児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

但木敬一 坪内利彦 馬場義宣 古田佑紀「実務刑法〔三訂版〕 平成14年10月10日三訂第1刷」は傾向犯説

 古いけどな

p248
本章の罪は主として性的秩序に関する不法な行為を処罰しようとするものである。しかし、公然わいせつ罪、わいせつ物頒布罪は社会的法益としての善良な性風俗を害する行為であるのに対し、強姦罪等は個人の性的自由が保護法益と解される。また、重婚の罪は婚姻秩序が保護法益である。したがって、本章の罪の中にはそれぞれ性格を異にするものが含まれる。

p251
四 強制わいせつ罪(一七六条)
1趣旨
前段は、個人の性的自由をその意思に反して侵害することを処罰する趣旨であり、後段は性に関する意思決定の能力が未熟な者に対する行為を処罰するものである。したがって、前段の罪は自由な意思決定を抑圧する行為が手段として必要であるが、後段の罪は意思決定が抑圧されるかどうかを問わず、同意がある場合でも成立する。

p252
「わいせつな行為」とは、性的自由の侵害を中心に考えるべきことから、公然わいせつ罪等のわいせつとはやや観点が異なるが、基本的には一見して性的欲望を満足させるための行為と認められるものをいう。したがって、陰部や女子の乳房に触れる行為(名古屋高金沢支判昭三六・五・二下刑三・五?六・三九九、東京高判昭三七・一二・七高検速報一○六五など)、臂部や陰部に近接した内腿などに直接触れる行為、場合によってはキスなども(意に反する接吻につぎ大阪高判昭四一・九・七判タ一九九・一八七。その他東京地判昭五六・四・三○判時一○二八・一四五、最決昭五○・六・一九裁判集刑一九六・六五三など)わいせつの行為に当たる。しかし、着衣の上から臀部を撫で、あるいは抱きつく行為などはその着衣が下着であるなどの例外的な場合(スカートの中に手を入れパンツの上から臀部をなでた場合に積極とした判例として新潟地判昭六三・八・二六判時一二九九・一五二)を除けば一般にはわいせつの行為とは言えない。

p253
なお、本罪については性的欲望の充足の目的に出たことを要する(最判昭四五・一・二九刑集二四・一・一)。もっとも、実際上は明らかに他の目的によると認められる場合を除いては性的欲望を充足する目的があると認められるのが通常であろう。