf
(性被害を受けた子どもへの支援)
第14条 県は、性被害を受けた子どもが心身に受けた影響から早期に回復し、当該子どもが健やかに成長するため、関係行政機関、医療機関等と連携協力し、当該子どもの身体的、精神的な負担等の解消又は軽減に資する医療の提供、福祉に関する相談等の支援体制の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。
2 県は、性被害を受けた子どもが安心して適切な支援を受けられるよう、支援を行う者に対する研修の実施その他の必要な支援を行うものとする

 「子ども性被害条例」 最後発の長野県 罰則限定 効果に疑問も2016.11.28 中日新聞
 十八歳未満との性行為を規制する条例を全国で唯一持たなかった長野県が「子どもを性被害から守るための条例」を制定し、一日から全面施行された。「真剣な恋愛を阻害しかねない」と慎重な意見も根強かったため、少年少女を脅したり、
 困惑させたりした場合などに罰則を限定した。しかし長野県と同様の条件を設けている大阪、山口の二府県の摘発件数は他の都道府県に比べて極端に少ない。「悪質でも処罰されない事例が出てくる」と懸念の声も上がる。

 長野県の条例は、十八歳未満の青少年を威迫したり、困惑させたりしてわいせつ行為に及ぶのを禁止する内容。二年以下の懲役または罰金百万円以下の罰則を新設した。

 長野県警によると、制定前の二〇一三〜一四年の二年間は、条例がないため十七人の「加害者」を摘発できなかった。刑法の強制わいせつ罪や強姦(ごうかん)罪を問うには暴行や脅迫といった要件が必要で、少女の未熟さにつけ込んで性行為に及んだ場合の摘発は困難だったという。

 ただ、大半の都道府県は、最高裁判例に基づき「性的欲望を満足させるため」だけの性行為も条例の罰則対象にしているが、長野県は除外した。動機を認定する基準があいまいとの理由からだ。

 長野県と同様に罰則対象を限定した大阪府山口県では、青少年へのみだらな性行為の条例違反で一四年に摘発された件数がそれぞれ九件と一件。全国平均の二十九件と比べて大幅に少ない。人口当たり摘発件数は山口県が全国最低で、最多の沖縄の四十二分の一だ。

 長野県次世代サポート課の青木隆課長(55)は「制定前に摘発できなかった十七人のうち、少なくとも二人は全面施行後も処罰の対象にならない」と語る。
 (五十幡将之)
中日新聞